上海協力機構と一帯一路(非キリスト社会の団結の動き)2

米国籍牧師釈放についてはリラ急落→国家破産を防ぐためには、エルドアンの一時的妥協がしかたなかったとしても、力ずくの制裁に屈服した不満が却って残るでしょう。
共通項を見るとエルドアンの経済政策は、習近平同様に建設需要の内需掘り起こしであり、メデイアを締め付けるなど独裁の強化でも同じです。
ただ、豊富な外貨準備のある中国とは違いトルコが対外純資産でマイナス経済なのに、国内インフラ投資で国民支持を狙って高成長をはかるのは結果的に対外債務が膨張しますので無理がある点をアメリカ金融緩和が終わり始めると資金逃避が始まったものです。
資金潤沢と豪語していた中国も実は国内で不要な公共投資や、不動産・マンション投資を繰り返した結果、資金的に限界がきて日本にすがりつき始めていることは周知の通りです。
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20181013.html

2018-10-13
(3)「BIS(国際決済銀行)統計によると、中国は、債務残高のGDP比が2008年末の141.3%から2017年末に255.7%へ急上昇した。この水準や上昇ペースの速さは、かつて金融危機に陥ったり、バランスシート調整による景気急減速を余儀なくされた国々に匹敵している」

長期独裁政権ではトルコと中国、ロシアは共通項であり、国内インフラ投資で、政権維持している点では、中国とトルコは共通です。
ロシアは借金で国内投資→国内景気維持をするには、ソ連崩壊時のトラウマがあり無理がある(外資の信用がない)のでウクライナ侵攻やこの後で紹介する武力行使(軍事力では旧ソ連時代の遺産があります)で国威発揚で政権支持アップを狙うしかない状態です。
軍事力行使→は国際社会から経済制裁を受けるので経済的にさらに苦しくなる上に、国威発揚による国民熱狂は一時的なもので熱狂が冷めると国民の支持がさがって行くので、支持を持続させるためにはさらなる国威発揚・・あちこちの紛争に無闇に介入するしかないですが、それがプーチンの弱みです。
長期経済低迷化で国民不人気の年金支給作送り政策を発表するしかなくなった結果、プーチン支持が陰ってきた所ですが、ロシアの場合、イラン禁輸等国際情勢不透明感で資源価格が持ち直せば息を吹き返せますが、トルコは資源が上がればもっと輸入赤字が増える関係です。
ですから米国牧師釈放によって米国の制裁が緩んでも、経済のファンダメンタルは変わらない(利上げプラス金融引き締め・/無闇な国内投資を引き締めるしかないがエルドアン政権の延命のための拒否)ので、トルコ危機が続くことになります。
文化的に見るとロシアとトルコはいずれも西洋キリスト教文化圏の外延に位置し、ロシアはそれでも「ギリシャ正教」という名の亜流的キリスト思想を受け入れましたが、(帝政ロシアの初期から・・フランス宮廷文化の受け入れ〜ドイツ系・エカテリーナ女帝はドイツ貴族の娘だったように記憶します)を受け入れてきましたが、教会の外形はネギ坊主型でイスラム的です)トルコはイスラム圏に属することからそこまでの西洋価値観の受容はできていません。
せいぜい政権の世俗化程度しか変化できない限界でしたが、この数年では世俗化政策の廃止でイスラム復帰姿勢が鮮明です。
欧米からの非民主的強権政治に批判が出ると、電撃的に宿敵ロシアのプーチンと握手するなど暴力系・反現行秩序系同士の連携が広がってきました。
上記の通り細かい事情が違いますが、中露との枢軸?化に踏み出したように見えます。
中ロの連携も大分前から進んでいます。
ウイキペデイアによると概ね以下の通りです。

上海協力機構もしくは国家連合。
2001年6月15日、上海にて設立。
上海合作組織/上海合作组织は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8か国による多国間協力組織
・・・加盟国間の共同軍事演習も複数回行われ、2005年8月には初の中露共同軍事演習「平和への使命2005(英語版)」を大規模に行い、平行してオブザーバーであったインドとの露印軍事演習も開催され、成功した二つの軍事演習に自信を深めたロシアはSCOの軍事協力に積極的な行動を見せた。中露はこれを皮切りに東シナ海[5]、日本海[6]、地中海[7]、オホーツク海[8]、南シナ海[9]、バルト海[10]など海洋でも合同軍事演習を行うようになった。2018年9月に中国とオブザーバーのモンゴルが初参加したロシア史上最大の軍事演習「ボストーク2018(英語版)」はソビエト連邦最大の軍事演習である「ザパド81(英語版)」を超える規模[11]であ」

ると紹介されています。
前後しますが、

・・・SCOの正規加盟国の領域は発足当初は中国以外はロシアや中央アジアといったユーラシア経済共同体の国々のみだったが、インド・パキスタンの正規加盟に伴ってユーラシア大陸の8割に達し[15]、加盟国の総人口は30億人を超える規模で世界人口の半分近くを占める北アジア、西アジア、中央アジア、南アジア、東アジアに勢力を広げて一大連合体に発展する可能性を持つSCOは、いずれNATOに対抗しうる対欧米同盟として成長することを、アフリカやラテンアメリカの発展途上国(G77)から期待されている。

もっと大きくはG20で日米も出席しますが、(ロシアはウクライナ侵攻以降 サミットから排除された結果の対抗意識もあり?)欧米主導の7カ国サミットの地位低下を狙ったものです。
経済システムとしては、中国主導のAIIBが設立されたこともその一つです。
実はAIIBは、上記上海協力機構の背骨のような位置付けらしいです。
上記引用の続きです。

2016年6月17日にロシアのプーチン大統領は中国・インド・パキスタン・イランなどのSCO構成国とユーラシア経済連合を軸に築く大ユーラシア・パートナーシップと第一段階として中国との交渉協議を目指す計画を発表し[27][28][29]、25日のプーチン大統領の訪中から同構想が中露共同声明に盛り込まれて共同研究の準備と経済連携協定の交渉協議が開始され[30][31][32]、2017年5月14日に北京での一帯一路国際協力サミットフォーラム(英語版)の開幕式でプーチン大統領は一帯一路、SCO、EAEUなどは同構想の基礎となると演説[33]し、同年7月には同構想の共同研究が開始され[34][35]、同年10月に経済連携協定の交渉は完了し[36][37]、同年11月にAPECに向けてプーチン大統領が発表した論文でも大ユーラシア・パートナーシップは中国の一帯一路を基礎にすることが述べられた[38]。翌2018年5月17日に、EEUは中国との経済連携協定とイランとの暫定自由貿易協定を同時に結んだ[39

上海協力機構と一帯一路(非キリスト社会の団結の動き)

ここ数年では、欧米から非民主化への先祖帰りに対する批判を受けるとロシアとシリア方面で手を組むなど複雑な動きをしている他、アメリカの制止を振り切ってロシアから兵器を買うようになるなどの結果、今年の夏ころには16年のトルコクーデター事件の応援をしていたという容疑によるアメリカ国籍牧師の拘束釈放交渉に対して、刑務所?拘禁は解かれたものの、自宅軟禁のままとなったことでトランプ氏が怒り、今年8月頃に経済制裁だったかな?受けるなど、ロシアの仲間入り路線が明白になってきました。
ただし、もともと昨年からに米国金利アップ政策(いわゆる金融超緩和の出口戦略)への変更の結果、新興国からの資金引き上げ加速対象として特にトルコ経済の脆弱性(対外準債務国)がマトになってトルコリラ下落加速状態下で、この制裁発動はトルコ経済への危機的状態をもたらし始めました。
http://zai.diamond.jp/articles/-/296496
2018年08月15日(水)東京時間 16:15
今回からトルコ人の為替ストラテジスト、エミン・ユルマズさんのコラム「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」がスタートします。
今回のトルコリラの下落が始まったのは8月1日(水)で、米政府がトルコ政府の閣僚2名を対象に制裁措置を発動させたことがきっかけでした。制裁の対象となったのはソイル内務大臣とギュル法務大臣でした。
https://jp.reuters.com/article/turkey-risk-instantview-idJPKBN1KY078
2018年8月13日 / 12:44 / 2ヶ月前
トルコリラが通貨危機に直面している。年初来の対ドル下落率は40%超と、今年4 月に通貨危機に見舞われて国際通貨基金(IMF)に救援を仰がざるを得なくなったアルゼンチンペソより状況は深刻である。
トルコが通貨危機から脱するには、中銀が厳しい金融引き締めを実施する必要がある。ただ、金融政策が信認を多少取り戻したところで、劣悪な対外バランスから生じる通貨安圧力は消えない。この圧力に対抗すべき海外からの資金流入もままならないとすれば、リラの地合いが劇的に好転すると期待するのは行き過ぎだ。

https://chu-sotu.net/archives/4150
コラム
アンドルー・ブランソン牧師が解放へ~正体はやっぱりCIA?トルコリラはどうなる?
2018年8月12日
トルコに長らく拘束されてきたアンドルー・ブランソン牧師がようやく解放されました。
そもそもにおいて、トルコという国の司法判断に、外国のアメリカがいちいちイチャモンつけて介入するということ自体が本来異例です。
アンドリュー・ブランソン牧師の解放交渉は、トルコという国に対する内政干渉と等しい行為でした。
「裁判所が有罪判決を下してもアンドルー・ブランソン牧師を解放しろ」とアメリカは言ってきましたが、これは「司法に行政が介入しろ」と言っているようなものなんです。
これが三権分立を重んじるべき先進国のすることでしょうか。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/7-28.php
トルコ裁判所、米国人牧師の釈放認めず リラ一時7%下落
2018年8月18日(土)12時47分

流石にトルコリラの急落を受けて開き直りに徹する→経済混乱が激しくなった結果、エルドアン氏も強気ばかりを言ってられず国連総会出席の機会に内々釈放合意したというニュースがこの数日駆け巡リ、トルコリラの相場が持ち直しています。
エルドアン氏もトランプの不合理な要求にそのまま従ったのでは国内的に(面子丸つぶれで)厳しいでしょうが、どうにもならないので、つい先日の国連総会出席時にトランプ氏との短時間会談の時に釈放約束したとかのニュースの結果、リラ相場が急速に持ち直しているニュースが駆け巡っていました。
もちろん、エルドアン氏は(密約否定?)司法判断に関知しないと発言していましたが・・。
10月12日ついに完全釈放(自宅軟禁解除で米国へ帰還)されました。
https://www.sankei.com/world/news/181012/wor1810120024-n1.html
ロイター通信などによると、検察側はこの日、ブランソン氏に懲役刑を求める一方で、自宅軟禁と出国禁止の制限を解くよう請求。裁判所は懲役3年の刑を宣告したが、すでに一定期間、拘束下で過ごしており、刑に服する必要はないと判断した。

内容を見ると、検察官が「求刑と同時に釈放を求める請求した」ということなので、裁判所としては面子を保てたことになります。
結果的に密約があったことを裏付けたことになります。
リラ相場の動きは以下の通りです。
上記密約説を前提にリラ相場は持ち直していましたが、密約情報通りの結果だったので逆に少し下がった状態のようです。
この10年前後のエルドアン氏の権力掌握と対米関係悪化→中露への接近等々の動きとリラ急落の関係については、以下の記事が簡明に解説しています。
http://news.livedoor.com/article/detail/15159758/

問題を複雑化させているのは、トルコの対外資本依存度の高さや中央銀行の独立性をめぐる疑義といった経済問題のみならず、アメリカとの外交関係悪化も絡み合っていることだ。さらには、2002年の総選挙勝利以来、強い指導者として君臨するエルドアン大統領の経済政策や資質そのものに疑念が生じていることも問題を根深くしている。
・・・
トルコの隣国シリアの内戦に絡んだ過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦では、トルコが敵視するクルド人民兵組織をアメリカは友軍としたため、両国は一触即発の状況に陥ったほか、トルコは関係を深めるロシアの最新鋭地対空ミサイルS400の購入も計画してアメリカをいら立たせている。

以下詳細略

アメリカの長期戦略と日本1

小笠原や沖縄の返還は,米ソ冷戦真っ最中のアメリカが、日本を自陣営につなぎ止めるための無償?返還ですから、沖縄基地全面返還条件で平和裏に返すことがありえないのが明白・・全面返還に固執してそれで決裂して「一歩も譲らなかった」と自慢していれば良かったかの国民選択の問題です。
国民の政治レベルが熟していないクニでは、熟達した政治家による秘密合意が許されると言う意識が普通・・決断した政治家は将来の歴史評価に委ねるしかないのが現在の常識です。
その意味では「一定期間経過で公開する」アメリカの制度は合理的です。
世界の植民地独立機運が生じたのは、対日独戦に協力させるためにイギリスがインドに独立を約束するしかなかったことに端を発しているように物事には見返りがあります。
アメリカは占領初期には日本を工業国として再起させない目的で国内工場設備を解体してアジアへ搬出強制していたのに、これを一転して国内工業生産再開を許し再軍備を認め日本独立を認めたのは朝鮮戦争以来のあらたな戦争体制に日本を協力させるためであったことは、揺るがない歴史事実でしょう。
この世界大変動のチャンスを生かして、荒廃した産業を立て直し、独立出来たのは日本政府、民族の大成功でしたが、サンフランシスコ平和条約時に社共が主張していた全面講和論貫徹→独立先送りしていた場合を想定すると日本はいつまでも独立出来ないで占領下のままになっていたことになります。
ソ連崩壊による世界世論一致まで待てば良かったのでしょうか?
反対するソ連さえなくなれば社共が賛成に回ったでしょうか?
今度は中韓が反対だから反対というのではないでしょうか。
1990年近くまで占領されたままでいたのでは,後記のインデイアンに対するように日本民族は骨抜きにされていたでしょうし,ソ連が崩壊すれば独立出来たかと言うと、そうなってからでは独立が無理になります。
アメリカにとってせっかく大量の人命を犠牲にして支配下に置いた日本を何の見返りもなく独立させる必要がなくなる・・国内世論が承知しないというのがふつうです。
・今のロシア相手に何らの見返りもない北方領土返還などまとまりそうもない実態と同じです・・ギブアンドテイクが冷徹な国際政治です。
ロシアはウクライナ侵攻以来国際孤立していたから日本へにじり寄っていたのですが、トランプ氏登場で息を吹き返してこの僅か数週間でイキナリプーチンが北方領土返還交渉に冷淡、強気になったのと同じで、アメリカも敵対国ソ連が崩壊すればアメリカの日本利用協力メリットが低下するので、態度も変わります。
実際にソ連崩壊後対ソ戦略基地としての日本が不要になると。早速アメリカは中国・江沢民と組んで対日包囲・ジャパンパッシングを強めた・・世界的に「日本には将来がない」と思わせる動きの推進役を果たして来た事実を見れば明らかです。
調子に乗り過ぎた中国の暴発で,対中対立になりかけた結果、安倍政権以来日本が大事にされるようになっていましたが、アメリカ、トランプ氏がアジアで中国と覇権争いをする気がなくなれば・・経済利益だけで見れば,アメリカは伝統的に中国と仲良くし日本を敵視した方が合理的な関係です。
アメリカは元々条約を守ったことがありません。
アメリカでは、降伏したインデアンとの条約(降伏条件)を踏みにじりインデイアンの反骨精神を奪うために、赤ちゃんが生まれると直ぐに全員取り上げて白人家庭に送り込み政策が実行されました。
生まれつき白人の召使いとしての教育・・大きくなると全員寄宿舎に送り込まれて徹底した白人優越教育が行なわれる・・生まれながらの従属・劣等民族意識を刷り込む政策が実行された恐るべき歴史があります。
この結果あの勇猛なインディアンの子孫が、ほぼ全員精神を病むか骨抜きになり、麻薬・アルコール中毒中心の生活に陥り、今や絶滅危惧種並みの被保護人種になっています。
社共勢力・・これに同調していたマスコミ文化人らは何の展望があって独立を拒否したのか?ニッポン民族をどうしたかったのか?不思議です。
沖縄返還で言えば、無条件返還の観念論・・結局返還交渉を破綻させる場合との利害得失ですが・・民度の高い社会では実情を公開しても合意形成可能です・・何故高度に発達していた日本の民度でこの程度の合意形成が出来なかったのでしょうか?
実際に密約があったかは別として国民の「総意」としては,基地が残っても早く返還して欲しかったかったことは間違いがなかったでしょうし、(「異民族支配が続いた方が良い」と言う民族がこの世にあるでしょうか?)沖縄返還時にアメリカ軍に「全面的に出て行ってくれ」と言うのは無理があると言う総意で返還後も長年一致しています。
基地存続の合意で返還された以上、日本は暗黙の合意・約束を守るべき信義があります。
ところで、沖縄が密約や基地存続の結果、沖縄県民が日本本土の人の犠牲になって酷い目にあっているのではありません。
沖縄米軍基地は周知の通り日本防衛のためではなく、ほぼその99%がアジア太平洋全域のアメリカの国益のために日常活動しています。
米軍基地があってもアメリカ軍支配下よりも日本復帰の方がよかったから沖縄県民は復帰を選んだのであり,多くの日本人もこの形しか復帰させられないので気の毒・・一緒に苦労しましょうと言うだけです。
東北の津波被害に対して日本人みんなが自分のことのように気の毒と思っていると、東北の人から「みんなのために犠牲になっていると言い募られると」??となりませんか?
東北の御陰でおいしいワカメが食べられるかも知れませんが・・。
日本は日本列島防衛に関係のない、米軍沖縄基地のため、あるいは発展し損なってる沖縄のために莫大な資金を投下して来ました。
全て沖縄県民のための負担であって、沖縄復帰によって本土は何か恩恵を得ているでしょうか?
せいぜいアメリカ軍のパトロールによるアジア平和への貢献と言う抽象的利益に過ぎませんが,これは米軍施政権下のままにあっても同じです・・・・むしろ日本は基地経費負担など一切する必要がありませんから気楽です。
日本が樺太や北方領土のロシアの軍事基地系経費負担など、誰も考えないのと同じです。
北方領土も元住民のための復帰運動をした結果仮に基地付きで帰って来た場合,元住民から基地の存在のために騒音被害などの損をしている被害者だとしょっ中資金要求されているような関係です。
折角合意しておきながら、飽くまで米軍に嫌がらせして追い出そうとし、米国と仲違いのタネをまいて沖縄の防衛を無能力化したいのは、どこのクニの利益になるのか?
今回のトランプ氏の要求・・「基地経費を全部持たないならば撤退する」と言う要求が本当に出て来たら、このときこそ逐次全面返還交渉のチャンスでしょうが(それでも数十年かかる交渉です)、トランプ氏は脅す・・駆け引きだけであって、本気で出る気はないでしょうが,結果的にアメリカの存在感が縮小する方向へ向かうことは確かでしょう。
元々オバマ時代からアメリカは当面アジア地域のプレゼンスを維持しながら将来的には地域大国程度で良いと言うのが基本セオリーだったと思われますから,それをトランプ氏が(一種の孤立主義・・アメリカ第一と言うのもこの意味で理解すべきで)刺激的表現をするか、温和な言い方をするか程度の差でしょう。

アジアの団結は不可能か?1

日本はアジアの植民地解放・欧米からの隷属脱却が悲願でしたので、敗戦後もずっと同じスタンスでやって来た結果、東南アジアでのいわゆる雁行的発展の道筋を付けてきました。
漸く悲願であった日本の対米経済依存率が下がり始めて、アジアが力をつけるようになってきたのが20世紀末の状況でした。
ところがせっかく良い所まで来たと言うのに、少し元気になった中韓が日本を出し抜こうとしてアジアで団結するよりは、日本批判に舵を切り始めたのは(心が狭くて)残念なことです。
前回明治維新以降の朝鮮の対応を書いたように、元来朝鮮族は民族の幸福のためよりは、強い所に早く隷属して自己の安泰を求める精神構造(当時は事大党・事大主義とも言われていましたが)が顕著です。
戦後欧米が強いとなれば、儒教や佛教など簡単にかなぐり捨てて瞬く間に国民の多くがキリスト教徒に変身しているのもその一例でしょう。
欧米の植民地支配の方法で説明したように、地元有力者を地元王族等に仕立てて彼らの子弟ロンドン・パリ等に招いて優雅な生活をさせて、懐柔するのが一般的ですが、これに寄りかかれば李氏朝鮮の王族や有力者は安泰という願望で、日本と組んで欧米に刃向かうなど危険なことをする必要がないという立場でした。
中韓による日本批判・・慰安婦・南京虐殺・尖閣諸島問題その他全て・・はアジアが漸く離陸出来るようになったころから始まったことからも、中韓の意図・・流れが理解出来ます。
中韓の反日行動が激しくなったのは、日露戦争に勝ってから欧米の対日態度が(日本叩きに)変わった構図・歴史の繰り返し(背後に欧米の意図があることは同じ)ですが、これに中韓が協力しているのは残念です。
何故アジアが団結出来ないのか不思議ですが、ともに行動するには中韓の国民レベルが低(狭量)すぎると諦めるしかないでしょう。
・・韓国は上記のとおりもともと明・清朝の支配下で長期間満足して来たので、清が駄目になったなら、もっと強いロシアの保護下で良いと言う・・今で言えば欧米の支配下に入る方が得だという傾向で明治期に日本と対立してしまった歴史のある国ですから仕方がないところがあります。
朝鮮族にとっては、対等以下と勝手(今でも根拠なく見下したがる傾向が有ります)に思っていた(植民地支配でなく紳士的付き合いでも技術その他で負けているので)日本の下風に立つくらいならば、欧米の支配下で奴隷的搾取されてもその方が良いという選択肢になっていると思われます。
ホワイトカラーが降格されるくらいならば、会社をやめてルンペンした方がましと言う心理と同じでしょうか?
今でもロシア製のロケットを購入して打ち上げ失敗ばかりで困っていますが、韓国国民感情はそう言う変な意地がある民族です。
このような欧米崇拝結果がアジア危機以降の欧米資本受入れ・・(昔のロシア保護下=植民地支配の現在版の結果)欧米資本に支配される大手企業だけが儲かって、欧米に利益の大半を持って行かれて国民の多くが非正規雇用で塗炭の苦しみ状態に陥っています。
その矛盾を糊塗するために、韓国政府はいやが上にも反日批判を繰り返すしかなくなっています。
現在の中国地域では属国になった歴史がないので、(実際には南宋の最後のころは後金に服していたと記憶していますし、異民族支配が交互にあった地域ですがこうした歴史は隠蔽したいものです)韓国のように欧米の支配下の方が良いとは思っていないでしょうが、その分日本を兄貴分とする関係が少しの間でもに我慢がならないのが反日教育・運動に舵を切った動機でしょう。
ホンの僅かの期間でも日本を本当に追い越すまで(・・あるいは後10年20年30年で追い越す自信がなくなったのか?)雌伏する能力がないレベルの低さ・器の小ささでは韓国とどっこいどっこいです。
中国は統計を操作していて政権幹部でさえ信用出来ない状態であることは今回の人事でNo.2になった李克強自身公開の場で明言して来た所です。
こうした虚偽上乗せ統計の実態を知りながら、水増し統計を基準に経済力で日本を抜いて世界第二位になったと言う自信を示して、イキナリ周辺に対する威嚇・膨張政策を始めています。
中国が本当に自信があれば急ぐことはない・・自然に周囲が尊敬してくれるのを待てば良いのですが、それを待てない状況にあるのです。
今のような強引・腕力で威張るようなことでは日本だけではなく周辺諸国も納得出来ませんが、日本も中国が穏当な方法で次第に文化力も付けてアジアの盟主になって行くとしたら、歴史的にも馴れた関係ですので、多分歓迎するし中国をもり立てて行く心の準備が有ります。
アジアが力を合わせて欧米の野蛮な流儀を駆逐して行けたら良いとは思っていますが、(近代以前のアジア的秩序の復活)何故中国は焦るのでしょうか?
怪しいと自ら認める統計数字に基づいて、中国が慌てて威張り出して膨張を始めるには裏に何か余程の必要性がある(ゆっくりやってもこれ以上進歩出来ない限界が見えたのか?)と見るしかないでしょう。
韓国同様に内政の行き詰まりを糊塗する必要という見方も正しいでしょうが、それだけではなくこうした大きな流れを見ると、中国が真に台頭・・中国が周辺から尊敬され信頼を得る前にアジア分裂を策するアメリカの使嗾があるだろうと私が何回も書いて来た根拠でもあります。

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