税収弾性値3(国債の合理性1)

昨日最後に書いたように各種政策対象が広がって来ると景気が良くなっても税収がそれほど増えない・・赤字国債を解消するどころか、せいぜい赤字国債の発行額を減らすのがやっと・・不景気時の発行額の半分〜3分の1に減らす程度→次の不景気が来るとまた2〜3倍にすることの繰り返しになると・・累積額が増える一方になります。
赤字国債が増え続けることの「解」は何であるのか?、そもそも従来理論による限り「解」があるのでしょうか?
今の時代・・に限らずいつの時代でも、既存秩序を説明するための理論では説明の出来ない事態が切れ目なしに起きているのですが、旧知識で説明出来ないからと言って反対していても解決出来ません。
新井白石の貨幣改鋳批判「正徳の治」に対する批判を書いたことがありますが、旧来儒教倫理から言えば勘定奉行荻原の改鋳は悪ですが、経済活動が拡大しているのに金の含有量にこだわると潤滑油としての貨幣不足が起きることは、今になると自明でした。
必要な貨幣量は金の産出量によるのではなく、経済活動・交換経済の需要に比例するのですから当たり前です・・・・このために貨幣だけはなく各藩で藩札が発行されるようになっていたし、金本位制を理想としつつも、明治維新以降では紙幣が決済手段の基本となっていました。
通貨の必要量は経済活動に比例するのであって金の量に比例しない・・ただ紙幣の信用維持のために金の権威・憧れを借用していただけのことです。
江戸時代に発達した為替制度は、最後の帳尻残を公認の貨幣で決済する仕組みを背景にしているとは言え、権力のない商人間の信用の発達で成立したものです。
現在に至る為替制度も商人間の信用・・東京手形交換所や大阪・名古屋・その他各地の手形交換所での帳尻決済を基本にする点は、江戸時代からの流れそのものですし、不渡りによる、銀行取引停止処分などの規律による手形の信用維持に業界が自主的に努めて来た結果によります。
今で言えば、信用情報・デフォルト履歴・ブラック制度のハシリです。
藩札は領内限り、しかももイザとなれば幕府公認貨幣との兌換前提の仕組みですが、それでも大名家の信用で流通していたものです。
全部が全部小判や幕府発行の貨幣に変えてくれと一斉に言って来ないから、藩政府としては発行済藩札の5%前後のタネになる幕府発行貨幣を持っていれば何とかなる仕組み・・とすれば保有貨幣量の20倍の藩札が流通出来る仕組みになっていたことになります。
これは今の銀行システムも同じで、いわゆる信用創造機能と学校で習います。
このように幕府発行の公認貨幣の外の周辺決済手段が多様化(キャッシュレス化)している点では、今では江戸時代の比ではありません。
今では権力が信用の源泉ではなく発行体・商人の信用による・・トヨタの株式や債券ならば、額面にプレミアムを付けていくらで買うと言う時代です。
北朝鮮政府の権力が以下に強くとも経済基礎が弱いと北朝鮮通貨を欲しがりません。
プーチンの権力の強弱とロシアルーブル貨幣の強弱は全く別です。
このように今は発行体の経済力そのものの価値によって決まるのであって、通貨主権を取り戻せ・・と言う最近のユーロの議論は時代錯誤だと思っています。
話題が飛びますが、マネーサプライがどうのと言う議論も・・デパートの売上増減だけで、(スーパー〜コンビニどころかネット通販も盛んですが・・)景気動向を騒いでいるのに似ていてイマイチピンと来ない人が多いと思いますが、・・旧来重視されたデータそのままで議論しているように見えるからです。
マネーサプライの増減を議論するならば、10年前に比べてその他決済手段の多様化・キャッシュレス化進行の中で、いわゆるM1M2の比重がどうなっているかを論じた上で修正した議論をするべきでしょう。
このようにわが国では江戸時代から、実際には紙幣であるいは帳尻決済で何百倍もの相殺決済をしていたのですから、ソモソモ金への拘りは古代からの郷愁でしかなかったことになります。
金本位制の思想が完全払拭された現在では、各国の主権に裏付けされた中央銀行だけが紙幣を発行出来る・・紙幣発行体の純粋な信用力・・これもある国が自国通貨を信用があると言っても誰も相手にしない・・国際為替市場で評価される仕組みです。
大恐慌時の1930年には日本が率先して行なった金交換停止が今から考えると合理的だったように、(金本位制は本来古代への郷愁でしかなかった)旧道徳・教養主義に毒されたエリ−トには理解出来ないことが次々と起きてきます。
アメリカは国力があったことが災いして?1971年のニクソンショックまで金兌換をしていました・・世界最後尾の国の栄誉?を担ったのです。
資金力の弱いものから順に世界の進運に早く身を投じる・お金持ちほど古い習慣を維持する傾向があるのと同じです。
西欧では王権神授説に対する革命動乱・・産業革命ではラッダイト運動のように機械化によって職を失う反対もありました・・戦国時代の実力主義→下克上や幕末の攘夷思想と開国論など・・戦後の平和主義と現在の国際環境など・・いつも旧価値観では解決出来ないことが起きて来ます。
ネット空間でも既存論理を前提に現状批判している人が多いのは、(GDP比の債務額や税収弾性値論の不都合を昨日から書いていますがその他の論理も)対中批判であれ何であれ無理っぽい印象です。
何かを批判するには既存論理枠組みが前提にしていた社会が現状に合っているかの疑問から入って行くべきでしょう。
私自身・子孫に借金を残すのかと言う論法には反対意見を書いて来ましたが、だからと言って赤字国債→出口を決めない・・もしかして無制限日銀引き受けの行く末がまだよく分っていません。
この5〜10年間このコラムで書いて来た私なりの素人的理解は、一家の経済になぞらえて、お父さんの収入で足りなくなっても同居している息子・娘が自分の食費しか入れないときに、お父さんが子供らに毎月10万円づつ借金した累積額がお父さんの年収を越えた状態に匹敵するのが我が国の財政赤字額だと言う説明をして来ました。
この計算では、一家全体の収支が重要であって、子供らの収入の範囲で子供から借りている限り総額がいくら膨らもうと一家の経済に何の問題もありませんし、子供らに借金が残る心配もありません。
国債と税の違いは、親が子供から生活費として月10万円を強制的に(税)取るか借りたことにしているかの違いです。
遺産を残せない親に対して子供が親に貸す(出す)のをいやがってその代わり親が銀行で借りた場合・相続放棄されると銀行が損をしますが、支払能力・・親自身に資産があるか別に支払能力のある子供が保障しない限り銀行が無担保で貸さないでしょうから、・保障するしかないならば、結果的に同じです。
親を見殺しにする結果、親世代の自殺が多くなっているのが今の韓国社会でしょう。
日本では韓国のように親を見殺しにしてレジャーを楽しむ勇気がないとすれば、仮に親に資産がなくとも子は身を削っても親を病院に連れて行くしかありません。
ところで日本の場合親世代の方が(個々ではばらつきがあるでしょうが)トータルでは子世代よりも資産を多く持っている・・子世代は相続で得する関係です。
だからこそ政府は親世代から生前贈与の軽減税制度を次々と新設して奨励しているのです。

中国やりくりの限界(税収弾性値1)3

http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12242018733.html
2017-01-29 05:00:00
中国、「民間債務」対GDP比で170%「突出する危険性」
「日本、EU、中国の民間債務は2008年まで、対GDP比で100%ラインにきれいに並んでいた。米国は、手厚い内部留保があるゆえに民間債務の対GDP比は、60~70%の中に収まっている。問題は、2009年以降の中国だけが、対GDP比の民間債務額が急ピッチで増え続け、2016年には170%にも達した。この現実を頭に入れて置いて欲しいのだ。」
上記意見は、中国以外は今もキレイに100%で並んでいる前提でしょうが、諸外国では今も債務率が100%近辺で安定しているのかを書いていません。
ただし、29日に紹介したグラフによると中国の債務伸び率が半端でないことが確かです。
リーマンショック以降先進諸外国では異次元金融緩和が一般的であって、日本でもどこでも大量のマネーサプライが続いている以上は、その分債務も膨張していないかの疑問です。
例えば、住宅ローン金利が1%下がれば、借入額をその分増やしても毎月支払が同じになるので借入限度額・債務額が増えます。
この結果韓国では急激に個人債務が膨張してしまっていることが話題になっています。
リーマンショック以降「異次元緩和」が行なわれているのが普通ですから、中国だけ08年以前と比較するのでは、読んでいる方が混乱します。
ただし、日本では個人金融資産が巨大ですので、金利を下げた程度で借りたい人が増えません。
先進国で金融緩和をしても自国内企業や国民が殆ど利用していないで、(円キャリー取引で)低金利を利用して資金不足の新興国が利用しているだけ・せっかく大量供給した資金が海外・新興国に流出しているのかも知れません。
日米欧の低金利政策が新興国の資金需要を満たしていただけ・だからこそ米国金利上げが新興国・・特に中国への打撃となるテーマで持ちきりになっているのでしょう。
この後税収弾性値でも書きますが、GDPその他の指標は一定方向の議論や疑いを抱くとっかかりになるだけであって、そこから結論を導くとなれば、いろんな指標を組わせた意見でないとまともな議論になりません。
国力競争ではGDPが重要でしょうが、(中国は19世紀型・・粗鋼生産量や造船量にこだわって来た時代錯誤制を以前書きました)生活水準指標としてはGDPよりは別の指標の総合化が必要です。
無理な内需振興・・無駄な建設工事等の結果GDPだけ上がっても、税収がこれに比例して上がって行きませんから、経済効率無視の投資か否かの指標としては税収弾性値も目印の1つになるでしょう。
上記ブログの紹介では、中国の場合、税収弾性値が極端に下がり続けているらしいのです。
中国がリーマンショック後税収弾性値が下がっているのはGDPアップと言ってもゴーストタウンを作るような無駄な投資をしている証拠だと言う意見の補強に使われています。
「16年の中国財政の歳入増が、前年比わずか4.5%増であったのだ。税収の伸びが名目経済成長率の8.0%を下回る状態になっている。ついに、「税収増加率は、年々続く縮小傾向から脱却できなかった」(『人民網』1月24日付)と実態を吐露するに至っている。税収の弾性値という尺度がある。名目GDPが1増えれば、税収がどれだけ増えるかである。長期的な税収弾性値は1.1とされるが、中国はすでに、0.56にまで低下している。ゾンビ企業の多発で経済が空洞化している証拠だ。「腐ったリンゴ」そのものである。」
税収弾性値が平均して1、1であると言う図表か何かで見た記憶がありますが、ちょっと見たときの印象ではこう言う平均化が可能と言う程度の説明であったように見えます。
中国の肩を持つ訳ではないですが、公平に見ると過去一定期間の平均から外れると異常とする断定論は一面的です。
中国の場合にも前提となる社会状況変化があるのですから、(非衛生・生活習慣が汚いことで有名な中国でさえ公害垂れ流しのマイナスや衛生意識向上・生活水準向上があるに違いない・・量より質に入って来た変化をどう見るかです)社会状況が変わった指標としてみることが可能ですが、この種の衛生基準アップなどの)投資は次年度以降の生産性向上に結びつかないのが普通・・非効率投資ですが、これを無駄な投資(誰も使わない鉄道建設やビルを建てるような投資)とごっちゃにした議論は無理があると言うことです。
民需不足の場合に財政出動でインフラ投資すると、(不景気対策の公共投資は・需要がないのに無理して投資するのですから)投資効率が下がるのはどこのクニでも同じです・・。
日本の場合もバブル崩壊後の需要穴埋めのための財政出動・・公共投資の投資乗数が1割っていることを長年言われて来ました・。
社会でも個人でも豊かになれば目先のお金儲けに繋がることばかりではなく、その他の(効率の悪い文化・各地の美術・音楽ホール)出費をする余地が出るのは当たり前・・この段階になるとGDPアップ率が下がるのは当然です。
我が家でも数十年前から、収入に繋がらないことに支出する・・いろんなことをするようになっているのですが、日本のGDP成長率が下がっているのも、このような社会の豊かさに関係にあるのであって、目先金儲け(人よりより一杯多くのビールを飲みたいレベル)に燃えている新興国と「アップ率を競う」前提のエコノミストの議論の建て方・日本のGDPアップ率が見劣りすると頻りに言うこと自体が無意味です。
生活水準が上がると建物建築意欲を卒業して自宅の庭で花を植えたり美術品など購入し音楽を楽しむなど消費動向が変わりますので、その前の生活スタイルを基準に消費が減ったから生活が貧しいか?と議論しても意味がありません。
クルマで峠を越えるのに3〜4時間かかっていた場所で、トンネル開通で20分で山の向こうに行ける・・この種投資の場合翌年にはGDPが上がり投資高率が高いのですが、既存道路のアスファルトのレベルアップ、縁石をより見栄えの良い良質のタイルにしたり道路脇にツツジなどの植え込みをするレベルアップ投資では、翌年以降のGDPが上がりません。
中国がGDP6、何%成長の割に税収があがっていないと言うだけでは、その公表がインチキか、仮に数値が正しいとすれば、投資効率の悪い投資(空きビルを建てたか、または公害防止投資が嵩んだのか、縁石を綺麗にするなどのレベルアップ投資か不明)が多かったことが分るだけです。
批判するならば投資効率が下がった内訳の分析(公害防止や衛生基準アップ投資や市街地の美観アップなどの投資と投機による不要な原材料在庫アップまたはゴーストタウン投資の)こそが重要です。
GDPは、19世紀以降の建艦競争時代に継戦能力の指標としてGDP・生産力が重視されていたに過ぎず、未だにこれを金科玉条のように重視することが間違っている・・国民の豊かさアップとはイコールではありません。
日米安保で見れば分るように日本の継戦能力は、粗鋼生産力や造船量だけではどうにもならない・・米国による高度兵器供給網維持にあるのであって、自力継戦能力は大したものではありません。
大災害が起きるといつも問題になるように、民間企業もサプライチェーンが世界中に広がっているのであって、トヨタでもどこでも自企業内で完結出来ていません。

新興国の限界(民度)3

米国利上げ決定を織り込んで中国が昨年末から金利上げを始めていることを昨日から書いて来ましたが、金利上げプラス資本規制強化によって目先の人民元防衛効果が出て来ましたが、その代わり国内景気が下落・・・特に金利敏感係のマンション購入が減り始めることを見越した先手の措置でしょう。
ハードランニングの主役・・不動産バブル・マンション相場については以下のとおりです。
http://reinet.or.jp/pdf/fudoukencolumn/vol201701.pdf
不動研コラム Vol. 2017-01
不動研(上海)投資諮詢有限公司董事総経理 粕谷孝治(不動産鑑定士)
図表I
日中韓台の住宅価格変動率(対前年比)
 東京   ソウル    北京    上海    香港      台北
 4.1%   3.6%   29.6%   24.9%    -3.2%      -8.0%
 (資料)日本不動産研究所「国際不動産価格賃料指数」(2016 年 10 月)(※)
(※)調査対象物件の新築想定の価格等を評価し、これを指数化。
以上は昨年1年間の上昇率ですが、中国の場合少し前から不動産バブルの行き過ぎで、鬼城等が続出していたので今度は政府主導で株式バブルを煽り、これが1昨年夏に限界が来るとまた不動産への逆戻りですから、トータルでは大変な上昇になっている筈です。
上記鑑定士は「政府のコントロールが効く「官製市場」という側面もある点を勘案すれば、2017 年の住宅市場は大きく崩れることはないというのが、中国現地の多くの見方である。」となっています。
中国では、政府がバブル退治を始めても相場が下がり始めるとびっくりして(腰砕け)規制緩和して結果的に救済し・・また値上がりしたことの繰り返し・・バブル再燃を繰り返して来ました。
バブル参加者は政府がハードランデングするまでやれるわけがない・いつも最後は腰折れで、エンジンを再び吹かすに決まっていると多寡をくくっています。
この空気を反映しているのが上記意見書です。
日本人の感覚からすれば官製相場の株式が1昨年夏に大暴落したように「官製市場とは言え限界がある」と言う人の方が多いでしょう。
政府が何やかやと(循環取引の国家版のような)策を弄するとは思いますが・・それによる延命策が効果を持つのは時間の問題でしょう。
昨年末にはオフショア市場でイキナリ短期金利を100%に引き上げることによって人民元を売り浴びせている「仕手筋」に損をさせる(この仕手相場に逆張りで参加している人民銀行には金利負担がありません)のもその一例ですが、奇策は何回もうまく行きません。
以下に紹介するとおり、金利上げへの方針変更の一方でマネーサプライ・過剰供給政策を続けている様子が出ています。
普通ならば、一方でブレーキを踏み他方でアクセルでは矛盾した感じですが、中国の場合はアクセル践みっぱなしにしたいが、アメリカの金利上げの結果人民元下落が進むと対中貿易赤字削減を公約して当選したトランプが黙っていないことから仕方なしに金利だけ付き合ったと言うことでしょうか?
結果的に金利敏感係のマンション相場は終るしかないので、・・普通のクニではこの機会に後始末に入るのですが、中国の場合政府主導によるバブルを旋回的・循環的に?に起こして先送りして行くしかない・・資金供給系・商品相場の投機に移って行くように見られています。
政府主導なので国民の多くが必ず次のバブルを政府が起こしてくれる・・終わりがないことを期待している・・うまく乗り換えて行けば良いと言う(プロ国民の)期待に答えざるを得ないと言うことです。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170320.html
によると以下のとおりです。
「生産者物価指数が、うなぎ登りの上昇を続けている裏には、投機マネーが商品相場へ流れ込んでいるからだ。不動産投機、株式投機、そして商品投機などと投機資金は「旋回」している。中国には過剰通貨が渦巻いている結果だ。今年のマネーサプライ(M2)も期初予想は約12%、昨年の約13%見当から、若干の絞り込みである。それでも、手加減していることは明らかだ。
名目成長率8%経済で、12~13%のマネーサプライが必要なのか。日本の高度経済成長時代は、マネーサプライの供給目標は「名目成長率+3%」と言われていた。これから見ると、中国は1~2%ポイントも過剰な通貨を供給している。その理由は、企業の「ガス欠」(通貨供給)を防止して、資金不足による企業倒産を防ぐ目的が課せられている。これが、回り回って中国のバブルの「燃料」役を果たしているのだ。」
上記のとおりとすれば、中国政府のバブル演出が可能なのは、過剰なマネーサプライが寄与していることは明らかです。
過剰資金供給・ゾンビ企業への潤沢な資金供給が倒産続出を防ぎ高額給与資金になり・・回り回って国民の懐を潤し、(本来なら失業していた筈の)中間層の海外国旅行を可能にしている面があるでしょう。
昨年末から金利切り上げ局面になって来たので、今後はマンション相場から商品相場に資金が動きそうな気配を上記記事は示しています。
これも国内で投機しているうちは良いですが、商品投機・値上がり見込みで(実需もないのに)資源輸入が増えて来ると再び外貨準備が流出します。
中国国内利益の海外送金規制が続いてるようですが、これは今後の外資導入に支障があるだけで既に投資してしまった企業は今更撤退出来ないので心配ないとしても、今度は資金流出ではなく正真正銘の貿易赤字によるものとなれば、資金流出規制のような規制が利かない・・輸入代金踏み倒しをしろ」とは言えば文字どおりデフォルト宣言になります。
http://jp.reuters.com/article/china-trade-feb-idJPKBN16F0FP2017年 03月 8日 16:23 JST
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中国貿易収支、2月は87.9億ドルの赤字 輸入が急増
[8日 ロイター] – 中国税関総署が公表したデータによると、2月の中国貿易収支は606億3000万元(87億9000万ドル)の赤字となった。数カ月に及ぶ建設ブームを背景に鉄鉱石や銅、原油、石炭などの輸入が想定以上に急増した。
2月の輸入は人民元建てで前年同月比44.7%増となった。輸出は4.2%増だった。ドル建ての数値はまだ公表されていない。
キャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「向こう数四半期において堅調な海外需要が予想され、輸出をサポートし続けるだろう」と指摘。
ただ今後数カ月で高水準にあるコモディティ価格の低下が予想され、足元の輸入の増加ペースが維持されるとは思えないと付け加えた。
ロイターがまとめたアナリスト予想では、2月の輸出はドル建てで12.3%増、輸入は20%増だった。ともに1月実績を上回り、数年ぶりの高い伸びが見込まれていた。」
ロイターでは、今後海外需要が輸出をサポートすることになると前向きに書いていますが、この輸入増加は輸出用原材料輸入・・実需に基づくのではなく商品投機相場による輸入増であれば、輸出に寄与しない・・高値づかみに終わる可能性があります。
最後に2束3文になりこれを仕入れた企業による・「出血輸出」の再来でしょうか?
そうなると外貨準備はどうなるかです。

資格制度の空洞化?3(修習受入れ拒否)

以下は法科大学院の人気下落に関するhttp://eic.obunsha.co.jp/viewpoint/201506viewpointからの引用です。
「法曹養成の中核的な教育機関として16年度に創設された法科大学院の27年度入試状況は、入学定員、志願者数、受験者数、合格者数、入学者数のいずれも過去最低を更新。受験者数は創設以来、初めて1万人を割り込む9,351人だった。募集停止が急増した27年度入試は、ピーク時の73%に当たる54校で実施され、入学定員充足率は約70%に改善された。」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11HC9_R10C16A5CR8000の引用です。
全体の志願者は制度導入の04年度の7万2800人をピークに減少が続いており、16年度は8274人まで落ち込み、前年度の1万370人を下回り、初めて1万人を割り込んだ。志願倍率(定員数に対する志願者数)は04年度は13倍だったが、16年度は3倍まで落ち込んだ。
・・・ 法科大学院はピーク時に74校あったが、16年3月末までに3校が廃止。28校が学生募集を停止したか今後の停止を決めている。」
上記は2年前の報道ですが、・・応募者が定員にも満たない状況になっていて、その後もいくつかの法科大学院が募集をやめたはずです。
こんな状況が続けば能力のあるものが応募する魅力を感じなくなくなっているのは当然ですが・・これでも「レベル維持出来ていると言い張るの?」と言う惨憺たる状況が外形的に証明されていると見るべきでしょう。
レベルが下がれば「自分でも受かるかな?」と応募者が一時増えますが、社会は厳しい・・その結果仕事がうまく行かなくなる・それを見た後続者が結果的にためらう・・応募者が減る・・そもそも従来の人材が敬遠し、従来とても合格出来そうになかった人しか応募しなくなる悪循環が始まりました。
エクスターンシップで事務所に来ていた大学院生が昨年の司法試験合格後進路相談に来ましたが、要は国家公務員試験にも合格したがどちらにしたら良いかの相談でした。
500人合格時代には想定すら出来なかったような迷い・公務員の方が良いのじゃないかの相談です。
裁判所検察庁が上澄み500人の上から順に採用するから、下の方のレベルがいくら下がっても良いと言う姿勢・・高みの見物を決め込んで来ましたが、受験生の人気・・市場評価が下がって上澄みのレベルが下がれば困って来ます・・。
ソモソモ合格者のトップクラスが、一般大学生の中程度のレベルに下がって来た場合を想定すれば・・・・。
こう言う人材が持ち上がって行き、将来最高裁判事、高裁判事になって、政府決定を覆すようなことがあっても世間が納得するでしょうか?
いろんな政策の方向性を決める場合でも、関連する最高裁判決が予定されている場合には判決を待って決めるようなことが多くあります。
裁判所の判決が憲法上行政判断に優越する・最終判断だと言っても、裏付ける裁判官のレベル次第・・信用が揺らぐと、・・信用だけでなく実際に変な判決が続くようになると社会全体が納得しない時代が来るのではないでしょうか?
さすがに政府や裁判所も焦って来たらしく、1昨年から1500人に減らし、修習生の給費制を昨年から復活が決まりましたが、(次期合格者から実施?)その程度では低レベル化の勢いは止まらない状況です。
自民党の緊急提言を読むと折角合格者を大幅増員したのに弁護士ばかり増えて裁判所の採用が何故増えないかの関連で、裁判所自身が採用に適した能力の修習生が不足しているから、裁判官採用を増やせないと言う実態が書かれています・・。
大幅増加によって弁護士人気にかげりが出た結果、元々の優秀な学生が応募しなくなってきた現状を表しています。
以下は法科大学院のレベル低下の前段階・・学部の現状です。
5年も前の記事ですが、http://diamond.jp/articles/-/27489?page=2によると以下のとおりです。
2012.11.7
「なんと東大法学部が初の定員割れ 法曹志望、公務員志望減少が影響か」
「東大法学部は、法曹志望者、公務員志望者が多いのは言うまでもない。授業もきびしく、履修者の4分の1が単位を落とす科目もある。法曹や公務員志望者ではない民間企業への就職志望者を下に見る風潮があるという。当初から民間企業に就職するつもりあれば、わざわざ授業が厳しい法学部に行かなくてもよいと考えても不思議はない。
 今や司法試験に合格しても、弁護士として就職するのは楽ではない。財政危機ゆえに公務員の人件費削減が声高に叫ばれ、いわゆるキャリア公務員の天下りに対する目は厳しくなっている。そうであれば、東大生であっても法曹や公務員志望が減るのは無理もない話だ。法学部の定員割れはそうした志向が端的に表れたケースと言えよう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170402-00000006-nikkeisty-bus_allによれば16年度も同じ傾向が続いています。
「東大法学部」に異変、定員割れも! 「首席女子」も悩むキャリア形成、文系は…
東京大学法学部。スーパーエリート養成機関として君臨してきたが、東大文科1類から法学部に進学する際、2016年度に定員割れするなど異変が起きている。官僚や弁護士の人気が下がっているためだが、東大法復権の処方箋はあるのか。」
草野球・草相撲等の足腰に当たる大学法学部の人気が下がるところまで来るとかなり重症です。
平成26年の自民党の緊急提言を受けて27年5月に緊急に1500人の意見が出てそのまま1500人で止まっています。
自民党でさえもっと引き下げろと言う意見が出ていたのに・・。
この間にも志望者レベルダウンがドンドン進んで行きます。
千葉県弁護士会では何年か前から合格者を1000人に減らすべきと言う総会決議を出していますが、何故か日弁連の腰が重く動きそうもありません。
業を煮やした現執行部が、就任早々の今年4月4日にイキナリ日弁連に対して返答次第によっては、修習生受入れ制限するかどうかを総会にかけると言う申し入れを行ない、記者会見まで済ませました。
会内では、会内手順を踏まない抜き打ちの申し入れに千葉のトランプ版かと!てんやわんやの大騒ぎですが、(上記のとおり総会で議論すると言うだけですから、越権とは言い切れませんが・・)そこまでやらないければならないほど・事態が切迫して来たと言うことでしょう。
4月16日に弁護士法を紹介したように有資格者の登録申請に対して法律上登録拒否出来ないとしても、修習生受入れ拒否が出来るかどうかは法律上明文がない・・灰色ですからどうなるかです。
登録拒否出来るのは法定の事由があるときだけ・・と言うことは、資格を与える手続の一環である修習生受入れも拒否出来ない・・協力義務があると言う解釈論もありそうです。
合格者数を千人にしようが、1万人にしようが政府の専権事項であるとすれば、トップで数字を決めればこれに必要な手順に齟齬がないように、準備するのがピラミッド型行政組織の場合(日弁連・弁護士会は公法人ですが独立組織?)当然の職務になります。
他方これに反発して仮に日弁連が千人しか受入れないと言う実力行使に出た場合、弁護士会は独立組織ですから、政府には指揮命令・強制する方法がありません。
ただし強行突破すると法曹三者の信頼関係がガタガタになります。
・・これをとことん追及しているのが沖縄県知事です。

政党と弁護士会・学者の違い3

革命の成果によって憲法が制定されることが多い歴史を見ても分るように憲法内容をどうするかこそは、多くの政治運動の中でも優れて政治的要素が高い・・最も尖鋭な政治そのもの・中核行為です。
憲法・・国家の基本がどうあるべきかの尖鋭な(多くは血塗られた革命の結果生まれています)政治運動ですが・・、これを憲法遵守義務から導き出して弁護士会の目的の範囲内・高裁判例を引いて、弁護士の思想信条を侵害する政治運動ではないと言う主張は「現行憲法が改正されるまでは現憲法を守るべき」と言う遵守論と議論をすり替えているように思われます。
非常識なすり替えをそのまま言い張る体質を見ると、北朝鮮や中国が何かあると自己の非を棚に上げて「全て日本が悪い」と言い張るのと似て、専制支配の思想体質の延長で見れば理解可能です。
権力を持つ者が「馬を鹿」と言い張っても廻りが「違います」と言えない社会・権力さえ握れば「黒を白」と言い張れる歴史経験が強固で、その思想影響下にある場合、民主国家においても外部の影響力を遮断出来る組織内では、こう言う無茶な主張を言い切って持続可能です。
すなわち、日弁連や単位弁護士会は政府から独立性があって、外部世論による修正余地がない・・独立性担保がある点で「唯我独尊」的になり易い制度的欠陥を持っています。
内部的には専制支配でないものの、外部批判を一切受け付けない・・国民支持を直截必要としていない・・専制君主以上の権限があります。
絶対君主でが王権神授説を必要としたように、権力と言うものは何らかの正統性担保が必要です。
共産党一党独裁とりわけ、スタ−リン独裁の正統性のために、下部組織から順次の意見持ち上げ組織であるから一党独裁は民主的制度であると言う言い訳が一般化していました。
・・私の司法試験受験時に選択した政治学では、当時その道のオーソリテイーの基本書で勉強しましたが、「独裁は民主主義の一方式である」と政治学原論で習った記憶です。
そのころには「北朝鮮は地上の楽園」とマスコミで賞讃されていたことを考えると昭和30年代半ばの頃に政治学の権威者になった人ですから当時の学会では共産主義礼賛のまっただ中だったからでしょうか?
「地上の楽園」検索で出た本日現在のウイキペデイアの記事です。
帰還事業・・1959年12月14日に最初の帰国船が新潟県の新潟港から出航し[2]、数度の中断を含みながら1984年まで続いた。
「在日朝鮮人の間では、朝鮮戦争による荒廃からの復興が進まず、また政情不安を理由に、韓国への帰国を不安視する一方で、社会主義体制のもとで千里馬運動により急速な復興を実現したとされていた北朝鮮への憧れもあった。当時、北朝鮮と韓国の体制間競争は北朝鮮が優位に立っており[注 1]、朝鮮総連は北朝鮮を「地上の楽園」「衣食住の心配がない」と宣伝し、それに呼応した日本の進歩的文化人・革新政党・革新団体が繰り返し北朝鮮の経済発展の様子を伝え、在日朝鮮人に帰国の決意を促した[6]。特に北朝鮮を訪問して礼賛した寺尾五郎の『38度線の北』は、帰国希望者に大きな影響を与えたといわれる」
「吉永小百合主演の映画『キューポラのある街』で知り合いの帰国を喜ぶ場面があるように、一般の日本人も帰国事業に概ね好意的だった。このため、日本のマスコミは左右を問わず帰国事業を人道的な事業と捉え、新聞各紙はこぞって帰国事業を歓迎し賛同する記事を書き連ねた。1959年12月24日付産経新聞の「暖かい宿舎や出迎え/第二次帰国船雪の清津入港/細かい心づかいの受け入れ」、1960年1月9日付読売新聞の「北朝鮮へ帰った日本人妻たち「夢のような正月」ほんとうに来てよかった」、さらに1960年2月26日付朝日新聞に、次のような記事が掲載されている。
“ 帰還希望者が増えたのはなんといっても『完全就職、生活保障』と伝えられた北朝鮮の魅力らしい。各地の在日朝鮮人の多くは帰還実施まで、将来に希望の少ない日本の生活に愛想を尽かしながらも、二度と戻れぬ日本を去って“未知の故国”へ渡るフンギリをつけかねていたらしい。ところが、第一船で帰った人たちに対する歓迎振りや、完備した受け入れ態勢、目覚しい復興振り、などが報道され、さらに『明るい毎日の生活』を伝える帰還者たちの手紙が届いたため、帰還へ踏み切ったようだ」
話題がそれましたが、昭和3〜40年代には委員会方式が民主的運営方式として賞讃された時代で、ソ連崩壊後の今でもこれが続いている印象です。
弁護士会の会内民主主義も、全て下部委員会からの持ち上がりで機関決定を経ていることは確かです。
ソ連が崩壊した現在これが・・委員会審議による持ち上がりでさえあれば民主主義組織と言えるのかの検証が必要でしょう。
April 9, 2015「,弁護士大増員の影響」(弁護士会費負担の脅威)1November 1, 2015「弁護士会委員会の運動体化1」October 19, 2015「サイレントマジョリティ10(会内合意のあり方3)」等々で書いて来ましたがその再論または続編でもあります。
下部組織・委員会から意見が持ち上がる形式のソ連型民主主義制度は、実際には内部が硬直してスタ−リン独裁・逆らいそうな気配があれば直ぐに粛清されたりシベリア送りになっていたように、物事は形式ではなく実質です。
中国の現在政治も共産党内部は形式的には民主的に持ち上がるようになっていても、実際には権力掌握者の動向をしっかり見定めてその御先棒担ぎをするような意見しか出せない・執行部に楯突くような意見を言えない・・全員一致しかない集会です。
異論を言うどころか反対姿勢を匂わせようものなら、早速汚職容疑や反党分子として引っ張られてしまうでしょう。
一旦支配者が決まるとこの体制が崩壊するまで専制支配者の鼻息をうかがうしかない・・まさに古代から続いて来た専制支配体制を委員会組織に置き換えたに過ぎません。
委員会形式は専制支配の言い換え組織・・ソ連崩壊後・いまでは委員会組織・・機関決定さえあれば民主的決定と言えないことは世界の常識でしょう。
私が好き勝手にいろんなことを個人的に自由に書いていることから分るように、弁護士会内部がそう言う状態でないのは確かですが、それと組織内で公式な意見交換が自由闊達に行なわれているかは別問題です。
政治論について本当に充分な議論が会内で出来ているかは別問題である上に、活発な議論が行なわれていてもその結果をどうするかは別問題です。
会内で活発な議論が出来たとしてもソモソモ政治的意見で集まった団体ではない上に強制加入の本質からすると・議論の結果に納得出来ない少数意見を、どうするかは別問題です。
例えばある同好会がテニスや旅行目的で集めた資金を多数で決めれば特定政治家への寄付に使って良いかということです。
会内民主主義システムとしては弁護士会の場合直截選挙もありますし、ソ連や共産党組織とそっくり同じではありませんが・・ここでは委員会組織さえ経由すれば民主的手続を尽くしたと言うまやかし・・形骸化について書いています。
さらに内部民主化さえあれば、独り善がりで良いのか、外部チェック・・選挙による支持率上下による外部評価を受け付けなくても良いかも大問題です。
レストランでも衣料品でも皆同じですが、従業員株主全員の民主的同意さえあれば、消費者の好まない商品を提供した場合・・誰も買わないので結果が出ます企業内全員一致で新商品を開発して売り出しても、社会に受入れられなければ失敗であることは同じです。

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