資源輸入資金と人口1

ちなみに最近流行の観光立国論は「立国」ではなく、貿易収支赤字を補う(海外からの収益送金にプラスする)ための時間稼ぎとしての意味はありますが「立国」などする力はありません。
企業城下町で工場が撤退した後で、その跡地を観光施設化しても養える人口はホンの僅かです。
夕張市の破綻・夕張炭坑の観光地化など見ても分りますが、観光による地域振興と言うマスコミに踊らされて却って傷を深くしてしまった例です。
富岡製糸工場跡が世界遺産に指定されて地元は観光資源として期待していますが、世界遺産指定で訪れる人がいくら多くなっても、元の工場操業時の従業員数に匹敵する人口を養える訳がありません。
エジプトは元々農業国ですから人口が多かったのですが、エンゲル係数の低下に伴い、車や電気製品等いろんな物を買うためには養える人口が減って行くしかないのですが、その差額を長年観光収入に頼っていますが、エジプトに限らずギリシャなど観光収入に頼っている国や地域は概ね悲惨な状態になっています。
その地域で養える人口が減れば、出稼ぎに出るか出産数を減らすかして地域で働く人口を減らす政策を取るのが王道です。
この適応は人口減を伴うので、これをいやがって無理な人口維持政策・観光宣伝やカジノ誘致などで誤摩化していると生活水準をドンドン落として行くしかなく、餓死者続出していた4〜50年前のインドやアフリカ同様になってしまいます。
貿易赤字化が始まるとつるべ落としのように急激ですが、人口減政策は次世代の出産抑制しか出来ないので効果が出るには数十年以上かかります。
この間の不足資金をどうするかですが、1つにはその前に蓄積しておいて徐々に吐き出す方式と、数十年先に起きて来る貿易赤字拡大の先手を打って海外進出しておいて、収益の本国送金システムを構築しておく、この2方式の併用があります。
人生で言えば高齢化してからの労働収入減に備えて、貯蓄と年金や有価証券保有併用の方式の国家版です。
年間約20兆円の国際収支黒字の蓄積と海外進出の実行の併用をして来た過去20年来の日本のやり方は、この意味で合理的でした。
今後企業の海外立地が進行する一方の場合、労働収入=貿易収支は赤字になって行くのは必然ですから、今後は海外収益送金に頼るしかなくなります。
ただし金融資本収益で維持する方式は長く続かないことは、ベネチア共和国の例など上げてこれまで書いてきました。
個人の場合、働けなくなる日に備えて老後資金を蓄えてその収益と元本取り崩しで人生設計しますが、このやり方が半永久的に続く前提ではなく、一定期間で死ぬから老後短期間の人生設計として成り立っているに過ぎません。
日本の国全体で考えると若い人とのバランスの崩れた高齢社会を早く卒業して、一定期間経過すれば現在の少子の若年層が高齢者層になって行く日が来るので、人口数千万〜5000万人程度で老壮少の均衡社会が実現するでしょうが、それまでの時間稼ぎとして・・一定期間のみ有効な進出企業からの収益に頼るべきだと言う意味です。
その点は兎も角として年金積み立てが分厚くなる前に高齢化が始まっている中韓では、これを早老社会と言って大変な事態が待っているようです。
中韓ではまだ海外進出が少なくて、海外からの収益送金システムがまだ殆ど稼働していません。
中韓でも一定数海外進出をしていますが、国全体で見れば所得収支は赤字傾向と思われます。
(日本など先進国から導入した外資への利益支払をしている段階で、海外からの収益送金の方が圧倒的に少ないでしょう)
今後グローバル化が完成=貿易収支黒字が減って行き、輸出代金で国民を養えなくなると大変なことになります。
中国の場合輸出代金で国民を豊かにしていると言うよりは、外資導入資金で国内が潤って来た状態ですから輸出減の始まりの心配をするよりは先に外資導入が止まるとその段階で大変な事態になります。

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