自衛力2→戦力比較

戦闘機が現地上空に常時あるいは一定期間以上滞空するには膨大な交代兵力が必要になるのに対して、中国福建省からの距離は沖縄からより若干近いように見えます。
仮に距離が半分の場合、交代戦闘機編隊の到着時間が半分になり・・仮にA編隊が戦場から離脱・基地に戻って補給して再参戦が1日2回できる国と、4回参加できる国とでは、兵力数が半分でも現地戦闘機の臨場数は互角になります。
日本国内の親中韓派が尖閣諸島に近い石垣島への自衛隊配備に反対したり、これまで普通のヘリコプターや戦闘機の事故があっても事故率(日本の基地付近で航空機破片を落とすなどの迷惑があれば別ですが、従来アメリカの運用で事故が多いかどうかなど問題にしていなかった・・私が知らなかっただけか?)のに、航続時間の長いオスプレイに限っていきなりアメリカで事故が多いと言って、配備に徹底反対していたのはこのせいと思われますし、一方で中国が近くから戦闘機発着できる航空母艦建造にこだわっているのは、この戦略によります。
結局オスプレイを沖縄に配備させずに岩国や九州配備に落ちつかせたのは、(せっかく航続距離が長いヘリを配備するのに沖縄の後方数百キロ以上も遠い所に配備したのでは戦略効果が大幅減退です・反対勢力が沖縄から遠ければ文句いわない・反対が緩むのは、中国の意向によって動いているかの疑念)中国側の対日政治工作の成功と見るべきでしょう。
中国の航空母艦はカタパルトがないために重いと離陸できないので積載兵器弾薬数などが制限されるなど実戦能力が低いと言われていますが、ともかく半分の弾薬積載量でも続々交代発着させられれば、全機が遠くからやってくる日本軍より(経済的にも)有利です。
まして、時の経過で訓練や性能向上の結果歩留まり・発着率や積載率が上がるでしょうし、保有航空母艦の数も増えてくると、(遠くからでかける日本は燃料に重量を取られる結果、ミサイル等の積載量が制限されます)日本にとっては大きな脅威になります。
双方ほぼ等距離(既存基地)からの出撃を前提にした場合、どちらが数や性能上優勢かの基礎能力が重要ですが、もしも日本の方が数が少なくとも性能的に若干優勢としても、遠くからの出撃であれば現地累計臨場数で圧倒的に不利になります。中国は航空母艦動員による航空機の多数を頼んだ戦略を狙ってくることが明らかです。
中国は昔から数を頼んだ戦法が得意というか?これしかないし、日本は少数精鋭主義の国です。
少数精鋭と言っても一定比率までの問題であって、相手の数が10倍あると十分な休養を取ってから再出撃できるのに、10分の1の方は次から次へと押し寄せてくる新手の敵相手にほとんど不眠不休(短い休憩時間)で戦うことになります。
鉄腕投手稲尾でも一定以上の連投をすれば疲れがでて、何%も能力が落ちてきます。
性能や練度が日本の方が仮に高くとも、交代時間があまり少ないと出撃後の機体修復(戦闘機の各種機器も連続使用すれば劣化しますので一定期間の休憩やエンジンなどの取り替えが必要です)チェック時間も必要だしパイロットの疲労がたまることから、休憩時間の短い方が時間経過で負けてしまいます。
那覇の基地からと中国本土航空基地からの距離がほぼ似ていても、現地投入戦闘機が双方100機づつとした場合、日本の那覇配備の戦闘機は19機しかないと言われており、他は三沢や北陸、九州からの応援部隊に頼ることになります。
滞空時間の8〜9割が往復時間に取られる状態(途中空中給油がない限り)で、これに対する中国本土の基地は全て尖閣海域に対して横並びにあって、(いわゆる鶴翼の陣)いずれも約400キロ圏にあるらしいので実際の戦力比が大きく変わります。
のちに紹介するように中国側の発表では、1日に4交代できるので圧倒的に有利と豪語しているようです。
古来の戦法で言えば、日本は縦深陣立であり中国は鶴翼の陣になっています。
いわゆる鶴翼の陣は守る方になると各個撃破される弱みがありますが、攻める場合には総がかりできる強みがあります。
日露戦争で東郷平八郎は、縦深・縦1列で進行してくるバルチック艦隊を迎え打つのに鶴翼の陣で先頭に進んでくる戦艦を横一列に並んだ日本側戦艦が順次左右両翼からの集中砲火を浴びせて完勝したものでした。
日本は専守防衛と言う変な原則があって敵基地を攻撃できない・手足を縛られた状態の防衛(・防衛とは銃撃してくる敵兵への反撃も含まれているはずですが、)ですから、中国は自分が攻撃される心配がないので、防御に弱い鶴翼の陣で問題がないのです。
日本が仮に戦闘機を10機増やしパイロットも同数増やしても数千キロも離れた北陸地方や青森のミサワからの出撃では現地戦闘能力アップ力が半減以下になる・税金の無駄遣いになりますから、昨日紹介した通り日本は南西諸島方面での基地新設の必要性があるのですが、中国にとって不利な事ですから、日本の呼応勢力は猛然反対している状況です。
そこで、当面相手勢力が多くを占める要因・至近距離で多数回発着できる航空母艦の撃沈等で発着能力減殺攻撃が優先事項になります。
今のところ潜水艦の攻撃=防御(静謐性)能力では日本が世界トップクラスと言われていますが、戦争開始と同時くらいの短時間に数隻に及ぶ敵航空母艦群を次々と本当に撃沈できるかにかかっています。
中国の侵攻開始が、至近距離の航空母艦発着による数量的圧倒を背景にした占領開始戦略であれば、航空母艦撃沈/大破時点で、戦意喪失・・恐れをなして中国は占領した離島から撤退するしかなくなるでしょう。
空き巣的占拠したものの日本に反撃されてすぐに撤退となれば世界の笑いものですから、中国の侵略開始は航空母艦の増加と対潜護衛戦力完備を優先してからのことになるので、今のところ皆シナ海での航路妨害準備で時間稼ぎをしているのでしょう。
それに必要な4〜5年の間に日本も沖縄方面への航空兵力や艦船寄港基地の再配備準備に時間をかけられることになります。
こうして見ると日本が相手にまず占領させてから奪回作戦を行うにしても、現場制空権を当初約1〜2週間以内にどちらが握るかにかかっている点は70年以上前の日米戦争時と同様です。
ところで、現在の日中の戦力・・性能比はどうなっているのでしょうか?
この種の比較は最高機密に属するのでお互いに憶測の域を出ませんが、まず(中国側意見は明日以降紹介します)日本側の専門家の意見から見ておきましょう。
http://www.thutmosev.com/archives/26946289.htmlによると信憑性不明ですが、以下の通りです。

015年04月12日01:27
尖閣で日中戦闘機が戦ったら? 数で圧倒する自衛隊
中国の戦闘機約1400機のうち1000機がベトナム戦争以前の機種
中国軍の戦闘機は1321機とされているが、このうち1,000機が1950年代のMiG-21の中国版なのである。
ロシアでも博物館でしか見れないものを中国は戦力として運用している。
MiG-21よりもマシな「イスラエル・ラビ」という試作戦闘機の中国版を200機以上保有している。
航空自衛隊のF4よりも新しいが、外観は軽戦闘機であり、尖閣まで出撃して制空権を争える戦力ではない。
中国軍が運用している唯一の本格的な戦闘機はロシアSu-27の中国版J-11で約170機を保有している。
加えてロシアから輸入したSu-30MKKという戦闘攻撃機を76機保有している。
これら約240機が、航空自衛隊と戦いえる戦闘機の全てである。
中国軍戦闘機は実働48機
中国空軍はSU27系240機+軽戦闘機200機の合計440機が全兵力となっている。
ところで中国空軍は戦闘機の稼働率を80%と発表しているが、西側の専門家でこれを信じる人は1人も居ません。
西側専門家の推定ではロシアのSU27の稼働率は20%台で、中国のSU27も当然、これより低い稼働率とみている。
保有する440機の稼働率が20%なら、実働は88機です。
このうちSU27系は実働48機しかありません。

上記はイスラエル系戦闘機は練習機程度の利用しかできていないという前提の意見でしょう。

集団自衛権3(自衛力1)

スポーツでも夫婦喧嘩でも(昔から腕力のない女性集団に取り囲まれると乱暴な男がスゴスゴと引き下がるように)外野の応援団が多いほうが良いに決まっていますので、共闘してくれないまでも、応援団を増やす努力が重要です。
外野応援団のうち一人でも止めに入ってくれたらありがたいのが現実です。
日露戦争では、英国による武器弾薬の供給などの応援(共闘してくれた訳ではありません)が効き、しかも講和条約の設定までしてくれたものですし、日米戦争では東南アジアに破竹の進撃をしている「いいときに」止め役がいなかったので、最後まで行って完敗に追い込まれてしまった違いです。
ただし、日露戦争の場合、日英同盟のみによって講和条約になったのではなく、ロシア自体の内訌・第1次ロシア革命・・「戦艦ポチョムキンの乱」など総合的なものも大きかったので、緒戦で有利に展開し同盟していれば講和ができるとは一概に言えません。
http://www.y-history.net/appendix/wh1401-114.html

第1次ロシア革命
1905年1月、日露戦争の最中、ペテルブルクの王宮に労働条件の改善、国民議会の開催、戦争中止などを請願した労働者・民衆に対し、軍隊が発砲したことから起こった「血の日曜日」事件をきっかけに、その政府側に国会の開設などの改革を実行させた革命。
1905年、血の日曜日事件で民衆を弾圧し、日露戦争を継続するツァーリ政府に対する不満は兵士の間にも広まった。5月には日本海海戦でバルチック艦隊が全滅し、大きなショックとなった。

日米戦争ではアメリカは圧倒的戦力を有していたので、もともと緒戦で負けておいてから報復と称して国民の反日感情を煽ってから巻き返す予定であったことが知られており、仮に日英同盟が残っていても英国は仲裁役にはなれなかったでしょう。
対中防衛戦では同盟や応援団の役割はどうなるでしょうか?
これが現在日本での最高関心事です。
中国が、内政矛盾を誤魔化すため冒険主義・対日侵略戦争に走る場合、短期間の攻撃で日本が屈服してしまい交渉にすらならない場合は別として、一定期間日本が自力で奪回できれば、日本の応援団の力で交渉開始になります。
すぐに奪回されれば、中国がもともと内政矛盾を解決できずにに対外博打に討って出るのですから、・・・ロシア革命時同様に中国内政矛盾が吹き出して大混乱に陥るリスクがあります。
フィリッピンの場合国際応援団の力が及ばない内に中国に屈服してしまった・・応援が遅過ぎたということでしょう。
中国として侵略行動を突然開始→無防備の離島をいくつか占拠できますが、その後日本の反撃を何日間〜何週間、何ヶ月妨害して「占領の既成事実の構築ができるか?」が勝負になります。
逆に日本が何ヶ月も奪回できない・ジリジリと日本が押されて逆に占拠される離島が増える状態で(これ以上占領地域が増えないように)国際仲裁が入ると、「現状停戦」が仲裁の普通パターンですから中国の作戦は成功になります。
現在ロシアによるクリミヤ完全併合〜ウクライナ戦線がこの状態です。
数年経過して次の離島占拠のパターンを繰り返して中国領海・制海区域をじりじり広げていくやり方になると、日本は台湾方面を経たアジア航路を利用できなくなりジリ貧どころか急激な国力低下になり、中国に全面屈服するしかなくなるでしょう。
中国は、日本攻略のためには日本の短期的な抵抗力/奪回能力減殺に必死ですし、この意を受けた日本国内呼応勢力は、如何にして米軍の行動を縛り、自衛隊の抵抗力強化を妨害するかに知恵を絞り精出している傾向が窺えます。
長期的には兵器水準は模倣の結果国力比例していくでしょうから、戦力比は同レベル性能兵器・練度とした場合、優劣は航続時間・戦場との距離に反比例しますから、出撃基地をいかに近くに置くかで決まります。
日本の場合南北に領土が散らばっているので、専守防衛・・離島防衛には遠くから行くしかないので不向きになっています。
尖閣諸島でいえば沖縄本島からでも片道400キロ前後もあるので、単純往復だけで約800キロの燃料消費ですから、現地滞空時間がその分短くなる・これをいかに減らすかが重要です。

現在でも日々の不法侵入漁船?対策に海上保安庁の巡視船が出動し、自衛隊のスクランブル発進が増えていますが、400キロも彼方なので往復に長期間要している不都合(財政的にも巨大出費)があります。
東京都のホームぺージです。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/senkaku/gaiyou.html

尖閣諸島は、南西諸島西端に位置する魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖ノ北岩、沖ノ南岩、飛瀬などから成る島々の総称です。沖縄本島から最も大きな魚釣島まで410kmの距離があります。

https://matome.naver.jp/odai/2140592031414042501によれば中国空軍基地との距離は以下の通りです。

台湾・尖閣諸島有事で最前線基地になる水門飛行場とは【中国・東シナ海】
更新日: 2015年03月08日
台湾国防部は、中国が場所的に適さない山間部に飛行場を建設した理由について、東シナ海に出現する米国と日本の戦闘機、軍艦などに効果的な攻撃作戦を展開するためと分析している。水門飛行場は、中国が日本と領有権を争っている尖閣諸島(中国名・釣魚島)、ガス田「白樺(しらかば)」(同・春暁)までそれぞれ380キロ、200キロの距離にあり、7-12分で紛争地域まで戦闘機が到達できる。同時に配備されたS-300防空ミサイルは、日本の自衛隊の主力戦闘機F15、F18などに対処するためとみられている。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1035102995によれば自衛隊戦闘機の航続距離は以下の通りです。

F-15DJ:2,800km(内部燃料タンクのみ)、4,600km(増槽3本)、5,820km(増槽3本+CFT装備)
F-22:2,775km(内部燃料タンクのみ)、2,963km(増槽2本)

そこで日本は少しでも近くに基地を設置して往復時間の消耗を減らすために、尖閣諸島まで170キロに位置する石垣島への自衛隊基地配備計画を政府か進めています。
距離が2分の1になれば現地往復時間が2分の1→同じ航空戦力でも現地滞空時間が伸びる他に発着基地が近づけば緊急時現地到着時間がその分早くなる計算ですから、親中韓派にとっては何が何でも石垣島基地建設に反対したくなる理由がわかるでしょう。
https://www.yaeyama-nippo.com/特集/自衛隊問題

石垣島への陸上自衛隊配備問題で、石垣市議会一般質問では20日、与野党3人が賛成、反対の立場から中山義隆市長の見解をただした。野党と市長は、自衛隊が抑止力かどうかをめぐって激論を交わした。
野党の小底嗣洋氏は「中国を仮想敵国として防衛体制を取って、下手に相手を刺激することは得策ではない」と配備反対を明言。「石垣島に地対空、地対艦ミサイルを配備しても、中国はそれ以上の弾道ミサイルを持っているから、抑止力にはならない。(石垣島への配備は)むしろ火に油を注ぐ」と持論を展開した。

上記反対論は、自衛力強化に反対してきた勢力が、いざとなれば自衛隊が弱くて抑止力にならないから戦わずして負けてしまった方が良いと言わんかのような論法ですから、いわゆる非武装平和論の底の浅さを表明したもので、具体的危機が迫っている現在、どうやって国土を守るかについての真面目な議論になっていません。

集団自衛権2

海賊を操っていると見え見えの背後の特定国に抗議する・あるいは、共同取り締まり強化を求めると「海賊行為に我が国は全く関与していませんが、取り締まり強化には検討しましょう」と言いながら、「そんなことよりも我が国が1ヶ月前に要求したことに対する回答はどうなっているか?」の質問をぶっつけてくる→その要求を日本が飲むとすぐに海賊行動が2〜3割減る・・・数ヶ月後にまた新たな要求が来る→日本が応じない→海賊行為がまた増えてくるの繰り返しになるとどうなるかです。
ソマリア沖の海賊のように世界中の船舶が標的になると世界が海賊対策に協力するでしょうが、日本だけイジメにあうような状態にされると中国が怖いので他国は関わりたくないとなって日本だけがイジメられ放題になります。
学校のいじめ事件でいじめられっ子が孤立する仕組みの国際版です。
現在でも南シナ海での中国軍事基地化で本当に困る(死活的利害がある)のは日本と台湾だけです。
(アメリカが国力低下で警官役を十分に果たせなくなれば、韓国は航路妨害以前に中国の軍門に下っているでしょうから、問題ではありません)
南シナ海で領海問題で対立するフィリッピン自身は、実害としては国家安全保証の問題でなく漁業権の問題にすぎませんから、その損害を上回る補償や各種優遇措置(対フィリピン嫌がらせの緩和)さえしてくれれば、有利な取引材料になる程度に考えているでしょう。
だから、中国の硬軟両用の「脅し、スカし」(バナナ輸入妨害緩和)にすぐに応じてしまったのです。
まして利害のない諸国が時の覇者中国の機嫌を損ねてまで、日本の応援をするとは到底思えません。
リーマンショック以降西欧諸国は中国市場の巨大さに引き寄せられている・・アメリカも中国市場に吸い寄せられている点は同じですが、母体の規模が大きい分抵抗力が西欧より大きいので航行の自由作戦実施で日本を応援してくれている状態です。
1月21日の日経新聞朝刊1pにはシンガポール大物外交官が小国には小国の立場があると提言して中国になびく姿勢を示して大き問題になっていると書いています。
背景には台湾での演習に参加したシンガポールの装甲車が帰りに立ち寄ったか?香港で中国に捕獲されてしまった事件があるとのことです。
中国は間接的嫌がらせにとどまらずで直接の実力行使する露骨な姿勢を明らかにしていて、小国はナスすべもない状態が始まっています。
公海に軍事基地用の埋め立て工事を始めた時にその工事差し止めの実力行使ならば、運搬船の通行妨害程度は容易(ケネデイーのキューバ危機事件同様)ですが、埋め立てが終わってからの上陸・破壊作戦では、本格「戦闘行為になるのでとても無理」と言われていたのに、工事進行を黙認しておいてほぼ完成後に航行の自由作戦とやらを始めたのですから、もともと(中国を含めて)どこの国もアメリカの本気度を信用しなくなっていたのです。
アメリカは断固として埋め立て作業を中止させるのかという国際世論の期待を裏切ってやったことは現地を遠く離れた海域の「航行の自由作戦」というだけで大したことがない状態・・既成事実化が進む一方です。
やっていることは、肝心の海域の遠くを航行するだけでいかにも及び腰程度なので、これではアメリカは頼りにならないとアジア諸国は思ったでしょう。
この結果を見て「アメリカ頼りにせず」とばかりにフィリピンは中国になびくし東南アジア諸国が中国を名指ししない航海の安全を求める程度の決議さえ出来ない状態になっています。
1週間ほど前のニュースでは埋立地を中国領土とすれば12海里内の海域を初めてかな?米軍イージス艦が航行したと出ています。
アメリカがあまりにも中国への遠慮が過ぎると信用がなくなってしまうと思い直したのでしょうか。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25953070Q8A120C1EA3000/

【北京=永井央紀】中国外務省の陸慷報道局長は20日、南シナ海で中国が主権を主張するスカボロー礁(中国語名・黄岩島)から12カイリ以内の海域を米軍艦が17日に航行したと談話で明らかにし、「強烈な不満」を表明した。米側は公表していないが、南シナ海で中国の軍事拠点化に対抗する「航行の自由作戦」を実施したとみられる。トランプ政権下では2017年10月以来5回目となる。
1昨年だったかニッポン訪問の英空軍機が南シナ海上空を飛行してくれましたが・・。
どこの国も付き合い程度の行動をするのがやっとというところでしょう。
かつての世界帝国・・英仏両国の動きです。
https://jp.reuters.com/article/britain-southchinasea-fighters-idJPKBN13R0MQ
2016年12月2日 / 17:01 / 1年前
英、南シナ海で戦闘機飛行へ 20年に空母も太平洋派遣
ワシントン 1日 ロイター] – 英国のキム・ダロク駐米大使は1日、日本に派遣している英空軍のタイフーン戦闘機に南シナ海上空を飛行させ、2020年に就役する空母2隻を太平洋に派遣する見通しだと述べた。南シナ海での航行の自由を守るのが目的だという。
南シナ海や東シナ海における中国の動きをめぐって緊張が高まる中、英国は10月、自衛隊との演習に参加させるため戦闘機4機を日本に派遣していた。

1月26日日経新聞朝刊4pには、日経新聞の取材に対する応答としてフランスも南シナ海の自由航行のために「軍艦の航行を18年も続行する」の発言が報道されていました。
取材ですから政治家特有のいろんな意味に読める表現を取材記者+録音を分析したバックの編集部が総合情勢を勘案してどのようなニュアンスに受け止めたかによるので、必ずしも正確ではありません・・。
このような憶測報道を出回らせておいて中国がどのように反応するかを読み切った上で、仏政府が帰路の直前に最終判断するので物事は誤報だったかどうかは一概に言えません。
従来あまり報道されていませんでしたが「続行する」ということは、今までも日仏共同演習をやっていたようです。
これまで小規模な日仏の共同軍事訓練を継続してきたが、今年は離島上陸演習まで踏み込んだ本格的なものに格上げされるような(これも期待先行?)報道です。
尖閣諸島等の離島防衛(無人の島全部に守備隊を事前配置・維持できません)は困難なので、先制的上陸されるのは防げない・・一時的に占拠されることを前提にした離島奪回作戦が日本の基本方針ですから、上陸戦の共同演習=奪回作戦を共同で行ってくれるのは心強い限りですが、いざ本番になると本当に共同戦闘までしてくれるかは別問題です。
あてにならないとしても、いざとなったら応援してもらえるように受け皿としての共同演習を繰り返しておく必要はあるでしょう。
安保条約のあるアメリカでさえ、イザとなったらあてになるのか?(せいぜい「後方支援するだけ」と言うのが本音でしょうか?)という心配で、日本はヤキモキしている状態ですから・・。

憲法学とは?3(集団自衛権1)

自衛のための軍事力を持つと相互にヒートアップする一方になるから軍拡競争になって危険だという古典的主張が普通ですが、北朝鮮の事例を見ると前からこのコラムで書いている私の小規模核武装論の正しさが証明されていると思われます。
自衛目的の核武装であれば軍拡競争する必要がなく、超大国が数百発の核弾頭を持とうが、数千発持とうが、弱小国が自国を守るための抑止力としてはちょっとした反撃に必要な数十発程度持っていれば十分です。
本来1〜2発大国へ打ち返せば十分ですが、大国による先制攻撃で発射装置が使用不能にされるリスクがあるので隠密裏(対米抑止力でいえば太平洋中幅広く)に逃げ回っておく予備弾頭保有が必要ですから今の段階では数十発以上となります。
相手が数百〜数千倍の量を誇ってもあまり意味がありません。
このように自衛オンリーであれば軍事予算も最小ですみ、他方超大国の大量兵器保有維持は無用になるので、保有兵器縮小に向かうはずです。
もともと、一定の抑止力保持が攻撃を抑止することは昔から常識的に知られていました。
大して強くなくとも男が一緒にいれば夜道でのかっぱらいや強盗行為を事前に思いとどまらせる抑止効果があります。
路上ひったくり等の被害者に無抵抗が予想される女性が多いのは、この原理を表しています。
夜道では女性一人でなく集団で歩いたり、弱くても母親が子供を迎えに行くことが多い理由です。
非武装論は塾から暗い夜道を歩いて帰る子供を母親やお父さんが迎えに行く必要がないという意見と同じでしょうか?
ドアーや鍵をいかに厳重にしても時間をかければこじ開けられない鍵やドアはありませんが、時間をかけさせることで泥棒は嫌がって寄り付きませんし、お城の場合時間を稼げば応援部隊の到着を期待できるから守りを厳重にしているのです。
正しい方は危害に直面すれば助けを呼べるのが普通ですから、子供の場合助けを呼ぶ能力もないので母親が一緒にいることが必要なのであり、呼ぶ力を含めた一定の抵抗力さえあれば間に合うし、襲う方はリスクが大きいのでよほどのことがないと手を出しません。
このように自衛力とは多くの場合抑止力保持の問題であり、相手の戦力の何割以下で間に合う筈ですから、相手が何割減しか持っていなければ強い方も侵略意図さえなければ、ほんのちょっと多く持てば体面を保てる?ことになり、必要以上持つ意味がなくなるので軍拡どころか縮小競争になる筈です。
思想の自由に戻します。
国家転覆まで言わなくとも、対日テロ組織を応援するために「どうしたら日本でテロを成功させるか」「テロ要員養成方法」などの研究発表の自由がある・処罰法がない以上、いくら研究発表しても良いという人がいるのでしょうか。
思想の自由・国家が思想を差別すべきでないという理由で国税で賄う国立大学教授が、「人殺しを巧妙にやる方法」などの研究に精出していて良い・研究費の助成をすべきでしょうか?
生命の危機にあっても「自衛する権利がない」というような思想ってどういう論理があるのか私には理解不能です。
憲法学者には(私のように理解力の低い弁護士を含めた)一般人に理解不能な高尚な理屈があるのでしょうが、一般人には高尚すぎて理解出来ない・国民の生存本能として「襲われて殺されそうになれば、叶わぬまでも相手の手首や指に噛み付いたり抵抗したい」ものです。
(オーム真理教によって殺害された坂本一家殺害事件では坂本弁護士の奥さんが殺される寸前に相手の指を噛み切っていたと言われます)
危険が迫れば、警察に相談し、巡回を増やしてもらい自宅の施錠を厳重にするのが普通です。
この基本的精神・国民の信念こそが、憲法条文に仮に明記していなくとも政府・国民の守るべき「実質的意味の憲法」と言うべきでしょう。
条文上も生命身体の自由を守るのは国家が「最大の尊重」と書いています。

憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

憲法学者とこれを応援する人権派弁護士は我々一般人の理解不能な高尚な屁理屈をこね回して、人として犯してはならない「実質的憲法」違反行為を誘発する論理展開しているように見えます。
憲法学者の7割もの人が、日本民族約97%が支持している「実質的意味の憲法観」を共有していないのでしょうか?
日本がミサイル迎撃システム強化を発表すると、すかさず中国が日本の軍国主義化を批判するのですが、日本の憲法学者は日本人の多くとは価値観が合わないが中国とでは価値観が一致しているということでしょうか?
ところでこれまでの自衛論は、大声で助けを呼べば誰か来てくれる・自宅のドアーを頑丈にして守る程度ですが、この自衛論は、すぐに警官が救出に来てくれる前提の自衛論です。
アメリカが世界の警察官をやめた場合、いつまでも自宅に長期間篭ってばかりいられないので、必要な外出をどうするかの問題が起きてきます。
一歩外に出れば一定の危険がある・・個人生活で見ても暖房がないし雨も降るので、コートを着たり傘を持つように外部環境に備えるのが普通です。
自衛隊違憲論者や平和憲法死守運動家や護憲運動家の意見によれば、軍備保有=侵略国家になるようですから、この伝によれば日本周辺は日本を侵略したい国々ばかりひしめいていることなります。
ところで自衛隊合憲論者でありながら、領海外での集団自衛権否定論は首尾一貫しないように見えます。
領海外での自衛行動が出来ないとすれば、自宅の戸締りができても一歩も外に出られないほど危険な社会になっても、家の外では自衛することも許されないという論理でしょうが、そうなれば日々の買い物にも仕事にも学校にも行けないので1〜2週間でまいってしまいます。
国家単位で見れば、これまで米国が世界の運輸・航路安全を保障してくれていたのですが、今後インド洋や東南アジアや南シナ海のシーレーンで航行の自由を阻害されるようになると日本経済が存続できるかの瀬戸際に直面します。
特定国が、この航路で日本向け貨物だけ止めた上で日本に無理難題を要求してきても、これを受け入れるしか無くなる事態になればどうするかです。
全面的に航路を止めなくても、国籍を不明の海賊船を多数送り込んでしょっちゅう日本向け船舶のみ狙って略奪や乗務員殺害を繰り返すようになった場合どうなるでしょうか?
日本向け輸送だけ護衛船団が必要となれば、コスト増になり他方で諸外国にとっては日本向け用船料アップ要求になり、交易条件が非常に不利になります。
今の尖閣諸島近辺の状況を見ればわかるように、中国は公船や漁船と称して日本の海上保安庁の船の何十倍?もの船を海上保安庁の周りに動員して群がっています。
これを海賊と称して武装化して南シナ海やインド洋などで日常的に輸送船の周囲に群がり襲撃を繰り返すようになると、日本の海上自衛隊独力では守り切れない事態が起きてきます。

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

ところで、17日に見た通り朝日新聞調査回答者中自衛隊合憲論者だけで見れば、集団自衛権は違憲という意見が19人中8人で過半数に足りないのですが、朝日新聞はもともとの違憲論(違憲運動している者の回答率が高くなるのは当然です)を合わせて7割が集団自衛権を違憲と言っていると発表していたことが17日の紹介記事でわかりました。
このカラクリを知られたくないから?朝日新聞は基礎になる自衛隊合憲違憲のデータを第三者に指摘されるまで公開しなかった疑いが持たれます。
アンケートの一般的方式/ルールで言えば、「前問で『自衛隊合憲』と答えた人のみ次の問い(こういう場合にも合憲ですか、違憲ですか?という問い)に答えてください」とするのが普通の方式です。
朝日の調査では、前問で「自衛隊違憲」と答えた人にも、次の問い(集団自衛権の合憲違憲)に答えさせていることになります。
前問で違憲回答した人に、次問で集団自衛権の合憲違憲を聞けば違憲の回答になるのが論理的帰結です。
虚偽報道ではないとしても国民を誤解させかねない調査報道の仕方ではないでしょうか?
正確には自衛隊合憲論者の半分近くが違憲と言っているという発表であるべきですし、自衛隊を合憲と考えている8割の国民は自衛隊合憲論者がどう考えているかを知りたがっているのです。
元々の自衛隊違憲論者が集団自衛権になおさら反対しているのは当然すぎますから、彼らが(違憲論者が)違憲と考えているか知りたい国民は滅多にいません。
学者相手ではない集団自衛権賛否の一般的調査では以下の通りです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39362によれば以下の通りです。

2014、5、26 髙橋 洋一
5月19日の産経新聞「7割が集団的自衛権を容認」、12日の読売新聞「集団的自衛権、行使容認71%」、19日の毎日新聞「集団的自衛権 憲法解釈変更…反対56%」、4月22日の朝日新聞「今国会で憲法解釈変更『不要』68%」
集団的自衛権行使に積極な二紙では賛成が多く、消極的な二紙では逆に反対が多いという、絵に描いたような世論調査結果だ。
もっとも、その理由は明快だ。
世論調査の際、集団的自衛権の定義の違いと答えに「最小必要限度」を入れるか、どうかである。
まず、集団的自衛権の定義では、産経・読売では「密接な関係」「反撃」となっているが、毎日・朝日では「同盟」「戦う」と表現が違っている。
ただし、「日本への攻撃とみなして」は共通だ。答えに「最小必要限度」を入れるかについては、産経・読売は、「最小必要限度」の限定的な行使を含めているが、毎日・朝日は含めず二者択一だ。
必要最小限度」を入れるか否かで結果は変わる
集団的自衛権については、そもそも論から考えたほうがいい。4月28日付(→こちら)と先週の本コラム(→こちら)において、国際法では、国家間の個別的・集団的自衛権は国内の個人間の正当防衛と同じで、英語では自衛も正当防衛もともに self defenseということを紹介した。
日本の刑法36条をみれば、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」(第1項)と、他人を守ることも含まれており、これは世界共通だ。この「他人」を「他国」と置き換えれば集団的自衛権である。もちろん、個別的・集団的を問わず自衛でも、正当防衛で過剰防衛になっていけなのと同じように、いろいろな制約がある。この意味で、集団的自衛権(もちろん個別的自衛権も)は、「必要最小限度」で限定的なものだ。
こうした国際法の観点から見ると、産経・読売のほうがまともにみえる。毎日・朝日の集団的自衛権は、戦争そのものととらえているのではないか。正当防衛を認めず、人に反撃を加えるだけで、傷害罪・殺人罪を適用するといっているのに等しい。」

上記によると、一般国民は、集団自衛権であっても質問方法によっては7割も必要としているというのです。
もしも自衛隊そのものの合憲・違憲の世論調査をすれば、合憲意見がその上を行くことは明らかです。
このように調査設問するには、具体的条件設定の重要性がわかります。
自衛隊違憲合憲の意識調査では、周辺状態の危険性は常識ですからメデイアが設問方法でごまかせないから、実態に合わせた常識的意見になっているのではないでしょうか?
朝日新聞や憲法学者は(無制限に戦争参加できるかのような質問形式)前提なしの違憲論を宣伝しているように見えます。
ところで、国民の8割が自衛隊合憲と一般化されていますが、ネット検索する限り(検索能力が低いから)メデイアの世論調査結果がなかなか出てきません。
内閣府による自衛隊に関する意識調査の変遷です。
https://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-bouei/gairyaku.pdf

(2) 日本の安全を守るための方法
問13 では,あなたは日本の安全を守るためにはどのような方法をとるべきだと思いますか。
この中から1つだけお答えください。
現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る
平成24 年1月     平成27 年1月
82.3%   →   84.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊だけで日本の安全を守る
7.8 →      6.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊も縮小または廃止する
2.2% →      2.6%

ようやく内閣府の調査が出てきましたが、(ちょっと古いですが)これによれば上記の通り国民の97%以上が自衛隊存在を前提に回答していることからも自衛隊違憲論は少数であることが推測されます。
一般的に国民の自衛隊支持率は8割以上と言われていますが、どこにデータがあるか世論調査がネットには簡単に出てきません。
政党では共産党しか違憲主張がないのに国民の2割も違憲論があると言う一般化自体おかしいように思っていましたが、上記調査では自衛隊縮小論が2、6%となっており、この中には自衛隊違憲論者多数と見るべきでしょうが、国民の2割もいません。
以下に紹介する共産等プラス社民党支持率とほぼ一致しています。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics-support-politicalparty

政党支持率、自民は28.1%=時事世論調査※記事などの内容は2018年1月19日掲載時のものです

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