太陽光発電の補助金?2

太陽光発電が斜面の多い日本の地形や屋根上の設置では効率が悪いのと同じで、風力発電も安定した偏西風が吹く西欧とは大違いで気まぐれ的な風向きの多い日本では発電効率が低くなります。
その上電気は送電距離比例して電力が減衰していくので、円形に近い国(中国やドイツフランスなどの)ほど国境地帯の無人地帯からの距離が短くて有利です。
日本の場合、南西諸島や北海道の僻地あるいは各県付近の離島で土地利用費が安くて安定した方向の風が強いとしても東京など大消費地に送電するには遠すぎてペイしません。
どんな商品でも安定供給できないと顧客に見放されますから、安定供給できるかどうかは重要です。
個々人でも「明日仕事に来るかどうかはその日にならないとわからない」というのでは雇ってくれません。
モーツアルトのような特別能力があれば注文者も我慢しますが、凡人やほぼ同質の商品供給の場合、供給不安のある仕入れ業者は相手にされません。
太陽光発電や(安定した偏西風の吹く西欧や太陽光のある中東と違い)日本の風力発電は、安定供給に向いていない大きな弱点がありますが、この弱点補完のための強制買い取り制度によって供給不安リスクを電力会社に負担させることによって成り立っている・・これも大きな補助金の一種です。
天気の良い日はいらないが余ったら買ってくれ、曇天の日は半分雨の日は満量電気を売れと「強制」(強制しないならば別ですが)するのは、経済原理から言えば非常な負担・いじめです。
手作り自動車や家電製品、味噌造りや綿製品等について、いつ納品できるか分からないが納品したら、近代メーカーに対して家内工業コストを基準にした買い上げ強制制度があれば、各分野の近代産業がその負担分コスト高になって国際競争に生き残れなかったでしょう。
電力会社の買い上げ義務化は一見電力会社だけをいじめているように見えますが、国際価格で発電させない割高電力利用を強制し国民や企業に最終負担させれば結果的に国民敵視政策です。
(電気に電力以外の品質差がない=でき上がる製品が同じならば、仕入れ値の安い方を選ぶのが経済原理ですが、これを温暖化防止の(根拠なき)政治駆け引きで、欧州の自然環境に適合した再生エネルギーの使用を日本が強制されているように見えます。
科学論に仮託したこうした政治の動きをどう表現すれば良いかと思っていたら、これを「エコファシズム」という表現が流布しているようです。
電気の貿易コスト(要は移動コスト)が高いので電気は現地生産が原則ですが、その代わりに原燃料の自由貿易があって、燃料コストはほぼ世界平等(生産国は運賃や関税不要の恩恵程度)です。
火力発電の場合は設置コストが国ごとの土地利用や建設維持コストの格差くらいですが、火力発電では他の近代工業用地程度の広さで済む・原発や風力のような巨大な土地が不要なので大都市近くに立地できるし土地利用程度や気候風土に左右されないのでこの点でも世界ほぼ平等です。
ただし電気は輸出しないから国際価格を無視して良いとの発想があるとしたら間違いです。
日本は島国なので電気自体輸出も輸入もないですが、エネルギー源は全ての産業の基礎コストですから、火力.LNGその他の国際商品と競合しています。
電気はすべての産業の基礎ですから、電気コスト高はすべての分野に影響を与え・生活水準を下げ産業の競争力を低下させます。
ジーゼルやガソリン車の排ガスの健康被害は立証されているので、これを減らす努力が合理的ですが、ここ数十年?のCO2大量発生を地球温暖化進行の原因という宗教みたいな政治運動が支配的ですが、そもそもCO2原因による温暖化進行説自体が本当かどうかわかっていません。
もともと光化学スモッグなどが問題になった4〜50年ほど前に工業化+モータリゼーションによる2酸化炭素発生が、雲を大量発生させて曇天が増えて平均気温が下がり植物の発育が阻害される・・それを餌にする動物(人類)が生きにくい・太陽光に触れる時間が減ると動物の生育自体に悪影響が出るので、2酸化炭素発生を抑制すべきという運動(当時は新聞程度しか情報源がありませんでしたが・・)が普通でした。
私はもともと寒いのに敏感反応する方なので、この報道を(これは大変だな!と恐れていたので)よく記憶しているのですが、今になってネットで調べると、そのよう意見が宣伝されていたことすら出てきません。
この数十年では温暖化が進むという宣伝ばかりで、どちらが本当かよくわかりませんが、共通項はCO2敵視説です。
このように180度主張が変わってもCO2削減論だけがより強硬になっているには、裏に何か変な動機があるのかな?と疑問を抱く人が増えるのは当然でしょう。
どう言う政治的立場があってバックで何がなんでもCO2排斥に走るのかわかりませんが・・。
今になるとCO2批判で太陽光発電や風力に切り代わったとき・石油石炭火力が禁止された場合の結果を見ると、複雑な地形の日本向きでない・・日本がいくら技術力で優れていても大規模農業に適さないように日本が適応できない新エネルギーを推していた結果になります。
いわば大規模農業以外の穀物を食べるのを禁止するような政策です。
こうなると、ありきたりの陰謀説が出てきますが、陰謀がないにしても、日本がお先棒を担ぐような議論ではなさそうに見えます。
農業の場合、量の勝負は無理でも品質で勝負できるので、これに切り替えれば努力と技能次第で済みましたが、電気にはこれがないので困ります。
このまま再生エネ以外の電力発電を認めない方向に進むと、昨日から書いているように再生エネルギーのコストは技術力よりは、立地コストが大部分を占めるために、日本は技術力アップでカバーできない結果、世界の大国では複雑な地形を持つ日本だけが(高コストエネルギーに頼る)すごいハンデイを背負うことになります。
日経新聞朝刊5月26日7pでは再生エネ以外の投資には資金市場で資金が集まりにくくなりつつあるので、日本企業が獲得している石炭採掘権益を売却していく傾向が報道されています。
石油利用禁止の国際ルール・・英仏政府は2040年までのガソリンエンジン全面禁止が上記記事に掲載されています。
・中国もガソリン車では頑張っても日欧に追いつけないのでEVシフト・近いうちにEV以外の車を禁止方向にしているなど)が完成すると日本が困るのは確かです。
5月26日にグラフで紹介しましたが、日本の再生エネコストが世界相場の3倍とすれば、そのうち蓄電池能力が飛躍的に上がれば、中国製電気を蓄電池に変換して輸入しても中国の電気代の2倍程度でおさまる時代・国産電気不要・壊滅時代が来るかも知れません。
中国はEVカーでは特定電池使用車しか補助金を出さない形で韓国車の差別をして、韓国車販売がこの数年激減したのですが、同工異曲の差別で日本の蓄電池より中国製蓄電池が有利になるのでその内日本の蓄電池は中国では売れなくなるでしょう。
4〜50年ほど前には寒冷化すると穀物その他が減少し大変なことになるという脅しでしたが、今度は南極の温度が上がった、北極海の氷が減ったとか、ヒマラヤの氷河が減ってきたとか海抜ゼロメートル前後のサンゴ礁の島が水没するとか言い出しました。
それが事実としても、温暖化したら、(仮に10度Cも上がれば日常生活を含めて大変ですがせいぜい1度内外の温度差しかない議論のようです)何が悪いのか素人の私にはさっぱりわかりません。
北極海の氷が溶けて船が通れるようになると日本と西欧がぐっと近づくメリットだけでしょう。

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