原発事故と今後の見通し1

昨日書きましたように、これ以上の原子炉事故の悪化を阻止出来そうな雰囲気(今のところ気分だけすが・・)になって来たのは嬉しい限りです。
20日の報道によると5号機と6号機は午前7時現在で、既に(電気が通じて)冷却装置が動いていて、燃料プールの温度が37・1度まで下がったと報道されています。
(非常用発電装置が動き出しているとも報じられています)
燃料貯蔵プール問題が順次解決して行けば、今後は本来の危機である格納容器自体への対応ですが、あちこちで火を噴いているような同時多発対応から格納容器への対応に集中出来るようになったのは一歩前進です。
又、20日夕方の報道では2号機の大本の電源まで電気が繋がったようです。
今後は中央制御室に電気を繋いで、機器のチェックして作動すれば炉心内部の状況をもっと正確に把握出来るようになり、順次格納炉自体の冷却装置の改善に向けて進められるようになるでしょう。
これら報道が正確であることは、20日の千葉県の放射能数値(1時間ごとの数値が発表されています)でも、事故前の通常数値と全く変わらないデータであることでも裏付けられます。
さしあたり一息ついたことは確かですが、少し落ち着いたこの辺で政府はどのような方針でどのようにしようとしているかの分りやすい説明が必要です。
このまま冷やしながら、電機工事を進めて仮にモーターその他壊れている物の取り替えを進めた結果、冷却装置が作動が出来たとしてもこれまで海水を注入してしまったことが障害になって新たな問題が起きないのか、起きた場合どう出来るのかなどの最後までの見通しや計画を説明して欲しいものです。
あるいはどの段階で行き詰まると、どのような被害が想定されるのか少しでも先に行っての炉心爆発が起きた場合との違いがあるのか、(単に先送りしているだけか・・先送りが却って悪い結果になることもあるのか)あるとしたらどの段階で行き詰まったらどうなる、その次の段階だったらどうなると言う段階や時期ごとの違いなども教えて欲しいものです。
従来の机上のシュミレーションではとっくに駄目になっている筈でしょうが、ともかく関係者は必死に頑張ってここまで持ちこたえています。
火事場の馬鹿力と言うように、机上の議論では考えられない新たな解決策が生まれることもあるので、その辺を織り込んだ解説をしてくれれば良いのです。
政府・関係者は死にものぐるいで対応してる最中で忙しいので、この辺の解説はむしろマスコミを通じた学者・専門家の出番でしょう。
正論を述べる学者がマスコミで呼ばれないならば、今では私のように自分のブログでいくらでも発表出来る筈ですが、これが少ないのは、原子力系の学者は政府や東京電力などの企業・現場と深く結びついているので、(弁護士のように自由業ではないので・・)自由な意見を書けないのでしょうか?
少なくともアメリカの意見を解説し、日本の実行している行動との違いを分りやすく説明することくらいは専門家の責任でしょう。
国民はどちらを正しいとするかの判断を自分で出来ないまでも、安全対策としては一番大きなリスクを主張する方向で行動したり、予め備え(心構え)をしておきたい人が多い筈です。
それがパニックに繋がるリスクがあるので政府や学者は、アメリカや諸外国の意見をまるで紹介しないのでしょうか?
ネットで世界中の意見が公開されている時代ですが、日本人は英語を理解出来ない人が多いので、少なくとも主要国のマスコミ報道くらいは自動的に翻訳して報道してくれる公的システムが必要です。
自動的でない現状では、日本のマスコミが都合の良い意見だけ翻訳するので、一見世界の意見を紹介されているようでいて実は世界で流通している意見がまるで分らないことになってしまいます。
中国人や韓国人などのブログ報道でも、「これだけの被害でも落ち着いている日本人は偉い」と言うような日本人の耳に心地よいものだけ翻訳報道している嫌いがあって本当のところ(想定被害を知らされていないからぼんやりしているだけだと言う意見もあるでしょうが)が分りません。
反日運動が激しい時はそういう意見や行動ばかり拡大報道される点も問題ですが・それは別に書いたことがあります。
実際に諸外国が取っている対策が、本当の諸外国の意見だと言うことでしょうが、諸外国の行動を見て日本人が真似をしなければならないのでは悲しいです。
本来自分のことは当事者が一番良く知っていなければならないのに、関係のない遠くの人の方がよく知っていてその真似をして右往左往しなければならないのではおかしいでしょう。
きっちりと情報が行き渡り、それでも日本人が泰然としているのならそれはそれで立派なことです。

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