消費力アップと消費税増税論の矛盾2

金融政策で言えば金融引き締めは全産業の水面を公平にアップさせて国内産業全般(輸出用工業製品も含めて)に重荷を負わせ、金融緩和はその逆に水面を下げて活動し易くする政策ですが、消費税増税は国内消費材にのみ重荷を負わせる・・国内消費抑制策になります。
しかし20世紀末頃から、世界の工場から現地生産に移行中で国内産業の顧客は主として国内需要用にあるとすれば、国内消費だけ減る事はあり得ない・・結果的に国内生産の縮小をもたらします。
国際収支赤字で困っている国=輸入超過の場合には消費抑制策は生活費を切り詰めさせ国際収支改善効果がありますが、何十年も国際収支黒字が続いている豊か国でこれをやる必要があるかと言うことです。
先進国・・あるいは純債権国では、政策の目標は民の消費力アップ・生活水準向上にある・・金融緩和は消費底上げ目的・・ひいては国内生産力上昇を計るべき・・消費力アップこそが国力や民の幸福の指標であるとする、このシリーズで書いている意見からすれば、金融緩和しながら消費抑制策である消費税率アップするのは政策混乱あるいは矛盾です。
金融緩和をしながら消費税を上げるベシと言う財務省やマスコミに出て来る経済学者は、金融緩和は国内生産力増を目的にしているが、消費の増減とは関係なく成立すると言う切り離し論を前提にしている・・すなわち消費抑制して倹約した資金を生産力増強に回すということでしょうか?
これならば金融緩和と消費抑制策は一貫します。
そう言うやり方は、スターリンが約2000万人も餓死させながら小麦を輸出していた実績がありますし、現在中国が出血輸出で外貨を稼ぐのも国民犠牲の点で同じです。
何回も書きますが後進国の場合、スター企業を育てるのも一方法ですが、先進国の世界で競争出来る企業は現地生産主流の時代ですから、財政資金投入して成功してもすぐに海外に出てしまい国内生産力の増加は一定で終わり・・(ジャパンでスプレイのように?)衰退産業分野で輸入攻勢に曝されている企業の延命に資する程度です。
※輸出成功すれば自信を持てるので、現地事務所→現地進出でもやれると決断するのが普通の企業ですから、世界の工場再現を夢見るのは時代遅れです。
消費税増税=消費抑制しながら、増税によって得た資金を生産力増強のために補助しても仕方がありません。
ところで、消費税アップ論者は頻りに財政赤字が問題と言いますが、政府資金が不足していることを「財政赤字」と言い換えているに過ぎません。
税収が一定とした場合、福祉予算や生活レベルアップ資金需要が新たに起きたならば、その分時代の役割を終えた殖産興業型従来型予算を減らして入れ替えて行くべきです。
毎年北海道に旅行していた家庭が今年は沖縄にも行ってみたいと言う場合、北海道旅行をやめるのが普通の判断です。
旧来型支出を減らさないママ、社会保障やインフラレベルアップ予算を増やそうとするから増税が必要になっているに過ぎません。
消費税は財政投資に使わない・・福祉目的税と言いますが、一方で増税必要性理由として財政赤字補填を主張しています。
増税が赤字解消もしくは縮小目的ならば、増税分は赤字国債縮小(借換債をその分発行しない)に使うのがスジですから、福祉政策に新たに支出増加させるのでは赤字解消にならないのですから、主張自体が矛盾です。
紙幣には色がつかないので税収増加分がある御陰で無駄な(成長目的の投資継続は無理があることを書いてきました)財政投資を減らさずに済ます・・あるいは減らし方の速度を緩めようとしているのが明らかです。
この辺で政府が資金不足=財政赤字に陥った原因を振り返ってみましょう。
明治維新以降戦後の高度成長期まで恒常的資金不足であった我が国は、庶民から資金を吸収する特定郵便局郵貯制度を全国通津浦々までの完備したことによって資金を集めては(財投資金として)殖産興業に励んで来ました。
この資金吸収政策の成功が明治維新以降の日本の大躍進・殖産興業の成功に繋がったと言われています。
前島密が讃えられている所以です。
庶民の自発的上納・・郵貯資金貯金に頼れなくなって、これを直截庶民から小銭を取り立てようとしているのが消費税になります。
日本は純債権国で世界一の金あまり国ですから、資金需要が諸外国よりも低いので、余剰資金量に応じて金利が諸外国より低くなるのは自然です。
郵政改革によるだけはなく金融の国際化が進んで海外金融商品を庶民も自由に選択取得出来るようになったので金利低下の結果、国民は利回りの良い外貨建て預金や外債購入など流れる・・郵貯も銀行も資金獲得の国際競争力を失います。
政府が税以外に民間資金吸収する方法は郵貯と国債発行(金融機関に入札させて金融機関が国民に小売りする)がありますが、この辺は国債金利低下に伴って国内最終需要が消えてしまった・・国民は買わない・・消化に不安になって日銀が国債を市中から一種の買い戻しをするようになったのと軌を一にしています。
日銀の国債買い戻しは、将来のデフォルトや金融緩和リスクばかりをマスコミで報道しますが、内容実質は末端国民・・エンドユーザーの買い手がつかなく(国民からの資金吸い上げが出来なく)なりつつあって、その打開策として一定量の買い戻しを約束して金融機関に入札させる仕組みにしたと見るべきです。

消費力アップと消費税増税論の矛盾1

金融緩和(金融調政策)によって直接的経済成長を期待する役割が先進国・純債権国・豊かな社会では終わっていることをここでは書いています。
億単位の預貯金を持っている人は、銀行金利が下がっても消費を増やしたりすることはありません。
世界の工場としての役割が終わって需要地・現地生産に切り替わりつつある現在、国内生産量は自国消費プラスαに規定されるのが原則です。
国力の源泉が今では消費力にあるとする意見をMay 7, 2016「資源+生産力から消費力アップへ1」以下で書いてきました。
成長戦略とは内需拡大化またはプラスα部分(マザー工場機能)を増やすしかないのですが、プラスα分は画期的製品で成功しても国内限定でなく現地生産に移行して行きますので、先行者利益期間が過ぎれば元に戻るしかありません。
千か万に1つの大成功を期待するよりは、庶民の消費底上げ政策の方が規模が大きく安定的です。
国民の方も、ある程度のものは手に入っているので、政府の号令一下・・金利をちょっと下げれば設備投資が増え、住宅や各種ローン購入者が増える・・国民が政府の思うように消費を増やしたり減らしたりする単純反応する人が減って来た・・直ぐ反応する時代は終わっています。
純債権国・紙幣あまりの社会では、供給過剰・・消費不足社会ですから、消費を増やす政策(明日以降書いて行きますが量は足りているので生活レベルの向上・・トイレがあるだけはなくウオッシュレットが普及するように、文化発進力の充実)が必須ですし、レベルアップ消費が増えて生活が充実することは国民福利増進にも叶っています。
絶対消費量を増やすには人口拡大と一人当たりの消費を増やす2方法がありますが、人口を増やす方法は、生活水準がそのままの前提ですから国民には、夢がありません。
一人当たり消費を増やすと量の欲求が限界に近づくので、商人はイキオイ全ての分野でレベルアップ競争になり、より上質・・豊かな生活が出来るようになります。
既存商品が行き渡っている豊かな国では、今後国内消費拡大・レベルアップにはどう言う政策が必要かコソが必要な議論ですが、少なくとも、消費抑制に働く消費税増税論は時代錯誤の印象を受けます・・。
学者官僚は「木を見て森を見ない」と言うか、時代の大きな流れがどうあるべきか・・質素倹約論はギリシャ等の債務国には合理的ですが、世界一の純債権国日本の政治としては非合理である点に気が付かないようです。
豊かな社会、純債権国では、貯蓄ばかりしないで逆に消費=需要を増やした方が良いのです。
満腹だからもう要らないと言うのではない・・・量を消費するのではなく上質化する工夫が政策に求められます。
土建的財政支出の時代が終わったのは確かですが、それと内需拡大の必要性が終わったのとは質・レベルが違います。
世帯数より建物の数が多くなれば、家の需要がなくなったのではない・・もっと広い家に住みたい・快適な家(上質な家具調度に囲まれた生活をしたい)・交通便利な場所に住みたい需要などが無限にあるのと同じです。
美術品でもより良い物を解体見たい欲求に答える・この種のレベルアップで国際競争して行くべきですが、この種のものは従来型GDPにはあまり影響がありません。
田舎に行くと料理の味や盛りつけの芸術性よりは量で勝負する傾向が目立ちましたが、国全体でえば、田舎者のスキなGDP競争から脱却すべきです。
今後は量を充足する時代から、上質な料理・農産物・・トマトでも良いものを作ったり味を楽しんで行く時代です。
実用品ばかりではなく、絵画・各種文化を向上させて行く(江戸時代に俳諧や川柳落語は歌、小唄、義太夫・・歌舞伎や各地のお祭り文化等々が発達したように)政策に注力すべきです。
・・・・我が国はその意味でも上質なものを愛する点では遣唐使の昔から世界に冠たる上質品愛好国家ですから消費の上質化競争では、更に世界をリード出来るでしょう。
そうすれば、名実共に世界の尊敬を集められるようになります。
ドイツの批判みたいで恥ずかしいですが、内需の貧弱なドイツの問題点は内需拡大と言っても基礎文化が貧弱だからレベルアップ出来ない(おいしい物を作ったり楽しむ能力が弱い)から・・量で止まってしまうからではないかと言うのが個人的意見です。
質素倹約論に戻りますと、痩せた人は栄養を取った方が良いですが、肥満の人は栄養を取り過ぎないようにするなど国によって、処方が違うべきです。
特定分野、例えば自動車税・ガソリン税や住宅取得税アップは自動車や住宅販売抑制になることは明らかです。
増税分野=その分野の消費抑制の視点で言えば、消費税増税アップ論は特定消費抑制ではなく消費全般を抑制するための政策になることは間違いがないでしょう。
財政健全化論と増税とは必ずしも一致するものではありません。
赤字原因を縮小したり、成長による増収もあり得るしどの税目を挙げるか(どの分野を非課税にするか)も必ずしも一致しない・そこには多様な論理があり得ます。
(喩えば高齢化問題と言えば、65歳以上の人口比ばかりマスコミが書きますが、保険赤字の原因も高齢化ばかりではなく医薬品や医療機器の高騰にも原因があることを「ダイジェスト報道5と正確(中立)性担保4」February 14, 2016前後で連載しました・・これからは65歳以上で働く人が増えて来るなど社会保障負担も変わってきますのでもっときめ細かい年齢別分野別議論が必須です)
政府のえり好みによる・・特定産業に下駄を履かせる・・政府官僚が市場選別よりも優れている前提)個別産業優遇の財政政策は限界があるので、全体の足場・・水平面の上下変動を通じて公平に影響を及ぼし、対等条件下で伸びる産業と伸びない産業が市場で決まって行く金融政策の方が自由競争にも適している・・合理的政策であることをこのシリーズでは書いてきました。

消費力←金融3

May 8, 2016,「資源+生産力から消費力アップへ2」から話題がそれていましたが、消費力の重要性に戻ります。
武力剥き出しによる問答無用の砲艦外交の西欧近代の世界支配の時代に粗鋼生産量や造船量・・生産力・GDPが必須アイテムでした。
弱肉強食の時代・・腕力での戦いに勝ちさえすれば勝った方はどんな非人道的行為でも、(相手を動物扱いするなど)何をしても良いと言う西欧価値観で支配されていました。
※中国の場合昔から勝てば相手の将軍の母親を切り刻んで無理に食べさせるなど普通に行なわれて来たとを何回も紹介しています。・・これに習ったのが信長で,恨み骨髄の敵将浅井長政のしゃれこうべに酒を入れて武将に飲ませたと伝えられています・・後世信長を暴君だったと広めるための創作かもしませんので真偽は分りません。
野蛮な価値観を基礎にアメリカでは、奴隷化された黒人に対しては「人間尊厳の基礎」たる性行為でさえも動物の「「種付け」と同視される・・およそ日本人の想像力を越える戦慄的な残虐行為が普通に行なわれて来たのです。
7月20日に紹介したインデアンに対する・・赤ちゃんが生まれると全部母親から取り上げて白人家庭に預けて使用人として育てさせる・・民族精神根絶やし作戦も同じで、日本人から見れば「神を恐れぬ」所行です。
※日本人は東南アジアでもアフリカでも現地に行った個人の努力で子供の教育に精出したり植林したり農業指導し、水がなければ灌漑設備を作ってやったりするのが普通ですし、植民地支配がおかしいと思えば独立運動を教えたりしてきましたが、同じようなこと・・ただしいと思うこと・・黒人差別はおかしいだろうと言う運動を戦前からアメリカでも個々人がやって来たのです。
アメリカ人の残虐な実態を知った日本人の驚き・・これを受けて第一次大戦後の国連で日本が人種平等の主張をしたことがアメリカの逆鱗に触れてこのときからニッポン民族殲滅作戦が進行したのを紹介したことがあります。
アメリカに渡った日本人個々人がアメリカでの黒人差別の実態に驚いて個人の良心の赴くまま、草の根での黒人解放運動を地道に行なって来た・日本が戦争に負けてもアメリカ在住の個人に関係がないので、戦後も地道な解放運動を続けていてこれが実を結び戦後・1960年代のアメリカの公民権運動の成果になって行ったのです・・黒人解放は日本人の運動の成果であることは歴史となって既に知られていることですが、これに対する仕返し・報復運動がアメリカ主導の性奴隷批判です。
何故左翼系が「性奴隷」と言う表現にこだわるかと言えば、アメリカとしてはどうしても自分達の奴隷制を批判して来た日本人に対して日本も同じことをしていると言う意味で「奴隷」と言う言葉にして日本に報復したいからに外なりません。
戦時国際条約違反をやって来た米軍が自分の蛮行を隠すために違反行為をしていない日本の将軍に対する戦犯裁判を強行したのと同じです。
私はこのコラムで、繰り返しソ連による日本人のシベリヤ連行の悲惨さを書いていますが、タマタマ新聞を読んでいると、日経新聞7月21日朝刊40p(最終裏面文化欄)に抑留体験を絵筆に書き留めた木内信夫氏のあとがき?みたいなモノが紹介されています。
カレの紹介によれば抑留体験を描いた水彩画がユネスコの世界遺産に昨年10月に登録されたと言うことです。
この記事のある数日〜1週間前に世界的建築家の設計になる上野の西洋美術館が世界遺産登録されたと大騒ぎの報道があったばかりですが、私は(西欧の有名人が作ったかもしれないが日本人の美意識とも合わないこんなものが何故?)この空騒ぎに元々違和感を覚えていたのですが、日本にとってもっと重要な遺産登録が何故マスコミで大々的に報道されていなかったのか?(私だけが知らなかったのか不明ですが・・)驚きました。
ソ連の蛮行を国内で出来るだけ風化させたい・・左翼系マスコミには不都合な真実・・隠蔽しておきたかったからでしょうか?
そこでウエブで調べてみると本当に遺産登録されたらしく、この登録準備を切っ掛けにロシアが対抗的に中国に働きかけて南京虐殺の遺産登録運動が急浮上して来た経緯が書かれています。
西洋的価値観ではやられたらやり返す・・でっち上げであろうとあろうとなかろうと日本もやっていたと言う虚構の事実を数の力でごり押しする・・極東軍事裁判同様に正義かどうかなどどうでも良いと言う価値観なのでしょう。
一旦裁判と言う形式をとれば、極東裁判も決まった以上は真実がどうのと言う争いを許さない・南京虐殺も国連で決めれば決まったことだから・・と日本の反論を許さない図式を(アメリカが裏で応援し)中ロが利用しようとしています。
こう言うでっち上げ主張の応援をしている限り日本は、ロシアと仲良くする余地がありません。
話を生産力・武力重視価値の時代が終わったと言うテーマに戻します。
最近までは、武器の基礎になる「鉄は国家なり」と言う思想で教育されていて、歴史観でも鉄器民族がどこで始まり、日本に鉄器を持ち込んだ民族は◯◯と議論した上でどこで先に鉄が取れたので勢力を持つようになったと言うまことしやかな解説が一般的です。
しかし民族の消長は殺しあいで勝ったり負けたりだけではなく、日本列島では、平和裏に縄文から弥生時代へのように同時的移行して来た高度社会です。
中国が未だに製鐵・造船量にこだわっているのは、剥き出しの武力による勢力拡大に価値観を置いているからです。
第二次世界大戦後、腕力=量ではなく、道義やソフト力で決めていく時代になると発言力が生産力から消費力に価値基準が変わって来たことをMay 8, 2016「資源+生産力から消費力アップへ2」前後で書き、更には消費力不足に対する金融支配が増して来た・・金融支配力の重要性・・これに反発する反ウオール街感情やパナマ文書公開による金融資本締め付け・・金融支配に対する反感増大を書いている内に、話題が次々と移ってしまいました。
ここから金融支配力に戻ります。
比喩的に言えば、剥き出しの武力・・威嚇→量さえあれば何でも出来る世界・・これを支えるのに、戦艦・大砲等の武器の多い方が優位になる砲艦外交が一対の社会でした。
米ソが核弾頭を無数に持って量を競っていたのは(500発と600発の差は無意味ですが、)過去の惰性です。
金融調節・異次元緩和も量にこだわる過去の惰性・延長ですが、未だに日銀が経済運営の中枢を握っているかのような錯覚でマスコミが騒いでいます。
この辺の関心でここから書いて行きますので、消費力の重要性=金融力・・金融政策はどうあるべきかのテーマに変わって行きます。

過大消費と消費者破綻(資金環流策)

ちょっと軍事費負担能力から話題がズレますが、軍事費も含めたアメリカの過大(収入以上の)消費について書いて行きます。
ニクソンショック以降のアメリカの消費力維持は国際収支黒字国に付け回す・・いわゆる資金環流によっていたことを連載したことがあります。
資金環流とは何か・・言い換えれば、借金で収入以上の生活を国家ぐるみでして来たことになります。
現在の世界経済における巨大不安の根源は、アメリカが自己資金・対応する労働収入以上の消費を何十年も続けて来た無理に対する不安です。
収入以上の消費をして来た結果,20世紀に入ってから長年の蓄積を食いつぶしてしまった結果の第一次破綻がリーマンショックであり、その余震が南欧諸国の経済危機ですが、アメリカ社会が過大消費を改めるどころか、異次元緩和によって消費の下支えをして来ました。
この点は中国がバブル崩壊ショックを緩めるために国内再投資拡大しているようなもの・・誰も中国に対するような批判していませんが、中国の破綻先送りと本質は同じです。 
アメリカはリーマンショックの教訓を忘れて?過大消費復活モードに入っている=貿易赤字拡大する→資金環流促進が必要だが、このまま低金利が続くと逆にアメリカへの資金環流が縮小するリスクがあるのでFRBは必死になって一刻も早い金利引き上げ時期・・消費抑制+資金環流促進を探っている状態です。
この利上げのタイミングがうまく行かないので、さしあたり対米貿易黒字国に対する円高要求等・・相手国為替が切り上がると輸入物価が上がる→消費抑制になるし赤字も減ると言う目論見・・金利上げと結果は同じ目論みに繋がって来た原因です。
そこが堅実消費社会・・金利の上下はそれほど消費に影響しない日本との違いです。
最近の根源的不安はアメリカの第二次破綻が迫って来ていて、その帳尻合わせに苦しみ出したことに根源があって、それのキッ掛けになろうとしているのが中国の破綻現実化局面です。
中国がリーマンショックによる消費減退の穴埋め役を担当して、環境も何も無視した無茶な消費をアメリカにおだてられるままにやってしまった・・約50兆円投入して無茶な内需拡大・・いわゆる中国の爆買いをした結果、今そのツケ・帳尻合わせが出来ずに苦しんでいる状態です。
例えば個人の懐ならば、1000万円の蓄積があるときに海外旅行などで贅沢して500万円使ってもまだ500万円残っているときに、今年から旅行をやめればどうってことない筈ですが、国家経済はそうは行きません。
個人の場合でも旅行や観劇消費と違って環境健康無視の「ドカ食い」の場合、健康被害や公害が残る・・後始末の費用が必要であるように消費の仕方にもよります。
中国の場合、50兆円消費するために新幹線や高速道路やビルを建てまくったので、製鐵、セメント会社などが設備投資して労働者を雇っているので、来年からゼロです・・これ以上作りませんと言う訳には行きません。
長野オリンピックの後で地元企業が苦しんだ大型判です。
中国は企業をバタバタと潰す訳に行かないので、需要がなくとも無駄な工事をイキナリゼロにしてやめる訳に行かない・・苦しいところです。
個人商店でも商売を辞めようとすれば、相応の後始末資金を残しておく必要・・大企業で言えば工場閉鎖やリストラなどをするには損失計上体力が必要です。
上記例で言えば、中国が50兆円使ってもまだ50兆円残っている段階で縮小に転じても、大混乱回避・・ゾンビ企業延命のために残りの資金供給が必要ですが、残りの金で足りるかどうか・・途中で足りなくなって破産するかどうかが注目の的になっている状態です。
個人の場合計算さえあっていれば良いのですが、国家の場合、市場の信用次第・・本来足りる筈なのに、(政府の信用度が低いと)信用不安でドンドン資金流出して行き、折角の外貨準備を崩して買い支える必要があるので、十分足りる予定だった資金が半分〜3分の1も使えないうちにデフォルトになる危険があります。
今中国はこの過程・・国際金融資本家〜小金持の資本の海外逃避とのせめぎ合いで、外貨準備が日々流出している状態です。
ちなみに5月の外貨準備減少額は以下のとおりです。
[北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)が発表した5月末時点の外貨準備高は3兆1900億ドルで、2011年12月以来の低水準だった。ドル高や散発的な市場介入が影響した。
ロイター調査による予想は3兆2000億ドル、4月末時点は3兆2200億ドルだった。
5月の減少幅は279億ドルで、月間の減少としては2月以来の高水準。

人民元流出の主役はソロスなどのプロと言うよりは、中国を見限ったかその先が危ないと思う裸官その他の中国国内の小口資金保有者の国外資金逃避のために合法取引を装って両替申請する・・人民銀行はドル不足になって外貨を取り崩す繰り返しです。
中国2000年間専制王朝を崩壊させて来た農民の流民化と同じ現象が、資金逃避と言う形で始まっています。
ただ、中国の外貨準備が急減するとアメリカの過大消費をファイナンスしていた資金が流出→消滅する危険があります。
これをアメリカががどうやって穴埋め・ファイナンスするかの悩みです。
その穴埋めにパナマ文書等に始まる・・タックスヘイブン摘発がイキナリマスコミを賑わすようになった原因のように見えます。
アメリカ国内のデラウエア州にタックスヘイブンがあって、そこにはアメリカは手を入れない・・特殊扱いが知られています。
要はアメリカ国内に資金を持ち込むならば、目をつむると言うアナウンス・摘発方式です。
結果的に中国を筆頭にした逃避資金はドンドンアメリカ国内に非合法に集まって行きます。
アメリカは中国政府を資金流出で追い込みながら、自身は非合法資金を集めてでファイナンスされているので、当面金利を上げる必要がない・・消費抑制には上記のとおり円高などを要求すれば良い状態です。
非合法資金の摘発と称して世界中の非合法資金を脅して、非合法資金の摘発を受けない「安全地帯」アメリカ国内に集める政策をとっているのです・・もちろん根拠のない穿った見方です。

中韓の反日行動と技術移転1

中国も韓国も反日を貫徹するためには、日本からの部品供給に頼る仕組みを変えるしかありません。
ただ、韓国(慰安婦騒動過激化)や中国の反日暴動や尖閣諸島海域侵犯も実は本来の反日ではなく「もっと技術移転しろ」と言う甘えと脅しのミックスだった可能性の方が高いように見えます。
戦後何十年も言いがかりをつけられると日本政府が「まあまあ」と応じて来た経験がそのような行動を誘発させた原因でしょう。
時あたかも東日本大震災被害で日本が困りきっているこのチャンスとばかりに慰安婦問題を激化させ,中国は領海侵犯と暴動をしかけ韓国は領海侵犯するほどの実力がないので占領中の竹島に大統領が上陸して精一杯の攻勢をかけました。
これは1国がイキナリやったのではなく、中韓が語らってロシアまで引き込んで(ロシアは北方領土への大臣上陸や列島周回威嚇飛行の繰り返し)大掛かりにやったものと想定されます。
ついでですが、ソ連は先の大戦末期に日ソ不可侵条約を破った上で、何十万人の日本人をシベリアに連行・抑留しただけではなく、戦後70年も経過した今でもちょっと相手が弱ったと見ると日本と何のトラブルもなくともこういうことを何のためらいもなくする・・信用出来ない行動をする国であることを肝に銘じて置くべきです。
韓国の反日行動激化に戻りますと、次の朴政権の中国寄り政策は彼女がイキナリ始めたのではなく、前政権が軍事行動として周辺国と謀議のうえで始めた以上それを承継するのは国家としての帰結です。
謀議参加までは行かないまでも、親中韓基本の民主党政権ならば脅せば技術移転に協力すると思ったのか、あるいは親中韓政権と阿吽の呼吸での密約があったのでしょうか?
中韓露の攻勢に対して日本国内は(幕末のように)騒然となり、安倍政権に政権交代の上、慰安婦問題にも毅然と対応する・反日暴動に資本移転で対抗し、領海侵犯には実力で対応する、レアア−ス禁輸には技術革新と入手先変更で対応することになったので、三国は裏目に出た状態でしょう。
このときのアメリカによる「ともだち作戦」の実行は日本国民のアメリカに対する信頼間醸成に大きな貢献があったと思われます。
困ったととき応援してくれる国と侵略を狙う国の違いがはっきりしました。
中韓露の攻勢に対して日本が想定外に反発したので、ロシアはすぐに手を引き、中韓派は脅しが足りないとばかりに次の朴政権が慰安婦問題で世界的大攻勢を始め中国は領海侵犯行為を激化させ(小笠原まで出掛けて珊瑚礁を破壊し尽くしたこともありました)ましたが、安倍政権が毅然と対応した結果遂に矛を収めるしかなくなりました。
ところで、日本企業の立場になると自社工場が襲撃されると困るので(脅されても虎の子の革新技術を移転には応じなかったと思われますが)企業によっては(日本国民に知られないように)裏でかなりの技術移転が進んだ可能性もありますので中韓による強迫攻勢は一部成功していると思われます。
ですからここで書いているのは大方の傾向です。
たとえば、レアア−スを原料として買うだけではなく、中国国内加工・製品化要求に応じた企業が多くあったと想定されます。
ただし、昔迷惑かけたから謝罪のつもりで進んで協力・移転するのと脅されて仕方なしに協力するのとでは基本が違いますのでこの差が今後どうなるかです。
全体的には脅されても虎の子の基幹技術移転には応じなかったと思われますが、新幹線に関しては以下のとおりです。
以下は5月21日現在のウイキペデイアの記事ですが、これによるとこんな無茶苦茶な条件で輸出に応じたJR東日本は(人質に取られている施設はなかったと思われるものの・・いろんな裏事情があるのは当然ですが、)外見と結果から見れば言わば国賊ものではないでしょうか?
 ttps://docs.google.com/document/中国高速鉄道CRH2型電車
中華人民共和国側は当初、CRHを自国製の高速鉄道車両としてアピールしていくと発表した。これは、中華人民共和国側の車両購入条件として“中華人民共和国へのブラックボックスのない完全な技術供与”があり、その技術も含めた購入のため、「自国の技術」と言い換えることができたためである。
この車両販売に際しては、台湾高速鉄道の主として車両を受注したJR東海が参加を見送り、逆に積極的だったJR東日本のE2系ベースの車両が納入された経緯がある。JR東海が参加を見送った理由は、
中華人民共和国へ全ての技術供与をしなければならず、技術流出が懸念されること
技術供与により次回受注ができず、日本側への継続的な利益が見込めないおそれがあること
本来、新幹線は地上設備等も含めた総合システムとして運用されているものの、車両のみを販売すると安全を保証できないおそれがあること
等を懸念したためであった。」

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