新興国台頭と日本の進むべき道3

これまで書いて来たように欧米では,市民とピープル,資本家と労働者,支配・被支配の2項基本対立構造・・元々労働力は黒人でもクーリー・苦力でもどこから来ても良い国柄です。
アメリカの支配層にとっては生産の役に立てば牛馬でも移民でも何でも良いから・・何割でも安い労働力が欲しいだけの発想で移民受入れに寛大だっただけのことです。
産業革命とはトラックで言えば人間が100人で運ぶのと同じ量を運転手一人で運べる・・大量生産・大量輸送・大量消費の発明ですが、それぞれに参加するには運転能力・・自動車教習所などの訓練が必須です。
ベルトコンベアー式・作業の細分化が始まると一人で何かを組み立てる能力まではいりません。
21世紀に入ってコンピューター化・ロボット化が進むと機械操作するための人の作業自体が大幅にへります。
20世紀後半以降の産業進化は(近年中にクルマ運転も完全自動化するでしょう)言わば自動化社会ですから,省力化の時代です。
低賃金化競争→労働者が多い方が良い時代から、労働人口が重荷になる時代に入って行きます。
結果的に雇用の奪い合いになり、アメリカでは白人の職が奪われるようになるとイキナリ移民排斥論になって来たのがトランプ旋風です。
アヘン戦争後元々安い労働力として,中国人をアメリカ大陸へ導入していたところ,ゴールドラッシュに乗じて?中国人が一杯入り込んだ結果、その後あちこちで白人との職の場奪い合いが起きた結果、中国人相手の暴動・移民排斥暴動が広がったときに苦力を黒人奴隷とは違う「2級市民」と言う差別法制定で解決したことがあります。
http://www.y-history.net/appendix/wh1203-078_0.htmlによると以下のとおりです。
「中国では1842年の南京条約で開国し、外国貿易が始まると共に、労働力として移民が徴募されたが、その多くは暴力的に拉致した若者を強制的に移民契約を結び、契約労働者として送り込むものであって、厦門や香港から太平洋を横断する移民船にすし詰めになり、アメリカ大陸ではゴールド=ラッシュ時代の鉱山や大陸横断鉄道の建設現場で苛酷な労働に従事した。これは苦力貿易といわれ、それに従事する中国人貿易商の中には巨財を蓄えた者もいた。1860~80年代にこのようなクーリーが増加したが、特にカリフォルニアでは安価なクーリー労働力に仕事を奪われた白人労働者の間に中国人排斥の運動が強まり、1882年には中国人労働者移民排斥法が作られる。」
ここで言う「貿易商」とは「中国人売買」に関与したいわゆる奴隷商人のことでしょう。
第一次世界大戦後は日本人移民排斥があったことが知られていますが,・・戦争が開始されるとこれを理由に日系人は全資産を没収され荒野の鉄条網の中に収用されたことも忘れてはなりません。
これが人権と民主主義のクニ?のやることです。
日本人が収容されたのではなく,日本国籍を放棄し,米国製を取得していた人たちが収用されたのですから,驚くべき人種差別です・・こう言う戦争犯罪を犯した米国政府の誰が戦犯として縛り首になったのでしょうか?
日本が米系日本人を収容所に入れたでしょうか?
マスコミは敢えてこうした歴史を伏せたままで,アメリカは世界中に移民解放している素晴らしいクニだと言う賞讃ばかりして来ました。
これをオープンな社会と評価する文化人が多いですが,支配・被支配の支配層と人民の断絶社会・・搾取対象は誰でも良いだけのコトですから、奴隷または「2級市民」なら良いが,・・しもべではなく「白人と競合する移民はいらない」と言う分りよい差別社会です。
トランプ氏の移民排斥論はアメリカの歴史を見れば過去に繰り返して来た人種差別の本音の再現で、別に新しいことではありません。
人民を支配の道具としか見ていない欧米では,人民が貧しくなろうがなるまいが,人件費は安い方が良いに決まっています・・。
そこで未熟練労働で生産出来るようになると,企業経営者は何のためらいもなく白人を含めた国内労働者を棄てて海外に出て行きました・・これが21日紹介したトランプ演説で言う「エスタブリッシュは自分を守ったがあなた方を守らなかった」と言う部分です。
メキシコに限らずアップルの製造拠点が中国にあることが良く知られているように、その他新興国へ工場移転するために韓国その他とFTA締結して生産設備の国外脱出を図ると共に一方で国内に低賃金移民を引き入れる・・国内賃金低下作戦=国内労働者の新興国並みレベルダウン計画・・・正面突破作戦でやって来たのが欧米社会でした。
最先端でグロ−バリズム・市場開放を唱えた英米で真っ先にこの矛盾・限界に直面した・・これに異議が出て来た・イギリスのEU離脱国民意思表明であり,トランプ大統領の誕生です。
海外から言えば「自分で言い出しておいてなんだよ〜!と言うところです。
戦略的対応がスキな米英では,途中で自分の都合によって協力者のはしごを外すのを何とも思っていませんから,これが露骨になって行くとアメリカの政策を信用してついて行くと危険過ぎるので,誰も表向き賛成しながら本気で協力しなくなる・・今後の世界秩序維持には大問題になって行くでしょう。
この辺は後で別に書きます。
一連の国際分業・物流が進むと国際決済拡大・金融も資本も国際化します。
一般にグローバリズムと言われる米英主導経済理念で日本その他世界中がこれに追随して来ましたが、先頭国家である米英(英国の場合、ウインブルドン現象と言う形で始まり金融に特化しました)でその矛盾・ひずみが逸早く大きく出たものと思われます。
韓国の場合、国家経済の基礎が浅い上に単細胞的政治・・事大主義ですから,アメリカが覇者と思えばすぐにキリスト教徒が増える・李氏朝鮮以来の漢字文化を破棄して表音文字のハングルだけにしてしまうなど何事も極端です。
今後中国の時代と思えば過去の交際を無視して遠慮なくなくすり寄るなど社会制度も思いっきり法改正してしまう乱暴な?クニですから、率先して世界中とFTAを締結し先進国・高賃金国と言えるかどうかの段階から国内に移民を引き入れなど1直線政治でやって来ました。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/06/korea_01.htmlによると以下のとおりです。
「韓国に在留する外国人就業者の現況について、韓国雇用情報院(KEIS)がレポートを公表した。近年、外国人就業者は増加傾向を示しているが、中でも、『在外同胞(F-4)(注1)』『永住者(F-5)』といった在留資格者が増加し、これにともない、彼らのように就労資格を所持せずに就業する外国人が増加しているとKEISは指摘する。」
統計庁の「外国人雇用調査」によれば、2015年5月現在、国内に常住する15歳以上の外国人は137万3000人で、前年比で11万8000人増加した。このうち、就業者数は93万8000人で、前年比で8万6000人の増加である。全就業者比で見ると、外国人就業者の割合は3.6%(前年比0.3ポイント増)となる。」
日本の場合は以下のとおりです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000110224.html
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成27年10月末現在)~外国人労働者数は約91万人。届出義務化以来、過去最高を更新~」
日韓の労働人口が6対4とすれば韓国の外国人労働者率は日本の2倍以上となります。
日本と韓国の賃金水準については公式報道ではないものの一応の傾向としてみると以下のとおりです。
https://matome.naver.jp/odai/2140154311133932801
「最低賃金以下で働かされるアルバイト・・・時給280円?!
韓国のバイトが不憫すぎる! 5人に2人は最低賃金420円すらもらえない 」
賃金水準が日本の仮に半分とすれば,何故そんなに急いでより低い低賃金外国人を入れるの?と言うのが普通の疑問でしょう・・「今後これだ!」となるとすぐに動く国民性を表しています。
まして韓国若者失業率は半端ではないことが知られています・・外国人を入れて国民は失業しているいびつな社会です。
以下の記事も公式データに基づくかどうか分りませんが一応の方向性を示しているでしょう。http://www.huffingtonpost.jp/touko-shirakawa/korea-disemployment-young_b_12595728.html
若者層の失業率は2カ月ぶりに2桁台になり10.3%、6月基準では、アジア通貨危機の影響が色濃かった99年6月の11.3%に次ぐ高さとなった。」
韓国の失業統計は就職浪人などを認めていないので実は無職者はこの数倍以上いると言われています。
この結果米英よりも早くから国内矛盾が深刻化していることは、世界中への売春婦遠征の横行や国民の何割かに及ぶ移民願望で事実上知られています。
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160909/Cyzo_201609_203080.html
「20~30代の「国外脱出願望」は80%超! 韓国の若者たちが海外を目指すワケ」
右だ左だと極端に政策方向を切り替える未熟な社会では,当然大きな不満が生じます・・韓国では,軍政時代には国内窮迫化・矛盾・不満が表面化しませんでしたが,民主化すると不満のはけ口として何かチャンスがあると乾いた布に火がつくように直ぐに(政府もそこへ誘導するしかない)反日運動が激化する・・反日運動が行き詰まると大規模集会を繰り返す・・政府転覆運動を繰り返して来ました。

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