一般人の生活水準1(韓国)

一般的噂(真偽不明)ではコンビニ等の価格が日本とほとんど変わらないと言われている(正確には分りません)のに、所得や金融資産水準だけが低いとすれば大変です。
所得水準に応じて物価水準もおおかた比例する筈ですが、人為的にウオン安に設定していると、輸入物価が上がることから割高な物価となります。
また企業利益・付加価値(GDP)の労働分配率が低いと、GDPを国民一人当たりで割った計算上の所得よりも個別労働者への給与が大幅に少ないので、庶民の収入平均値が下がってしまいます。
こうした積み重ねがこうした結果を生んでいるように思われます。

2013/08/23(金)
「韓国銀行(中央銀行)が22日発表した統計資料によると、6月末現在の韓国の家計信用(個人負債)残高は980兆ウォンと集計され、過去最高を記録した。3月末に比べ16兆9000億ウォン増加した。」

昨日紹介しましたが、プラス金融資産は家計平均約785万円ですが、個人金融負債は昨年末で100兆円になりそうな勢いと報道されていましたが、実際に昨年末にどうなったかまだネットで見つけていません。
人口約5000万で割れば一人当たり200万円の負債ですし、家計の定義不明ですが仮に3人平均としてみれば、1家計で600万の負債ですから僅かに差し引きプラスです。
しかし韓国の場合財閥社会ですから、金融資産保有格差が半端ではない筈です。
これを裏返しに見れば、財閥系一族が借金やローンでマンションを買うことは考えられないので、債務の方は庶民が一手に引き受けていて、金融資産の方は財閥系一族が大方保有していると言う非対称の関係になっているように見えます。
金融資産と負債を差し引き合計で比較しても庶民の苦しみは分りません。
個人金融資産は財閥オーナー保有分も含めますので、財閥経済の韓国の場合、庶民の実質的金融資産はもっと少ないし、負債の方はもっと多くなるので・・大方の人にとってはマイナスと見ておくべきでしょう。
ついでに韓国の所得比率・格差を見ておきましょう。

http://www.xinhuaxia.jp/social/37930/2
2014年06月16日 16時55分

韓国の所得不均衡は、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうちで上位圏に属する。韓国対外経済政策研究院が77カ国のジニ係数を比較した結果、1981年-2011年に韓国のジニ係数は先進国28カ国の中で8番目に高いことが分かった。所得の不均衡も悪化している。アジア開発銀行(ADB)は1990年-2010年における28カ国のジニ係数の推移を分析した結果、韓国のジニ係数は5番目に高いことが分かった。関連データによると、韓国で2012年に総人口の1%を占める富裕層の1人当たりの年収は中間階層(約1660万ウォン)の約17.5倍に相当する約2億9120万ウォンに上った。2007年の平均収入で比較すると、中間階層の17.1倍だったという。

(翻訳 王秋)

上記によると中間層の17、5倍と言うのですから、非正規雇用層の収入が中間層の半分とすれば1%の富裕層の所得は35〜40倍になる可能性があります。
所得と金融資産は比例するものではなく、何倍、何十倍に拡大化するのが普通です。
例えば月収15万円の収入の人と60万円の収入の人とでは、貯蓄率が4分の1ではなくゼロまたはマイナス(サラ金から借りる生活?)に対して、一方は月約10万円貯蓄と言う比較になります。
韓国ではアパートを借りるには、「チョンセ」と「ウォルセ」と言う高額の敷金・保証金が必須ですので、誰も(アパート住まいの貧乏人でも)が一定の資産を持っていることになりますが、これはアパートから出るとき返してくれる資産(権利)ではあるものの、次から、ホームレスにならない限りまた必要ですから事実上自由に使えるお金とは言えません。
「チョンセ」と「ウォルセ」が成り立つのは、韓国は高金利社会・銀行預金金利で5〜6%ですが、高利貸しがはびこっている社会ですから、実際にはこの種のお金は高利貸しの資金源になっているので・・もっと高利で回している大家が多いと思われます。
言うならばこの部分は、自由に使えない資産ですから、個人金融資産としての価値のないに観念的数字となります。
(使えないお金ですから、実質から見れば統計上の個人金融資産から控除すべきでしょう)
貧乏人が生活に苦しくなると満期で預けた保証金が帰って来る資金全部そのまま次の契約に流用できなくなると半金程度で済む「ウォルセ」形式に流れます。
満期になって戻って来た半金をそのまま流用できなくなると更に劣悪な条件に流れて行き、最後に殆ど保証金を作れなくなるとスラム街に流れて行く社会システムになっているので膨大なスラム街が形成されているのです。
政府は公営住宅整備をしないとスラム街がなくならないと言う意識を持っているようですが、・・我が国と違って最低保障の社会資本整備が遅れているからです。
ただ高額保証金性をなくすには、公営住宅普及の問題ではなく高金利社会をなくすことが先決でしょう。
韓国も招来我が国のように低金利社会にれば大家が高額保証金を預かっても大して儲けられない・・せいぜい家賃滞納に対する保障と言う純粋な意味しかなくなる・・そうなれば保障会社の保証などの合理化が進むと思われます。
大家にとってはこの預かり金を銀行預金すれば個人金融資産となりますが、満期が来れば返さなければならない資金ですから、これを金融資産に加えるのはおかしいことになります。
銀行が預かった預金をどこかへ預けてるようなもので、これを統計に加えているのは水増しになります。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC