定住意識の崩壊1

子供がなくともどうってことがないという話を前提に夫婦問題に戻ります。
家事育児の能力が仮に男女同等になって来てしかも男女の文化レベルに差異がない場合、(女性は女性同士のグループ生活の方が良いだけではなく)オスにとっても子供の問題以前に女性と一緒に生活する意味がなくなってきます。
上記意見は7月23日に書いたように、オスはライオン同様にメス集団にくっついていないと食いはぐれる(狩りで鹿など大物がとれるのは滅多にないことで、オスは何時も腹をすかしていたのです)ので定着するようになったのが始まりとすればの話です。
オスの方も今では殆どが給与所得になって真面目に働くようになっているので、メスにくっついていなくとも食いはぐれることがなくなっています。
勤務先が決まっていないと不安ですから毎日出勤しますが、出勤してもじっと机に座っているのは今でも苦手ですから、営業マンとしてしょっ中出歩いたり、交際と称してゴルフに行ったり会議ばかりしているのが男性の普通の姿です。
中にはフーテンの寅さんのように放浪癖がなくならない男性もいますが、殆どの男性はともかく餌の種である企業・勤務先に毎日出勤することを厭いません。
農業時代に祭りや寄り合いその他でウロウロしていても、ともかく女性のいる家に毎日帰って来ていたのと同じ意識で出勤後企業を基地にして出歩いていて夕方には一旦企業に帰って生活するようになっています。
結婚していない男性は会社に泊まり込むのを何とも思っていないのは、最早勤務先企業が、古代に定住先を決めた集落・・女性のいる家と同じ役割を果たすようになっているからです。
今では今日はあちら、明日はこちらと気の向くところで寝泊まりして家に帰らずに、飲んだくれていてもどこかに安定して勤めてさえいれば、自分が食うのには困らない時代です。
(ドヤ街に寝泊まりして手配師に言われるままに車に乗せられて現場に働きに行くのであれば、一定のところに毎日通勤することも要りません)
労務者に限らず(ホワイトカラーも)職場さえあれば、一定したネグラがなくとも食うには困りません。
生活するには一定の所帯道具が必要ですが、これからは家具付きマンションが増えて来て、テレビや冷蔵庫その他の道具類がついているとかパソコン付きも増えて来るでしょうし、そういうところを借りれば良いのです。
これからはスマートフォンの時代で大きなパソコン(画面)は会社にあれば充分で、個人で持ち歩く時代ではないでしょう。
すべてデータ化してグーグル等で保管してくれているので、自分の荷物として持ち歩く必要がない時代です。
身体1つのようでいてポケットからスマートフォンを取り出せば、身の回りのかなりの必要なデータを取り出せて間に合います。
定住先が自宅から会社へとする意識変化を前提にすれば、勤務先周辺で寝泊まりしているのが合理的であって、何時間も掛けて妻子のいる場所から通うのは不合理となります。
この端的な例が単身赴任の場合でしょう。
現在社会でも既に単身赴任者の場合、赴任先から妻子の待つところへ月に1回程度通う実質的な通い婚形式になっているのですが、通勤時間の長い勤務先の場合も、自宅には夜中に帰って眠りに帰るだけで朝早く家を飛び出して行くとなれば、これも勤務先から妻のところへの通い婚に近くなっていると言えます。
放浪していると食いはぐれるところから、男が古代以来女性が主宰する集落=集落内の家庭・自宅に居着いていたのですが、明治以降の通勤形態労働の発達によりオス独自の餌の獲得場所となりました。
元々オスは定着したくて定着したのではなく、食料確保のために女性集団の主宰する集落に定着したに過ぎませんから、収入源が勤務先で得られるようになれば、あえて遠くの集落に夜遅く帰る意味がなくなってきます。

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