妻のサービスと代替性1

女性の方は経済的能力をそれほど男性に期待出来ない・・女性も外で働く必要=家事労働時間が少なくなる時代がきている上に、子育てに関して近代以前のように周辺女性の援助を受け難い都市生活では、出産後は夫へのサービス中心には出来ません。
妻は近隣や親戚の援助なしに子供の世話・・昔のように動物的な生育を見守れば良いのではなく衛生・教育負担が大きくなっています・・・もあるし、夫の方ばかり向いて笑顔でやっていられない・・それどころか夫の不規則な帰宅時間に待ちくたびれた妻の不満がたまって来ます。
家庭内不満は不確定な夫の帰宅時間に対して、夕食の用意をしておくのか食べて帰るのかも分らずに待っている妻がイライラし始める所が始まりですが、夫にとっては赤提灯などサービス業ヘ行く場合、予約なしにいきなり行っても文句を言うどころか、喜んでくれるだけです。
勿論、「私ばかりが食べる用意・掃除や皿洗いなどの後片付けを何故するの?」と言う不満もありません。
小料理屋や飲み屋等はお金を払って貰うために、いつも愛想がいいし小ぎれいにして客が来やすいようにしているのはあたり前です。
飲み屋・小料理屋その他レストランなど飲食業などのサービス業でも、客の払う対価を元手にして自分の家族を養い・子供を育てている点では、妻の家庭サービスと引き換えに夫の給与を得て子供を養っているのと似ています。
そうなると、どこが違うの?(その都度対価を払うか、一ヶ月に一回給与をまとめて渡すかの違いだけか)と言う問題になります。
仮に子供のいない場合で比較すれば、妻との違いはある程度長期スパンで心から心配してくれる相手かどうかの違いと言えるでしょうか?
商売系では、体調が悪くなったり収入が減ってその店に行かなくなれば、少しは心配してくれますが、その内に忘れられてしまう存在ですが、妻はこういう時にこそ親身に心配してくれます。
ただし、私の見ている限り、これも相対的なもので(他人より長期間見てくれるだけで)うつ病等になって会社をクビになった人の事件では、妻はその内に子供を連れて逃げてしまいました。
夫婦でも収入がない状態が一定以上続くと愛想を尽かされることが多いのも現実です。
飲み屋のママでも一定以上親密になれば「最近来ないけどどうしたかしら・・」と心配してくれる(客が減れば収入に関係する面もありますが・・・)のが普通ですし、会社の同僚でも同じでしょう。
人は長い間集団で生きて来て、その後夫婦で家庭を築いて来た経験から、子育てのための夫婦関係維持の必要性が減少して行くとしても、当面一人では生きて行きにくいのも現実です。
そうとすれば、社会組織で相手にされなくなった(元気をなくした)ときにこそ、なお一層ある程度まで親身に心配してくれる関係(飲み屋のママではなくとも)が必要です。

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