内需拡大と国民負担(中韓)1

インフラ整備は発展に必要なインフラが足りない場合必須ですし(後進国が後進国のままに留まったのは、起爆剤となるべき資金がなかったので発展できなかったのですが、)中韓では日本との国交回復条件として巨額資金援助・賠償金?を獲得してこの隘路を乗り越えられた結果日本との国交回復後いずれも高度成長の波に乗れたのです。
一定の成長が始まると産業規模拡大に応じたさらなるインフラ整備と国民の所得アップに応じた衣食住・・国民の生活水準底上げが次なる消費文化発展のために必要な政策です。
成長に応じた住宅供給や街路整備は文字通り市場経済の要求によるものですが、市場の需要によるのではなく、景気対策としてのインフラ整備や住宅の実需以上の需要喚起政策は、一時的に景気悪化をごまかせても「ごまかし」である以上は、その分社会に歪みをもたらします。
オリンピックで言えば、日本の高度成長の受け皿としてのインフラ必要期に当たったことが、首都高や新幹線その他スポーツ競技場等の整備がオリンピック後も国民生活レベルアップに役立った・次のステージへの起爆材になりましたが、まだその段階にない・・・例えばギリシャオリンピックでは負の資産が残った結果ギリシャ危機につながったのです。
実需に基づいてのインフラ整備や、住宅供給であれば健全な経済活動ですが、景気対策としてのインフラ投資や、住宅供給拡大策は、無理がある分歪みを生じさせます。
中韓が、実需に基づかない急速な高学歴化やインフラ・住宅供給増加は、一時的な経済カンフル的に有効ですが、完成して利用が始まると需要以上の無理なインフラ等の整備→維持費が負担になってきます。
例えば、中韓の実需に基づかない大卒大量供給が就職難(中国の蟻族の処遇・韓国の国外就職誘導)を生み出し、そのミスマッチ・不満をどうするかに苦心しているのも同根です。
中韓では実需以上の大量の大学を開設して国民に学歴必要性(英検の仮需要も同様)を吹き込んで仮需を発生させて、大学や塾等の教育産業を盛況にしそこまでの大量勧誘には成功しましたが肝心の卒業後の就職口がありません。
このシリーズで紹介してきたように韓国では大卒の1割しか大卒向きの就職口がないのにいわば10倍のミスマッチ・学歴に対する過大期待を煽って客を呼び込んでいたのです。
中国でも、大卒の大部分が就職口がなく年間700万人に上る「蟻族」が発生していると言われています。
14年の記事で古いですが、以下の通りです。
https://matome.naver.jp/odai/2137427535216293801

中国で大卒700万人の現実!中国の若者(蟻族・鼠族)の厳しい現状まとめ
中国では、2013年に日本の10倍以上の700万人が大学を卒業しました。その中で3分の1は就職が決まらず、都市部の郊外などでアルバイトをして過ごしています。
安いタコ部屋の環境は劣悪で、蟻族、鼠族などと呼ばれており、社会問題となっています。この話は、日本人にも無縁ではありません。
更新日: 2014年05月04日
北京の大卒で内定は30%という厳しい現実”
出典中国でも大卒就職浪人が急増中:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
北京市の卒業生就職斡旋工作会の発表によると、2013年に北京地区の大学を卒業した者で、就職に内定した者の割合は28.24%ということが明らかになった。大卒者の就職内定率が3割を切るという極めて低い数字が中国経済の停滞感を物語っている。
“大学院卒業生の就職率は更に悪い”
出典レコードチャイナ:中国の大学生が抱えるワーキングプア「アリ族」への不安—米誌
今年4月の時点で卒業予定の大学生のうち、就職が決まった大学生はわずか35%で、大学院生はさらに悪い26%であった。
大卒の初任給が1000元(1万5000円)を提示される現実”
<出典朝日新聞グローブ (GLOBE)|バーリンホウ(80后) 中国を変える新人類 — ワーキングプア 大学ではコンピューターを専門に学んだが、最初に決まった会社から提示された月給は1000元(約1万2000円)。農村からの出稼ぎ労働者と同じ水準だった。 「買い手市場」の現実に挫折感を味わった。1万2000元(約15万円)を払って4カ月間専門学校に通い、より高度なコンピューターの技術を学んでいる。

中国では約7割の卒業生が就職できない状態をこのコラムでも、May 3, 2014に引用紹介したことがあります。
(地方の貧困層・低賃金農民工からの脱出を夢見て親が食うや食わずで大切な一人っ子を都会の大学へ進学させたのですが結果、7割の大卒に就職口がないのです)
中韓共に国を挙げての学歴万能論の呼び込みは、政府の行う詐欺的商法だったことになります。
中韓政府が住宅産業とマッチを組んだ住宅購入勧誘政策は、その先のローン支払い見込みもないのにローンでの住宅購入を煽り夢の生活を煽る点で学歴・英検万能の呼び込みと方向性が似ています。
我が国で言えば、バブル崩壊後に行われた地方自治体の箱物整備がその後維持費負担に耐え兼ねて最近閉鎖ラッシュに見舞われるのと同じですが、この負担は中央政府の財政赤字・地方公共団体が負うのに対し中韓では国民が吸い取られる自己責任仕組み担っているのが大違いです。
中国でいえば、ガラガラの高速鉄道をどんどん作って(世界最長キロ数と自慢しますが・・)どうするの?誰も住まない巨大ニュータウンをどうするの?となります。
より良い住宅を求める住宅需要は一定のところまであるでしょうが、経済力アップに応じた自宅取得は合理的ですが、背伸びした住宅取得を政策誘導すると、その咎めがのちになって出てきます。
中国の新都市建設がゴーストタウンにならずに、本当に売れたら売れたで、国民が住宅ローン支払いに追われるようになり・・家計債務がGDP比一定率に達すると国内消費がその分減少する限界がきます。
地方自治体が豪華な〇〇会館維持コストに追われて必要な施策に予算をまわせなくなるのと同じです。
昭和40年代に川崎市(いまトレンデイーな武蔵小杉周辺)に住んでいましたが、その頃田園都市園の開発が始まりニュータウンとして一種の憧れの地でしたが、(玉川高島屋オープン直後に妻からおしゃれなセーターを買ってもらったのが青春時代の思いです)千葉に移り住んでから年を経て、昭和女子大病院に行った時に街の貧しさに愕然としたものでした。
活気のある千葉からいくとお昼を食べようとしてもこれと言った飲食店もなく、地元の話では住民の多くはローン支払いに追われる生活で消費が極度に細っているということでした。

エリートの決める政治と国民の決める政治 

いわゆる安保法は、自衛権を現実化するための法律か?
他国侵略目的の法案かは、安保関連法の歯止めの書き方の具体的条項次第であって、文字で書き切れない分は、(どんな法律でも全要件を書き切れないので具体化は政省令や通達〜ガイドライン、判例等で具体化していく仕組みです)法律成立後の日米交渉によってどこまで日本が協力するかによって決まっていくべきことです。
反対論者が反対するには、法案段階の「第何条の制限幅が広すぎて何処かの国を?を日本が侵略するための法律になる」だから「こういう表現にすべき」という具体的提案が必要です。
「わが党がこの条項に対する提案が否決されたことについて国民批判を求めたい」というのがまともな議論であるべきですが、内容紹介なしの「憲法違反」という抽象論ばかりで本気で納得している国民が何%いるか?です。
内容に触れないで「多くの憲法学者が反対している」とか憲法違反等(共謀罪法の時も近代法理違反という抽象論)の反対論を聞いていると、ともかく日本の自衛能力を少しでも弱めたい(共謀罪法は国内治安・・防衛能力の問題です)どこかの国の希望によって反対しているのかな?と想定してしまう人が多くなるのではないでしょうか?
「学者何名が反対している・弁護士何名が反対している」→「エリートの判断に任せろ!」式抽象的反対論は具体的内容を知った上で判断したい・・民度の高い我が国向きではありません。
いわゆる革新系は東大卒や弁護士や医師などエリートをかき集める傾向が強いことを、だいぶ前に紹介したことがあります。
例えば共産党のトップ志位氏は東大卒で、民主党政権獲得時のトップ鳩山氏も東大卒大学教授(または助教授)の経歴です。
旧社会党で有名な土井元党首は神戸大学だったかの教授でしたし、今の福島瑞穂氏も東大卒の弁護士・学習院女子学院だったかの教授経験者です。
立憲民主党首の枝野氏は東北大卒の弁護士です。
対する与党自民党の安倍総理は、成蹊大卒として学歴ですので、肩書き重視の野党からはバカ扱いされているようですが、その前は麻生氏で祖父の7光で入れたイメージの学習院大卒ですし、小泉氏は慶応卒で、福田康夫氏は早稲田卒でいずれも親の7光組の可能性があるなど、学歴重視でないことが明らかです。
党首に限らず一般的な候補者で見ても、いわゆるエリート系肩書の人が目立つのが革新系野党です。
革新系?(私の感想では超保守系集団ですが)庶民の味方を標榜しながら、自己の体質はエリート主義です。
自分はエリートだから良いが、貧乏人が可哀想でないか!という議論を好むようです。
庶民には難しいことがわかるはずがないのでトップ・エリート指導層の決めたことを中間組織に図式化・画一的理解を浸透させ彼らを前衛と名付け末端運動組織としてイデオロギーを拡散していく運動方式をいまでも踏襲しているイメージです。
彼らの運動方式は「トップの方針を図式化して教えてやるからそれを実行しろ!」という性質が濃厚で、いわゆる民主団体というイメージ主張とは真逆です。
芦部憲法論の図式理解で書きましたが、弁護士層は図式理解に得意な集団(かな?私は図式理解に不向きな不器用タイプですのでいわば少数派のよう)ですので、運動体として役立つグループでしょうが、公害でも高速道路反対等で説得に来た弁護士に物分かりの悪い疑問をぶつけると今までマトモに答えてくれた弁護士がいませんでした。
この数年の共謀罪反対や、集団自衛権反対論で言えば、具体的疑問をぶっつけると、図式的理解を前提にしていて「えっ図式を知らないのか」式のバカか?というような反応が普通です。
反対運動では国民大多数の反対を無視した法律であるという意味づけの報道やアジビラ等が目立ちました。
国民大多数の怒りをぶっつけるとか国民の平和願望無視とかいうものの、平和をどうやって守るかの意見がないのと同様に何をもって「大多数の声」を無視しているというのか不明のままでした。
総がかり運動とか1000人委員会とか威勢の良いスローガンばかり並ぶ反対運動でしたが、内容は今日どこそこで反対集会を開き何人集まった・・「平和をおもう熱い想いに感動した」とか、自分は昨日も東京まで行って集会に参加しているとか、いかに自分が運動熱心かの自慢的ネット投稿が目立ちました。
一見客観性のありそうな意見としては、メデイアの世論調査発表しかないのです。
内閣支持率激減の報道だったのに、その直後に行われた総選挙で与党が大勝したのは、事前の世論調査が国民意識とあっていなかったこと・どういう調査をしていたのか?メデイアの行う世論調査の正確性への疑問が高まったことになります。
解散・選挙機運が盛りあがると「世論が・・」国民の意思無視と先頭に立って主張していたように見えた朝日新聞が以下の主張を始めました。
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2014113000005.html

解散・総選挙は、集団的自衛権論議には迷惑千万だ
各党の公約・主張に強いピンぼけ感

強行採決批判などで知られている朝日が国民の民意を聞く千載一隅のチャンスと大喜びするのではなく、上記の通り一転して解散総選挙批判に矛先が向きました。
その後も朝日に限らずいろんなメデイアで「総選挙は国費の無駄遣い」を匂わすような記事・・「選挙にはこれだけのお金がかかる」などのキャンペインがされていた記憶です。
国民多数の反対無視の国会議決と宣伝していた以上、自社の世論調査が色のついた世論調査ではないならば、国民の信を直接聞くことになる総選挙をなぜ喜ばないのか不思議です。
総選挙反対キャンペインは、「憲法学者やエリートの意見があれば国民は従うべき」とか「メデイアの決めた方向が国民意思である」かのような思い上がりが、国民批判を受けて全否定されるのが怖かったのでしょうか?
朝日新聞ほどはっきり言わないまでも、多くの反対運動団体も判で押したように解散総選挙批判に転じたのは同じ気持ちだったのでしょう。
「国民の信を問え」という運動から、解散反対への変化を見ると、民主主義勢力?がこれまで「国民に信を問わないのはけしからん」とか強行採決で「民主主義は死んだ」などと批判してきたのは、なんだったのか疑問に思う人が多かったでしょう。
合理的に理解すれば「自分らの主張は国民に支持されていない」と自覚したうえの街頭デモ活動だったことになるし、・・内閣支持率低下報道して政権批判一色だったメデイアが、政権が国民の審判を仰ごうとして解散方向に動くと今度は「解散に大義がない」批判するのは、自己矛盾でしょう。

原発停止の国民世論

原発停止と代替燃料の関係を見てきましたが、原発事故後の国民世論を見ておきましょう。
大地震以降衆議院選挙だけでも3回も経ていますので、(その間に参議院選挙や都知事選挙3回を含む各地方選)国民の総合的意見が収斂されて来たと思われています。
そして現在即時停止論(と言っても判決のような即時停止ではなくできるだけ早くという程度であることを「脱原発と即時停止の違い」で20日頃に書きました)の野党は合計15%前後の議席しか得ていません。

18年5月2日現在のウイキペデイアによる会派数です。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm

会派名及び会派別所属議員数
平成30年1月10日現在

      会派名             会派略称      所属議員数 (女性)
自由民主党            自民        283   (22)
立憲民主党・市民クラブ      立憲        54    (13)
希望の党・無所属クラブ      希望         51    (2)
公明党              公明        29    (4)
無所属の会            無会        14    (2)
日本共産党            共産         12    (3)
日本維新の会           維新        11    (1)
自由党              自由         2    (0)
社会民主党・市民連合       社民         2     (0)
無所属              無          7     (0)
欠員                     0
計                      465   (47)

特に原発廃止をテーマに都知事選に出馬した元首相らグループが1100万弱の有権者中95万票しか取れなかったのは象徴的です。
5月17日引用した元総理らが脱原発を掲げて挑んだ都知事選挙結果に対する各社の論評を再掲します。

手堅さを選んだ都民               朝日新聞
原発論戦今後に生かせ 首都の安全網に全力を  毎日新聞
・無責任な「原発ゼロ」信任されず – 読売新聞
・「脱原発」ムードの敗北だ 五輪や福祉への対応を急げ – 産経新聞

無責任な「原発ゼロ」信任されず」の論評がはっきりしていますが、きっちりした道筋を示さずに、(放射能が怖いと煽るだけ)ムードだけ煽って反対している方法が支持されなかったということでしょう。

貿易収支にそれましたが、原発停止は、(再開予定と違って判決で命じると永久的になくなるしかありません)雇用や納入業者や周辺旅館や飲食店に始まる地元経済に直結するばかりか、巨額貿易赤字になって国力の衰退に直結します。
森かけやハニトラも同じですが、思わせぶりなムードだけ煽る手法は、国民のレベルがメデイアよりもあがっているので、逆効果になっているのがまだわからないようです。
しかも現段階では、代替エネルギー開発が本当に可能かどうかの議論さえ煮詰まっていません。
野党が責任のある議論せずにムードを煽るだけで、きちっとした議論を避けているからまともな議論・代替エネルギーがどうなっているかの議論が進まなかった原因です。
日本は西欧のように強い偏西風がないのと、手付かずの広大な原野、荒野など滅多にないので用地取得が容易でないので風力の代替性が弱いことがわかってきたし、(日本列島は独仏と違い南北に長いので北海道や南西諸島で適地があっても東京大阪など大消費地に送電するコストに無理がある)太陽光発電も補助金漬けで→電力料金個人負担アップに耐えられるか?などが現実化して見通しも立っていない状態です。
原発停止時期に関する民意を知るための選挙結果を紹介してきましたが、これらによれば、民意は即時操業禁止を支持していない・・代替エネルギーの準備が進んでいるとは考えていないことがあきらかです。

国民への説明責任4(上野論文2)

以下昨日の引用を続けます。

https://ci.nii.ac.jp/els/contents110005050293.pdf?id=ART0008078537
・・・・
慰安婦制度と公娼制度との異同ということです。
いわゆる一般的な公娼制度、戦前日本の遊郭などとの違いと共通点ですね。これについて吉見さんは問題をこう整理 して提起されております。
戦前・戦中の日本に2種類の性奴隷制度があった。平時を中心とする公娼制、私娼黙認のシステム、これ は遊 郭またはその周 辺の買売 春。そ れ か らもう一つは戦時・軍法下の戦地占領地における軍性奴隷制いわゆる「慰安婦」制、どちらも性奴隷制度であることは間違いないということです。
戦前の遊 郭の女性たちも非常にこれは悲 惨な状 況に お か れていたこと、そういうことは決して見 落としてはな らない。しかし、こ の軍性 奴隷制度というのは、性 奴 隷制 度のなかでも非常に過 酷なもの であったということもまた否 定できないので はないだろうか。よ く言われる ことなんですが、慰安所では1人の女性が一に20人とか30人とかいう日本 軍 兵士の性 的な欲 望を満たす行 為に耐えな け ればならない。戦地の大砲や爆弾が落ちてくる非常に危険 な所へついて回るなどもそうです

いわゆる右派歴史改竄派の人々、あるいは日本政府の立場だろうと思います。つまり、「軍による」というのを軍の命令による暴力的拉致と狭く解釈する、軍が暴力的な連行に直接手を下したかどうかその一点に絞る。そして軍がそう命令した証拠文書(公 文 書)が無いでは ないか、だ か ら「慰安婦 」 制度というの は民
間業 者中心の いわゆる売春制度であり軍はそれを利用 したに過ぎないのだと。こ
うして、「慰 安婦」制度全体の犯 罪性、国会権力の犯罪というものを否定してし ま おうというわけです

こんな広大な地域にですね「慰安婦」という女性たち を連れていくためには、軍艦であるとか軍が徴用した船舶、そ ういうものに乗せて連 れて行く、しかも、戦 場である現 地に施設を作る、兵営や陣 地のすぐ近 くに作る、こういうことを軍の指揮・命令・管理なしに作れ る はずが絶対にありません。飛 行 機にしろ船にし ろ、特にこのアジア太平洋戦争中になりますと、完 全に軍の指 揮 管理下のもとに武器 弾薬・食 料はもち ろん、 兵 士 や 民 間 人一名であれ、勝手に乗ることは出来ないわけです。こ の地 図一枚だけでも明白に「慰 安婦」制 度の本質を言い表しているだろうと私は思います

以上を読んで見るとあちこちで我田引水というか飛躍がが多すぎるように見えます。
今問題になっているのは、世界中で戦場についていく売春婦が一般的に存在していた時代に、日本軍だけが何故国際批判を受け謝罪を続けねばならない特殊性がどこにあったかの問題です。
「売春などしたくないに決まっている」という前提で、「だから奴隷」だと言うようですが、金儲けのためには、法の禁止を破ってでも売春する女性がいっぱいいる現実をどう説明するのでしょうか?
こう言う実需?に抗しきれなくなって西欧諸国では、売春の合法化に踏み切っています。
また世界的に有名な韓国女性の売春輸出攻勢をどのように説明するのでしょうか?
広辞苑の定義・・「人間としての権利・自由を認め られず、他人の支配の下に諸々の労務に服し、」というと、戦前の長時間の住み込み奉公どころか現在の長時間残業などは形式的には皆奴隷になりますが、広辞苑の重要な要件は「人身売買の対象か否か」です。
上記論文は、最重要な売買対象だったかどうかの事実検証の裏付けなしで、いきなり「性奴隷という定義づけする異様さです。
その弱さ補強のためにか?最後の文章は軍の関与があった便宜を図っていたことがその証拠だと言いたいようですが、軍が関与すれば何故性奴隷になるのか?の関係が見えません。
森かけ問題も同じで、安倍総理に名前さえ出れば、総理の責任というムード作りでメデイアが煽りますが、そこには論理飛躍があります。
大手企業の下請け派遣の職人として海外プラント工事現場へついて行くには、渡航の手配や現地宿舎の準備など相応の特別便宜を受けます。
軍についていく売春婦の場合、移動の便宜をはかるのは当然ですし、兵士の健康管理上保健衛生の規制も必要です、一定の管理下に置く必要もあったでしょう。
危険な戦場まで誰もついて行きたくないに決まっているから、奴隷だと言うのでしょうが?ついて行ったのと奴隷との関係は飛躍がありすぎませんか?
危険の大きいところへ行けば、儲けも大きい、多くの相手すればその分儲けも多かったことをどのように説明するのでしょうか?
概ね経済困窮のために売春せざるを得ないのは奴隷行為だ、人権侵害だという意見が流布していましたが、そんな風に奴隷を拡大解釈すれば生きていくために働かざるを得ない人は、皆奴隷となります。
奴隷か否かの区別には、やはり直接的強制の有無は重要かつ必須でしょう。
世間常識としても性奴隷と表現すると誘拐犯が女性を閉じ込めて性行為を迫っているような理解になりかねません。
またこのような誤解を狙ってあえて性奴隷という表現を使うようになったのではないでしょうか。
性奴隷というイメージで世界が受け止める内容に見合った実態があったかいなかこそが重要です。
たとえば親の病気の見舞いに行かなかったのは「親殺しと同じだ」という自分勝手な解釈で「あいつは親殺しだ」だこれは国連で認定されていると宣伝して歩くと、事実を知らない人は「本当にあいつは親を殺したのか?と誤解してしまいます。
あるいは、仕入れ代金を期限に払わなかったので、払ってもらえなかった企業が連鎖倒産し、その社長が生活に困り、そのうち病死した場合、これは「あいつに殺されたのと同じ」だということで裁判官が殺人罪を適用して死刑判決できるでしょうか?
性奴隷派の主張では物を借りて期限に返せなかった場合、「泥棒とおなじだ」という論理で裁判で窃盗罪を認定して刑務所に入れても良いというのと同じです。
こういう無茶な主張をしていたのが、事実と言語を結びつけるのを商売にしている弁護士だったというのですから驚きです。
何月何日に100万円を払うと約束した男がその日に払わないので相手が「契約違反だ」と言うとその男が、「俺の言う何月何日というのはその1ヶ月後のことだ」と言い張る事が許されるでしょうか?
「約束を守る」とは一般に行われている言葉の定義を自分勝手に変えないで一般用語に従って守るということです。
広辞苑を引いて、いかにも一般用語に合っているかのように見せかけていますが、肝心の売買対象かの論証がありません。

国民への説明責任3(逆は真ならずとは?)

人道主義的文化人の論文がネットに出ていましたので、これが代表的かどうかわかりませんがこのような意見をあちこちで読んだ記憶があるので多分代表的意見の一つでしょう。
ネットから消えてしまわないうちに紹介しておきます。
ただし引用の順序は前後します。
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110005050293.pdf?id=ART0008078537
Kobe College

NII-Electronic Library Service
日本軍性奴隷制(「従軍慰安婦」)問題と最近の動向
上野輝将
・・・・・『広辞苑』でみましたところ、「人間としての権利・自由を認められず、他人の支配の下に諸々の労務に服し、かつ売買・譲渡の目的とされる人」となっています、これで何が言いたいのかといいますと、暴力的な拉致があったか無かったか、それは奴隷の要件ではないということです。

ここで、論者はどういう根拠か「かつ売買・譲渡の目的とされる人」という必須要件を無視した議論を展開します。
前段の「人間としての権利・自由を認められず、他人の支配の下に諸々の労務に服し」という要件は、時代や社会状況によって、労働基準や人権概念自体が変わっていく要件ですから、これだけを基準にすると恣意的になりすぎます。
(武士が主君の命令に従うのは、今風にいえば人間としての権利がなかった・・し、戦前の労働は、今の労働基準で見れば奴隷労働になるか?)
「お金欲しさに労働条件のきつい企業に就職したりヤクザの下働きをする人もいるでしょうが、(あとで振り返ってあの時は「奴隷みたい」だった比喩的な言い方があるとしても)彼ら全てを「奴隷」とは言いません。
まして売春婦の多くはお金欲しさに自ら職業を選ぶことが多いから西欧の多くでは今でも売春を合法化しているし、日本でも管理売春だけが刑事処罰になっているのです。
奴隷か否かを分ける最重要要件は、牛馬のごとく「売買の対象」売買に関与できない「対象・商品」になっている状態こそがその本質です。
そこで広辞苑は「「かつ売買・譲渡の目的とされる人」という要件を「かつ」という単語を付加しているのです。
上野氏は、上記本質要件該当性チェックをすっ飛ばすどころかなんらの説明もなくいきなり

「暴力的な拉致があったか無かったか、それは奴隷の要件ではないということです。」

と言い切っています。
暴力的拉致と売買は時間差がある・.原因と結果の関係なので必ずしも一致しません・・拉致しなくとも人身売買の対象になってしまう場合もあるので(日本の高名な蔵相高橋是清が若い頃に何かの紹介でアメリカに渡ったら、奴隷に売られていたという有名な事例があります。
拉致が売買対象になる場合の原因の全てではないという意味では正しいのですが、広辞苑の要件は原因は何であれ現実に売買対象になっているかどうか・その人間に自由があるかどうかということです。
ですから、拉致→軍の強制不要というのは一応あっていますが、要は従軍慰安婦が(売り主が親かヤクザか別として)売春行為時に商品として売買対象であったかどうか・.女衒に騙されたにしても、その後日本軍相手の売春行為時にも監視監禁されて逃げられない状態が続いていたか?こそが重要でしょう。
これらを論証してから、慰安婦が性奴隷であったかどうかがきまることです。
拉致の必要がないことから軍が拉致していなくとも性奴隷だというのですが、そもそもど奴隷状態にある場合にその原因を問わないのはわかりますが、慰安婦が奴隷状態にあったか否かの前提事実を書いていないので分かりにくくなっています。
ただ広辞苑は一般の奴隷の定義ですから、慰安婦特有の政治問題・・諸外国での戦場で同じように行われていた売春婦(彼女らも多くは元はと言えば一定率で女衒に騙された女性もいるでしょうが)と違って、日本政府国民だけが何十年(パク前大統領によれば千年)たっても謝罪を続けねばならないほどの人道問題かは別問題です。
日本固有の問題にするには、諸外国とこの点が違うという・・「日本軍が直接売買拉致監禁に関係しているような事情が必要でしょう」という議論とゴッチャになっているように見えます。
泥棒をした者が悪いのはあたり前ですが、それを買ったものが悪いか?仮に悪い場合があるとしても泥棒以上に非難されるべきかは別問題です。
客の方は元どこかで何かの事情で売られた女性か、女衒に騙されたか、お金が欲しくて任意に売春している人かの区別はつきません。
性奴隷かどうかを見るには、拉致されて売春を強制されている人か、親に売られたか?女衒に騙されて途中で暴力団に売り飛ばれた人か等々によって色々なランクの人がいるのでそれ分類も必要です。
売春婦の中には逃げるに逃げられずに売春している女性が全くいないとは言い切れないでしょうが、売春婦の全部ではないことも公知の事実です。
西欧で合法化されている国で客は相手の氏素性を知らないのが普通ですから、「性奴隷の売春婦を相手にすれば処罰する」という法律は世界中にないはずです。
軍人が顧客だったということははっきりしていますが、それは世界中の戦場では古来から売春婦が付きものである事実からして、軍人が売春婦を相手にすれば日本だけ批判される理由にするのは無理があります。
日本だけ非難するには、特別事情の主張が必要でしょう。
ここで広辞苑の「奴隷」の定義に戻ります。
軍の強制がなくとも人身売買対象の場合がありますから、軍の強制が必須要件でないのは確かですが、広辞苑の定義では、「売買対象」であることが必須です。
軍の強制がないとしても慰安婦が任意に(金儲けのために)売春していたこととは必ずしも結びつかない(暴力団に拉致された場合もある)のと同様に、軍の強制不要ということから自発的売春婦まで性奴隷とはなりません。
要は売買対象(当事者の意思が尊重されない)の商品であったか否かです。
現在社会では、アメリカで知られるような公然たる奴隷制度がない・・人身売買は許されず、刑事処罰される現実があるので、「売買で物品のように取り引きされた」というためには、逃亡できない監視・・結果的に非合法な拉致監禁の仕組み=拉致被害の場合以外にはほぼ存在しえない現実があります。
逆からいえば、一定の自己資金を持ち自由に宿舎から出入りできる環境・.時には旅行できるような場合、奴隷とは言わないでしょう。
「逆は必ずしも真ならず」とはいうものの、「必ずしも」という意味は、「例外がありうる」→「逆が真であることが多い」という原則を表しています。
犯罪捜査も多くの状況証拠から犯人らしい人物を絞り込み(犯行現場付近にいた多くの人物から別の同種犯行現場にもいた人物を絞り込むなどしていますし、科学や化学・薬学の実験もこのやり方です。
一定の状況証拠があれば、それを覆すに足りる逆の状況証拠を出してこそ主張の合理性が担保されるのです。
自由に辞めることができるのに強制されていたということがあるの普通にはあり得ない状況です。
拉致された場合には自由意志によらない→奴隷状態ということですが、ごく例外的に拉致された場合以外でも奴隷になることもあるでしょうが、「拉致による以外の奴隷もありうる」ということから直ちに慰安婦が性奴隷と決まる仕組みが不明です。
慰安婦が拉致されたわけでもないのに「奴隷」状態というのは極めて少ない例外事例ですから、奴隷であった=自由意志がなかったことを事実をあげて積極的に証明する必要があるでしょう。
上野氏は、単に広辞苑では拉致を直接の要件にしていないというだけで、そこからなぜ慰安婦が性奴隷となるのかの説明がありません。

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