文化受容力と国民レベル(GDP) 1

昨日「外形的」なGDP基準を当てにするのはおかしいと書いた意味は、そもそも国民の豊かさはCDPでは計れないという意味です。
国内各種統計・・GDP自体の有意義性を否定するのではありません。
経済その他の政策を決める上で各種統計の正確さが重要ですが、これを国別ランキングに用いると却って歪んでしまって実態にあった経済政策が出来なくなってしまいます。
ソ連崩壊直前にはゴルバチョフ自身が、政府の正確なテータがまるで分らずに苦労した逸話が有名です。
健全な需要に基づいて生産することを前提に国内総生産のデータの意味があるのですが、需要のないところに無茶にマンションを建ててゴーストタウンを作っても、あるいは需要に関係なく無謀な製鉄→在庫積み上がり・・鉄道を敷設してもデータ上のGDPが上がります。
芸能界で言えば、どれだけネット上でヒットしたかによってランクが決まるとなれば、韓国が機械操作で韓国芸人のヒット数を巨大数字に仕立てることがはやりましたが、実際にはCDが殆ど売れていないという珍事が多くなって、1〜2年でヒット数が基準にならなくなりました。
スポーツ大会等も当初は国民平均レベルを表していたでしょうが、古くは共産圏で国威発揚のために特定エリート選手・バレリーナ等を養成してオリンピック等の成績の嵩上げ狙うようになりました。
国体も渡って来る選手を県代表にするためにその県民の総合運動能力と関係がなくなりました。
学力テストもそれ向けに特訓して特訓した児童だけに受けさせるようになると、世界ランキングの意味がなくなりますし、本当の国民の学力が政府にも分らなくなるでしょう。
古くは玄米でも何でも検査というものは、無作為に抜き打ちに抽出して検査するから全体レベルを推定出来るのであって、検査箇所を前もって教えてもらってそこに良い米を入れておくのでは品質等級が分らなくなります。
元共産圏や中国や韓国のように幼児期からの特定エリート養成が成功したからと言って、その国全般のスポーツ・芸能・文化の基礎水準が高いことと全く結びつきません。
中国やロシアが特定分野・・国威発揚になる宇宙開発でかなり良い線を行っていてもそれが全体レベルの上昇の結果とは言えません。
(車1つマトモに作れないのに・・)そこだけ突出しているとすれば、もしかしたら、技術スパイがいてそこだけ何とか真似して作っている・・あるいはポスコやサムスンのように日本から技術者を高給で引き抜いて作ってもらっていると一般に言われている解釈が妥当するでしょう。
スパイが理解し、あるいは先進国技術者を引き抜きさすれば真似して作れる程度のレベルに達してると言えるだけです。
教養を問う試験問題が分ってそこだけ勉強していた学生が、テスト問題の理解能力さえあればその他の教養がまるでなくともいい成績を取っているようなやり方です。
このように特定基準を採用すると、これを悪用する事例が直ぐに増えるので、本当の国民の豊かさが分りません。
捜査情報が筒抜けになると家宅捜査しても1丁の拳銃も覚せい剤も発見出来ないでしょうが、だからと言って暴力団が何らの違法行為をしていないことになりません。
CDP統計を国際基準にする場合、前もって採用基準が分っているのでその部分だけ誇張した数字にすれば良いという誘惑に駆られる国が増えます。
企業が決算期末に向けて押し込み販売・・流通在庫が増えるだけなのと同じで・過剰生産・・在庫の山になります。
まして中国の例で分るように都合の良いデータだけ上がるように作為的生産・・需要を無視して生産した結果のGDPデータでさえ、そのまま出さずに更に加工して多めに粉飾するようになるとどうにもなりません。
(テスト問題を知っていてそれだけ勉強して試験を受けながら、そのテスト結果まで水増しして発表しているような国が多いのです)
韓国の失業率で良く問題になりますが,IT技術者が失業して職安で現場労務者の仕事を紹介されて断ると、就労する気がないと言うことで、失業統計から外していると言われています。

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