第二次世界大戦の戦後処理から見たアメリカの意図1

第二次世界大戦が英米等の連合国側にとってどんな目的の戦争であったかは、どんな美辞麗句を並べようとも・戦勝国の強みで嘘八百の宣伝をしようとも、戦勝国による戦後処理を見れば明らかです。
2012-11-8に憲法前文を紹介しましたが、この前文は如何にも日本が政治道徳に反したかのような反省文になっていますが、これを日本に強制することは面映かったのではないでしょうか。
(GHQとの擦り合わせの結果、現憲法草案が確定したことは良く知られているとおりです・・ここから押しつけられた憲法改正論が出て来ることになっています)
アメリカ自身が策略を弄して弱者を戦争に引きずり込んだり、欧米諸国が植民地支配で人道に反したことをしている最中に、(対日戦争は結果的にアメリカのフィッリッピン植民地支配の復活・・西洋の東南アジア植民地復活戦でもありました)もしも人としての倫理観がアメリカ人にもあれば、自分ら日本の何倍も悪いことをやって来たことを「厚かましくも良く日本の罪のように言えるよ・・」と言うことになります。
アメリカや連合国の言うように、武力獲得した植民地が政治道義に反するからとして日本から全部取り上げるならば、西洋諸国の植民地支配を何故復活させたのかの説明がつきません。
仮に「この戦争で取った分だけなかったことにしよう・・元に戻せ」と言うならば日本は満州事変以降に拡大した中国での支配地やインドシナ半島等を返せば良いだけです。
台湾の場合、元々李氏朝鮮のように清朝にはっきり服属していた訳ではなく、周辺の化外の地域として存在していただけですから、どちらに属するか曖昧な状態で日清両国の交渉中の所で、日清戦争で日本が勝ったために日本帰属に文句言わなくなっただけで日本がはっきりしていた清朝支配から奪い取ったものではありません。
06/09/04「国事行為16(憲法74)天皇家の存在意義13(大使公使の変遷1)」で明治初年の台湾に関する清朝との交渉に派遣する全権大使を派遣する勅語を紹介したことがありますので参照して下さい。
明治の初めっから帰属問題で揉めていたことがこれで分ります。
だからこそ日清戦争後の独仏露の三国干渉でも台湾はその対象になっておらず、(三国干渉の結果返したのは、遼東半島など清朝の実質支配地だけでした)安定的に日本支配が続いて来たものです。
同じく千島列島のソ連帰属も日本が武力で奪い取ったものではない・・日露戦争の結果交渉の結果帰属が決まりましたが、このときは代わりに樺太の南半分と交換していますので、仮に日露戦争前に戻すならば、樺太の南半分を日本は返してもらう権利があることになります。
奄美諸島や小笠原諸島や沖縄諸島など(順次返還して来たとは言え返還するまで)どのような正当性があってアメリカが占領し続けて来たのかを問うべきです。
日本の信託統治領であった南太平洋の諸島もアメリカはそのまま奪い取ったまま今日に至っています。
こうした合理的思考からすれば、連合国のやったことは政治倫理/道理に反したこと・・単に戦争に勝った結果、まさに日本を批判しているその論理で日本領土を腕力で不当にもぎ取った行為に外なりません。
戦後処理の基本は、英仏欄が旧植民地の奪回、中国はこの機会に係争中だった台湾を日本から相手の弱った機会にもぎ取り、ソ連は千島列島をもぎ取り、アメリカはフィリッピンの支配回復をする外に日本全体を植民地支配する密約の実行だったことになります。

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