財務次官セクハラ発言とハニトラ疑惑3

http://www.jijitsu.net/entry/sekuhara-tereasa-syachou-kisyakaikenによると4月27日の追加記者会見要旨は以下の通りです。

テレビ朝日角南社長、篠塚局長の記者会見発言要旨
約1年半前からセクハラ被害を受けており上司には複数回相談していた
録音は2回目から
1年程前から夜の単独取材は避けていた
4月4日、昨今の財務省と森友学園側の口裏合わせ疑惑についてNHKが報道したため、「デスク」が女性社員に裏付け取材を指示
その時に福田事務次官から女性社員に電話連絡があったため取材した
取材は夜9時から夜10時頃までの単独取材
女性は取材時にセクハラ発言がまたあったため「途中から」録音をした
週刊新潮にデータ提供した理由は、同社が福田氏の周辺を取材しているという情報があったため、色々な事情を含めて報じてくれるのではないかという期待があったから

上記によると担当を変えたのではなく、夜間単独取材だけ避けていたとなっています。
4月4日いきなり夜間酒席での単独取材を命じられてこの時だけ「単独は困る」となぜ言わなかったか抗議したか、無視して命令したの疑問が残ります。
4月4日は、週刊新潮編情報提供後の裏付け補強するためにあえて進んで行ったか否かが気になるところです。
女性記者に直接(お誘いの)電話があったというのも不思議ですが、事実とすればその時に即答していた可能性が高くなります。
このやりとりについて、記者会見では何らの突っ込んだ質問すらしないメデイアの態度も不思議です。
https://a-sounanda.com/shin-yukoに(素人じゃなくセミプロか?)印象記事が出ていますが、これが一般的な(根拠のない)感想でしょうか?

大貫剛‏ @ohnuki_tsuyoshi
テレ朝以外も「あいつはセクハラ発言をする」と知ってたということは、報道各社が女性記者を送り込んでボロを出させようとしのぎを削っていたのでは。
次官にしてみりゃ、報道各社が酒席に女を侍らせてくれるわけでしょ。これもう一種の接待でしょ。報道側の、社員へのセクハラでしょ。
17:00 – 2018年4月18日
逆に、これがフリージャーナリストだったら問題ない。自分の意志でハニートラップ仕掛けてんだから。でもテレビ局が社員にやらせたら、そりゃセクハラ被害の強要、不適切な業務命令。そんなこと日常的にやってるのに、週刊誌の尻馬に乗って被害者面してるのかよと言われる想像はしなかったのか?
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上記によれば、各社が女性に弱い次官の出現で政局化している森友学園関係の情報収集にしのぎを削っていたとなれば、女性付きの接待競争だったのではないか?という疑問です。
その真偽を明らかにするためにも、酒席の費用を誰が持っていたかが気になりますが、メデイア界では誰もこれを問題にしたがらない・・記者会見とは言うものの国民に関心のある女子接待漬け慣習に対する疑問?に質問すら出ないのは暗黙の了解でしょうか?
官僚トップの次官と雖も家庭持ちの月給取りですから、報道各社の単独取材に応じるために自腹でしょっちゅう料亭?とまで言えないまでも個室セットの酒席を設ける資金が続く(58歳といえば子供の教育費等負担の最盛期前後が普通です)はずがありません。
そもそも取材に応じるために女性記者との1対1の酒席を官費で支出することなど有りえないことですし、お願いする方の報道各社が宴席を用意して「今夜1時間ほどいかがでしょうか?」などとお誘いをかけるのが普通とみてよいでしょう。
お誘いに対して次官から、応諾の返事が女性記者に(あなたがくるなら行ってもいいよ!)と返事があったという流れに読めますが・・・。
せっかく行ったのに良い情報をくれなかったので、「恥を掻かされた!」とこの事件になったという推理もあり得ます。
女性のプライドを侮るべきではありません。
報道各社が贔屓の店を手配してお誘いをかける・誰が来るのだ?というやりとりの中で指名芸妓ならぬお気に入り女性記者の登場となるのでしょう。
こうした常識的疑惑に対して問答無用・・「臭いもののは蓋をして」実態はどうであろうと官僚のトップともあろう者がお店の人相手であろうとセクハラ発言をする方が悪い・・ごちゃごちゃ言い訳を言わせない・「まず責任を取るべき」という強引な報道態度が気になります。
次官は「自分の声だ」と認めたものの「その記者に対する発言ではない」と主張しているらしいのに、報道では「女性記者に対する」自分の発言と認めたと報道をして一刻も早い引責辞任を迫り財務大臣の辞任要求まで出しています。

非常に不可解。フェイクの可能性が高い。
22:09 – 2018年4月16日
TBS(JNN)の取材 このページのテキスト部分では「公開された音声は自分のものである」とだけ記述。 しかし、映像ではキャスターの声とテロップで「女性記者に対する」という部分が追加されている。 非常に不可解。フェイクの可能性が高い。

https://www.sankei.com/politics/news/180423/plt1804230023-n1.html

立憲民主党の辻元清美国対委員長は23日福田淳一財務事務次官のセクハラ問題をめぐり、麻生太郎副総理兼財務相の辞任要求などで進展がなければ、国会審議に応じない方針を重ねて示した。
国会内で記者団に「大臣のけじめなくして国会論議なし」と強調した。

上記の通り、「被害女性が名乗れる訳がない」という一方的な主張で事実関係非開示のままで批判だけ横行していますが、セクハラというのはわいせつ性犯罪被害等とが本質が違います。
性犯罪被害にあったこと自体を世間に知られるのはハンデイになるというのは理解可能ですが、「職場にポルノ写真等を置きっぱなしにするのをやめてほしい」「女性の前でエログロ雑誌を見るのをやめてほしい」などということ自体でその女性が特別な被害者として二次被害を受けるでしょうか?
あいつは「うるさい」とかいう差別程度でしょうが、それは男性がパワハラを受けて内部告発した場合の不利益とどういう違いがあるかということです。
組織内の不都合に声をあげた場合につきもののリスクに過ぎず、このリスクは男女を問わないものですから、(内部通報制度では女性だけ匿名で良いとする区別をしていません)女性だから特定されると「二次被害」→事実経過の説明すらいらないというのはおかしいでしょう。
女性の嫌がる「性的言動・・ヌードポスターを職場に貼るなどそれ自体セクハラとなりますが・・こうしたことを「やめて欲しい」と主張するのは一般にイメージする性被害・性被害を受けたこと自体を恥ずかしくて隠したい心情とはまるで違います。
セクハラという用語から性犯罪被害を連想しやすい点をメデイアは利用しているのですが、イメージ操作をして事実関係解明を拒否するには行き過ぎでないかの疑問です。
セクハラはパワハラと並ぶというか区別のつきにくい労働環境上の配慮義務として主として問題になるテーマです。
風俗対策・性道徳〜性犯罪とは少しずれています。
セクハラ対応というキーワードで検索すると真っ先に出るのが厚労省の記事になっていることからも主として労働問題であることがわかります。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088194.html

セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ
事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!
厚労省の掲げる10の項目を見れば

① 「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」などと発言する。

のもセクハラになるというのですから性犯罪被害とはかなり遠い概念です。

世界の警察官不在と世界秩序維持3(朝鮮民族)

日清戦争の直接の契機は事大主義者によって、超保守主義者が国内開化派に負けそうになると何かと清朝の承諾を引き合いにすることから決着をつけるために引き起こされた戦争でした。
今でも自国国防のためのサード配備にまで中国にケチをつけられて青息吐息の状態・・韓国政府は中国のご機嫌取りに必死ですが、伝統的従属意識が背景にあるからでしょう。
June 20, 2013「日本対中朝対立の始まり2と根深さ」前後で清朝の朝鮮に対する属国支配強化を紹介しましたが、一般に知られているように明治維新直後日本が新政府成立と開国に舵を切った国書を発した時に、中国の属国である以上は「王」の称号であるべきと言い張って受領拒否するなど一悶着起こしたことが知られていますが、朝鮮は受け入れたくない時には「清朝の属国だから」と言う言い訳をしていました。
戦後の朝鮮戦争は南北朝鮮が本来の当事者ですが、事実上中ソと米国の戦争・・両者が多大な犠牲を払う仕組みにすり替えてしまい、この延長で6カ国協議という枠組みが今も残っています。
今回の核問題も、交渉主役は米国と北が実質当事者であって韓国はただ囃し立てているだけの存在です。
こういう二枚舌的交渉に手を焼いていた日本は事態打開のために朝鮮の独立・中国を隠れ蓑にしないようにスッキリさせることが日清戦争の大きな目的でした。
下関条約については江華島条約などに関連して以前紹介した記憶ですが、もう一度紹介しておきます。
ウイキペデイアによる下関条約に関する記事からです。

清国は朝鮮国が完全無欠なる独立自主の国であることを確認し、独立自主を損害するような朝鮮国から清国に対する貢・献上・典礼等は永遠に廃止する。(第一条)
清国は遼東半島、台湾、澎湖諸島など付属諸島嶼の主権ならびに該地方にある城塁、兵器製造所及び官有物を永遠に日本に割与する。(第二条、第三条)
以下省略

上記の通り、第1条に朝鮮の独立を書いていることから見ても朝鮮を清朝支配から切り離すことがこの戦争の最重要テーマであったことがわかります。
日本が関係する朝鮮半島の歴史を見ると(古代白村江の戦いでも秀吉の朝鮮征伐でも日清戦争1940年台の朝鮮戦争でもいつも大国同士で戦わせて自分は戦いの傍観者的立場で批判だけするずるい傾向があります。
この戦争目的の結果日清戦争後講和条約の最重要項目として、条約第一条に朝鮮独立が宣言されたのですが、朝鮮がその恩義に報いるどころか、「宗主国清朝の同意がいる」と言えなくなると今度はロシアの支配下に入ろうとするようになったことが、次の日露戦争に繋がったものです。
朝鮮人自身の多くは民主化に期待したい→開化派=親日派が多かったようですが、政府権力者の方は自己保身のために
は、国の独立維持のために開化による民度の強化よりは、自分の地位を保護してくれるより強い国の従属下に入る方を常に選んできた・いわゆる事大党が力を持つ歴史です。
パク大統領就任後がいきなり親中国に舵をきり米国をないがしろにし始めたのはこの文脈で理解できる・・「今後は中国の方が強くなる」という先読みの原理によります。
将来はどうであれ、まだ中国は米国に正面からことを構える力がありませんので、米国の逆襲により日韓の不可逆的合意を強制されサード配備を受け入れるしかなくなって、国民の支持を失って任期途中での弾劾罷免になってしまいました。
今回トランプ政権になってからの核危機騒動でも、韓国の態度は「米国が怒っているから仕方なしに従っているだけ」のような振る舞いです。
現在の文大統領に至っては、対北用の防衛設備工事を中国に反対されると一時凍結するなど、いつも当事者意識が低いのが特徴で、本音では北朝鮮に併呑されても良いような傾向が垣間見えるのは、独立より従属を好むDNAの発露でしょうか。
ところで、エジプトやタイ軍事政権やミャンマーその他諸国の反民主化の動き、あるいはフィリピン大統領の刑事手続き不要の現場射殺命令等々は、それぞれの国情に応じた必要な政治形態のように見えますが、これに対する西欧の(自国社会を基準にした)人権批判は「余計なお世話」のような気がしています。
しかし、トルコの場合、着々と近代化合理化が進んでいて社会が独裁を必要としていたように見えない(ただし欧米系メデイア報道による知識だけなのでトルコ社会がEU加盟に向けて無理な近代化に対する疲れを起こしていた反動が表面化したか・・近代化疲れを起こしていたかは不明です)のにエルドアン個人の権力欲がいきなり独裁下方向へ引っ張っている点が異色です。
東南アジアでの軍事政権等を国情・歴史を無視して人権を重んじる欧米が批判する(経済・軍事支援など抑制する)とその後ろだてとして中国が付け入って代わって支援する・・勢力浸透を図っているのが現在の世界情勢になっています。
ロシアもこの機会を利用して中東に頭を突っ込んでいるのですが、ロシアの場合、中国のような資金のばらまきもなく裸の腕力・脅しだけですから、ピョートル大帝やソ連スターリンの恐怖政治時代のやり方のまま・・これでは稚拙すぎて目先威張れる程度で長期的には無理な感じです。
外交といえば軍事力で脅迫するくらいしか能力がない・・対日交渉をするには先ず北方領土周辺で軍事演習を始めるという程度のやり方ですから、ヤクザみたい・・数世紀前のやり方では、却って日本の機嫌を損ねることが分からないのです。
ところで、ロシア中国の対外実力行使が始まった時期を見ておきますと、オバマがした「アメリカは世界の警察官ではない」と言う発言が13年9月10日で、ロシアのクリミヤ併合は14年2月、シリア介入開始は15年9月末でした。
南シナ海での中国による大々的な埋め立て工事に対してフィリッピンが問題提起したのは、14年はじめでした。
ウイキペデイアの記事からです。

2014年5月15日、フィリピン外務省が、中国がジョンソン南礁(赤瓜礁)を埋め立てているということを示す時系列の写真を公開し[5]、2014年に入ってから大量の土砂を投入しているということが判明[6][7]。同礁は2012年3月の時点では目立つものはなかったが、2013年2月の時点では建造物が確認でき、2014年3月の時点では、すっかり埋め立てられていた[5]。フィリピン外務省は、この中国の行為をフィリピンの領域内で行われているということから国際法に違反していると批判

国際司法裁判所判決で中国は完敗しましたが、そんなの「紙くず」だと言い放ち、完全無視してさらに埋め立て続行していた上で、今では巨大な要塞化して来ました。
警察制度があっても陰でのコソ泥や汚職を100%防ぐとことはできませんが、警察官役が曲がりなりにもあれば、白昼公然と犯罪行為がなくなりますが、いなくなればこれが可能になるということで、意味が全く違います・・強いものはやり放題になります。
犯罪とは何かですが、要は正義の基準がない、あるのはむき出しの力が「強いか弱いか」だけということでしょう
19世紀型砲艦外交・・腕力次第で何でもできるという価値観(国内政治も正義の基準は強いか弱いかの基準・・専制支配の仕組みです)を持つ国・・街ではヤクザ=無法者が息を吹き返したということでしょう。
中国による公海での軍事基地造成は、水滸伝で有名な梁山泊みたいな山賊・海賊の根城が首都の広場に出現した・まさに米国の「鼎の軽重を問う挑戦でしたが、米国はこれにほとんど何もできませんでした。
工事現場近くを軍艦を航行させてみたくらいでは、皇居前広場でヤクザが暴れているのを横目にパトカーが素通りしたようなものです。

貿易赤字解消策(保護政策の功罪)3

最近では中国の部品製造能力が上がり単なる加工基地ではなくなりつつあります。
有名なアップル・アイフォンの生産国は主に中国にある・一種の常識ですが・・という以下の記事を紹介しておきます。
https://04510.jp/factory-times/1002/
2015年11月15日公開 2017年9月14日更新

新モデルが発表されるたびに大きな話題となるiPhone。その大半は中国で製造されています。
台湾に本社を構え、中国に生産拠点を持つフォックスコン・グループの中心的存在で、電子機器の受託生産を行う世界最大の工場です。
受託生産とはAppleからの依頼で、iPhoneやiPadなどの製造を行います。iPhone6については、その6割の生産を鴻海精密工業が行っており、ほぼ独占的に製造しています。
なぜ中国でiPhoneはつくられるのか?
人件費は高い?安い?
著しい成長が続く中国では、人件費を引き上げる動きが相次いでいます。iPhone6をつくるときもiPhone5より生産難易度が高いため、賃上げが行われました。今の中国で人件費が安いということはありません。
それでも製造を中国で行う理由は、しっかりとしたサプライチェーン(原料の調達、製造から消費者のもとへ届くまでの流れ)が存在しているからです。しかも鴻海精密工業のサプライチェーンは質が高いことで知られます。たとえばディスプレイなら、原料の到着からわずか4日以内で1万台もの組み立てができる生産能力を備えています。
世界中でつくられるiPhone
では、中国以外ではどこでつくられているのでしょうか?中国に続く国として、最近はインドが注目されています。次はインドでの生産に焦点を当てて解説します。
2020年にはそうなる予定です。なぜインドなのでしょうか?それは、インドのスマートフォンの市場規模が世界第3位を誇るうえ、中国に比べて人件費などのコストを安くできるからです。Apple側も労働人口の多いインドで、コストを抑えながら現地生産できる強みは大きいと考えているようです。
iPhone以外の製造品は?
たとえば、Apple初のスマートウォッチとして発売されたApple watch。生産工場があるのはやはり中国で、江蘇(こうそ)省の常熟(じょうじゅく)にあります。ただし鴻海精密工業ではなく、MacBookやMac Pro、iPodなどを製造してきたクアンタ社の工場です。
日本メーカーもiPhoneにかかわっている!
製造拠点は中国にあるものの、iPhoneの中身は日本製の部品が採用されています。世界の中でも高い質を誇る日本の電子産業は、Appleの貴重な下請け企業として信頼されているのです。
カメラ機能
iPhoneの手ぶれ補正機能を果たしている部品はアルプス電気とミツミ電機という二社によってつくられています。暗い場所でも撮影が可能な「光学式手ぶれ補正用アクチュエーター」は欠かせない装置になっています。アルプス電気は中国へ、ミツミ電機はフィリピンへと生産拠点の移転を進めています。
ディスプレイ
4.7型と5.5型の両方の液晶パネルをつくっているのが、ジャパンディスプレイです。スマートフォンやタブレット、デジタルカメラ、カーナビなどのディスプレイを幅広く手掛けています。iPhoneだけでなく、中国メーカーからの受注が増加すると予想されています。
iPhoneの画面を点灯させるLEDバックライトをつくっているのはミネベアです。同社は中国だけでなくカンボジア、タイなどにも生産拠点を増やしています。

以上アイフォンを現在国際分業の代表的なものとして紹介して来ましたが、以上の通りで、今は(といっても昨日書いたように10年以上前の記事です)単体の技術のみが競争力の源泉ではなく、人材の層の厚さ・スピード等の総合力に移っています。
日本は高度部品供給国としてアイフォン製造に参画していますが、高度部品を作れても・それに安住していると大変なことになります・・世の中は絶えず流動しているので・・発注後どのくらいの日数で大量納品できるかなどいろんな要素が競争力に関係する時代です。
分秒を争う時代になると加工組み立て工場近隣で高度部品工場〜研究拠点を持たないと納品競争に負けてしまう時代が来ています。
この結果「最終加工しているだけ」とバカにして来た中国その他の加工基地周辺に高度技術拠点(今は外資との合弁企業中心ですが)集積するようになって来ました。
複雑なサプライチェーンになっている現在、米国による中国からの特定品の輸入制限がどういう効果・・アイフォン等の先端商品生産工場の米本国回帰があり得るのか?となってきます。
製造業者は、「最も良いものを作りやすい場所で作る」原理で動いているので、米国向けだけ別の国・・最適=ベストでなくても次順位・ネクストの国で作って(その分納品が遅くなるとか2級品?)米国へ輸出することになるのではないでしょうか?
ただし米国の本音は中国進出企業に対する知財移転強要に業を煮やしたという点で擁護する意見がありますが、それならばその制裁をすればいいことであって、同盟国にまで貿易赤字の削減を要求し、関税引き上げまたは、数量規制を要求するのは筋違いになります。
プラザ合意以降日本を叩いても中国が出て来たように、せいぜいインドのような中国のライバル国を育てあげて成功しても、そこへ中国から生産基地移転可能かどうかだけでしょう。
軍事側面から見た対中抑止力としての関係で、インド抱き込みに日米が必死になっているのもわかりますが・・。
後白河が平家を利用して源氏を叩いても平家に頼るしかなく、次に平家を追い落とすと源氏がより強く育ったので、結局武士の時代・鎌倉幕府が出来てしまったし、英国がドイツの挑戦を気にしているうちにアメリカにヘゲモニーを奪われたような関係・米国が追われる立場の再現です。
中国とロシアの違い・・ロシアが中国のように何故離陸できないかが気になります。
ロシア経済は、解放前の中国同様ソ連時代からロケットや戦闘機を作れても車や電化製品等の消費財をまともに作れない経済構造でした。
(ロケットなど大規模技術はスパイで何とかなりますが、洗濯機等消費財は単価が安いので従来型スパイになじまなかったことをSeptember 29, 2017,その他で紹介してきましたが、この点は解放前の中国も同様でした。
ロシアになっても消費材製造に弱い構造のままで困っていたところ、2000年直前頃から資源価格急騰によって黙っていても売上2倍になって潤ってきた結果、資源を売って消費財をふんだんに買えるようになった結果、消費財製造能力が上がらないままになってしまい、まるで進化していません。
この辺の経済原理は以前からナウール共和国の例を引いて書いている通りで、現在でいえば資源頼りの経済脱却にサウジ皇太子が焦っている通りです。
一般製品国際競争力を基準にした為替相場よりも、資源輸出による黒字分だけ通貨が高くなります。
資源だけで大幅黒字を稼ぐ結果、資源以外の農産物を含めて製造コストからみたら割高な通貨設定になってしまう結果、消費材や工業製品の国際競争力がなくなってしまうので、資源の値上がり分だけ国内産業が育つどころか先細りになります。
中国のように部品の国内製造に離陸できない原因は民度レベル差もあるでしょうが、ロシアは資源に頼りすぎるマイナスも大きいでしょう。

資源下落とロシア経済3

ロシアの輸出額。GDP。原油生産量、外貨準備額の推移を順に引用しておきます。
発行体体・著者が不明ですが、以下にグラフが出ていますので、引用しておきます。 https://jp.tradingeconomics.com/russia/foreign-exchange-reserves”>

ロシア 輸出額

Russia Exports
ロシア – 国内総生産

Russia GDP

ロシア – 原油生産

Russia Crude Oil Production

外貨準備額

Russia Foreign Exchange Reserves

上記グラフによれば、2015〜6年ころを比較するとGDPが原油等資源価格急減に比例して約半減していることがわかり、18〜19日に書いてきたロシア人学者や東京三菱の海外駐在員情報の意見等と傾向がほぼ合致していることが分かります。
一方で外貨準備が逆に上がっているのは、18日紹介したロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が言う通り、国民(内需)にしわ寄せがいっていることを表しているのでしょう。
ロシアルーブル急落・半値になれば輸入品価格は2倍になりますので生活必需品・消費財の輸入が出来ない→貿易黒字→外貨準備増加です。

安保理拒否権行使3とロシアの孤立)2

ロシアは安保理での拒否権を盾にして(それがあることが自慢の種でしょうか?)アンチョコな拒否権行使で交渉時間を自らつぶしてしまい、その先どうなるかを読めなかったのでしょうか?
米英仏連合軍も明確な化学兵器使用の直接証拠「物」を入手できていない(シリア政府軍制圧地内なので)点に弱点があるようですが、数々の現地映像や報告の間接証拠がある以上は、調査拒否する以上は仕方ないと言う論理でしょう。
これが国際世論です。
数日前の日経朝刊によれば、米英仏のシリア空爆を侵略戦争だというロシア提出非難決議案が、15理事国中、賛成はロシア、中国、ボリビアの3カ国だけだったと報じられています。
国際世論の理解を得られていない・日本の旧社会党のように恥をかくのを知らずに?ただ否決されるのを承知でアリバイ作りのために?問責決議案を出す・・ただやっているだけの政治同様で・いわば外交能力がない国です。
日本メデイアは日経新聞も昨日か1昨日の記事では朝日新聞同様にロシアや中国への親近感が強いからか?化学兵器仕様による悲惨さ・人道問題を一切論じないで米英の他国主権侵害の「正当化」について論証されていない点を大きな見出しで取り扱っています。
この見出しを見ると、そもそも米英仏の空爆は不当行為をしている前提で正当化の主張責任があるかのような書き方です。
強盗や殺傷現場を見たら他人の家でも飛び込んでいってこれを抑止するのは正当な行為として、刑法では違法性阻却事由になっていますが、国際法では整備されていないから、正当化の主張立証責任が米英仏側にあるという形式論によっているのでしょう。
国際法上正当防衛等の法整備がないだけであって、前提になる化学兵器使用によって、一般市民が泡を吹いて倒れている状態を不問にしたこういう形式論がメデイアで主流になっているのには驚きます。
本質的に必要な議論は形式論ではなく本当に化学兵器による殺傷が行われていたか否かでしょう。
こういうメデイアは日本政府批判のためには、森かけや財務次官のパワハラにしろ、疑惑だけ大騒ぎし疑惑がない証明をしろと騒いでいますし・・日頃から人権人権と騒いでいるのですから、片手落ちというか御都合主義です。

刑法
(正当防衛)
第三六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(緊急避難)
第三七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

トランプ氏もプーチン以上に内政で追い詰められている・中間選挙の展望がひらけない・・目くらまし的不純動機が指摘されるようですし、英(EU離脱交渉のもたつきによる求心力低下)仏(新大統領としてのEUヘゲモニーの見せ場)もそれぞれ内政上の思惑一致らしいですが、ここでは政治背景の分析が目的ではなく、「ロシアは伝統的に軍事力をひけらかすことしか能がない」という点を書いています。
幕末にロシア軍艦が、対馬に実力上陸して英国の勧告があるまで退去しなかった事件をSep 20, 2017前後「ロシアの脅威」シリーズで紹介したこととがありますが、ロシアは伝統的に交渉よりは実力行使が先立つ国です。
ヤクザは警察が来るまで威張れるように、威嚇力をひけらかす事しか存在感を示せない国では、自分より強い国が出て来たら黙ってスゴスゴ?しかありません。
ロシアが得意分野への投資→国力不相当に軍事力強化に精出す・・その分民生部門への投資が減る→社会発展がさらに遅れる悪循環→国民不満の高まり→ガス抜き→対外プレゼンスを高めるための武力威嚇を繰り返す危険性が高まります。
2014年のクリミヤ併合やウクライナ侵攻は、色々な理由をつければつけられますが、大局から見れば、中国による資源爆買い縮小による資源価格下落による国内経済困窮の限界(資源価格高騰時の蓄えがあるので)下落による資金枯渇までに数年かかります)が近づいたので、なりふり構わず対外冒険主義に出たと見るのが妥当でしょう。
東洋経済からの記事です。
https://toyokeizai.net/articles/-/180689

ロシアの経済危機はかなり深刻なはずだ
プーチン大統領によって隠されているが・・・
ハーバード大学教授2017年07月27日
原油価格はピーク時から急落
・・・・ロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が、司法などの制度が脆弱なままでは、資源輸出依存のロシア経済が変わる望みはないと主張していた。
あまりに多くの決定が1人の人間によって行われていたからだ。同じ会議で私は、大規模な改革が行われないかぎり、エネルギー価格の急落は深刻な問題を引き起こすことになると力説した。
かくして、原油価格は暴落した。現在の市況(7月上旬時点で50ドル以下)ですら、2011〜2012年ピークの半分に届かない。
輸出の大半を石油と天然ガスに頼っている国にとっては大打撃だ。
ロシアが財政危機を免れていること自体、驚くべきことである。これには、ロシア連邦中央銀行が果たしている役割が大きい。だが、そのしわ寄せの大部分は消費者に降りかかっている。
通貨ルーブルの価値は米ドルに対して5割も減少。実質賃金と消費はともに急落した。以前は1000ルーブルを持ってスーパーに行けば2袋分の買い物ができたが、今や1袋分だと、あるロシア人が言っていた。
プーチンの失策を隠す国営メディア
ロシア規模の不況が民主主義の西側諸国で起きたとすれば、政治的に乗り切るのは極めて困難だったろう。だが、プーチン氏の権力は、まるで揺らいでいない。
国営メディアは失政を覆い隠すために、西側からの経済制裁を非難したり、クリミア併合やシリアへの軍事介入への支持をあおっている。
たいていのロシア人は、学校教育や国営メディアによって、西側諸国のほうがひどい状況にあると信じ込まされている。残念ながら、そのような情報操作は改革への処方箋とはなりえない。

改革の処方箋にならないとしても北朝鮮同様に閉鎖強権支配社会では、経済失策による飢え死にが、仮に何千万と出ても(スターリンによる穀物の飢餓輸出や毛沢東の大躍進政策の失敗でそれぞれ何千万単位の餓死者が出ていますが)政権危機にならない・・ことが歴史の鉄則です。
相手を弱体化するには、経済制裁ではなく豊かな生活をさせて(国民に豊かな生活の味を占めさせて抵抗力を削ぐ方が現実的です。
三国志演義で有名な曹操が劉備を籠絡するために贅沢させる・・「髀肉の嘆」あるいは孫権が劉備を招いて贅沢させる政策です。
一般的に豊かな地域の兵の方が貧しい地域の兵より弱いのが原則です。

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