衰退産業延命1(ゴーン逃亡)

官民ファンドなどと表現するのは臣民用語を焼き直したに過ぎず、メデイアがこのように表現するようになったのは、政府が経営内容にまで介入どころか決定権まで持つようになった事に対する「これでは第三セクターどころではない国営でないか?」という婉曲的、遠慮がち批判かもしれません。
戦後「臣民」表示が国民主権の精神に反するようになって都合悪いとなれば「臣民」意識そのままで言葉だけ「官民」にすり替えるなんておかしいと思っていましたが、この10年ほど政府介入が大きくなりすぎている点に対してメデイア界が、これでは戦前の国策事業とどこが違うの?という抵抗精神で官民協働・半官半民と揶揄する高度表現するようになったのでしょうか?
そもそも昨日書いたように、これから伸びるなら応援するのは意味がありますが、実力が落ちてきた事業の延命のために税を投入する発想自体がおかしいのです。
野球や相撲スケート等の名アスリート、企業の敏腕営業マン、社長その他全ての分野で現役としての実力低下が始まればコーチ〜監督〜営業現場から管理職へ、社長から会長、相談役〜業界活動等に転身を進めるべきです。
今世界を騒がせてレバノン政府等を困惑させているゴーン氏を例にすれば、日産立て直しに成功した数年で役目を終えたとして潔く転身していれば華麗な経歴だけ残ったのでしょう。
大改革に向いた才能と改革後の維持とは能力発揮場面が違うのに、(「創業と守成いずれが難きか?」の故事の通りで)地位にしがみつき金銭欲?にこだわったばかりか、恥の上塗り?的な国外逃亡という悪手に頼ったためみっともない連鎖になりました。
国外違法出国は関係者多数に違法行為による訴追される負担を負わせる外、関係政府等に困惑を引き起こすのは目に見えた筈です。
我々弁護士こういう相談を受ければ、自身が新たに違法行為を行うだけでなく、本来無関係な多くの人を違法行為に引きずり込み、迷惑をかけることが目に見えているのでこれをやると
「この人はもともとこういう他人を巻き込んでも違法行為を犯すことをものともしない人だという評価が定着してしまい総合的なマイナス効果の方が大きい」
ことを説明して同意せず実行を思いとどまらせる努力をする・説得に応じなければ辞任することになるのが基本セオリーです。
ゴーン氏は起訴事実の有無という客観的事実で争うより国際世論を味方につけたいという戦略とすれば、このような違法行為を行うことが、国際世論の支持につながると判断したのでしょうか?
国際世論は時間が経たないと結果が出ませんが、稀代の成功者イメージが違法行為の積み重ね・・周りを巻き添えにしてきた・汚れ役には相応の巨額対価を払ってきたので彼らは検挙されるのを覚悟の上だから迷惑をかけていない・・としても「闇の金によって何でもやる」イメージが出来上がっては逆効果でしょう。
国によって受け止め方が違うでしょうが、ゴーン氏が期待するはずのフランスやレバノンでは富裕層との格差に対する不満が盛り上がっている最中です。
こういう国では富裕層実力者が裏でゴーン氏に甘い約束をしたかもしれませんが、巨額資金で違法行為を実行するゴーン氏を英雄扱いどころか、表立って彼を擁護すれば政治リスクが大き過ぎます。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13354_2.php

激動のレバノン、大規模デモと経済危機の背景とは
2019年11月10日(日)13時22分
レバノンは10月半ばから、首都ベイルートその他の都市で反政府デモによる混乱が広がり、サード・ハリリ首相が辞意を表明する事態となった。既に危機に陥っていた経済への信頼感は揺らいでいる。
反政府デモの参加者らは、政治エリート層が商売と政治を結ぶ恩顧主義の網を通じ、国家資源を使って私腹を肥やしていると批判している。

私服を肥やしている政治家に対する不満が高じて政権崩壊・その後新政権構想がまとまらないまま漂流している政治状況下ノレバンで、私腹を肥やす象徴的事件のゴーン氏を政治家が公然と庇える状況ではなさそうです。
フランスも格差に不満を抱く反政府デモが昨年から下火にならず続いていることから、マクロン政権はゴーン氏逮捕当初同情的ニュアンスでしたが、国民反発が強かったのですぐに引っ込めて今やゴーン抜きのルノー日産関係再構築に必死です。
レバノンでもフランスでもゴーンが日本で検挙されて帰国できないことを理由に、事実上眠っていた彼に対する疑惑の捜査再開に動き出しそうな雰囲気です。
https://bunshun.jp/articles/-/23607

ゴーン被告、帰国後も雲隠れ 市民から怒りの声も―レバノン
ゴーン氏をめぐり、治安当局は「合法的に入国した」と見なし、法的措置を取らない姿勢。主に富裕層の間で歓迎ムードもあるようだ。しかし、日本で汚職の罪に問われ、司法手続きに従わずに国外逃亡したことについて、怒りの声も聞かれる。
自宅近くで商店を営むハリル・イシュライムさん(65)は「レバノンでは不正がはびこっていて、違法にお金を得た人間が戻ってくるのは当たり前のことだ」と現状を嘆いた。日本では難しくても「レバノンで法の裁きが必要だ」と訴えた。

フランスの状況は以下の通りですが長くなり過ぎるので一部しか引用しません・興味のある方はご自分でどうぞ。https://news.yahoo.co.jp/byline/puradonatsuki/20200102-00157408/

ルノー社労働組合、怒りのコミュニケ発表
フランスの庶民は?
昨晩、筆者はフランス人5人と食事をしたが、ゴーン氏逃亡の話を「おもしろい!やったね!」と言う人は一人だけだった。その他の5人は、「金にあかせてなんでもする人というイメージが再確認されただけじゃない?」と。
Twitter上でゴーン氏逃亡劇を面白がる人もいるが、どちらかと言うと「卑怯」というコメントが多いように感じた。左派「不服従のフランス党」マノン・オブリー氏は「税金逃れをしたあとは、日本の司法から逃れてレバノンへ。富裕層がいかに法から逃れ、国を分断していることか。
いったい彼らはいつまで罰を受けない状態がいつまで続くのだろうか?」と投稿。

フランスの庶民の意見は日本人の期待に合うような意見だけ拾ったかもしれませんが、常識的というか私の意見同様です。
フランスでもゴ-ン氏の旧悪に対する捜査が再開しそうな雰囲気です。
MSNニュース記事からです。

ゴーン被告は法の裁きを受けなければならない-ルメール仏財務相
Tara Patel 2020/01/06 17:48
(ブルームバーグ): 元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告は同様の状況にある他の人と同じように法の裁きを受けるべきだと、フランスのルメール経済・財務相が6日述べた。
ルノーは仏当局に情報を伝え、当局は同社の要請に基づき調査を開始したと同相がラジオ局フランス・アンテルの番組で明らかにした。
同相によれば、ルノーはアムステルダムに拠点を置くルノーと日産自動車の統括会社「ルノー日産BV(RNBV)」に関連する1100万ユーロ(約13億3000万円)についても調査を求める準備ができているという。

民族意識3(敵前逃亡)

ところで経済成長時に都会に出て行って過疎化を進めた人たちと、自然災害に恐れをなして故郷を棄てた人々の間にどのような差があるのでしょうか?
結果は似ていますが、一方は故郷の人から養い切れないから都会に出て就職するように追い出されたような人々・・・残ったのは農家の跡取りであって出て行ったのは言うならば弱者であって故郷から押し出された方でした。
だからこそイザとなれば故郷に帰る権利が戦前にあったし、満州等へ出て行った人たちも戻るべき故郷があったのです。
戦後も同じように二三男は集団就職で都会に押し出されたのですが、超高度成長が続いた結果、実は追い出してみたら地元に残って有利だった筈の長男の方が成長から取り残されてしまったという逆の結果が生じたに過ぎません。
今回の災害で(非難命令にしたがって已むなく出た人は別ですが)率先して逃げ出した人たちは、郷土の苦難に対して力を合わせて立ち向かおうとするときに、これに協力しないで自分だけ安全圏に逃げ出す行為ですから、蒙古襲来に対して真っ先に故郷を棄てて逃げ出したような行為になります。
蒙古軍を撃退してから「やれやれ良かったね」と戻って来たら、残って戦っていた人たちがどう思うかと言うことです。
(それぞれに子供を抱えて心配だから・・などいろいろ言い分がありますが・・ここでは結果を書いているだけです)
歌舞伎役者の海老蔵がペットボトルを買い占めたりして福岡まで逃げていたというニュースがありましたが、かれは元々暴力事件の被害者になったり素行的にレベルの低い話題の多い人ですが、国民的スターになろうかと言う人間が真っ先に逃げ出しているなどは、取り返しのつかない汚点をまた1つ着けてしまいました。
彼は暴力を振るわれたチンピラ相手に「俺は黙っていても一定の年になれば、人間国宝になれる家柄だ」と威張っていたそうですが、何十年か後に具体的選考時になれば、今回逃げ回っていたことが大きなマイナス点になるでしょう。
こんなのがこれからの歌舞伎界のスターというのでは、何となくイヤになりますが、数日後には、東京高裁の事件のついでに新装なった歌舞伎座に歌舞伎を見に行く予定ですが、彼の芝居を観に行く訳ではありません。
元民主党党首の小沢氏が、大震災時には実は遠くに逃げていて地元に寄り付かなかったと妻からの離縁状の暴露形式でネットニュースを賑わしていましたが、その後妻からの追加発言もないし、離婚事件に発展しているというニュースも流れないところを見ると単なる怪文書だったのかも知れません。
それにしても地元の苦難を放置して自分が真っ先に逃げていたというニュースのインパクトは甚大なものがありました。
このニュースあるいは怪文書の御陰で、彼の政治生命は100分の1くらいに縮まったのではないでしょうか?
彼がどんなに選挙運動をしようとも、どんな立派な政策を掲げようとも先ずこのとき自分はどこにいてどのように地元復興に尽力していたかを説明出来ない限り、地元民の一旦離れた心は戻らないでしょう。
政治は政策次第とは言うものの、その前提として民族愛・・自分は命を棄てても民族を守ると言う気構えがないと話にならないのが我が国の心です。
この心構えはリーダー一人ではなく兵士の末まで徹底していますので日本の兵は強い・・劣勢になっても絶対に総崩れせずに最後まで戦う気力を失わないのです。
末端の兵士まで、銃後の家族・・ひいては民族を守る意識で敗戦になる直前まで逃亡せずに特攻に志願して死んで行ったのです。
こう言う国柄で政治家たらんとする者・・昔で言えば大将・部隊長になるべき者が真っ先に敵前で逃げるようでは大将が勤まる訳がありません。
6月9日ころに原発事故で命を張って頑張った吉田昌郎元所長が食道がんのためになくなったと報じられていました。
彼の訃報に対して国民の関心が強いのは、彼が民族を守るために身命を賭して現場で頑張ってくれた(・・当然その下で一緒に戦った多くの無名の部下もいますが・・)その心意気に対する民族としての感謝の心です。
日本では自己保身のために政治・・外国批判をやっていると見られたら最後、政治生命が終わりになる国ですから、中韓・北朝鮮政治家のレベルの低さに驚くのですが、あちらとこちらでは政治家になるべき基準が違うのですから仕方がありません。
我欲の強い人が政治家になったり経営者になる社会では、成功すれば成功を誇示するために大きな屋敷を構えて敷地内に信号機を着けるようなことをして自己満足する社会になります。
日本では世の中の人とためになりたいという信念でないと企業活動に成功しても誰も尊敬しません。

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