新型コロナウイルス対応の巧拙2(無制限検査)

高齢者や病人に感染させないようにするには、高齢者の身近に感染者がいない方がいいのですが、介護施設等の従業員だけ感染比率を防ぐ秘策など有り得ないでしょう。
せいぜい関連者だけこまめに検査したり老人ホーム入室時にアルコール手洗い義務付けぐらいでしょうか?
その上、施設を利用していない高齢者がいっぱいいますので、高齢者はできるだけ外出を控えてもらうとしても同居の親族等の関係者多数との接触が日常的にある関係で、国民全体の感染比率を減らすのが重要です。
人口比の感染者数を減らすにはどうすれば良いか?
感染が始まったばかりで死亡率が統計的にはっきりしないようですが、WHOの発表では感染者のうち致死率2%とのことで8割は軽症(8割は症状に出ないという人もいます)とのことですから、特別な病気を持っている人以外では、80前後の高齢者以外は感染したからといって普通の風邪をひいたかな?程度で終わるようなイメージです。
ちなみに2%とは、(検査等でわかった)感染者比で人口比ではないようですから、今回のウイルスは感染しても無症状の人がいて、しかもそのまま治ってしまう人もいるようですから、これらの人は2%の分母に入っていません。
4〜5日から2週間経過すれば100%検査に引っかかったり症状が出るかというと、そのまま症状が出ないでウイルスも無くなってしまう(免疫力の方が強くて勝ってしまう?)人もいるようです。
変なものを一緒に食べてもすぐ下痢する人と、少しも感じなかった人もいるし少しお腹がおかしいけれどそのうち落ち着く人がいるような違いでしょうか?
いわゆる潜伏期間4〜5日という意味は、一般的日本語の理解では体内でウイルスが入って増殖中だがまだ発熱等の症状が外に出ない期間のように思いますが、この間は検査しても陽性にならないという意味があるようです。
潜伏とは誰に対する潜伏か?ということですが、素人の直感的判別力で分かる程度の症状(微熱だるい、咳き込むなど)が現れていないというだけなのか、いわゆる検査キットでもわからないほど深く潜伏しているという意味かを決める必要があるでしょう。
感染定義とも関連しますが、体内に入っても(小粒の種子などのように)そのまま消化?あるいは残存しないで一定時間で体外排出されてしまえば、その間の体内存在は、感染とは言わないでしょう。
体内で悪さしそうな闖入者に気がついた免疫系が応戦準備に入り応戦が始まると熱が出るのでしょうが、熱が出る前の前哨戦段階で免疫系にとっては気がついているので、その段階で侵入されたその人が意識として気がつかなくとも、ある検査機器を使えば反応するような製品ができれば、検査機器を操作判定する人にとっては潜伏で無くなるのでしょう。
肺炎で言えば咳が出ない程度の肺炎は潜伏だった症状が、レントゲン撮影できるようになるとレントゲンに写る程度になれば、潜伏とは言わないでしょうし、がん細胞なども検査しないと分からないがん細胞は本人にとっては潜伏状態ですが、検査ですぐ分かるようになるとプロ的には潜伏と言わないのでしょう。
今の時代、レントゲンやMRIなどで分かるようになる直前状態を潜伏というのかもしれません。
検査というのは、ある症状の確定診断のために行う検査と兆候を早めに捉えるための検査があってある程度重複しているのでしょうが、今回の社会的重要性では後者の意味でしょうから兆候判定を前倒しすればするほど検査精度が低くなる宿命です。
テロのために首相官邸に向かっている人を職務質問や注視する場合で言えば、官邸の数十メートル付近の不審行動者限定ならば効率が良いですが、千葉県や神奈川県埼玉県から東京に向かう人全員を・都内全域で千代田区から上野に向かう人までもしかして迂回して最後に官邸に向かうのでないか?とついて歩いたり検問するのでは膨大な人手が必要で、しかも捕捉率が下がります。
ウイルスが体内侵入後迎え撃つ免疫勢と勢力拮抗中の場合・・あるいは犯人がお城に侵入したがまだ建物内に入らず様子を窺っている段階では、分からないということでしょうか?
ところで致死率2%というのは超高齢者を含む数字ですから普通のひとは、まず大丈夫と言えそうなので、超高齢者は別として60歳以下の一般健常者の場合患者のためだけであれば咳や発熱などの症状が出てからの検査で十分であり、(お腹が痛いなど自覚症状があってから診察を受ける一般の病気と同じです)自覚症状のない人まであらかじめ検査する必要性がありません。
血圧、腎臓や腹痛の場合、感染の心配がないので自分さえよければ良いのですが、元気な若者が実はウイルス感染者で他人に感染させる能力がある・・配達員・デパート店員が顧客の高齢者に伝染させると困る・・社会予防のためにはウイルス感染有無に対する事前検査がどこまで必要か?という問題です。
犯罪者の識別・・容貌や物腰態度や身内・・従業員か部外者かで入室基準がわかる人物判定と違い、ウイルス感染有無は親しい人・元気そうな人でも検査しないとわからないので完全を期すると全員検査となるのでしょう。
しかし現在の検査方法では、感染後4〜5日以内では検査しても検出できないのが現状らしいので、数日前から連続検査しないと一回の検査で未感染と判定しても今日感染していないことになりません。
グランドプリンセス号の検疫対応では、閉じ込めて検査しているから次々と感染者が出たような批判報道でしたが、潜伏期間中で一回目の検査で陰性だった人が潜伏期間(このため陰性の人も2週間下船を認めなかった)経過で順次陽性変化しただけ・潜伏期間?2週間経過後の新たな陽性反応がほとんど?ないので検査開始=船内分離後の感染がほとんど?起きていないのが実態のようです。
その上に検査の精度自体がイマイチ・・精度が(簡易キットの場合?)約5割程度?らしいので陽性の人をスルーさせてしまうリスクもあり、(これが下船後の陽性変化?)例えば3回に一回しか出ないとすれば同じ人を別の検査法で何回も検査する必要があります。
風邪の場合でも熱が出ないパターンや咳が出ないパターンなど色々あるように、特定物質の検出方法に頼ると人によっては反応が違う問題があります)
体温チェックのように入室入門の都度簡単にできるシステム開発がない限り、専門検査機関で何時間も並んで一回きりの全員検査は、何%かの感染者を高齢者施設から遮断できる程度で労が多い割に効果がはっきりしないのが難点です。

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