総選挙と民度2(民進党支持率低下1)

いわゆる森友・加計問題に限らずこの数年の民進党の国会活動は、陸自レポート問題その他揚げ足取り的追求ばかりで、その先、政策にどう結びつけようとしているのか見えない・・国民は飽き飽きしている状態が、支持率低下にあらわれているとみるべきでしょう。
国会審議の中心テーマとしてこういう揚げ足取り国会戦術を選択をすること自体に党代表/執行部の責任が一定程度あるとしても、民進党自体の政策立案・政治能力・姿勢が問われているのですから、「代表・看板さえすげ変えればいい」という安直な姿勢では党再生は無理でしょう。
この点は希望の党への全面合流という名目での看板書き替え戦略が選挙で通用せずに失敗に終わったこととも共通しています。
希望への合流といえば希望の党に吸収合併されるかのような響きですが、希望の党には現役議員がいるとしてもそのほとんど全部が民進党から離党し早めに移籍した議員が中心ですし、立ち上げて数日しかないのですからまともな事務局体制もないので事務部門を含めて実質的には民進党が希望の党を飲み込んでしまうものの「代表だけを小池氏に据え置く」だけのカラクリ・・看板付け替えの一種です。
解散前民進党支持率に戻しますと、前原代表執行部成立後幹事長に内定していた「日本死ね」で知られる山尾志桜里氏の不倫騒動は「山尾志桜里」で出るウィキペデイアの記事によれば以下の通りです。

「2017年民進党代表選挙にて代表に就任した前原の下、一時は幹事長に内定し本人も受諾したが、起用は取りやめとなった[15]。その一因として、党内からの経験不足との批判に加えて、2017年9月7日発売の週刊文春が弁護士の倉持麟太郎との交際疑惑を報道したことが影響したとされる[16][15][17][18][16][19]。幹事長には大島敦が就任し執行部入りは見送られた[20]。また、山尾は疑惑を否定した[21]。過去に自民党の宮崎謙介が不倫騒動を引き起こした際にテレビ番組で批判していたことも顰蹙を買う要因に繋がった(宮崎は後に議員辞職)。
一方で、「党や支援者に迷惑をかけることになると判断した」等と述べて同日、離党届を大島に提出した[22]。民進党はこの離党届けを翌8日に受理した[23]。」

船出したばかりの民進党前原執行部にとって山尾氏の離党騒動のダメージは計り知れないものがありました。
これを受けた後の世論調査は以下の通りです。
http://www.sankei.com/politics/news/170918/plt1709180014-n2.html

2017.9.18 11:36更新
産経・FNN合同世論調査】
自民党を除く政党支持率は、民進党が6・4%で0・5%下落した。以下、共産党4・5%、公明党3・6%、日本維新の会2・6%と続いた

この状態で9月中旬頃には、安倍総理による臨時国会冒頭・28日解散が急浮上して民進党は大慌てになりました。
前回(平成26年11月解散で出てくるウィキペデイアによると「民主党は元職や元参議院議員を当選させ73議席を獲得し、党勢を若干回復させた。」とあります)民進党当選者が73名でその後日本維新との合併を経て・・維新系の一部は大阪維新の会に移るなどしていたので、衆議院定数465名中民進党議員は今年始め頃には約80名あまりの記憶ではっきりしませんが、(泥舟から逃げて予定されている小池新党結成創立に関わろうとする離党者が続々出ていたので、どの時点を抑えるかで数字も変わりますが)とすれば、わずか6〜7%の支持では、大幅減が避けられない情勢でした。
慌てたのは来年の総選挙を前提に新党立候補者を決めてから新党を立ち上げて内部組織や全国組織の準備して国政に打って出ようとしていた小池氏も同じです。
10月27日日経新聞長朝刊4p「小池劇場の議員心理」には以下の通り記載されています。
記事では曖昧に支持率1桁台(2〜3%も9%台もある幅の広い書き方です)と書いていますが、その前数ヶ月ほど繰り返された世論調査では上記の通り7%以下で沈んでいたので、これを精一杯膨らませた新聞の書き方です。

「・・泥舟から降りて救命ボートに乗りたいーこれに民進党議員が飛びつかない選択肢はなかった。報道各社の世論調査で民進党の支持率が1桁台。惨敗した7月都議選に続き『このままではジリ貧』との悲鳴が上がったが・・・小池氏の登場で期待に変わった」「選挙を前に離党した前議員が続出。・・相次ぐ離党者を受けて民進党前原誠司代表は9月28日の両院議員総会で希望への合流方針を1任を取り付ける形で決定。1時間足らずの会合で理念や政策はほとんど議論されず前原氏が『全員が立候補できるよう全力を尽くす』と述べると拍手で了承した」
「だがほどなくしてその方針が小池氏によってほごにされる。・・リベラル系らを念頭に『排除する』と明言」・・・「不思議にも議員からの反発の声は限定的だった」・・「自分は排除されるのだろうか」と「多くの議員はみづからの処遇を心配するのが精一杯」・・・『立憲民主を立ち上げた枝野氏でさえ相当悩んでいた』と枝野氏に近い議員もこう明かす」

いわゆる満場一致採択でしたが、理念の違う保守系の支持で成立している小池新党への合流に対する疑念は一切出なかった様子です。
わずか7%前後の支持率では465人の衆議院定数のうち民進党系議員が80人前後も占めていること自体が国民意思を反映していません。
「安保法制反対・・大多数の国民意思を無視するな!」と主張する張本人・運動体の主力政党が国民の6〜7%しか支持されていないのですから、いわばギャグみたいな主張です。
しかも小選挙区では理論的には最多得票でない限り当選できないのですから、7〜8%の支持率では壊滅的でしょうから、十数人あるかないかの党幹部等の大物(前回選挙では菅元総理や海江田党代表が小選挙区で落選しているくらいです)以外にはせいぜい比例代表でしか生き残れない見込みでした。
比例代表が仮に支持率をそのまま反映してもタカが知れています。
ウィキペデイアによれば、26年の第47回選挙での民主党の当選者数と内容は以下の通りです。

小選挙区
g      得票数       得票率      議席   議席率    合計議席  議席率
民主党  11,916,849.274        22.51%        38     12.88%
比例区
民主党  9,775,991        18.33%            35     19.44%          73    15.37%

上記の通り個人要因を除いた比例・・党の支持率約18%の得票率で議席35ですから、6〜7%の支持で選挙に臨めば比例当選者が3分の1前後になります。
上記日経新聞の記事では民進党の看板を希望の党に付け替えることによって一人でも多くの議員が生き残る方法を模索していた状態が炙りだされています。
あとで「排除」されそうになってから立憲民主党を立ち上げたグループも、小池氏に「排除」さえされなければ合流するつもりであったことが上記記事の経過で明らかです。
今になって合流を提案した前原代表を難詰するのは(全員が「渡りに船」とばかり諸手を挙げて賛成していたのに)自分勝手です。
前原氏が小池氏の真意を読み違えた(騙された)というより民進党全員が、臨時に雇われマダム・小池氏を看板にして選挙時だけ支持率を上げてから「希望の党を乗っ取ればいい」と安易に考えて、その場合世論がどう反応するかを読み違えた点では同罪です。
立憲民主を結成したグループは「節を曲げなかった人の集まり」というイメージ戦略に成功していますが、実態は希望の党への入党を拒否されそうになって慌てて立ち上げたと見るのが実態でしょう。
立憲民主党のことは別に論じるとして「民進党が希望の党へ合流」という名目での看板付け替え戦略の左翼系のメリットは以下の通り推測されました。
左翼系政党全体で見れば、人気のある小池新党に合流して同党の公認とすれば、小池氏支持層である保守系あるいは浮動票が大きく取り込めるので当選率が上がるメリットがありました。
大量落選の予想に怯えていた(上記引用の通り前回選挙では18%の支持でも元総理や現職の党代表まで落選しました)大多数の民進党議員は、・・小池新党の政治理念の吟味をあえてせずに・うやむやにして恥も外聞もなく満場一致でこれを歓迎した背景でした。

総選挙と民度1

都民ファーストとは言うものの、希望の党の名称や「しがらみをリセットする」という内実なしのキャッチフレーズと同じで具体的に何をどうするのか見えない・トランプ氏のフレーズをあんちょこに借用している印象がぬぐえません。
東京都民の稼いだ富が地方に投資されて使われ、都民が汗を流して稼いだ富が地方に収奪されているのかと言えば、逆でしょう。
これ以上東京都が富を独り占めすべきか?富の東京集中の方向性こそを、このままで良いのか論じなければならない段階です。
地方収奪・地方の工場生産による企業利益や地方支店売り上げ等が本社所在地の大都会の収益になってしまう・・富が集中する社会システム全体こそ長期的視点で議論されるべきです。
2003年10/02に「地方自治と人材3(憲法38)」前後のシリーズで地方疲弊の仕組みの一つとして、地方の親が大金を投じて次世代を養育してようやく一人前にすると都会に就職して人材を奪われてしまう・・親が死ねば相続で地方のお金を都会に持って行ってしまう・・肥料をやらないで農地から食料を収穫し、樹木から果樹をとっている一方的関係に似ていて(肥料を補充しないと)土地が痩せるのと同じで地方が疲弊するに決まっていると書いたことがあります。
この肥料に相当するのが地方交付税その他繰り替えし行われている地方振興策です。
いくら振興策を繰り返しても効果がないという尤もらし批判が多いですが、果樹園や農地から毎年収穫する以上は、収穫に見合った肥料や種まきも土地を耕すのも毎年(際限なく)必要なのは当然です。
地方工場出荷・販売代金を本社経理部で管理する以上は、現地工場経費・資材購入費も本社から送金・払うのは当たり前でしょう。
小池氏の都民ファーストのフレーズは・・地方の営みの成果が大都会に集中するのを今以上に地方から富を都に吸収して良いかの大きなテーマを検討した上のフレーズとは到底思えません。
こうした実質変革の内容を伴わない流行語に軽く便乗する「都民ファースト」ではなく、日本列島全体の首都・王者として列島全体の指導者として振舞ってもらわないと困るのですから、「都民ファースト」の標語は心無い都民のエゴに訴えたかも知れれませんが、我が国民族一体感の実態に反したもの・・イメージ誤流用の誤った戦略と受け止めた人が多いでしょう。
マスメデイアは、「安倍政権の支持率を下げられれば大喜び」という立ち位置なのか?この党こそ「希望がある」とばかりにしきりに小池氏の立ち上げた「希望の党」を持ち上げていましたが、10月22日投開票の衆議院選挙の結果を見ると一般庶民はメデイアの宣伝に乗らずに冷静に見ていたようです。
護憲・革新という矛盾概念を標榜する超保守勢力を囃し立てるメデイア界では、総選挙で小池氏が国政に打って出れば、保守系として知事戦を戦った小池新党が都議選並みに保守票を何割か食うに違いない・・保守分裂選挙で自民党が大負けするとの読みでした。
安倍政権が倒れる前提で大喜びのシュミレーション・小池氏を軸にしたいく通りかの連立政権の組み合わせ議論がメデイア会では一色になっていました。
そのためには小池氏地盤の東京都内だけではなく、自民党議員大幅減にならないので希望の党が全国的に立候補させることが必要という議論が進んでいました。
・・ただ小池新党が各地の自民票を食うために全国的に候補者を立てるには資金力がないし組織もない・・(二百人以上の立候補になると供託金だけでも巨大です)・・・これがネックでした。
安倍氏による想定外の?奇襲攻撃的解散のために慌てて立ち上げた急ごしらえ政党のために全国で200名もの候補者を発掘する作業が間に合わない・候補者すらいないばかりか手足になるべき地方組織・・足腰も資金もありません。
そこでまず資金供給源として編み出されたのが民進党公認予定の候補をそっくり受け入れてそのまま希望の党の公認と切り替える・連合の運動員(組合員)もそのまま引き継げる「見え透いた』奇策でした。
この合流決定は連合も交えた三者協議だったといわれるのは、選挙に必須の手足となるべき運動員確保のためでもあったでしょう。
一般に政党で公認すると選挙資金・公認候補者に供託金程度・数百万円以上出すのが普通らしいですが、「希望の党」の場合逆に、公認条件として巨額資金を提出させる報道が出ていました。
その手順として、希望の党へ公認申請/民進党員脱退直前に、民進党は民進党各支部長(原則として公認予定者)宛に一人当たり2000万円配布したという報道がありました。
その資金を希望の党公認御礼として希望の党に拠出する手順です。
この種情報が漏れ始めて民進党の資金を希望の党へ事実上移し替える脱法行為?の裏工作が、合流発表の舞台裏で行われていたイメージが浸透し始めました。
全て民進党に頼るのでは、民進党党首の顔を選挙の時だけ臨時に「雇われマダム・小池氏」にしたのとどのように違うのか?と国民多くが疑問を持ったのがこの奇策の弱点でした。
マスメデイアが表面上「小池よいしょ」的記事を洪水のように流している裏で、こういう裏情報も客観情報として並行して報道されていた事実を見ると、メデイアが一方に偏っていたという批判が当たらないのかもしれません。
あるいは大見出し等では小池人気を煽っているものの、内部でこれを不満な中堅がいて小さな情報としてそれとなくパラパラと流す反骨人士がいただけかもしれません。
民度レベル・表題等のイメージに左右される層が厚ければ、大手メデイアの動向・芸能人をスター化するようにメデイアが作り上げる虚像が人気投票・・世論を決めて行きますが、民度が上がってくると虚像だけでは動かない・・内容をじっくり読む・・ネットの方が詳しいのでこれを読み比べる人が多くなると実際の行動を見て自分で総合判断する人が増えてきます。
メデイアの評価(イメージづくり)を知りたいのではなく、国民はデータさえ提供してくれれば自分でどう言う人か政党かを判断する時代です。
民進党の両院議員総会では前原代表は「全員合流できるように努力します」表明したということで(民進党立候補予定者全員合流を期待して)満場一致で合流方針支持したのは(その他の党員はそのまま民進党に残して)まず希望の党へ合流する意味は、希望の党の公認候補になりたい「だけ」と言うやり方です。
(選挙となればそのノウハウ・問い合わせに対する指導などのバックアップが必要ですが、希望の党は9月25日に立党宣言をしたばかりで党組織・代表選定過程やとか幹事長やその他各種決定手続きや機関そのものすら決まっていない・「排除論理」もどういう機関決定を経たのかすら不明・小池氏の思いつきでコロコロ変わって行くイメージです)そもそもバックアップするほどの能力のある党組織や事務局というものがありません。
民進党の党組織がそのまま残って立候補者だけ移籍するということは、喧嘩別れの離党ではなく満場一致の全員合流目標ですから、事実上彼ら立候補者のために後方部隊として動く意味があるのでしょう。
民進党が希望の党に資金協力や運動員で協力するメリットは、民進党は党勢の激しい落ち込みを理由に蓮舫代表が辞任したばかりで党勢はジリ貧の一途でしたから、このまま選挙戦突入では大規模落選?解党的結果になるリスクが予想されていました・・・。
直前民進党の支持率はhttps://matome.naver.jp/odai/2149310737439254701からの引用です。

支持層の高齢化が進んでいるのが民進党だ。今年12月の調査で、民進党支持層の60歳以上の占める割合は、62・0%に達した。共産党の60・5%も上回っている。旧民主党政権時代は50%前後で自民党と大差なかったが、徐々に増加。
出典【政治デスクノート】自民党に異変 “シルバー政党”化が進む民進党を尻目に若者の支持を獲得(3/3ページ) – 産経ニュース
政党支持率は、民進党が6・6%(同1・8ポイント減)で、昨年3月の結党後、最低となった。
出典世論調査で民進党の支持率「大きく下落」に皮肉続出「森友頑張ったのに」「審議拒否と騒いだのに」 | BuzzNews.JP

このままで選挙になると現職続々落選?大変だという恐怖感から、蓮舫氏が代表を辞任せざるを得なくなり、17年9月1日代表選が実施されたのですが、前原代表選出後の支持率は以下の通りです。

代表選とは何だったのか…民進党支持率、さっそく低下7%→5% 「前原氏に期待せず」39%

代表選とは何だったのか…民進党支持率、さっそく低下7%→5% 「前原氏に期待せず」39%
毎日新聞は2、3両日、全国世論調査を実施した。
1日の民進党代表選で選ばれた前原誠司代表に「期待しない」との回答は39%で、「期待する」の31%を上回り、「関心がない」も24%あった。
上記の通り同党の支持率は5%と低迷したままで、代表交代による浮揚効果は今のところ出ていない。」

政争と粛清5(飢餓輸出・平均寿命低下)

政争と粛清5(飢餓輸出・平均寿命低下)

国民を飢え死にさせてまで穀物を輸出するようなことが、何故起きるのでしょうか?
飢餓輸出に関する本日現在のウィキペデアの記事からです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/

発生原因
国家財政が破綻するなど経済情勢が極端に追いつめられた局面で発生する。
宗主国が植民地(国)に対して行う強要。
外貨獲得のための単一作物の一辺倒な作付けによる、主食となる食糧生産量の減少。
20世紀、一部の計画経済の国では、国力の限界を超過した重工業化が行われ、その為の手段として、外貨獲得の為にその国の食料需要を無視した食料輸出が頻繁に行われ、発生した。
実例など
ロシアでは、ロマノフ朝末期から西欧諸国(特にフランス)への債務返済の目的で、小麦の飢餓輸出をおこなっていた。飢餓輸出はソ連時代になっても、外貨獲得の手段として続行された。ウラジーミル・レーニンは市場経済廃絶も兼ね、根こそぎ強制搾取で500万以上の死者を出し、ヨシフ・スターリンによる強引な農業集団化政策の影響で、1932年‐33年にウクライナで大飢饉が発生した際も、スターリンの命令により、引き続きウクライナから大量の小麦が輸出目的で搬出されたことで、飢饉の影響はより深刻かつ凄惨なものとなった。
近年で有名なところではルーマニア社会主義共和国の元首、ニコラエ・チャウシェスクの行ったものである。西側諸国からの累積債務返済のため、飢餓的な輸出を強行し、生活用品や食料品も不足したとされ、ルーマニア革命の遠因ともなった。
日本の1993年米騒動では、日本国内で米が不足したため海外から米を輸入することとなった。そのため米を輸出したタイ国内では逆に米が不足、高騰を招く事態となった。海外では、当時の日本国内には米以外の十分な食料があったことを皮肉って、ある種の飢餓輸出と呼ぶこともあった。
北朝鮮では国内各地で食糧不足が深刻化しているにもかかわらず、外貨を獲得するために飢餓輸出を続けているとされる。主な輸出品目はマツタケや魚介類である(ただし、正確な情報の不足から完全な把握は困難)。
中国の大躍進政策で多数の餓死者を出す原因となったのは、ソ連からの借款の返済に農作物を充てていたことが一因となったという指摘もある。

上記を見ると表向きは出てきませんが、中国大躍進政策による餓死者について18日に見たようにチベットなど少数民族の餓死率が極めて高いなど国内に抱える被支配民族に対するジェノサイド目的が背後にあったと見ればソ連との共通項が見えてきます。
大躍進政策失敗責任で一旦公職を退いた毛沢東が失地回復のために打ったのが文化大革命という名の大規模粛清でしたが、この気狂いじみた大粛清の大嵐がスターリンに比べて短期間で終わったのは、毛沢東が死去したことにより側近として猛威を振るった4人組が失脚したことによります。
粛清政治が一旦始まるとガン細胞のように巨大化する一方でスターリンやクロムウエル同様に権力者の病死、あるいはナポレンやヒットラーのように外征の失敗以外に終わらないのが特徴です。
粛清政治の連鎖による民生圧迫・疲弊の螺旋状強化に歯止めをかけるべくスターリン死亡後登場したフルシチョフのスターリン批判〜ゴルバチョフのペレストロイカ→ソ連崩壊後のエリツイン政治へと粛清政治をリセットしてみると社会が大混乱に陥りました。
これを収拾するにはプーチンの強権的政治にもどるしかなかったようです。
民主化に端を発した大混乱の総合結果であるロシアの平均寿命の急落を見れば、いかに民主化による混乱がひどかったかがわかります。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8985.htmlからの引用です。
これによると単に生産が減って食料等不足になっただけではなく、恐怖時代に社会のあらゆる場面に病根が広がっていた結果によることを具体的に見ることができます。

年齢別の死亡率から計算される平均寿命はその国の健康状態、経済発展、社会病理の状況を集約して示す指標である。
2015年の平均寿命は、男は66歳、女は77歳である。男の平均寿命が60歳代半ば、すなわち定年年齢程度である点はやはり目を引く。ロシアでは年金問題は生じないとも言われる位である。男性の平均寿命が短い点とともに男女差が世界一大きい点がロシアの特徴であるとされる(図録1670参照)。
ゴルバチョフが企業の独立採算制と自主管理制を導入する経済改革などペレストロイカ政策を本格実施しはじめた87年から、いったん低下したアルコール消費量の再拡大と平行して、平均寿命は再度低下しはじめた。1991年のソ連邦崩壊後、1994年にかけては、一層急激な平均寿命の低下をみており、この時期の社会混乱の大きさをうかがわせている。
労働市場の改革、1990年代の深刻かつ長期にわたった景気後退、そして社会保障の崩壊が人々の心理的ストレスを増やす結果となったと考えられる。これは、アルコール消費量とアルコールが原因の病気に表れている。同時に、法、秩序および治安を扱う国の制度が崩壊したことに伴い、暴力的な犯罪が増加している。インフォーマルな経済活動や、暴力にものを言わせた取り立ても、平均寿命低下の原因となっている。1990年代前半だけで男性の殺人被害者は2倍に増えた。
裕福な世帯の多くは新たな民間の医療サービスに頼るようになっており、多くの貧困世帯にとっては、あらゆるところで賄賂その他の正規外の支払いを求められるために、「無料」の公的医療サービスは手の届かないものになってしまった。」

アメリカの地位低下と逼塞する言論空間

アメリカは政治経験が乏しい結果、伝統的に複雑な多角的交渉が苦手です。
・・まして個人としても政治経験のないトランプ氏は困ったでしょう・・多角的複雑な議論をするG20ではどうして良いか不明だから、プーチンやその他との1対1の会談に予定外の時間をかけて会議にほとんど出る時間がなかったとも読めます。
せっかく会議に出てもすぐに中座して娘のイヴァンカさんがその席に座ったことがおお騒ぎになっているほどです。
トランプ氏は多角的意見交換が苦手だからです。
G20が開催されたドイツ現地報道では、G20でのトランプ氏の言動にはほとんど関心がなく報道されなかった・・欧州にとって重要なのは中国の方向性というメデイアの関心であったと言われます。
国際貿易量で中国が主役を占めるようになる傾向があるときに、今後世界貿易に占めるアメリカの世界貿易に占める存在が縮小して行くことが明らかな状況下でトランプの保護主義宣言→何を言ってもアメリカの言動より中国の行動予定・発言に関心が集まるのは仕方がないでしょう。
韓国の最大貿易相手国が中国になって久しいですが、(だからこそ韓国が露骨に中国になびいたのです)ドイツも以下の通りですhttp://jp.reuters.com/article/germany-economy-trade-idJPKBN16303B
World | 2017年 02月 24日 09:53 JST
「ドイツ最大の貿易相手国に中国が浮上、米国抜く」
アメリカの貿易上の優位性は、ニクソンショック以降放って置いても自然に下がっている趨勢下にあって、それが隠しきれなくなって表面化してきたに過ぎません。
これに苛立ったトランプ氏がFTAを見直す、中国に高関税をかける・メキシコ国境に壁を作る、北朝鮮を制裁するとかアラブ系の入国規制するなど無茶〜乱暴なことをいえば、国力低下によるストレスの溜まった国民にとっては溜飲が下がるでしょうが、これを言えば言うほど世界貿易に占める比重が下がる一方になるのが目に見えています。
北朝鮮問題はアメリカの国力の限界をわきまえて歴代政権が自重せざるを得なくて自重してきたものでしたが、これを優柔不断政治と非難しまくって大統領になったトランプ氏が就任後鳴り物入りで・・一種の瀬戸際作戦で世界中を騒がせたものの、これまでの経過を見る限りトランプ氏も歴代政権同様に効果的な政策を取れない現実に直面しています。
「少なくとも県外へ」の民主党だけではなく、小池都知事も築地市場やオリンピック問題と次々と騒ぎだけ大きくしたものの、終わって見ればなんのための騒ぎだったのか!という結果になっているのと同じです。
選挙目当てのパフォーマンスや奇をてらう政治家が出ると、国民はこれについ期待してしまうのですが結果的に振り回されて迷惑を受けるだけ(築地関係業者は予定が立たずに困っているでしょう)誰が政権を取っても現実無視の極端な政治は出来ないということです。
アメリカに投資しても中国のように国家要求によるゴリ押しリスクが少ない・・戦後秩序はアメリカに都合よくできているとはいえ、一応制定法によるルール化・透明化していることが魅力でした。
(アメリカの)法による運用が保証されているので、これに従ってさえいれば先が読める・恣意的運用による不透明さ・・後進国のカントリーリスクはこれです・・が少ないことから、世界から新規投資されてきた傾向(移民人気も根っこは同じです)がありました。
今後投資家にとってはアメリカも中国並みのリスク国家扱い・投資しないと市場参入させないと脅されるから仕方なしに投資する程度の国になっていくのでしょう。
そうなれば、よほど投資に旨味がある見通しがない限り投資しなくなる・・無茶を言えば言うほど影響力が下がる一方になります。
トランプ氏の発言に一貫性がなくコロコロ変わると「また言ってる」・・とその内どこの国もそれほど気にしなくなる・図体がまだ大きいので無視できないだけ・中国以上に迷惑な存在になって行く可能性があります。
中国にとっては、領土拡張主義で無茶をやって世界から袋叩きに遭いそうになっていた時に、努力しないでも最大競争相手アメリカの敵失・自滅によって覇者の地位が転がり込んで来そうになって内心ほくそ笑んでいることでしょう。
中国も対等者間の多角的交渉の歴史経験がありませんので、お互い「イイトコ勝負」というところでしょうか?
相手を陥れたり敵失によって転がり込んできた地位は、ふさわしい能力の裏づけがない分だけ脆弱です。
専制支配の経験しかない中韓政治家は、長年権謀術数で勝ち抜くことを優先課題でやってきましたので、自己の力を蓄えるよりは相手の力を削ぐスベには長けています。
自己能力が十分で周りから押されて地位につくのではない結果、自分の地位を脅かす政敵の浮上には敏感です。
この結果猜疑心の虜になり粛清/恐怖政治に陥りがちです。
専制君主制に代わる近代的表現である共産党1党独裁・粛清装置とセットになった独裁政治が本性にあっているのです。
中国共産党はネット環境を逆手にとって、膨大なチェック・監視要員を雇うことにより、世界全部を恐怖支配し尽くす制度を構築するために励んでいるように見えます・・。
そんなことにエネルギーを使うよりは社会を良くする方向へ若者のエネルギーを使うべきですが、権力者にとっては、社会のためになるかよりは、自己権力維持の方が優先するのでしょう。
ただし、人海戦術のネット検閲をバカにしてはいられません。
最近アメリカでもヘイト関連意見を駆逐する動きが報道されているように、AIの進歩で運営者は単なる「広場」の提供にとどまらずいろんな情報蒐集ができてその気になれば簡単に削除妨害できるようになってきました。
今後犯罪勧誘情報その他の削除義務・・運営者の削除責任が重要になってきていることを、今朝の日経新聞6pのフィナンシャルタイムズのオピニンでは紹介しています。
メデイアが大合唱し運営者がヘイトと認定すれば?裁判等の公的判断を得ずに自由自在に削除できてしまう・・正式なデモをメデイアがヘイトと認定すればこれを暴力で妨害した方が正義であるかのような変な風潮になってきました。
相手をヘイト集団と認定さえすればメデイアやネット空間から抹殺できてしまい、意見の違う相手にまともな発言をさせない・変な社会になってきました。
アメリカ国内でこの種言論弾圧運動が行き過ぎると、不満すら表現できない鬱屈がついには暴動やテロになってくるリスクが高まります。
裁判で負けそうな事案だけ厳選しているから良い・・世の中の道徳はこのような自制によって出来ているのだと言うでしょうが・・。
第一次世界大戦の頃から極東軍事裁判〜戦後の世界支配のルールに見られるアメリカの相手国に対するご都合主義政治・自国に都合がいいかどうかによる・・二重三重基準の正義・・アフガンゲリラを育てた結果9・11のテロに育つなど悪行の数々をしてきた経験は国内でも根付いてきたようです。
子は親の背中を見て育つと言いますが、アメリカが外で数々の非道徳なことをしてきたツケが身内に及んできたと言うべきでしょう。
欧米はまだ人道主義という衣をまとっていますが、この権能を悪い方・政府に都合の良い支配道具にあからさまに使っているのが中国政府というところでしょうか?
閉鎖社会であればスターリン型恐怖政治は国の隅々まで広がる一方で永遠に続くかも知れませんが、世界全部を恐怖政治で支配し尽くすのは不可能ではないかと言う淡い希望を抱いていましたが、AIの発達が思わぬ方向へ行きそうで・・どうなることやら・・。
いずれにせよ、こんな危険な方向性を持つ国家が世界の覇者にならない方が良いに決まっていますが・・。

メディアの信用低下(事実に基づかない報道の危険性)

今回NHKの「クローズアップ現代」の見出しと内容の食い違いを書いていて気がつくことは、報道関係者には基本的に反政府主義者が多いとしても、報道全てに言えることですが、政治的な主張するには特に反対論者がいることからより一層綿密な裏づけ調査が必要なのにこれを怠っている・または人材劣化が起きているからではないかと思われます。
昨日最後に書いたように日経新聞が文化欄に逃げているのは、ツッコミが浅すぎても読者が減るだけで反論が来ない気楽さがあるからでしょう。
政治利害のある意見では、読者が減る程度では収まらず、利害関係者の強烈不満を呼び反対調査によって覆されるリスクがあるからです。
サンゴ礁のやらせ報道では、地元漁協に利害があったことから漁協の反発で判明したものです。
その後ネットの発達によって、政治テーマではメデイア以外のものも反論できるようになってきたので、フェイクニュースが次々と暴露されるようになると、事実を脚色する報道のあり方が大きな問題になってきました。
あるいは読者や視聴者レベルが上がってムードだけ煽る・根拠のない意見には疑問を呈する人が増えてきたのに、メデイア側が社会のレベルアップに追いついて行けなくなっている状態かもしれません。
これがトランプ氏によって、アメリカでもフェイクニュースの批判を受けるようになった原因です。
フェイクニュースは、積極的フェイクもあれば調査能力不足もあるでしょうが、もともと報道各社の色付立場が重視され事実調査を軽視する傾向があれば、結果的に調査能力も上がりませんから根は同じです。
色付け角度付け報道が改まらない弊害というか、報道に限らず化学技術の発明発見その他何事でも一定の角度からの関心・動機に基づく実験や調査が始まりその結果、掘り起こしが必要なので、それはそれでいいのですが、関心だけで事実に基づく裏付け調査を省略して調査した事実のように装って報道して良いかは別問題です。
慰安婦騒動に関して角度づけに基づく関心が先走って事実調査不足が問題になりましたが、「破産急増」テーマは誇大報道であって事実無根でも慰安婦ほどの大事件性がありません。
このため、この報道を見た人は、なあーんだと思っただけで誰も問題視せずに垂れ流して終わっている印象ですが、事実調査を怠って報道している点では一時がアバン時・・ショッ中こう言う報道体質需要ニュースも行われているのでは同じ危険性があります。
(私は信用拡大のコラムを書いている途中で最近の破産がどうなっているかが気になったので、たまたまネット検索したら出てきた中でNHKが1番客観的報道しているかなと思って覗いて見て見出しと内容の違いに驚いただけです)
角度付けとその後の事実調査の必要性に関する朝日新聞の慰安婦報道に関する第三者委員会の報告書を、January 9, 2015「第三者委員会の役割2(朝日新聞慰安婦報道1)」のテーマでこのコラムで引用紹介したことがありますので結論部分の一部再引用します。
「・・しかし、韓国事情に精通した記者を中心にそのような証言事実はあり得るとの先入観がまず存在し、その先入観が裏付け調査を怠ったことに影響を与えたとすれば、 テーマの重要性に鑑みると、問題である。
そして、吉田証言に関する記事は、事件事故報道ほどの速報性は要求されないこと、裏付け調査がないまま相応の紙面を割いた記事が繰り返し紙面に掲載され、執筆者も複数にわたることを考え合わせると、後年の記事になればなるほど裏付け調 査を怠ったことを指摘せざるを得ない。」
まして、14日に紹介した日弁連意見書を見ると単に「カードローンについても総量規制の対象にすべきだ」という趣旨だけのことであって破産の増加については傍論的にデータを紹介しているだけで破産増自体に懸念を示すには、時期尚早としたのか?意見を書いていません。
しかもネットで簡単検索した限りでは日経も朝日新聞や東京新聞でも「破産増」だけの表示で「急増」とは書いていない(朝日はローン急増が原因か?と書いていますが破産急増とは書いていません)のに、NHKだけが何故「破産急増」と・・刺激的テーマにしてしかも「クローズアップ」して取り上げるほど社会性があると判断したのかが疑問です。
4月12日の「クローズアップ現代」の内容を読んで見るとカードローンが増えていることが話題の中心で、どこにも破産急増の話題が見当たりません。
羊頭狗肉というか、見出しと内容があってないのです。
破産急増とは時間軸でいうものですが、1%増の基準が1年間の統計結果による以上は長期間観察の結果なのですから、1〜2週間程度かけて関連データを調査して比較判断・深堀する時間をかけられないような緊急速報性がないことも確かです。
報道時間中の進行でNHKの期待に沿う意見が出たかは別としても、(文字化したネット報道には出ていません)まだ前年より1%増えたデータしかないことが明らかですから、これだけでなぜ「「急増」というテーマにしたのかの不思議さが残ります。
日常用語としても、1%程度の増減があったくらいで「急増」「急減」という言葉を使う人は滅多にいないのではないでしょうか?
日中気温がわずか1時間で25度から26度(約4%の変化)に変わっても急上昇と言わないでしょう。
しかも、「若者もシニアも」と見出しになっていますが、内容には年齢別の変化についてどのような調査をしたかの出典の明示もなければ、何%から何%に増えたかも書いていません。
司法統計年表に年齢別の増減推移まで出ていると言う意味かも知れません。
そこで司法統計年表16年のPDFで「破産新受事件数―受理区分別―全地方裁判所
第 102 表」に入って見ましたら、年間の合計数しか出ておらず、内訳としては自然人と法人の2分類しかありません。
NHKはどこから若者やシニアの年齢別統計を入手したのか不明です。
以上によると、派手な見出しと内容がまるで違う上に・・内容のない、いい加減な報道をしているように見えますが、これでは視聴者が離れていかないのか不思議です。
私はテレビを見ていないのでNHKの総合レベルが分からないですが、NHKは報道内容を全てネットにアップしていないはずですから、ネットアップする分は精選されているとすれば、「クローズアップ現代」のレベルがNHKの報道レベルの上位を代表していると言うべきでしょう。
慰安婦騒動以来、親中韓系報道をしてきたフジテレビや朝日新聞の売り上げ減少が知られていますが、これを受けて経営者は必死になって体質改善に取り組んでいると思われますが、NHKには民間と違って市場淘汰の仕組みがないので、番組が劣化していく一方になっているのかも知れません。
私に言わせれば、「朝日新聞やNHKの政治的立場が受け入れられなくなったのは残念」という自己正当化ばかりではなく、政治理念先行で事実無視の捏造的報道しか経験がないから、こんなことになっているのではないでしょうか?
見出しテーマと内容がまるで違っていても気にしない人材レベルの低さ・いろんな角度に知恵をめぐらせての多角的事実調査能力欠如こそが、基本的原因ではないかということです。
「若者もシニアも破産急増」というテーマを決める時に、相応の幹部が関与したはずですが、どういうデータ調査が必要かの思いをめぐらせる能力もない人ばかりで運営しているのでしょうか?
もしかしたら虚偽でもでっち上げでもムードを作り上げれば勝負あり・という成功経験しかない年齢層・事実調査経験のない幹部の方が、事実調査の必要性を具申する若手をドヤして「事実調査などいらない政治色付け先行でやれ!と檄を飛ばしていたのかもしれません。

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