アラブ7カ国入国拒否(大統領令とは?1)

ここで少し話題が変わりますが、入国禁止に関する大統領令に関して法律家として気になる点を書いておきます。
ただし,ナマの実を知らないで報道だけを前提にしていますので,正確に何が行なわれているのかよく分らないままで気になる点を書いています。
後日徐々に正確な情報が出たら,この意見はその限度で自動的に修正されるものと思ってお読み下さい。
アメリカの価値観は,人種差別・自分が強ければ何をしても良いと言う意味の「裸の」自由主義価値観でないか?と言う基本的疑問でこのコラムを書いて来ました。
英米法のルールオブローは人民を支配者から守るためのものであって,中国の専制君主の支配道具・・命令貫徹のためのマニュアル・法家思想とは方向性が違うと習って来ましたが,本当か?と言う疑問です。
アメリカに都合が良ければ守れと言うが,自分が主導した国際ルールでも自国に都合が悪くなると国際合意を無視する・・国連やユネスコ分担金支払い拒否などの繰り返しがアメリカの行動基本でした。
クリントンも日本に対して100%課税の大統領令署名で脅しましたし、トランプ氏の一方的高関税脅しもWTOルール違反になるか?などハナから問題にしていません・・文句あるなら脱退すると言う基本です。
こう言う自分勝手を繰り返して来たアメリカと日本とは基本的価値観が違っていると言う意見を前提に、安倍総理の価値観外交は便法としては有効だが本質的に違っていることを「2014/02/05/「価値観外交に頼る危険性12(米中韓の一体性4)」その他で書きました。
上記のとおり,私はアメリカは本来の法治国家・人権尊重国家と言えるかの疑問を基本的に持っていますが、今回は対外勝手主義に留まらず国内法制度上も議会無視で何でも出来そうな(上記のとおり報道イメージだけで書いているので正確には乱暴なことは出来ないのかも知れませんが・・)大統領令の効力・・専制・恣意的支配をそのまま許す制度設計・・大統領令1枚でイキナリ入国停止出来る法制度についての疑問を以下書いて行きます。
対外的にルール無視することの多い政府が国内法的にも同じ制度設計だったのかな?と言う疑問です。
外で整理整頓出来ない人が自宅だけ綺麗に片付けられるとは思えないのと同じ発想・・国内人権侵害も同様に酷いのじゃないか?本当は法治国家ではない?と言う疑問が今回の大統領令の騒動によって気になり始めました。
戦時中の(アメリカ国籍を有している)日系人強制収容・資産全面没収は、ルールオブローの国と言われるのに、法によらずにルーズベルトの大統領令だけでやったことです。
三権分立→行政府の長(大統領)は議会の制定した法に従って施行実施するものと思って来た日本人にとっては,驚きでしょう。
日本のような閣議決定すらもいらない・大統領一存で数秒で書ける大統領令とは何か?法に超越する効力があるらしいことに対する疑問です。
日系人と言う枠組みだけで犯罪も何も悪いことをしていない国民を大統領令と言う超法規的命令1つで強制収容→監禁罪や強盗罪を合法化する制度を持っているクニが、専制支配の中国王朝とどこが違うのか?もう一度見直してみる必要がないかの関心です。
一党独裁の中国でさえ党の機関決定等が必要です。
権力闘争を乗り切った習近平は、常務委員会を腹心で固めるだけに留まらず機関決定不要にしたい・・骨抜きを図るために大統領制移行を目論んでいると言われています。
議院内閣制の場合の総理大臣は政令その他重要事項決定には閣議決定が必要であり各省大臣の所管事項を直接行うことは出来ません。
大統領制の場合には各省長官は、命令する部下でしかないので機関決定制度自体不要ですから全面的独裁・・なんらの手続き不要です。
議会議決=法の範囲内しか権限がないからこそ、その範囲内でオールマイティも許されると言う理解が普通でしょう。
ところが立法府の議決に反する大統領令で国民である日系人を拘束できるとなれば、大統領は専制君主とどこが違うかの疑問です。
行政府の大統領が議会議決・・法律・・刑事訴訟手続き等の要件によらずに日系人とはいえ米国籍のある日系人を大統領令を根拠に何故資産没収し強制収容出来たのか?
もしもこれが合法行為であった・・違法な監禁罪、強盗罪に当たらないと言うならば、大統領令が法に優先することになります。
戦後日系人の名誉回復したと言うだけで(犯罪行為をしていないのだから名誉回復など・・当たり前過ぎます)・法によらない人権侵害に携わった人らを強盗や殺人監禁罪等で処罰しないのは、法に優越する大統領令に従ったからと言う解釈によるのでしょうか?
ちなみに、命令に従って法律違反しても違法性がない、責任がないと言い出すとギャングの親分の命令で何をしても良いことになります。
ですから,関与した主な公務員一人処罰されなかったと言うことは,大統領令が人権条項等に反した拘束であっても違法ではないと言う意味でしょう。
今回での入国騒動に戻します。
複雑な移民法に基づいてアメリカ政府から予めビザを得てはるばるアメリカに到着して入国手続している人を、どう言う法制度上の根拠があって、大統領令1つで入国禁止したり拘束出来るようになっているのか不思議な印象を受ける人が多いでしょう。
入国審査官が個別最終判断権を行使した結果言動が怪しかったならばわかりますが、大統領令で特定国出身者だけを(具体的嫌疑なく)一律拒否し拘束出来るかのような報道を見ると、今でも大統領が日系人、中国系と指定する収用命令に署名さえすればすぐにも既存の法令に関係なく強制収容出来る法制度になっているような心配が起きて来ます。
報道の仕方が偏っているのか、上記日系人強制収用を許して来たことや戦後でもクリントン政権が大統領令で対日100%課税で脅して来たことがあることから見ると制度が前近代的なまま残っているようにも見える・・どちらかハッキリしない疑問で書いています。
トランプ氏擁護者は,「どう言う人を入国させるかを決めるのは主権国家として当然の権利である」と言い、今回の措置に対する「支持率が50%を超えている」と言いますが,既にビザ発給されて到着した、形式要件の揃っている筈のひとを出身地域で一律拒否する理由にはならないし、(熱狂的)支持さえあれば,法に基づかず・無視して人権侵害して良いかの議論からすればズレています。
移民規制の妥当性に関しては、昨日書いたとおり,国内に移民との低賃金競争を持ち込んで良いかどうかはよその国のことですから,好きにして下さいと言うことですが,ここの関心はこんな重大なことが議会ではなく,大統領の一存で何故実行出来るのか、法の支配とは何かと言う関心です。
アメリカが宣伝して来た法治国・人権保障国触れ込みの信憑性です。
ただし報道では実態が見えません・・実際にはビザには良いことを書いていたが,到着した人物のチェックをしたら爆弾・銃器を持っていたとか、申告内容の辻褄が合わないなどの場合には,入国審査官の判断で入国拒否したりその場で拘束するのはどこのクニでもしている当然のことです。
トランプ氏が,テロ支援国の7カ国だけ厳重審査しろと言う程度の命令しただけならば法治国として何らの問題もないでしょう。
もしも厳重審査命令だけならば,大騒ぎする必要がない・・反トランプ派マスコミの煽り過ぎです。

アメリカンファーストとは?1

世上若者の留学や移民願望が少ない・・「元気がないのが心配」と言う尤もらしい意見がマスコミに多い(・・韓国の移民願望が素晴らしいと言う意味でしょうか?)ですが、生活に困ったり精神的圧迫のきついクニから豊かで精神的にもゆとりのある魅力のある国に人が集まるのが普通・・逆にクニから逃げ出したい人が減るのは当然です。
マスコミが頻りにUターン奨励・・如何に素晴らしいかの記事をしょっ中出しますが、豊かな東京から仕事のない地方に移住したい人が少ないのは,若者が海外に行きたがらないのは元気がないから・・と言う実態無視のマスコミ意見と平仄があっています。
対日投資が少ないのを魅力がないからだと心配する経済記事も多いですが,金あまりの日本は対外投資をする国であって,外国から投資してもらわないと資金不足になるクニではありません。
昨年の対露交渉を見ても,焦点が日本企業の対露投資をどれだけ増やすか(国内の心配は投資だけ食い逃げされてしまわないかの心配論が中心でした)が日本の交渉材料であったことを見ても分るでしょう。
日露平和条約が仮に成立しても,ロシアによる対日投資・資本流入を期待している人がどれだけいるでしょうか?
資本も労働力も芸術家の集まるクニも、いずれも需要供給の関係で決まる原理は変わりません。
中国人はクーリーとして最下層に入って行き、フィリッピン人はメードや看護婦として入って行きますが,韓国で売春婦輸出が盛んですし、ロシア人の売春婦輸出も盛んです。
それぞれ民族別に売り物・・能力・適材に応じた国際人材展開をしているとすれば、輸出産業が資源に頼っているか売春婦に頼るかなどの現状から国民レベルが分るし貧困度合いも分かります。
中国人のしたたかさと言うよりも,良いものを作れないとしてもそれなりに最低の力仕事に従事する(苦力と言う熟語が示しています)程度の一定の勤勉さをもっていることが分かりますし、韓国・ロシア人にはそこまでの下積み労働能力も身に付いていないので、最低労働能力すら不要の売春婦の出稼ぎに頼るしかないと言うことでしょうか。
我が国3k職場で見ても中国からの実習生が韓国系よりは多い印象です。
ロシアの売春婦の世界進出増加はソ連崩壊後の平均寿命急低下と平行しています。
売春婦は最古の職業と言われますが、我が国でも江戸時代あるいは昭和恐慌時に農村部が売春婦の供給源だったように、近代的職業能力・訓練不要・・手っ取り早い職業(収入源)です。
ロシアは資源大国ではあるものの近代職業能力・民度レベルでは国際競争力がない・・売春婦輸出が有力外貨獲得源になっている現状を表しています。
現在トランプ氏がロシア売春婦とのスキャンダルでプーチンに脅かされていると言う情報が(真偽を巡って)駆け巡っていますが,国際交渉においても有力な武器として利用するクニです。
信頼性は別としてウイキペデイア「韓国の売春婦」の記事によれば、以下のとおりです。
「1989年のYMCAの調査では、売春女性の数は、15~29歳の女性620万人の約1/5に当る120万~150万人にもなり、売春業の年間総売上高は国民総生産(GNP)の5%に当る4兆ウォンを超えるという報告が出ている[5]。
韓国の男性の相当数は「買春は社会生活の一部」と考えており、女性家族部がソウル大学女性研究所に依頼して実施した2010年性売買実態調査によると、買春経験者は49%で、買春回数は8.2回だった[6]。」
アメリカは勢いが衰えたと言うだけで食って行けないから国外脱出するとか,外国に売春に出掛けるほど落ちぶれていません。
海外脱出の必要まではないが競争相手が「入って来て白人の職を奪うのは困る」と言う前段階の状態ですから、イギリスの移民反対同様の不満です。
19世紀頃に中国人相手に職を奪われると騒動を起こして2級市民と言う区分をつくって解決したような状態ですが、今ではいくらなんでも人種差別法を作ることが出来ません。
さしあたり「アメリカンファースト」と言う標語で誤摩化していますが,選挙戦で最初に言っていたこと・移民排斥・追い出しが本音でしょうし、その先は言えないにしても「白人ファースト」が口に出せない本音です。
白人中間層の支持が圧倒的になっているのは、この本音に共鳴しているものと思われます。
「アメリカンファースト」と言っても「人民ファースト」ではありません。
彼の本音は人民の中の白人ファーストにあるからです。
移民によって建国されたアメリカで新参者拒否・移民排斥では、数千年単位で苦楽を共にして来た民族共同体意識の裏付けがありません。
差をつけるには,先着順・・10年前〜20年前・・どこで切るか難し過ぎて無理がありますが,白人か否かの基準ならば千年単位の紐帯を基準に出来て簡単なので,アメリカでは人種差別が西洋よりも厳しくいつまでも残った原因です。
EUのトルコ加入申請に対するあれこれの嫌がらせを見れば分るように要は,異教徒はイヤと言うことでしょうが,信教の自由を建国理念として独立したアメリカでは,そこまで本音を言えなかったので、白人ファーストと言う人種差別を隠れ蓑にして来たのでしょう。
欧米主宰の国際条約(オリンピックを含めて)は、本音としてキリスト教徒間の合意であってこれを異教徒にどこまで準用(・・おこぼれ・・オブザーバー参加資格を与えるか?)するかと言う関心で運用されて来た・・私はこの関心でウエストファーリア条約以降の国際合意の歴史を書いている途中です。
(いわゆるサミットだって欧米の首脳会議に日本も参加させてやるから有り難いと思えと言う意識が濃厚です・・平忠盛が武人でありながら昇殿を許された故事が想起されます)
アメリカの歴史を見ると、人種差別騒動が起きる原因はいつも職を奪われる不満に端を発していますが,これを言うと奪われる方が、怠け者または能力が低い・競争に負けていることを自白するようになるので奪われる底辺層はいつも中国人差別、日本人迫害など人種差別に持って行ったようにも見えます。
アメリカでは伝統的に人種差別意識が激しいように見えますが,先住移民の労働能力(3kに耐えられるかも含め)が低いから後から来る移民に対する反撥が激しくなる→これを簡略化する運動が人種差別運動になって来たものと思われます。
白人とアジア人の差別・・苦力に対するように「2級市民」制度復活ならば,西洋で一緒にやって来た・・白人同士の長年の紐帯を基準に出来ましたが,今の時代・人種差別をいくらトランプ氏でも正面から主張出来ない様子です。
19世紀に「キリスト教徒以外ダメ」と言えなくなっていたのと同様に、21世紀の今では,白人以外はダメ・・「2級市民権にしろ」とは言えません。
共和党候補指名選挙中に言っていた対テロ対策を名目にしたアラブ人差別が言えなくなると、先着順・・10〜20年前に来た人と最近来た人と差別しろ・・「既得権を守れ」と変えたいのでしょうが、それでは、20年経過と21年経過の1年だけの差でで何故大きな差別できるのか不明で、自分勝手な損得の利害だけですから,エゴ剥き出しの主張と受け取られます。
そこでトランプ氏は「不法入国移民だけ」とか「犯罪者だけ」とトーンダウンして来たように見えます。
ただ,既に充分な底辺労働者が入ってしまったので,この程度の移民追い出し・しかも言うだけで(見せしめ的に数人〜数十人摘発したとしても)実効性は難しいでしょうから,国内労働需給は締まりません。
そこで当選後始めたキャンペインは,輸入高関税・輸入にとられている国内需要の穴埋め策=国内生産回復策です。
就任式までは個別企業恫喝を繰り返しましたが,1月20日の就任式以降は,日本との貿易不均衡は不公正だと言うマクロの主張に転じました。

シビリアンの相対性1(アメリカの反軍思想)

フランス革命に戻ります。
フランスが植民地戦争で負けた意趣返しにアメリカの独立を応援したからと言って市場参入がうまく行くとは限りません・・要はフランスの市場競争力の有無です。
産業の基礎が弱いといくら強制的にこじ開けたり、大陸封鎖令のように経済封鎖しても長期的には効果がないことが分ります。
武力や政治力は一過性に過ぎません。
トランプ氏の強引な政策も長い目で見れば一過性に過ぎませんが,業界は一過性だからと言って4〜5年間も逆境に甘んじるわけに行きません。
先ずは現政権と摩擦を起こしたくない・・迎合するしかないので,昨日のニュースではフォードもメキシコメキシコ新工場撤回に追い込まれていますが,長期的にはアメリカ製造業の競争力にかかります。
フランスがアメリカの独立応援によって市場参入の将来性が開かれたとしても目先の財政危機には役立ちません・・財政危機サナカの新たな戦費負担によって,目先の財政危機が却って高まってしまったのです。
財政危機打開に向けての協議が不調に終わり,その責任のなすり付けあい・・1種の弱い者イジメに向かったのが王制打倒だったように見えます。
昨日ロシア革命についてちょっと触れましたが,本来農奴・工員など弱者向け改革に努力していた帝政に対して大貴族が反対して進まなかったのですが,革命になると逆に王家の方が潰されたのと似ています。
今のアメリカの不満はお家芸である自由主義・グローバリズムによって世界中の門戸開放して来たものの、そのメリットを資本家・・金融資本ばかりが得ていることに対する不満です。
製造能力の基礎が弱っていることに対する不満ですから、誰か威勢の良いことさえ言えば解決できることではありません。
政治的意味としては製造業を強くするための政策努力目標を宣言していることは間違いがない・・長期的目標設定したと言う程度でしょう。
ウイキペデイアの産業革命の記事からの引用です。
「イギリス産業革命は1760年代に始まるとされるが、七年戦争が終結し、アメリカ、インドにおけるイギリスのフランスに対する優位が決定づけられたのは1763年のパリ条約の時である。植民地自体は以前から存在していたので、1763年の時点でイギリスが市場・原料供給地を得た、というよりも、フランスが産業革命の先陣を切るために必要な市場・原料供給地を失ったというべきであろう。いずれにせよ、イギリスはライバルであるフランスに先んじて産業革命を開始し、フランスに限らず一体化しつつあった地球上の全ての国々に対して有利な位置を占めることとなった。言い換えるならば、七年戦争の勝利によって、イギリスは近代世界システムにおける覇権国家の地位を決定づけたのである[1]。」
革命とシビリアンの関係に戻りますと,増税の強制→軍事力背景ですから,アメリカでは独立直後には,軍に対する嫌忌感から常備軍を置かないシステムを採用していると言われています。
http://blogs.yahoo.co.jp/takizawa_shinichiro/61987964.htmlの記載で真偽不明ですが,一応引用しておきます・・真偽を知りたい方は連合規約の原典に当たって下さい。
「連合規約、正式には、連合および永遠の連合規約、アメリカ独立戦争における13植民地の連合の名称を「アメリカ合衆国(United States of America)」と定め、13邦を統括する連合会議の設置を定めた。
アメリカ最初の連邦憲法とも呼ばれている。
この連合規約では、常設の陸軍あるいは常設の海軍を平時に持つことを禁止している。」
以下はhttps://ja.wikisource.org/wiki/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:Complex01/%E9%80%A3%E5%90%88%E8%A6%8F%E7%B4%84からの連合規約の引用です
第6条
前略・・・
いかなる邦も、連合会議に結集する合衆国が当該邦の防衛もしくはその貿易のために必要と見なす数以外の軍艦を、平時において保持してはならない。また連合会議に結集する合衆国の判断において、当該邦の防衛に必要な要塞を守備するために不可欠と見なされる数以外の軍隊を、平時において保持してはならない。ただし、すべての邦は、常によく統制され訓練された民兵を、十分に武装し装備して保持すべきであり、政府所有の倉庫に適切な量の野砲、テント、武器、弾薬、および野営用具を準備して、緊急事態に備えなければならない。」
どこのクニも防衛に必要と言う解釈で軍を常備しているのですから,この規約だけから常備軍禁止規約だったとする解釈は文言的に無理があるので,2回の革命経験のあるイギリス系移民にとっては,独立戦争を独立革命と言うように3度目の正直・・軍に対する嫌忌感が強烈でその背景を持った議論の末に出来た条文なので、出来上がった成立経緯を重視した意見でしょう。 
飛躍しますが,日本国憲法の非武装原理もここに淵源があるかも知れません。
いずれにせよ、上記条文のように,装備品を用意しておくだけで必要な都度軍(志願兵?)を招集する仕組みだったらしいので、南北戦争当時もホンの少ししか軍がなかった・・だからこそ日本で想像する政府軍〜反政府軍との大きな差がなく,南北軍が拮抗していた原因だったかも知れません。
でも南軍には大砲がないじゃないかの疑問があるでしょうが,各地に兵器倉庫が分散していれば,南軍支配下にも兵器庫があってそれを南軍が利用したとすれば納得がいきます。
日本で考えると古代の平将門〜藤原純友の乱でも,西南の役でも政府軍と反乱軍とでは,圧倒的兵力差が基本ですから変な感じを受ける原因です。
今のアメリカの強大な軍事力からは想像もつきませんが,建国当時は常備軍不要の思想の憲法になっていたと言うのです。
アメリカでは・・軍の存在そのもが人権抑圧組織として如何に嫌われていたかが分ります。
当時は軍と言っても,一般人が銃を持つ程度ですから,イザ戦争が始まってからの準備でも何とかなるものでした。
18世紀末から19世紀に入ると戦艦や兵器が近代化して来たので,今では数十年単位の兵器開発準備や訓練が必要です。
中国がソ連崩壊後ウクライナから中古の航空母艦を購入して、これを元に作っているのですが,大変な時間(ソ連崩壊後でも既に20年以上です)を要して昨年あたりに漸く進水したばかり・・1〜2週間前に漸く台湾をぐるっと回る示威航海しましたが,これから実際の発着訓練が始まるのを見ても分るでしょう。
そこで常備軍・・職業兵士が必須になって来ます。
近代法の原理と言ってもこの一事だけを持っても,大きな変容を受けていることが分ります。
アメリカ徴兵制の歴史はウイキペデイアよると以下のとおりです。
アメリカの徴兵法の歴史
独立戦争 – 先住民との戦争終結までの徴兵政策
1861年 – 1865年、南北戦争時の徴兵実施。アメリカ合衆国と合衆国からの脱退を宣言したアメリカ連合国は、南北戦争遂行のために徴兵制を実施したが、合衆国軍も連合国軍も兵士の大部分は志願兵だった。
先住民との戦争終結後 – 第二次世界大戦終結までのアメリカの徴兵制策
1916年2月、徴兵制に合憲判決。
1917年5月、1917年の選抜徴兵法の制定。
西欧に戻りますと,王権の強制力は元々軍によっていますが,その正統性の基礎にキリスト教・聖職者がいて実際に異教徒審問などで猛威を振るったので,市民にとっては軍と聖職者を一体的抑圧者として意識してきました。
王制やキリスト教の圧迫に抵抗する市民・・ローマ風の戦うべき階層として市民自らを意識したときに「シビリアン」と言う別の名称が生まれて来たように見えます。
以上のように,西洋では軍と聖職者に抵抗するものとして中世中頃から,徐々にシビリアン概念が育まれたものですが,新大陸アメリカは新教徒が中心になって建国したものですから,既にカトリックによる宗教強制がなくなっていて,軍だけが恐れるべき対象でしたから、軍だけを市民が規制すべき対象になって来たのです。
我が国には,米軍占領を通じてシビリアンコントロール思想がはいって来たので、シビリアンコントロールと言えば軍に対する文民による抑制しかイメージ出来ないのはこの差によります。
タイやエジプトその他で軍事政権が生まれると、すぐに制裁をしたがるアメリカの短絡的発想の基礎がここにあります。
アメリカによる日本軍国主義批判(日本人分断政策)に対する疑問から、16年12月29日以来軍国主義とは何か?その根底にあるシビリアン論に関心を持ってこのリーズを書いて来ました。
シビリアンコントロ−ルがないと戦争になり易いと言う信仰は本当か・・シビリアン・・市民の内包である商人・産業資本家こそが近代の大規模戦争の原動力になって来たのではないか?
重商主義以来絶対王政との二人三脚(フランス)その後の多くの民族国家による政府と一体化させて国際市場を求める・・シビリアン自体が帝国主義戦争の原動力になって来たことを書いて来ました。
歴史の一コマでしかない,「シビリアン概念」を田舎者が?有り難がって時間軸や場所の特性を越えた普遍的な価値と誤解しているのではないかと言う意見です。

アジアのヘゲモニー1

「アジアを中国に任せてアメリカはアジアには何も口出ししない」と言う地域分割交渉・・同じことが、米中、米ロ,米トルコその他世界各地で決まりそうになって、プーチンや中国がトランプ氏当選を歓迎しているのはこの期待によります。
そうは言ってもアメリカはこれまで深くコミットして来た利害関係があるので,元々の顧客を直ぐ切れない・・簡単に手を引く訳に行かない・・イギリスのEU離脱交渉並みの複雑な経過が待っています。
この辺はオバマがアジア重視と言っても、これまでコミットして来た中東や西欧や中東から直ぐに手を引けないで(サウジなど旧与党国が怒っていますし)オタオタして来たのと同じです。
実は戦争と同じで縮小撤退作戦の方が攻める・・支配地拡大より何倍も難しいのですが,国民にはその難しさが理解出来ない面もあります。
23日書いたようにアメリカは世界の覇者の地位は堅苦しくてうまく行かない・・その地位を下りて、ロシア、中国レベルの地域大国程度の格式でお互いに域内で言いたい放題、やりたい放題やろうじゃないか!と言うレベルに戻りたい方向は変わらないと思われます。
中国もロシアも世界の覇者をやるのは「荷が重い」・・割に合わないことが分ってきて地域大国程度で満足する智恵として「域内で無茶苦茶やれる方が良い」それにはアメリカを含めてお互い相手地域のことには干渉しないと言う地域大国間の縄張り(秘密)合意が成り立つ可能性があります。
これが、習近平氏の言う太平洋2分論です。
日本にとって一番困るのはこれで,アジアは中国の勢力圏と勝手に世界分割されると,日本の行き場がなくなります。
韓国の場合にはこれを漏れ聞いていて急いで中国に尻尾を振ったように見えますし、フィリッピンその他の弱小国は誰が域内大国になっても強い方に尻尾を振れば言い・・山内一豊のように逸早く次に覇権を握りそうな陣営に馳せ参じる方に智恵を使えば足りる立場ですが、日本は簡単に中国になびくワケには行きません。
日本は古代聖徳太子の髄の煬帝に宛てた文書に明らかなように対等な「天子」を名乗りアジアで唯一一度も華夷秩序に入った歴史がありませんし、今でも中国よりも明白な文化的先進国です。
(日出処の天子、書を没する処の天子に致す。つつがなきや…)
煬帝は怒ったと言われますが,怒りながらも無視出来ず日本へ公式返礼使を送り出し正式国交が始まりました。
https://kotobank.jp/word/%E8%A3%B4%E4%B8%96%E6%B8%85-112880
裴世清
隋の煬帝の使者。推古 16 (608) 年6月第1回遣隋使小野妹子の帰国に伴われて来朝。日本の威信を示すために難波の鴻臚館に盛大に迎えられ,隋の国書,進物を朝廷に届けた。同年9月第2回遣隋使とともに帰国。
2回目以降の国書からは「天皇」と言う名称を使用するようになります。
 「東の天皇,敬(つつ)しみて,西の皇帝に白(もう)す」
対等どころか,モノ「白(もう)す」とは、上位者から目下に言うような表現ですし、東の天皇が西の皇帝に・・と言うのも地位の上下を表しています。
中国では古代から正規皇太子を「東宮(春宮)」と言い、約千数百年後の清朝末期にもこの習慣で「西太后」が有名ですが,本来東太后が正規皇后であり「西」は次順位を表しています。
日本の大相撲で見ても,東の横綱が正であり西は副の地位です。
随は高句麗との戦争のために当時日本を敵に回せなかった国際情勢があったので,この機微をついて国交開始の最初の国書冒頭に「日没する処の天子へ」と一発かました聖徳太子(実在かどうかの議論は別として日本政府レベル)の外交勝利です。
随はこれを受入れ正規に返礼使裴世清を送り国交開始したので,2回目以降は「天皇」の名称が公式に定着しました。
その後663年)日本は白村江の戦いで唐新羅連合軍に敗れて朝鮮半島での拠点を失いますが,このとき体制一新して防備を固めたので(唐は攻め寄せることが出来ず)唐は対等者としての日本の国使・遣唐使を受入れるしかなかったのです。
現在社会用語の大多数が明治以降に日本で考案した熟語をそのまま使っている状況になっていることから分るように、近代では日本上位期間にはいっています。
習近平氏は中華の栄華復興を言いますが,この地域にあった王朝が日本よりも上位に立ったことはなく元々対等関係だった日中関係が、近代以降日本がアジア諸国に対して樹立して来たヘゲモニーに対する挑戦者でしかないのですから,言わば「復活」とは歴史の改ざんをしていることになります。
日本と髄の文化的格差を比較すると以下のとおりです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A3%E9%9A%8B%E4%BD%BF
「開皇二十年 俀王姓阿毎 字多利思北孤 號阿輩雞彌 遣使詣闕 上令所司訪其風俗 使者言俀王以天爲兄 以日爲弟 天未明時出聽政 跏趺坐 日出便停理務 云委我弟 高祖曰 此太無義理 於是訓令改之」
開皇二十年、俀王、姓は阿毎、字は多利思北孤、阿輩雞弥と号(な)づく。使いを遣わして闕(けつ)に詣(いた)る。上、所司(しょし)をしてその風俗を問わしむ。使者言う、俀王は天を以て兄と為し、日を以て弟と為す。天未(いま)だ明けざる時、出でて政(まつりごと)を聴く。日出ずれば、すなわち理務を停(とど)めて云う、我が弟に委(ゆだ)ぬと。高祖曰く、此れ大いに義理なし。是に於て訓(おし)えて之を改めしむ。
・・・・・解釈
「倭王は、天を以て兄と為し、日を以て弟と為す。天未だ明けざる時、出でて政を聴く。日出ずれば、すなわち理務を停めて弟に委ぬ」
これは、これで一つの文章であり、倭国の大王による、隋の皇帝に対する謎かけなのである。
この答えは「明けの明星」である。天は常にあるから一番目の「兄」であり、夜明け前に輝く金星(明けの明星)は二番目であり、三番目の「弟」である太陽が昇ると、金星(明けの明星)は見えなくなって(=理務を停めて)しまう。
つまり倭国の大王は隋の皇帝に対し、「あなたが天子=天の子なら、私は明けの明星ですよ」と、隠喩で述べているのである。
結局、この謎かけは隋の皇帝には理解されず、第二回遣隋使での直接的表現へとつながるのである。[独自研究?]」
太田道灌が,雨にあって「みの傘」を借りたくて立ち寄った先で、若い娘がみの傘の代わりに山吹の枝を差し出したの対して,立腹した話が有名です。
 七重八重ハナは咲けども山吹の実のひとつだになきぞかなしき
と言う古歌をもじった娘の気持ちを理解出来なかったことを羞じて太田道灌が多いに反省したと言うお話です。
上記解釈(定説かどうか知りませんが)によれば聖徳太子の時代から直接的表現しない都会的洗練が発達していて、中華地域の民度レベルと我が国の文化度にこのような差があったのです。
幕末に来たペリー提督の文化度の低さに日本側が驚いたのと同じコトが西暦608年に既に起きていることが分ります。
平安時代に和風文化がイキナリ生まれたのではなく,(気持ちを表現するのにひらがな表記出来るようになったことが大きいだけ)その前に万葉集の時代(漢字を日本の発音に応用して漢字を(万葉仮名)利用出来るようになってから蒐集したに過ぎないのでどのクライ前からあったか不明・・から独特の深い人間理解の文化が生まれていたのです。

アメリカの長期戦略と日本1

小笠原や沖縄の返還は,米ソ冷戦真っ最中のアメリカが、日本を自陣営につなぎ止めるための無償?返還ですから、沖縄基地全面返還条件で平和裏に返すことがありえないのが明白・・全面返還に固執してそれで決裂して「一歩も譲らなかった」と自慢していれば良かったかの国民選択の問題です。
国民の政治レベルが熟していないクニでは、熟達した政治家による秘密合意が許されると言う意識が普通・・決断した政治家は将来の歴史評価に委ねるしかないのが現在の常識です。
その意味では「一定期間経過で公開する」アメリカの制度は合理的です。
世界の植民地独立機運が生じたのは、対日独戦に協力させるためにイギリスがインドに独立を約束するしかなかったことに端を発しているように物事には見返りがあります。
アメリカは占領初期には日本を工業国として再起させない目的で国内工場設備を解体してアジアへ搬出強制していたのに、これを一転して国内工業生産再開を許し再軍備を認め日本独立を認めたのは朝鮮戦争以来のあらたな戦争体制に日本を協力させるためであったことは、揺るがない歴史事実でしょう。
この世界大変動のチャンスを生かして、荒廃した産業を立て直し、独立出来たのは日本政府、民族の大成功でしたが、サンフランシスコ平和条約時に社共が主張していた全面講和論貫徹→独立先送りしていた場合を想定すると日本はいつまでも独立出来ないで占領下のままになっていたことになります。
ソ連崩壊による世界世論一致まで待てば良かったのでしょうか?
反対するソ連さえなくなれば社共が賛成に回ったでしょうか?
今度は中韓が反対だから反対というのではないでしょうか。
1990年近くまで占領されたままでいたのでは,後記のインデイアンに対するように日本民族は骨抜きにされていたでしょうし,ソ連が崩壊すれば独立出来たかと言うと、そうなってからでは独立が無理になります。
アメリカにとってせっかく大量の人命を犠牲にして支配下に置いた日本を何の見返りもなく独立させる必要がなくなる・・国内世論が承知しないというのがふつうです。
・今のロシア相手に何らの見返りもない北方領土返還などまとまりそうもない実態と同じです・・ギブアンドテイクが冷徹な国際政治です。
ロシアはウクライナ侵攻以来国際孤立していたから日本へにじり寄っていたのですが、トランプ氏登場で息を吹き返してこの僅か数週間でイキナリプーチンが北方領土返還交渉に冷淡、強気になったのと同じで、アメリカも敵対国ソ連が崩壊すればアメリカの日本利用協力メリットが低下するので、態度も変わります。
実際にソ連崩壊後対ソ戦略基地としての日本が不要になると。早速アメリカは中国・江沢民と組んで対日包囲・ジャパンパッシングを強めた・・世界的に「日本には将来がない」と思わせる動きの推進役を果たして来た事実を見れば明らかです。
調子に乗り過ぎた中国の暴発で,対中対立になりかけた結果、安倍政権以来日本が大事にされるようになっていましたが、アメリカ、トランプ氏がアジアで中国と覇権争いをする気がなくなれば・・経済利益だけで見れば,アメリカは伝統的に中国と仲良くし日本を敵視した方が合理的な関係です。
アメリカは元々条約を守ったことがありません。
アメリカでは、降伏したインデアンとの条約(降伏条件)を踏みにじりインデイアンの反骨精神を奪うために、赤ちゃんが生まれると直ぐに全員取り上げて白人家庭に送り込み政策が実行されました。
生まれつき白人の召使いとしての教育・・大きくなると全員寄宿舎に送り込まれて徹底した白人優越教育が行なわれる・・生まれながらの従属・劣等民族意識を刷り込む政策が実行された恐るべき歴史があります。
この結果あの勇猛なインディアンの子孫が、ほぼ全員精神を病むか骨抜きになり、麻薬・アルコール中毒中心の生活に陥り、今や絶滅危惧種並みの被保護人種になっています。
社共勢力・・これに同調していたマスコミ文化人らは何の展望があって独立を拒否したのか?ニッポン民族をどうしたかったのか?不思議です。
沖縄返還で言えば、無条件返還の観念論・・結局返還交渉を破綻させる場合との利害得失ですが・・民度の高い社会では実情を公開しても合意形成可能です・・何故高度に発達していた日本の民度でこの程度の合意形成が出来なかったのでしょうか?
実際に密約があったかは別として国民の「総意」としては,基地が残っても早く返還して欲しかったかったことは間違いがなかったでしょうし、(「異民族支配が続いた方が良い」と言う民族がこの世にあるでしょうか?)沖縄返還時にアメリカ軍に「全面的に出て行ってくれ」と言うのは無理があると言う総意で返還後も長年一致しています。
基地存続の合意で返還された以上、日本は暗黙の合意・約束を守るべき信義があります。
ところで、沖縄が密約や基地存続の結果、沖縄県民が日本本土の人の犠牲になって酷い目にあっているのではありません。
沖縄米軍基地は周知の通り日本防衛のためではなく、ほぼその99%がアジア太平洋全域のアメリカの国益のために日常活動しています。
米軍基地があってもアメリカ軍支配下よりも日本復帰の方がよかったから沖縄県民は復帰を選んだのであり,多くの日本人もこの形しか復帰させられないので気の毒・・一緒に苦労しましょうと言うだけです。
東北の津波被害に対して日本人みんなが自分のことのように気の毒と思っていると、東北の人から「みんなのために犠牲になっていると言い募られると」??となりませんか?
東北の御陰でおいしいワカメが食べられるかも知れませんが・・。
日本は日本列島防衛に関係のない、米軍沖縄基地のため、あるいは発展し損なってる沖縄のために莫大な資金を投下して来ました。
全て沖縄県民のための負担であって、沖縄復帰によって本土は何か恩恵を得ているでしょうか?
せいぜいアメリカ軍のパトロールによるアジア平和への貢献と言う抽象的利益に過ぎませんが,これは米軍施政権下のままにあっても同じです・・・・むしろ日本は基地経費負担など一切する必要がありませんから気楽です。
日本が樺太や北方領土のロシアの軍事基地系経費負担など、誰も考えないのと同じです。
北方領土も元住民のための復帰運動をした結果仮に基地付きで帰って来た場合,元住民から基地の存在のために騒音被害などの損をしている被害者だとしょっ中資金要求されているような関係です。
折角合意しておきながら、飽くまで米軍に嫌がらせして追い出そうとし、米国と仲違いのタネをまいて沖縄の防衛を無能力化したいのは、どこのクニの利益になるのか?
今回のトランプ氏の要求・・「基地経費を全部持たないならば撤退する」と言う要求が本当に出て来たら、このときこそ逐次全面返還交渉のチャンスでしょうが(それでも数十年かかる交渉です)、トランプ氏は脅す・・駆け引きだけであって、本気で出る気はないでしょうが,結果的にアメリカの存在感が縮小する方向へ向かうことは確かでしょう。
元々オバマ時代からアメリカは当面アジア地域のプレゼンスを維持しながら将来的には地域大国程度で良いと言うのが基本セオリーだったと思われますから,それをトランプ氏が(一種の孤立主義・・アメリカ第一と言うのもこの意味で理解すべきで)刺激的表現をするか、温和な言い方をするか程度の差でしょう。

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