人民と棄民の親和性(香港騒動と米国人権法)

中韓思想大事の影響を受けた日本人権活動家は、30年ほど前、改革開放後残留孤児大量帰還が始まった時に頻りに「棄民政策」という用語を使っていました。
聞きなれない熟語に当時ピンと来ませんでしたが、今になるとこれは中国〜韓国の人民思想を日本に当てはめた借り物概念だったように見えます。
文化大革命当時メデイアを通じて「造反有理」などのスローガンを氾濫させた再現のつもりだったかもしれません。
中国や朝鮮では古代から歴史では、支配被支配の2項対立社会ですから、被支配者は支配・政治の対象でしかない・牧畜業の家畜や企業で言えば商品みたいな対象です。
不要な商品を廃棄するような社会では人口が多過ぎれば口減らしのために国外に吐き出す・・棄民がぴったりの表現でしょうが、日本は満州へ同胞をゴミのように捨てたわけではないでしょう。
満州へ開拓団として赴いた青年らは、お国のために出かけたものですし、送り出した方も、満蒙開拓団員として出ていった子供を心配しない親兄弟はいなかったでしょう。
棄民政策とはあまりにも先祖を卑しめる表現です。
ゴミのように国民・同胞を海外に捨てる思想は我が国の現実に合わない・・中国社会の説明を鵜呑みにする主張が多すぎるので左翼系は信用をなくすのではないでしょうか。
日本政府は棄民したのではなく不可侵条約破棄によるソ連軍の突然の侵攻によって在留日本人家族が逃げ遅れたし、兵隊さんは無条件降伏→武装解除するとシベリアに連行されて文字通り奴隷労働を強いられたソ連の蛮行を覆い隠す便利なスローガンだったのでしょう。
敗戦後日系米人等の移民が日本本国人より豊かにしていてもやっかむような話を聞きませんでしたが、中国や韓国では政府の人民圧迫が強く苦しい毎日を送っているから、幸福そうな人を見ると妬み等に苛まれる・政府も人民の政府に対する不満をそらすために自害同胞に対する妬み心をそそるので余計そうなる面があるのでしょう。
韓国では世界一自殺率が高いほか、国外脱出願望の高さや国外売春婦輸出の多さなどなど、不幸指数というものがあれば世界ダントツというべき国ではないでしょうか。
19年11月23日まで中韓国民の不幸度を書いてきましたが、以下はその続きになります。
今回のノージャパン運動で困っているのは韓国人観光客特化によって潤ってきた韓国系資本のホテルや在日の経営する土産物店、韓国経営航空会社中心(対馬の現状を紹介してきました)が実態です。
(韓国客が減ってもトータル観光客が増えているので日本人経営のホテルや日本の航空会社も観光関連業界・対馬のように韓国客に偏った地域が部分的に困っているものの日本全体では増加傾向です)
にも拘らず韓国側では、ボイコットジャパンで成功していると思っているような強がりを言っているのは、日本人に対するより在日や対日投資で儲かっている本国企業に対するやっかみの方が強い・・歪んだ心理が本音にあるからかもしれません。
香港の誇る自由がなくなりそうな危機に際して、「香港でさえ言論の自由がなくなれば明日は我が身にもっと厳しく及ぶかも?」と本土人は香港人と懸念を共有する気がない・・応援する気になれない報道(メデイアによる情報操作でないとすれば)は、韓国人の在日に対するのと似たようなゆがんだ心情があるからでしょう。
中国政府は、中国本土での人民監視や締め付けを厳しくすればなるほど、中国領土として自由に往来できる香港でも自由を締め付けないと本土人との格差が大きくなりすぎて本土人民に示しがつかないから、香港に対しても締め付けが厳しくせざるを得なくなってきたようにも見えます。
本土では表現行動の自由の締め付けが日々強化される中で本土の人民にとっても香港の自由がなくなるのは重要な利害がある筈ですが、連帯の心さえ持てないほど、本土人民と香港人には相互反感の歴史があるのかもしれません。
中国は国際社会で香港書店主の拉致事件報道があっても無視・・問題にしないフリでしたが、やはり香港でも合法的身柄拘束できた方が良いので、本土への拉致合法制度化・犯罪人引渡し条例の立法を公然要求するに及び、さすがに香港市民の危機感が募ったのでしょう。
中国政府の気に入らない発言・思想表明すれば好きなように拉致されていたのが、今後合法化されてしまうのでは、言論の自由の形骸化どころではすみません。
身近に思想統制の網が広がってきた危機感で一般市民も怖くなって黙ってられなくなったようです。
ウイグル族が百万人近くも収容され、思想改造教育を受けていると知っても遠くの事件だったでしょうが、今度は自分たちの番になって、思想改造収容所にいれられたのでは、叶いません。
香港市民が最後の踏ん張りを見せたのは、今回に限りちょうど米中対決下で米国の応援が期待できる国際環境にあったことも影響しています。
米国としては、対中対決の材料として遠慮なく中国批判し、関税攻撃だけでなく人道批判攻撃(だけでなく、自由市場としての香港の経済価値を死滅させる脅迫)手段も手に入れたことになります。
11月28日のニュースでは米国で香港関連のいわゆる人権法が大統領署名により成立したと報道されています。
香港人は本土の同胞?の連帯表明よりは、米国や国際社会の連帯の方が重要と見ているいるようです。
本土と香港人は同族の連帯感などあてにできない、異民族関係同様の心情になっていると見るべきでしょうか?
中国では人民の抵抗など幾百万あろうとも戦車で簡単に蹂躙できるので気にしない政治体制・・抑止力は国際政治圧力しかないと冷厳な事実を知っているようです。
香港の場合本土と隣接しているので誤解しますが、元々の住民がほとんどいないところに華僑流入でなり立っている点ではシンガポールと成り立ちが同じです。
香港が英国から中国に返還されたと言っても、香港人は清朝時代から香港に住んでいた人たちの子孫ではありません。

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