政党・政治家の役割 

昨日最後に中韓庶民の劣等感・沽券意識の強さの基礎にはエリートとその他庶民の二元論があると書きました。
ちょっと話題がそれますが,いま話題の駐韓大使一時帰国問題に少し触れておきます。
反日運動も同じ・・エリート・政府間交渉で「自分たちは日本に大変な世話になっていることは良く知っている・庶民は納得しないのでこの辺で表向き納めて欲しい」と言う交渉方式で戦後ずっとやって来ました。
今回の新慰安婦像設置許可もこの二元方式で,政府は努力しているが庶民が承知しないから仕方ないと言うやり方です。
その大もとになっている庶民に対して真の歴史を教えない反日教育をどうするのかと言う問題には知らんぷりです。
古代ローマや漢王朝に選ばれ、鑑札(漢の倭の奴の国王印)を受けたものだけがエリ−トであるとする意識に日本列島の価値観が合いません。
聖徳太子の昔に戻りますと,日本人は皆対等な同胞ですから漢王朝に選ばれた特定エリートだけがブランド化し優遇される「市民」「王」扱いするやり方に馴染めなかったでしょう。
大陸との交流が起きて以降・卑弥呼などが冊封を受けるコト自体に違和感があって根付かなかった・・使いを送ると漢王朝や晋朝では,勝手に冊封した形式にしていた可能性があります・・。
これを無礼だと思っていたニッポン民族の不満が出て来て(ニッポン民族は数千年前から,八百万の神・・衆議で決めて行く社会ですから,上から任命された「王」が威張る社会ではありません・・),はっきり言うしかないとなって,聖徳太子のときに熟議の結果、こちらも日出ずるところの「天子だ」と明白に言い張ったと言うことでしょう。
聖徳太子の随の煬帝への1回目2回目の国書については,November 26, 2016に紹介しました。
これを逆に日本が身の程を弁えずに無礼な国書を送ったと言うのが定説の印象ですが,この種いわゆる自虐史観は,16年1月6日の韓国に対する大使召喚等の意思表示に対する朝日新聞などの反応にも出ています。
聖徳太子のときにも「この際はっきりさせよう」・・失礼な扱いを「いい加減にしろ」と言う意思表示だったと(素人の私の偏った意見です)解釈すべきです。
実際にその後も独立性主張を繰り返していることからみても,よく考えないで出した国書ではなく、民族性に基づいた一貫した国論だったことの証左です・・。
随崩壊後の遣唐使でも堂々と独立性を主張していてこれを唐に認めさせて日本は冊封を受けていません・結果的に全盛期の唐王朝ですらも、日本を属国として冊封出来なかった・・遠来の客としか遇せられなかったと見るべきです。
自虐史観・・専門家・文化人解説では,朝鮮と席次を争った・・だから冊封を受けていたかのように大げさに解説しています。
しかし、新羅大使は属国の使いであり,対等国日本の大使の方が上席であるのは当然の主張で、唐王朝が何とか日本を属国扱いしたい政治工作を日本の大使としては黙認することは出来ないからクニの誇り、名誉を掛けて争ったのは当然のコトです
(ただし、唐の儀礼ルールでは他所から来た客より配下になるべき冊封国の使者の席次を上にしていた・・このルール自体が対等な客との交流を知らないいまに繋がる国際性不足の民族性です・・とも言われますので・・専門外の私個人的意見です)
誇りを重んじる民族性が,中世に無礼な国書を持って来た蒙古の使者を切ったことにも繋がりますし,幕末に武士が毅然とした対応をしたことが欧米の植民地化を防げた基礎です。
今の韓国中国はこちらが礼儀上ヘリ下っているといくらでも増長・横柄になる習慣・はっきり言わないと分らないレベルの民族である・・古代から繰り返しであることがわかります。
いまの慰安婦や南京虐殺問題も同じで、日本がコトを荒立てるのは大人げないと黙っていると「弱いからだ」と誤解して際限なく増長する傾向があるのは今に始まったことではありません。
礼儀の分らない相手にははっきり言うべき・・唐時代の席次争いと同じで必要なことです・・安倍政権になって反撃を始めて〜15年末の日韓慰安婦合意を経てもなお侮る態度を棄て切れない韓国に対して,17年1月6日頃の駐韓大使一時召喚等の日本政府の意思表示になりました。
唐朝でに儀式で「無礼な席次なら席を蹴って立つ」と頑張った大伴氏と同じです。
この段階で初めて韓国が驚いているのは,そこまでしないと分らない民族性を表しています。
聖徳太子の国書に対する一般的な批判の現在版繰り返し・・中韓の立場で,「日本がそんなことをしていいのか」「そんなことより話し合い」をすべきだと言う論調が当初マスコミ発表の記憶です。
この種印象を必死になって拡散していたのが朝日、毎日系マスコミでしたし,民進党の主張であったような記憶ですが、・・いま引用するためにみ直すと,何故か民進党の意見がデータに出なくなっているのでいまは不明・・記憶違いかも知れません。
朝日ニュースではアメリカ副大統領が如何にも制裁に反対しているかのように,「円満解決望む」意見であるかのような(これも見出しと違い推測しているだけのような狡い書き方)大見出しで印象操作していましたが、今になるとこれもどこかへ行ってしまい検索で出て来ません。
1月6日発表の政府対韓4項目通告に対するマスコミの印象的(はっきり主張出来ない?)記事の多くは,非武装平和論の蒸し返しと同じで「際限なく謝っていればどのような解決がある」かの展望もなく・・「ひたすら謝り続けろ・誠意を示すべき・・と言わんかのような印象だったのですが、余程抗議メール等があったからか今検索しようとすると全く出なくなりました。
いまネットニュースに残っているのは石破氏の「感情的対応は良くない」と言う記事だけで「民進党意見」でグーグル検索しても民進党の意見としては全く出なくなっています。
天下の政党が国家的重大決定に対する公式意見を出さない・・出せない・または一旦出したのを消したままで新たな意見を出せないのでは政党の存在意義がありません。
ちなみに個人意見ならあるのかと思って「大使召還蓮舫」でも何も出ません。
唯一見つかった石破氏の記事からの引用です。
http://www.asahi.com/articles/ASK1673XPK16UTFK014.html記載の石破氏発言要旨は以下のとおりです。
少女像「感情のエスカレートはよくない」 自民・石破氏
「日韓の断層は深いという感じを持つ。お互いに感情がエスカレートしていくのは決して良いことではない。どういう収め方にしていくか、見ながらやっていかなければいけない。この地域の平和と安定のために何が一番良いのか、北朝鮮を利することがないためにどうすればいいのか、政府でよくよく考えておられることだと思う。」
上記を見ると朝日らしい印象づけ記事で,見出し記事とはニュアンスが大分違うと言えば違いますが,次の総理を狙うべき政治家として慎重に選んだ結果の言葉としては,朝日の見出しが全くのすり替えとは言い切れません。
「お互いに感情がエスカレートしていくのは・・」と言う表現は、如何にも日本政府が感情的に対応していると言う批判的印象が強い表現です。
石破氏は自分のブログではないのでどんなに抗議があっても自分では消せないので残っているのでしょうが,4項目対応を感情的対応と見るべきか・・慎重に時期を選んだ安倍総理の冷静沈着な対応と見るべきか評価は一応分かれるべきでしょう。
石破氏は国防の専門家と言うマスコミの触れ込み・宣伝でしたが,元々国防について何が優れているのか全く知りませんでしたが、大使召還事件こそが国防最前線のテーマです・・。
国家間の争いを避けるのが国防政策ですが,大使一時帰国・・席を蹴って立つ行為は国家間紛争開始の第一段階です。
相手が踏み込んで来たときにどの時点で踏みとどまって言うべきこと言うべきか,毅然と自己主張すべきかの判断出来ないで「ずるずる後退する」しかないのでは,何があっても非武装平和論・・「相手に妻子が殺されても話せば分る」と言い続けるのと同じで,国防専門家とは言わないのではないでしょうか?
「石破氏が感情対立はよくない」と言うならば,「ここでは断固たる意思表示するのはまだ早い・次のこの段階まで待つべきである」と言う具体的戦略まで表明すべき・・もしかしたら発言しているのにマスコミで伝わらないだけかも知れませんが・・。
もしかしたらもしも具体的意見がなく,マスコミ受けするイメージだけで,「感情対立を避けるべき」と言う(実務政治家らしからぬ)文字どおりの感情論だとすれば・・次の政権取りの可能性を自ら潰した可能性があります。
政治家は国民関心事の高い順に意思表示すべきです。
この連休中に町内会の新年会に行くと多くの政治家が挨拶しました・・しかし地元政治家が具体的政権を披瀝せずに次の選挙ではよろしくと言うだけでは意味がありません・・自分はこの点に力を入れたいと言うメッセージがあってこそ直接聞いた甲斐があると言うものです。
国防は票にならないと言うのは,利益誘導だけを基準にした国民をバカにした意見であって,むしろ対中韓対応その他ホットなテーマに関する具体的意見次第で投票を決めたいと思う人の方が多いのではないでしょうか?
またこれを知っているから,民進党は本音を言えないで黙ってしまったし、マスコミは頻りに国防は票にならないと宣伝しているのだと思います。
政党や政治家がいま最新の政治的大ニュースについて何の意見も示せないのでは,政党・政治家と言えるのかの疑問があります。

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