民主主義の基礎7信頼関係5(people3)

日本では終身雇用どころか子々孫々まで堅く信頼しあった意識(だからこそ自分の命を棄てても子々孫々への名誉を選びますし、命を惜しんで逃亡するようなことはありません)で千年以上もやって来ました。
明治以降列強の植民地化の緊急事態で対外対抗・挙国一致の必要性から緊急事態としてやむなく秩禄処分をしたに過ぎず、アメリカに負けたことによって強力な外敵がいなくなって「最早戦後ではなくなった頃から、)ゆとりが出たので終身雇用の精神が復活できたと見るべきでしょう。
勿論七五三や立派なおせち料理などの行事は庶民に関係がなかったと言えばそのとおりですが、庶民もやってみたかった憧れの行事が庶民も豊かになって広がったのであって、全くなかったことが始まったものではありません。
豊かになってお祭りその他伝統行事があちこちで復活したのを見て、民族意識とは関係がない・・近年の現象に過ぎないと嘲笑しているのに似ています。
アメリカでは雇用流動性が高いと言われているように、企業が効率第一で従業員をいつでも解雇(古く効率の下がった機械を入れ替えるように)できるのは、ピープルが構成員ではなく商品の一種・支配・管理対象でしかないからです。
仮に簡単にレイオフし、経営陣は社員食堂で食べないアメリカ企業が「社員第一」と言う標語を会社の入り口に掲げていてもむなしい響きしかありません。
the peopleと対置する仕組みのgovernment(統治者)が古くなった機械設備や売れ行きの悪くなった商品のようにthe people・人民を低賃金の移民に入れ替える権利・自由がある社会では、・・for the peopleの標語は何だったのかを考え直すしかないでしょう。
民衆・人民の意味実質は支配機構であるガバメントの性質に規定される・・管理対象程度の庶民・大衆・被支配者層と言うべきでしょうか。
peopleの周辺語を見ても、多くは庶民前提の熟語ばかりです・・パブとかポピュラー、パブリックスク−ルとか・・。
その意味では「支配層に入らない人民」共和国と言う名称は言わば矛盾関係ですから、中国やソ連やロシアでも人民には何らの発言力もありません。
例えばクリミヤ半島に居住していたトルコ系住民の抵抗を抑圧するためにソ連政府はまとめてシベリアに移動させたりしていました。
共産主義と言いながら、幹部だけに富みや政府高官に就く地位が集中していたソ連や現中共政権を数日前に紹介しました。
このままでは、移民、難民に比べて割高な既存住民、先住民化しつつある白人は簡単にレイオフされて失業者〜職業訓練を受けてその中から数%だけ再雇用される繰り返し(昨日書いたようになれた職場実務から離れた機械等の操作訓練を受けても元の就労は不可能・・数ランク下の就労しか出来ないのが普通です)・・路上生活者に転落し〜フードスタンプで漸く生活する・・生き甲斐を失って最終的には麻薬やアルコール中毒の多い先住民族・・インデイアンのような境遇になって行くのでしょうか?
時あたかもアメリカでは、精神障害者や麻薬中毒者の広がりが半端ではない・・取締コストに耐えられない州政府では大麻解禁の風潮が広がっています。
この危機感に目覚めた先住民・白人の危機感をトランプ氏が引きつけたと思われます。
選挙戦中にフリージャーナリスト?の「意外にヒスパニック系などでトランプ氏を支持している人が多い」と言う現場報告がありました。
陳腐な表現ですが、出身民族を問わず大小いろんな段階・分野で既得権の侵蝕に怯えている人がトランプ氏を支持していたのです。
最近の動きは、ナポレオン戦争で戦争するために上から与えられた「民族意識」ではなく、自発的民族意識・・・居住民を大切して欲しい意識が芽生えて来た・あるいは人民が漸く日本国民のようにホンの少し強くなって来たと言うべきでしょうか?
一見アメリカが建国五数百年を経たので、遂に先着移民と後着移民の利害対立が起きて来ただけとも見られますが、西欧では千年単位で居住していたのに居住者の権利が皆無・・エンクロージャームーブメントで追い出されてしまうほど弱かった点を見ると、アメリカでピープルの居住期間が長くなっただけの要因ではないと見るべきです。
ドイツやフランスでも同じような運動が起きたのを見れば、居住期間の長短ではなく、ギリシャローマの昔から(市民権を持つ支配層だけの民主主義でした)支配の対象でしかなかったpeopleの主体性意識の覚醒によるのではないでしょうか?
我田引水で笑われるかも知れませんが、日本で同胞を愛し合う文化がアニメその他で世界に浸透して来た・目の前にはその文化を体現した日系自動車・電気・繊維工場その他いろんな工場が一杯アメリカに出来ていて従業員と一緒に食事し仲間意識を育んで行く・・従業員を大切にする風土が広がっています・・。
この影響がじわじわとり広がって来たことにあると思われます。
トルコのエルドアンやフィッリッピンのドウテルテやロシアプーチン・・世界の異端児がこぞって日本を愛している点も共通です・安倍氏の力もありますが、背景心情が重要です。
「アメリカ第一」その他の最近の民族主義は西欧で戦争に駆り出すために支配者が作り出した好戦的意味ではなく、日本的な郷土愛・・一緒にいる人を大切にしようと言う真っ当な意味です。
中韓の場合にはまだその段階に至らない19世紀型民族主義・・外敵を作って不満を支配者に向けないようにするための民族主義ですから本質が違っています。
アメリカやオーストラリアでは先住民を可愛そうと言う「上から目線」の憐憫意見や運動はありますが、インデイアン等の先住民を代表する政党がない・・白人が追われる立ち場になってみると・・低賃金移民に追われる白人が可哀相と言う政党がないのが現状です。
何回も書きますが、米国大統領選で戦ったトランプもヒラリーも資本代表・・成功者同士の競争です。
せいぜい経営者として労働者が病気せずに働けるようにどの程度医療や福祉を与えるべきかと言う上から目線のサービス競争でしありません。
福祉を受ける立場に追い込まれる立場・・彼らを代弁する政党がないのが可哀相です。
アメリカインデアンに対するひど過ぎる仕打ち・・これが人間の出来ることか・・この世に神も仏もないのかと嘆きたくなる人が多かったと思いますが、遂に白人自身がその立場・・追われる時代が来たと実感する人が多いでしょう。
多数支配=強者支配の原理では、弱者や少数者を代表する政党が政府を握ることはあり得ない・・政府を握った方が党利党略でやりたいようにやれる政府・・せいぜい憐憫の情で先住民を稀少生物のように保護する程度です。
日本のように総合的に意見を吸収して「人間としてやって良いことと悪いことが別にある」と言う政治を行う日本型政府こそが数千年単位で進んだ社会組織です。
親や子が病気すれば精一杯協力するのみであって、そこに功利的精神が先に起きることはありません。
日本の場合日本人のための政府・企業ですから,金儲けのために日本人を羊や移民に入れ替えるなど思いつきません・・。
国際環境が変われば、日本人が日本人のママで新たな環境でやって行けるように必死になって適応出来するように工夫するのみです。
低賃金移民に追われる一方になったアメリカの中間層が、住み良い日本に来て働く場を求める時代が来るかも知れません。
日本には食べ物も人材でも・・工芸品も良い物だけが集まる・・よりよい社会になるでしょうし、アメリカには低賃金でも働きたい・・安物の方が良いと言うクズ?ばかりが集まり、人材が入れ替わって行くのかも知れません。

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