一般人の生活水準2(韓国)

韓国ではアパートを借りるには、「チョンセ」または「ウォルセ」と言う高額の敷金・保証金が必須ですので、誰も(アパート住まいの貧乏人でも)が一定の金融?資産を持っていることになりますが、これはアパートから出るとき返してくれる資産(権利)ではあるものの、次から、ホームレスにならない限り次のアパートを借りるときにまた必要ですから、自由に使えるお金とは言えません。
これらは実際に物を買ったりする資金として利用できないのですから、国民の豊かさ指標としての資産統計に含める意味がないように思えます。
韓国特有の「チョンセ」と「ウォルセ」が成り立つのは、韓国はずっと高金利社会で来たことによるらしいです。
韓国ではリーマンショックころまでは政策金利が4〜5%でしたし、現在でも2、5%です。
政策金利自体がこのように高いので、長く銀行預金金利で5〜6%で来たらしく、保証金として大金を受け取った大家が預けることによる金利収入だけでも魅力的です。
それだけではなく韓国は高利貸しがはびこっている(日本でも高利貸しと言えば在日系が中心でした)社会ですが、アパート経営は個人の大家さんが多いので、この種のお金の運用先は高利貸しの資金源としての需要があって、もっと高利で回している大家が多いと思われます。
大家にとってはこの預かり金を銀行預金すれば個人金融資産となりますが、満期が来れば返さなければならない資金ですから、これも金融資産の統計に加えるのはおかしいことになります。
統計の集計段階では銀行預金の中に預かり金がどれだけ含まれているかまで知ることが出来ないのは仕方がないとしても・・全国で行なわれている大方の「チョンセ」と「ウォルセ」の概括的的推計合計数字・・やる気になれば推計調査は簡単ですから経済学者はこの程度の研究調査発表をしている筈です・・を金融資産統計から控除すべきでしょう。
チョンセ等の使途に戻りますと、韓国は通貨危機になったことからも分りますが、慢性的資金不足社会であるからか、(日本でも高利貸しと言えば在日系が中心でした)高利貸しが牢固とした基盤を築いている社会です。
マイホームを入手できた人はまだ救われますが、アパート住まいのママ高齢化した場合、保証金に吸い取られ、他方で高利貸しに吸い取られる結果貧困から抜け出せなくなってしまいます。
現朴大統領が選挙で公約したのは、(当時)現行の月約1万円の年金を2万円に増額すると言うものでしたから、余裕がないまま老人になってしまうと、1〜2万円の年金では生きて行けないので、自殺するかスラム街の住民になって行くしかない社会です。
これが非常に恐れられている結果、小金を持つと先ず老後資金用にアパートを持つのが長年の流行であり底辺層の夢でした。
テナントから預かった保証金の使途として、アパート建設用ローンの一部返済に回してしまうと2〜3年後(契約終了時の)にテナントへの返済資金に困ります。
銀行預金金利で5〜6%で回すより高利貸しに回して10%前後で回した方が有利である上に、(ローン返済してしまうともう一度借りられませんが・・)いつでも一旦回収できます・・1ヶ月くらいの誤差で次のテナントが入れば、保証金がまた入りますので、その間のつなぎ資金を借りるリスクがない点で合理的・・高利貸しへ回した方が弾力運用に向いています。
こうした実態から個人の大家の場合、高額保証金の多くが、高利貸しの貸し付け資金源用に融資されて銀行金利より高利で回すのが普通になっているようですし、これが高利貸しの資金供給源になっているので、高利貸しがなくならない所以です。
高利貸しに借りるのは安アパートに住む階層が主な階層でしょうから、自分らアパート借り主階層の積んだ保証金を元手に商売している高利貸しに自分たちの拠出したお金を借りて更に高利を吸い取られてしまう循環社会になっています。
この循環によって、韓国で一旦貧民階層になるとドンドン転落して行き、最後はスラム街で一生を終えるか自殺などでけりを付ける・・歯止めのない社会・仕組みになっているようです。

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