高飛車に出た中韓の誤算3

日経新聞をみていると韓国企業躍進とドイツの対中投資がふえているから、日本が進出しなくとも高度技術導入に中国は困らない・・日本は置いてけぼりを食うかのように、陰に陽に対中投資をするべきだと言う不安を煽る記事が脈絡もなくしきりに出現しています。
昨日朝刊に1面には如何にも中国主導の第2アジア開発銀行に乗り遅れると大変だと言うような印象を振りまく記事が出ていました。
中国のGDPが日本の2倍になったと言う記事も時々出ますが、これもその一種です。
中国の統計は地方政府報告の積み上げから中央が適当に割り引いて発表しているに過ぎないのは、周知のとおりであって、何の価値もありません。
最近の発表では統計が当てにならないので、GDP統計からどう言う数字的根拠か知りませんが100兆元ほど差し引くことになったと報道されています。
適当に合計から100兆元引いた数字にすると言うのですから、中国の統計はデータに基づかない当てにならないことは世界の常識になっているのですが、マスコミはその点には触れません。
(別のところで書いているのかも知れませんが、別のところでこっそり書いておけばいのではなく、2倍になったと大きく報じる記事内に同時に書くべきでしょう・・この辺は年末のコラム「羊頭狗肉」以来批判しています)
これらの記事を見ていると「如何に中国の発展が凄まじいか・・乗り遅れるな」と言うメッセージを言外に宣伝したい印象が伝わってきます。
また、歴代政権と違い中韓の言うとおりに謝ろうとしない安倍政権の存在こそが中核的攻撃対象でしょうから、政権崩壊を狙う記事も脈絡なく出没します。
増税強要宣伝・包囲網造りは、その大きな一環だったと思いますが、安倍総理による解散戦略で裏をかかれた後は、年末年始にかけて安倍のミクス批判・・円安のマイナス効果ばかり連載的に取り上げていたこともその一つです。
総選挙の頃には、アベノミクスと言っても非正規雇用が増えているだけ?かのような批判をしていましたが、私のコラムのような批判が増えた結果と思いますが、趣向を変えて、1昨日ころには、大卒就職者の非正規雇用率が上がっていると別の角度から書いていました。
朝日のよう系統だって書くと、中国や韓国のスパイか?と批判されるからか、あちこちに脈絡なしにパラパラと出している印象です。
テレビで多用されるサブリミナル効果を狙っているのでしょう。
マスコミの情報操作の問題点を年末から連載していましたが、今その途中で本来のテーマに戻ってきました。
マスコミが中韓との対立に対する不安を煽り、中国が高度技術移転はドイツに頼るから日本は置いてけぼりを食うと言っても、今後必要になる環境技術=省資源=低コスト製造技術で日本に太刀打ち出来る国がありません。
金額面で言っても世界中からの対中投資は数字の上でも日本が圧倒しているのですから、日本が引いてしまうと韓国やドイツ程度の国が2〜3割増やす程度では肩代わり出来る能力がありません。
(1位の香港は金融資本中心でしょうし、シンガポールも商業資本中心ですから技術移転には向きません)
「2013 年6月日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部 海外調査部 中国北アジア課のデータ」で対中投資比率をみると以下のとおりです。

順 位 2012年
国・地域名    実行額  構成比  前年比
1 香港     71,28   63.8  △ 7.4
2 日本     7,380   6.6   16.3
3 シンガポール 6,539   5.9   3.3
4 台湾     6,187   5.5   △ 8.0
5 米国     3,130   2.8   4.5
6 韓国     3,066   2.7   20.2
7 ドイツ    1,471   1.3   29.5
8 オランダ   1,144   1.0   49.2
9 英国     1,031   0.9  △ 36.0


中国はより高度技術移転を有利な条件で求めるための高圧的攻撃をしたことが、逆に普通の投資さえ抑制される結果になってしまって困っているのが現実です。
(実力のママ日本に辞を低くしてお願いすれば、日本は気持ちよく応じたでしょうが、GDPで日本を抜いたと思ったらイキナリ偉くなったつもりで、高圧的に立ち回ってよりよい条件で技術を手に入れようと目論むから失敗してしまったのです。)

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