小義強調3・・悪しき個人主義1  

南シナ海問題に戻ります。
ソマリア沖海賊対策では、世界有力国の利害が一致していたので何とかなりましたが、南シナ海の場合、中国自身が秩序破壊の元凶ですから、関係諸国が一致して妨害排除行為することを想定出来ません。
国際司法裁判所判決が出ていても国際会議で非難決議さえ出せない状態ですから、国際機関決定できる訳がないでしょう。
まして、フィリピンベトナム等周辺コクには相応の餌を撒いたり脅したりして日本だけ標的の通行妨害をした場合、周辺国が連合艦隊を編制して中国軍を追い払ってくれるとは思えません。
言わばいじめっ子が怖くて廻りが傍観している・・中国がこれを利用して日本イジメ行為を実行しようとしていることは明白です。
ニッポン(は強い?)を直截攻められないから、ニッポンから遠く離れた公海での航行妨害をして周辺国に応援させないようにする程度ですが・・。
アメリカはせいぜい「航行の自由を守れ」「仲良くして下さいよ!・「暴力は行けません」と言うリップサービス・・犬の遠吠えしかやる気がないコトを今から(予算を含めた)態度で表明しています。
中国は当然アメリカの船は自由に航行して下さいとなるでしょう(・・言わなくともアメリカの船を拿捕・撃沈する勇気はない)から、結果的にアメリカの船だけは航行自由となれば、日本はアメリカ籍の船に輸送を頼むしかなくなる関係です。
昨年までのいわゆる安保法案に関する議論では、こうした新事態に備えた議論がなかったように思えます。
ソモソモ自国・・自宅に押し入る強盗からの「自衛」だけを関心にして戸締まり・自衛戦力・SECOMなどの契約や防犯カメラ(集団自衛権)さえ不要論が幅を利かしているニッポンの議論は、世界でも特異な思想状況にあると言うべきです。
http://todo-ran.com/t/kiji/18471
「各都道府県選挙管理委員会の発表から、2014年12月に行われた第47回衆議院選挙比例代表の民主党得票率ランキング。
民主党の得票数は977万5991票で、有効投票数5333万4447票に占める得票率は18.33%。」
上記のとおり実際の選挙結果では民主党→民進党の支持率20%あるかないですが・・マスコミ報道になると「圧倒的市民の声を無視した横暴を許さない」など「文化人」の応援一色です。
マスコミを見ていると、憲法学者も作家その他文人の殆どが反安保法の意見で一致しているイメージですが、この洪水的思想教育に共鳴する不心得者?が20%前後しかいない・如何にニッポン民族の共同体意識が根強いかが分ろうと言うものです。
元々社会には言って率のはみ出し者がいるのですが、そう言う傾向の人が「お前のやっていることは素晴らしい・・意識が高い!」と大義名分を得てクレーマーやモンスターに育っているように見えます。
私の家も製品不都合があるとメーカーに連絡しますが、データが少しでも多く集まれば改良チャンスが増えるだろうと期待するからであって、苦情?を言うつもりは全くありません。
戦後70年間も洪水的反共同体思想を宣伝しているのに共鳴しているのに約20%どまりですから、如何にマスコミや文化人が国民意識とズレているかが選挙結果で明らかです。
ただしズレが大きいほど彼らのエリート意識がくすぐられてやる気が出るのかも知れません。
非武装平和論者と支持母体を同じくする団体は何かと新しい分野・・社会の変更発展に人権等を理由に世界基準を持ち出して批判を展開するのですが、重要問題になると全く世界標準を無視しています。
この辺は秘密保護法・・スパイ防止法反対論でも防犯カメラ(肖像権)でも人権侵害されると宣伝するのですが、スパイ防止法のある国は人権侵害国家なのか?集団安保・・相互防衛条約のある国は皆軍国主義国家なのかと言う疑問には全く答えません。
先進国で相互防衛条約を締結していない国がどこにあるかも答えません。
公海の安全航行権の保障に戻りますと・・最寄り駅から自宅に至る公道・・公の空間で何があっても「知らん顔をしている」といつの間にか誰かが?解決してくれる・・「自己中心主義だけで世の中の秩序が保たれるのか?」と言う基本に立ち返った議論が必要です。
ここ数日書いている大義を重視する精神の欠如・・・・小義強調・共同体維持の価値観否定運動がいつから蔓延して来たのか、マスコミや文化人・学者の多くが何故これに共鳴しているかの疑問です。
自宅などの個人範囲を超えた全体・公けの秩序を誰が守るのか?軍が出動した場合に兵士の生命の危険を心配して反対するなど・・世界でも稀なニッポンの民族・共同体意識(国民意識に牢固として根付いていますが・・)を破壊する思想宣伝がいつから始まったのでしょうか?
ニッポン民族は元々自己利益よりも共同体利益を最重視する社会であるからこそ、今でも道路・公共空間は掃除が行き届き、電車の時間が正確で環境保護に敏感ですし犯罪も少ないのです。
個人利益ばかりを主張し全体がどうなっても良いような主張が素晴らしいと応援するマスコミ宣伝と実際社会のあり方や選挙結果とは大きくズレています。
我が国では、古来から蒙古襲来時の地元武士団の奮戦や前回戦争でも、特攻隊員の意識や1分1秒でも長く米軍を足止めして祖国への侵攻を遅らせるために硫黄島や沖縄で死闘を繰り広げたコトから分るように、「公」共同体・一族のために命を棄てることを惜しまない民族性です。
戦前にこう言う宣伝するマスコミや学者が全くなかったことは公知の事実ですから、共同体破壊運動への転換の始まりは米軍占領政治が起点であることは争いのない事実と思われます。
ニッポン民族の強固な共同体意識・・負けが決まっていても最後まで死守するニッポン兵に手を焼いた米軍の経験からして、米国の占領政策の第一に強固な共同体意識の解体があったのが必然です。
米国はニッポン民族自体を他の被植民地以下の境遇にしてしまう目的で始めた戦争でしたから、占領後これに抵抗されないようにする第一目標が「公」共同体意識の破壊にあった・・占領後最初の仕事が神道敵視政策であったことその他やって来たことに共通項があります。
共同体を命がけで守る意識を解体し自己中心主義社会になって行けば、自然に治安が乱れます・・これが狙いであったでしょう。
占領軍が治安悪化を望むのは異例ですが、占領政策の手足として在日を利用しようとしたことに原因があったと思われます。
欧米植民地支配の常套手段ですが、英仏等の支配者が恨まれないように過酷な現地人搾取や弾圧などの汚れ仕事(中間管理職?)を他所から連れて来た異民族にやらせていました。
アフリカではインド人を使い東南アジアではインド人と華僑を使ったので現在でも支配階層に華僑・イン僑が浸透しています。
中国人がアジア諸民族の代表として正義を主張し欧米と戦ったことがない・逆に欧米の手先になり易いのは、専制支配下の生き方しか知らないので正義の基準よりは強い者の手先になる競争精神が染み付いている外にこうした長年の経験・実績によっています。

個人責任と組織の関係3(仮処分制度の領域1)

弁護士の場合間違ったことや変なことを主張しても、周辺・相手に対する説得力がなくて相手にされない・・相談者もおかしいと思えば別の弁護士に行くことが出来るし、強制力がありませんので、実害はそれ程ありません。
裁判官や検察官等権力=強制力を持っている場合、余程権力行使に対する自制心がないと、自己抑制しない人がその任につくと国民(しかも多くの人)が直接の被害を受けます。
変な人が権力を個人で行使出来る地位につくと、(昨日から書いているように決定内容・理由付けを知らないので高浜原発仮処分裁判官のことではなく一般論です)その人個人の問題と言うよりは、仮に千人に独りしか独断的自己抑制の利かない裁判官がいないとしても,これが独りでも出て来ると国家的に大変なことになります。
司法権は、行政庁のようにピラミッド型に多数の上司が関与して決裁して行くシステムではありません。
特定裁判官の決定が上司同僚間の意見交換で決めて行く仕組みではない(ヒラが書簡問題が大騒ぎになったこと想起して下さい)ことから、特定裁判官の考えによる政府や議会意思を覆す決定がそのまま即時に国家意思として効力を持ってしまいます。
長期間掛けた多数の利害調整を経て決まった政府決定や議会意思あるいは下位の審議会・規制委員会等の決定が、短期間でしかも国民意思吸収訓練を受けていない少数の裁判官が、結論を出すと政府や議会の意思に優越するシステムは問題が大きすぎないかの疑問です。
合議で決定したとしても地裁合議体の場合,比喩的に言えば本気でやっているのは裁判長一人で、右陪席は一人前の裁判官(と言っても経験5〜20年前後)ですが、その代わり目の回るような大量の事件を単独で抱えているので、社外取締役のような役目でじっくり記録を読む暇がありません・・。
左陪席は自分で事件を抱えていないので合議体事件記録調査の主任ですが、まだ一人前の裁判官になっていない新人・見習い扱いで裁判長の価値判断に反論出来るような立場ではなく、判決の書き方やその他の指導を受けているイメージですから、裁判長に指示された方向に沿って如何にそつなく証拠を拾い出し文書構成するかの能力が問われています。
各種委員会や審議会の経験ある方は分ると思いますが、いろんな利害代表で構成されている公的委員会でも委員長の議事運営の影響が大きいもので、まして3人の合議体と言っても(法的に裁判官は対等ですが上記のとおり年功順に構成されているので実質)対等者間ではありません。
政治決定のための会議のように3者の背後に別々の利害を代表している訳ではない・・裁判長の示した方針の影響力が大きいのが実態です。
政治家のように民意吸収能力が訓練されていない少数司法官のしかもじっくり審理しない「仮りの」判断で衆知を集めた政治判断が覆され、一旦効力が出るとそれを是正するのに数年以上はかかってしまう制度は問題がないでしょうか?
まして大津地裁の場合には、異議を出しても同じ裁判長・・本案訴訟も同じ裁判長と言うのでは司法の構成・・第三者の意見を求めて是正する制度が空洞化している問題があります。
報道ではこの裁判所では、本案訴訟も同じ裁判官なので2〜3年本裁判をしても多分結論は変わらない・(訴訟進行は裁判長次第ですし・・やっと判決が出ても)更に数年後の高裁判決の結論待ちになるだろうと書いていたようです(記憶違いか?)ので、もしかして合議体が1つしかない小さな裁判所でしょうか?
グーグルで見ると以下のとおりです。
以下によると合議体は2部ありますが、どちらの合議体で扱っても同じ裁判長ですから結論が変わる訳がないと言う意味で(上記のとおり裁判長の指導力が大きい前提)これを報道しているのでしょう。

大津地方裁判所 担当裁判官一覧

(平成28年1月28日現在)

大津地方裁判所民事部

合議A係 山本善彦,小川紀代子,秋元美衣瑠      毎週火曜,随時の金曜 1
合議B係 山本善彦,溝口理佳,山口雅裕,岡田総司    毎週木曜 1
1係 山本善彦 第2,4金曜 1
2係 溝口理佳 毎週火・金曜 2
3係 山口雅裕 毎週水・金曜 3
3S係 佐藤克則 随時の火・金曜日 3,4
4係 小川紀代子 毎週木曜 3

個人責任と組織の関係2(高浜原発仮処分1)

そもそも科学者総動員しても正確な地震発生の予知不可能なことが知られているこの時代に、衆知を集めて議論した結果で決まった基準そのものを、司法権がその優劣を裁く権能があるのでしょうか。
ちなみに予知不能を前提とする議論で衆知を結集する以上は、一定の結論が出るまでには反対論その他多様な意見が内部にあったことは当然で、これがあったことは危険性の証拠にはなりません・・逆に健全な議論があった証拠です。
今回の仮処分は基準そのものではなく、基準該当可否の判断に関する科学者の意見を信用出来ないとしたのかも知れません。
医療で言えば、診断ミスを裁判で判定するのと同様でしょうか?
医療事件は実際に治療が効果が出ずに死亡したり手術の効果が出ない場合が一般的で後からの判断ですから、手術前のデータと比較しての判定は可能です。
(「後講釈は誰でも出来る」と一般に言われている分野です)
事前差し止め・停止命令は実害の出る前の判定である特殊性があります。
科学的にまだ何がどうなると言う結論も決まっていない段階で、どの科学者の意見の方が正しいと裁判所が判定してよいのかと言う疑問が世間にあるでしょう。
科学そのものでは決め切れないことが知られている分野ですから、結局は科学的意見を前提に政治責任で決めるしかない分野です。
科学ではなく最終的には政治的に決めるしかない事柄について司法権がどう言う根拠で優越的判断を出来るのでしょうか?
政治で決めるべき分野について一裁判官が危険と断定するのは裁判所の介入限度を超えている・裁判権濫用の疑念があるという立場から言えば、今回の高浜原発停止決定もその一種でしょうか?
(ただし、決定の正確な内容はまだ分っていません)
裁判権がチェック出来るのは、政治が決めた基準・最上位には憲法や法がありその下位の政省令や規則・ガイドラインどおりに設備が設計されているか、作られているか、運用されているかなどのチェック権しかないように思えます。
決めた基準とおりにやっているかどうかの当てはめも科学者の知見によるしかないのですが、科学的に一致した見解のない分野だとどうすべきかです。
例えば活断層か否かの認定基準に関する一致した見解があって、この見解によれば活断層と認定すべきなのに、敢えて稼働をするために不合理に否定した場合が考えられます。
ニュースの断片だけで分りませんが、科学的に未確定分野について・・はプロである以上は批判に耐えられるような表現工夫している筈ですから、「未確定だから危険だ」と言う乱暴な判断はしていないとは思いますが、ニュースの書き方ではそのように受け取っているようです。
個別の文字を読むのではなく、全体の文脈を読んでいるでしょうか?
地震可能性には正解がない(・・仮に活断層があるとしても毎年地震が来る訳ではない・・1000年に一回と言う正解があっても、その一回がいつ来るかは分らない)のですから、中東等への工場進出等の決断同様で全てのリスクを予知するのは不可能です。
予知出来ないことを理由にどこの国へも進出しないままでは世界企業はジリ貧です・・経営者が責任を持って毎日決断して行くのが実務です・・。
その決断に対して、その国のカントリーリスクゼロの証明を求めるのでは、どんな新規挑戦も出来ません。
国の将来投資も同様で、直感力・現場力にたけた人材・・民主的に信任を受けた政治家が法の基準を決めることですから、既定の正解を探して来る秀才の能力とは方向性が違っています。
仮に100%安全と言えない場合には実行をやめるべきで仮に事故に遭うと実行を指示したものに責任があると言い出したら、会社近くの銀行への預金に行くことだって命じられません。
わずか100メートルの距離であっても、100%安全を誰が証明出来るかということです。
ましてや新興国やアメリカへの出張命令を出してその出張中に銃撃事件に巻き込まれると、企業の無謀な命令だったと言うことで非難されるようだと、マトモな仕事を命じられません。
今回の決定が、政治→法で大枠の基準を決めて順次おろして行き・規制委が決めた基準に合致していないと言う手続違背を理由にするならば合理的ですが、政治で決めるべき基準そのものを否定する判断の場合、裁判権濫用の疑いが生じます。
政治も最上位政治や中下位の政治があり、我々地方の審議会などは下位の政治です。
上記のとおり最上位段階が決めた基準該当性の有無も誰でも分るものではないので、その段階の科学者等の関与で決まるのが普通です。
過去の事件ならば医療ミスのように医療の一般的順序に従ったかの判定が容易ですが、事前に決めるとなると本来専門家の判断に任せるしかない分野です。
この自己抑制機能を判示したのが砂川事件最高裁判決・高度な政治問題については司法権は予め判断しないと言う判決です。
最高裁判決は、裁判官には自己抑制しない人はいないと言う信用で成り立っているのですが、ここで問題にしているのは、自己抑制しない裁判官が出たらどうするかのセーフテイ機能の必要性です。
ただし,以上は一般論であって、上記のとおり決定内容をまだ知りませんので、今回の高浜の原発停止処分を命じた裁判官が自己抑制を欠いていると、ここで書いているのではありません。

個人責任と組織の関係1

日弁連や単位弁護士会が政治活動するのはどうか?と言う意見に対して、人権擁護活動だと言う議論がすり替えっぽい疑念がつきまといます。
世の中何事でも、尖鋭な政治対立も人権擁護に関係すると言えば言えますが、結局は一般人が法律解釈運動と許される政治運動の限界をどのように考えるかと言う国民判断によることになると思われます。
マスコミの中立違反・偏向しているかどうかの判断も、最終的には国民常識・・市場で淘汰して行くしかないのと同様です。
個人ならば何をしても組織の評判に関係がないのでしょうか?
年末から児童売買春の規制に関するNGOの国連(海外)での活動の怪しさを書き始めていましたが、児童の人権は正に弁護士の関心事であるべきことには相違ないですが、それと国連に出て行って日本の酷い?現状を過大にアッピールする必要性があるかは、別途の国内政治判断です。
弁護士個人の政治活動は、日弁連などの組織の政治運動とは違って民主国家において自由ですが、国連男女差別撤廃委員会(日本弁護士が委員長)皇室批判の勧告案が日本政府に示されたことがタマタマ大ニュース・・になっていますので個人と組織の関係に触れておきます。
野球や芸能人の業界や一般企業組織等で、組織内の個々人が業務を離れて何をしようと何を言おうと本来組織に関係のないことです。
それでも組織の一員が不祥事を起こすと組織として対応し記者会見などで大騒ぎしています。
物造りやスポーツなど社会道徳意識の合致と無関係に構成されている組織でさえそうです。
もっと広く言えば何の関係ない筈のムラや街から立派な人が出ると、その地域の誇り・・立派かどうか分りませんが、甲子園やオリンピックで活躍するとその地域が盛り上がります・・・逆に言えば、おかしな人が出てもその地域の評価に関係している筈です。
血縁の多いムラ社会ではなくなっても、地域の評判を気にするのは単なる名残か、あるいは犯罪者が出るとその近くに住むのが不安になる・・偉い人がいると周辺人がいい方向へ薫陶を受ける・・メリットとデメリットとがあるからでしょうか?
今は地域社会よりも企業や組織社会での生活時間が長いので、組織内の人格的影響は地域社会よりも何倍も大きい時代です。
従業員が何万人といる大企業の末端で不祥事があったり暴言を博と組織トップが謝罪の記者会見を開いたりするし、トップ次第で企業のあり方が大きな影響を受けると言われています。
従業員が何をしようと暴言を吐こうと企業に関係がないと開き直っていると、社会の支持を得られない・・売上減や優秀な人材獲得競争に負けるので企業が対応に追われるのです。
芸能界・野球や相撲の場合タレントや選手は独立事業者としても、不祥事があると業界全体のイメージ低下になるので業界が必死です。
政治家も何を言おうと勝手ですが、評価・支持率の上下作用があるので、無茶な独りよがりは次の選挙に影響します。
政治家全体が社会から見ておかしいと思われると優秀な人材が政治に行かなくなりますので、「政治業界」全体としての利害もあります。
大金がかかってスポンサーの言いなりになるしかない・・アメリカの大統領になり手がいない・・変な人しか立候補しないと言われるようになっているのは世界全体の不幸です。
こうして見ると民主国家においては個々人の行為や発言を国家が発言を規制したり(違法でない限り)処罰出来ない代わりに、市場評価で自ずから規制されて行くことが分ります。
業界員全体が市場評価に曝される仕組みこそが正に民主政治の基本です。
裁判官や弁護士のように直接的な市場評価のない分野で暴走があった場合、どうすべきかが最近の関心になっています。
超長期的には優秀な人材が行かなくなる点では政治家その他と同じですが、短期・中期的弊害をどうするかの問題です。
裁判の暴走リスクに関しては市場評価による修正が間に合わないので上訴制度があってその間に効力が出ないようになっていますが、仮処分の場合即時に効力が出てしまい、異議申し立てがあっても異議審で取り消されない限りその間に効果が出たまま(異議審の決定が出るまでには数年かかるのが普通)になってしまうのが大問題です。
今朝の日経新聞では高浜原発稼働禁止仮処分命令が出たと言うニュースが出ていますが、一旦仮処分が出ると仮に明白に行き過ぎで違法である場合でもこれを覆すには数年単位の時間が必要ですからその間巨大な原発設備が停止したままになってしまう・・一企業の損失に留まらない国益喪失は巨大なものになります。
弁護士が個人で国連で活動を続ける(とは言っても日弁連の推薦があったのではないか?)・・あるいは一裁判官が原発停止を命じる・・・等の行為が、もしも国論の割れる問題である場合、反対論者からの彼らを推薦したり任用している組織全体に対する批判になりませんか?

中国の過大投資調整23と個人の弱さ8

政権内権力闘争から経済に戻します。
マンション2戸目を買ったり投機して来た階層は、言わば共産党幹部またはこれにコネのある高級官僚から中間層に広がっていました。
政権の安定性は支持層が同心円の外側に広がれば広がるほど安定性が増しますが、マイナス局面では、外側から順に離反して行き中間層にまで離反が広がると危険ラインになるのが普通です。
日本で言えば共産党や公明党その他コア支持層は簡単に変わらないのですが、浮動層・中間層の支持変化が政党の消長を左右します。
中国では、支持層離反を食い止めるために不動産バブル現象が起きていると分っていても、直ちに引き締めて不動産関連事業者や金融関係・地方政府やマンション購入層を切り捨てることが出来ずに、金融引き締め・緩和の繰り返しやマンション2戸目購入禁止したり、緩めたりして試行錯誤を続けて来たのでしょう。
引き締めたり緩めたりの繰り返しではどうにもならなくなって、(外資流入が減って新規流入資金不足が基礎にあるのですから、)昨年末からの株投機の勧誘=これまで投機に関係のなかった庶民を引き込んで新たな資金流入を図ったものと思われます。
城で言えば外郭陣地を放棄して本丸としての共産政権だけ死守するのは最後の最後ですから、外郭陣地にあたるマンション購入・中間層を守り切りたいでしょう。
昨年からの動きは城塞都市の外にいる庶民・農民から食糧を取り上げて城内の食糧備蓄を増やそうとしたような段階です。
資金吸い上げ策として株式バブルを煽って株バブルで儲けた庶民にマンションを買わせて、投機目的マンション購入層・・中間層の売り逃げ・救済してしまおうとするのが今年前半までの動きでした。
株購入の場合は不動産を買うほどの安定収入やまとまった資金のない者も参加出来ると言う触れ込みで、(このために中国では個人の信用取り引き比率がバカに高いと言われていました)中間層の外側の庶民を巻き込もうとする作戦です。
(手持ち金の百倍変えるよ!と言うキャッチセールで百分の1の僅かな資金でも吸い上げてしまおうとする戦略です)
この大宣伝に載って多くの庶民が家族そっちのけで「株未亡人」と言う流行語が生まれるほどのめり込んでいると5月ころには報道されていました。
ねずみ講同様で、当面は新規参入者増加で株価は当面上昇を続けるでしょうから、うまく売り抜けた人が夢のマンションを手に入れられます。
買う人がいると言うことは売る人がいる訳で、既存株主が値上がり益で大儲けしたこと・・バブル崩壊で損をしている階層の穴埋めになった・・バブル崩壊による大量デフォルトの先送りになったでしょう。
庶民の参入資金が尽きるまでは上昇を続けるので、その間に売り抜け出来る中間層が出る・・・・高値づかみして困っていたマンションの売り抜けが出来るし、・・新規参入でマンションを手に入れた庶民は自分が住めば良いのでこれはこれで良い結果です。
早めに参入して早めに手仕舞いした人は儲けだけ手に入れて良い結果になっているでしょうが、そんなこと出来る人はホンの数%あるかないかでしょう。
ねずみ講形式は結果から見れば、損をする人の方が多いのが原則です。
権力支持層が政界や経済界・・中間層を当てに出来なくなって、城で言えば本丸を守る軍部だけを頼りにするようになると、政権末期になるので今は必死でしょう。
もっと弱い庶民大衆に大損害を付け回すようなことが成り立つのは、中韓共に個人がものすごく弱い立場にあるからでしょう。
北朝鮮では張成沢処刑の例を見れば分るように、どんな権臣であっても、権力を継承したばかりの金正恩に直ぐ処刑されてしまう状態です。
中韓両国と北朝鮮ではどんなに権勢を振っていた高官と言えども、専制君主の逆鱗に触れると一朝にして獄門入りの歴史しか経験がありません。
中国では今でも薄煕來に始まる粛清騒動・・周永康・令計画などひとたび政敵になった元高官・幹部の運命がそうです。
このために権力者層にとっては、いつでも国外に逃げ出せるようにいわゆる「裸官」が一般化しています。

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