国外進出とリスク1(情報とは)

政府統計は殆ど当てになりませんが、(仮に日本のようにある程度正しくとも統計は半年から数年遅れの遅行指数です)現地進出企業にとってはまた聞きのエコノミストの遅れた意見などよりもずっと早くに、取引先の仕入れの増減や仕入れ態度等の文字にならない雰囲気等売れ行きの先行指標その他景況感も肌で詳しく分ります。
こうした情報はエコノミストやマスコミに届くよりも早く各企業の日本本社に届いて経営の機動的戦略決定に役立っています。
元寇の来襲も日本は公営のスパイ・情報網を有していたのではなく、交易している商人等を通じてモンゴル軍の出撃準備等の情報を収集していて迎撃の準備をしていたものでしたし、アヘン戦争などの情報も商人を通じて仕入れたものでした。
情報戦と言っても相手の懐深く忍び込んで・ハッカーなど技術を盗んだり、相手を陥れるような情報操作・・(誹謗中傷・陰口の流布)は中韓両政府などは得意ですが、そう言う方向へ智恵を絞るのは、泥棒根性の発展系であって道徳意識の強い我が国では潔しとしません。
相手の技術を盗んだり、悪口を言ったり自己宣伝しなくとも、(そんなことにエネルギーを注がなくとも)自分で努力して良いものを造り他人のためになるように陰日なたなく努力するのが我が国の道徳ですし、これこそが誇るべき資産です。
この誇るべき道徳・人間性は中韓のようにあるいは米英のようにマスコミを使って宣伝しないので、直ぐには理解されませんが、何十年もすると次第に世界中から理解されて来るでしょう。
これが本当の信頼・信用です。
ところで、中国リスクからリスク情報の必要性にそれましたが、中国にリスクがあってもハイリスクを承知で挑戦する元気な企業の存在は日本の活力の源泉です。
日本人の海外留学熱が低いことをマスコミが心配しますが、国民が自分の国に愛着を持って住み続けたいと思う人が増えて、これが何故心配なのか分りません。
中韓両国人民(何故人民と言うかよく分りませんが多分、同胞として慈しむ相手ではないと言う語源でしょう)のように「故国を棄てて逃げるのが夢」みたいな国にする必要はありません。
日本より・・海外の方が良いと思う人が少なくなる・・外国への憧れがなくなれば留学したくなる人が減るのは当たり前ですし、こうした傾向は自国運営が成功している・・満足していることの現れであって健全です。
海外に逃げるのを夢見て生活するような国になる必要はありません。
そのことと海外進出企業増加の必要性は別物ですから、海外進出のリスクを煽る必要もありませんし・・リスクを承知で貿易し、挑戦する精神自体・それはそれで国の活力維持に必要なことですから、ドンドン奨励すべきでしょう。
イギリスやアメリカが世界の覇権を握っているときに、イギリス人やアメリカ人が日本や東南アジア、アフリカ等に留学したい人が多かったとは思えません。
いつの時代にも先進国から後進国への観光客が多いとしても(遣唐使は日本から行きましたが唐から日本への留学者はいません)学ぶべきものが少ない後進国へ留学したい人は少ないのは理の当然です。
部分的にある国の芸術や技術が優れている場合それを学びたくて留学することはありますが、結局は進んだ分野を学びたいという意欲に帰します。
ただし、先進国ではリスクを恐れずに事業開拓や考古学・人文学、植物・地質学等の興味で世界中に出て行きたい覇気のある人が多かったことは、間違いがないでしょう。
我が国は、世界中から何らかの経済危機があると、安全な国として避難先になって円が上がるようになって久しい・・世界一豊で世界一インフラの進んだ安全な先進国になっているのに、道義の荒れ果てた外国・政治文化の失敗国へ留学したり移住する必要はありません。
マスコミは、日本は如何に駄目な国かと宣伝して、国外脱出希望者が増えるのを期待しているようです。
(戦後は北朝鮮は地上の楽園だと言って宣伝していました)
留学熱の下火化は、最近はネットの発達等でマスコミが嘘を報じても直ぐにバレる・・国民が賢明になって、マスコミの悪宣伝に踊らなくなっただけのことでしょう。

ヤクザは嫌われる2(国外脱出1)

近代までの専制政治下の人民は囲われていて、国外に逃げられないので道義に反した非人道的政治をされても人民はもそれを受入れるしかありませんでした。
それでも精神の平衡を保つ・・不満を持たないようにするためには、一緒に道義感が腐って行くという形で国家・社会が腐って行くしかなかったのです。
これで中国は2000年以上もやって来たし、朝鮮半島も専制君主制・どんな無茶でも受入れるしかない状態しか知りませんから、推して国民道義レベルの低下を知るべきです。
ちなみに、理不尽な専制支配を貫徹するには国外脱出を認めないシステムが必須です。
テロリストが施設占拠したときに、人質に対する恐怖支配をするには「いつ逃げても良いですよ」というのでは支配が確立出来ません。
(この後に北朝鮮が今でも何故専制支配を継続出来ているかに関連して書きます)
今では中国でも韓国でも北朝鮮以外の国民は、一定のお金さえあれば海外脱出によって専制支配に抵抗することが出来ます。
中韓両国では、国家が国民を大切にしない2000年以上に及ぶ専制体制の習慣ですから、200〜300年程度では国民を大事にするような体質に変われないのは当然です。
2千年も権力者から好きなようにやられて来た人民は、自分が権力を持てば似たようなことをしたがるし、しても良いと思うのは当然です。
(偉くなったらこんな酷いことをしたくないという立派な人も一杯いいますが、このコラムでは大多数の行動原理を書いています)
これが何回王朝が変わっても同じような専制王朝制しか生まれて来ない・・今でも独裁・恐怖政治(党に刃向かうと秘密裏に内蔵摘出されてしまうかも知れない)しか出来ない中国や北朝鮮政治の根源です。
王朝をせっかく覆しても、長い動乱を勝ち抜くと「もう王政は懲り懲りだ!」というのではなく、自分が王様になって自分もやりたい放題したいだけの人民でした。
昔は子どもじみた権力の誇示が中心でしたが今は、拝金主義に転じて私腹を肥やし放題になっていますが本質は同じです。
虚偽データによるのですが、(その内化けの皮がはがれるでしょう・・)嘘でも日本の経済力を追い越したと中国政府が焦って発表した途端にイキナリ軍を前面に出して日本、フィリッピン、ベトナム等近隣諸国に対する強行政治に転じたのも「今度は自分が威張りたい」と言う幼稚な思想によります。
現在権力を握っている政府高官・太子党あるいは経済成功した富裕層でさえ、明日も知れない恐怖政治に対する恐れから、裸官あるいはお金のある階層から順に子どもらを海外へ脱出させようと必死になっているのは、ルールなき専制政治・・いつ自分が失脚の標的になるかも知れないことに対する国民の抵抗の現れです。
そこの国民が逃げ出す準備に余念がないのに、他所の国の企業が何故中国に進出するメリットがあるか?という合理的思考が必要です。
勿論企業家自身も深入りせずに、(骨を埋めるほどの覚悟をしないで棄てコマだけ派遣して)当面儲けられるだけ儲けておこうとするのは、中国の裸官同様に合理的思考ではあります。
企業としては投資資金を、例えば10年で回収すればその後は儲けみたいなものですからやれるだけやってみようとするのは超合理的です。
この種の冒険心・リスク志向によって、冒険心のある元気な人材を派遣しておけば、中国の刻々と変化する実情把握にも便利ですから、リスクを弁えた上で少しでも多くの元気なものを中国に派遣しておくのは国家のためになります。
世上スパイ等の効能が(物語としては面白い)喧しいですが、企業進出による無数の現地社員による草の根の情報は、プロのスパイとは違った次元で何倍も役に立つものです。

騒乱の功罪5(ヤクザは嫌われる1)

民主主義運動を装った国策のごり押し・権力行使・・狡い発想の拡大で日本や諸外国内においてさえも、中国政府が日当を支給した官製デモ・大量動員を仕掛けておいて、民衆による自発的抗議活動をして何が悪いと言う開き直りをするようになりました。
6月23日に書いたように、外形上民衆の自発的行動を装った中国政府の官製行動・・外国での大衆動員・権力行使が世界中で目立つようになります。
元の軍艦を軍籍さえ外して領海侵犯をさせても軍事行動ではないし、裏で日当を払って領海侵犯させても自発的漁船団だと主張しているのと同じ発想です。
法治主義の理解はその国の法形式さえ踏めば何をしても良い・・データねつ造し放題でも国家の統計という形式手続きを践んでいれば内容の信用性について誰も文句付けられないと言う形式主義国家です。
そこにあるのは、真の正義・道義観念がない・形式的合法を装おいさえすれば、どんな悪どいことでもやれるという形式主義です。
ナチスが民主主義を悪用して独裁権力を樹立したように、中国は先進国の民主主義理念を逆手に取って実質的権力による威嚇行為を繰り返しています。
諸外国に留学中あるいはそこで働いている自国民を自国の主張を支持させるために大量動員してデモをさせても違法ではないから、その国では取り締まり出来ません。
日本人は眉をひそめるだけです。
中国政府は国力を諸外国で誇示したつもりで得意になっているのでしょうが、誇示された国での自国及び自国民に対するマイナス評価の高まりが理解出来ないのです。
自国内ではならず者に裏で日当を払って操って外国企業相手に無茶をさせておいて、犯人を形式上軽い処罰さえすれば被害を受けた外国企業等は文句言えません。
いくら無茶をやられても・・現在では自国民保護のために自国軍の駐留を求めることはあり得ませんが、その代わり外国企業が逃げ出すリスクがあることを考慮出来ないようです。
「1を知って2を知らない」という言葉がありますが、中国は過去にルールを守らない・違法なことをしてはその反動を受けて苦しんで来たのですが、この苦い経験を真摯に反省しないから、これをよい方向に活かすことが出来ないのです。
専制君主制・・法の基準がなく専制権力の好きなように死刑でも何でも出来る・・国民はこれでも仕方がないとして我慢し続けて来たのですが、これでは外国人・企業の安全が守れなないので自国民保護のために軍の駐留に発展したのです。
中韓政府の主張する歴史認識と言っても、そこから物事の原理を学ぶ姿勢がなく、占領した日本が(何故か西洋列強のことを言いません)が悪かったという相手の非難ばかりです。
(侵略した方も悪いでしょうが・・)何故自分が侵略を受けるようになったかの反省がないのでは進歩がありません。
今も続く違法コピーその他各種場面での遵法精神の強烈な欠如(人治)社会が西洋列強から対等につき合えない・・無茶苦茶な清朝支配から自国民を守る必要性が生じた・・付け入る隙を与えたことに対する反省が必要です。
実質的遵法精神(正義感)の欠如は、今も変わらない中国人民・社会の重要な資質です。
今では中国政府が違法行為を取り締まらないからと言って、各国が警察官や軍を中国国内に派遣して暴動破壊者を鎮圧したり違法コピーの取り締まりを出来ません。
権力によるデタラメな強制が酷過ぎたので、その逆に権力の意向に逆らいさえしなければ何をしても良いというのが、紀元前から慣れ親しんで来た専制支配国家の道義観です。
被害を受けた外国企業の本国は何も言えないし手を出せないとなれば、これを良いことに違法行為のし放題で良いという意識で行動しているのが今の中国です。
やられ放題の中国進出外国企業では・・その代わりヤクザを相手にするような気持ち・・マトモな交際をしたくない・・ハイリスク国として扱う・・ハイリターンを求められる国になっている損失に思いが至らないのです。

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