PCの無理1(パチンコは許された賭博か?)

2月4日にPC(政治的正しさ・きれいごと)風潮の限界論を紹介しましたが、きれいごとで貫徹すると却って無法状態が広がります。
今カジノ法で反対論が報道されていますが、元々国民の射幸性を完全に禁遏できないことを前提に政府・自治体管理下である程度の息抜きを許すために競輪競馬や競艇等が公的管理のもとで認められて来たもの・・それ以外は刑法犯です。
売春防止法も売春自体の完全禁止が難しいので管理売春など違法性の高いものを禁止する方法です。
現在パチンコによるギャンブル依存症が社会問題になっていますが、敗戦直後には公営管理の必要がない・・ギャンブル性が低い・・(当時バラック程度の家で、手動式でしたし、当たったよと言ってキャラメルなど持って帰って来る程度が普通)あったとしてもそれほどの射幸性がないので個人的遊びの程度を出ないと言うことで刑事罰に当たるほどではないと判断したように思えます。
世上言われるように賭け麻雀等でもその場のラーメン代を負けた方が持つ程度・・あるいはちょっとした集会でくじやビンゴなどで当たった人に景品を贈呈するなど・・は理論的には賭博としても習慣性リスクが低く主催側も業としていないこともあって、処罰する程の違法性がないと言う範疇のものが一杯あります。
ここにはある程度のお目こぼしの必要性と言うか、緩みの必要意識もあったでしょう。
ところが、刑事処罰の対象にしていなかったパチンコが、社会問題になるほどのギャンブル依存症を招いていると言うことは、個人的なちょっとした遊びの枠を越えている・・まして年間何十兆円もの巨大な売り上げを誇る業として成立するようになると取り締まるべきレッキとした賭博行為の仲間入りをしていることになるのではないでしょうか?
管理売春処罰や賭博も胴元処罰が厳しいように、営利目的が入るか否かは重要な指標です。
およそ刑罰その他規制取締の必要性を考えると、賭博や麻薬・春画・サドマゾその他の趣味嗜好あるいは風説・新興宗教・法輪功?も、個々人の限定趣味に留まっていて社会害悪が少ない場合には刑事罰で取り締まる必要がないのですが、一般に広がり過ぎて社会害悪になってくると取締対象になって来るのが普通です。
道路に痰を吐き、ゴミを捨てる人が10万人に1人なら「困ったヤツだ」と思っている程度でいいでしょうが、100人に一人の率でこれを始めると何らかのキャンペインヤポイ棄て禁止条例などが必要になります。
このような規制の歴史を前提にするとパチンコ依存症がこれほど騒がれているのに、パチンコ依存症対策やパチンコ規制の検討が進まないのは異常です。
パチンコのギャンブル性が終戦直後より緩くなっているのかどうかで言うと、その頃土間に立ちっぱなしが普通・・ある程度やっている人の話では、腰が痛くなって続かないとか親指で弾くので、親指が痛くてね!すぐにやれなくなると言うのが昭和40年代頃までのその道の通の説明でした。
50年代始め頃にどこかの駅で列車待ちの時間に知人と付き合いで入ったときには、まだ立ったままでしたが、いつの間にか椅子を置くようになって、長時間でも続けられるようになった外、機械化によって親指の疲れがなくなった頃からは行っていませんが・・・・入り浸りになり易くなっているのが現状です。
その上、社会環境の変化が大きい・・昔許された政治家への寄付が今は政治資金規制法で次第に厳しくなって行くように、友人宅への訪問時に路上駐車が普通であったのが今ではコインパーキングに止めるのが普通になるなど・・社会の許容範囲が変わって来るのは当然です。
戦後直後には粗野な行動が普通だったのが今ではカゲを潜めています。
社会環境の変化とパチンコの業務性強化によって実質違法性が高まったパチンコをギャンブル性低下方向へ規制するか、取り締まる方向へ踏み出すべき時期が来ています。
尤も賭博性緩和のために景品買い取り業者をかませて3者回転方式で外見上パチンコ店自身は、客に直接お金を払わない仕組みにしていますが、こんな見え透いたダミーさえ介在させれば合法になるならば、ヤクザが胴元になっているいろんな賭博も第三者さえ介在させれば良いことになり、この世の中で組織的賭博罪事件はなくなります。
パチンコに限って公安員会・警察のお墨付き・・賭博罪で検挙されないのは変な仕組みです・・。
ソモソモ、国民のために取り締まるべきか否か区別の基準は射幸性の有無と依存症に陥る人が多いかどうか・・社会に与える害悪であって、換金の仕組みを公安委員会の指導?(癒着)とおりに複雑にしているかどうかではありません。
賭博罪の要件を見ておきましょう。
公安員会の許可があれば良いとは書いていません。
政治献金・政治家の圧力で公安委員会が許可しても賭博であれば賭博であり、それが賭博になるかどうかは裁判所が決めることです。
刑法
第二十三章 賭博及び富くじに関する罪
(賭博)
第百八十五条  賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条  常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2  賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(富くじ発売等)
第百八十七条  富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
2  富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3  前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
賭博とは何かですが、
09/26/07「文語体から口語体へ(刑法)」のコラムで旧規定を紹介したことがありますが、旧規定を見れば明らかです。
第185条(旧規定)
 偶然の輸贏に関し財物を以て博戯又は賭事を為したる者は、50万円以下の罰金又は科料に処す.
但一時の娯楽に供する物を賭したる者は此限に在らす」
「偶然の輸贏に関し財物を以て」ナスものを言うのであって換金経路に第三者をかませれば「賭博」にならないものではありません。
パチンコ自体が賭博になれば、パチンコ業は賭場開帳図利罪になります。
国民の健全性維持のためには、換金システム複雑化よりは射幸性を煽ってギャンブル依存症に国民を誘引しているかどうかこそが重要です。
何故パチンコ業界だけが優遇されているのか不思議に思う人が多いので、結果的にパチンコ業界の不透明な巨額資金が政治家に裏で流れているのではないかと噂されるようになっています。
パチンコ等賭博関係を取り締まるべき公安関係政治家とパチンコ業界癒着の疑惑です。
http://www.mynewsjapan.com/reports/1758の13日現在の記事によると、
「平沢・菅原・下村・松島氏にパチンコ業界が資金供給、太田国交相には公益法人も献金 衆院東京9~16区」と言う題名が出ています。
平沢氏は警察官官僚出身政治家として知られています。
これだけ依存症が騒がれるようになった以上、イキナリ全面禁止出来ないとしても、コンピューター化の進んでいるパチンコ業界では、サラ金規制同様に一人当たり業界全体の利用金額(年間・月間・日限など)の上限規制などやる気になれば可能ですから、出来ることから規制して行くべきです。
そうすれば生活費・生活保護費を大半つぎ込むようなことも防げます。

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