消費経験が民度を上げる→外貨準備減少

世界的に資源国や新興国通貨下落が進行している状況下で、ローエンド生産に頼る中国経済の限界を見た世界が、資本流出を始めたのですから、資本取引の規制さえ強化すればどうなるものではなく、ハイテク製品に挑戦する力があるかを世界は見ています。
スマホで言えば、中国企業がアップルに負けない新製品を仮に作って世界を席巻しても、その製品工場として最低賃金で働く工場しか中国に作れないのでは、ベトナム等に工場立地を奪われてしまいます。
このシリーズの関心である・・結局は民度次第と言うことです。
一握りのエリ−ト研究者や資本家だけが潤う社会では、豊富な労働力が売り物の中国の金看板がどうなるか?と言う疑問です。
多くの国民がローエンドからセカンド〜ハイエンド製品生産に従事・参画出来ないと平均を引き上げられません。
13〜14億人と言われる巨大人口を皆ハイテクレベルに引き上げるのは無理でしょうから、これまで「売りもの」であった巨大人口・低賃金労働者が逆に足かせになって行きます。
巨大人口はこれからの時代には足手まといになるだけで、シンガポールのように100万前後のコンパクト人口で優秀人材を集めた方が有利な時代が来ます。
アメリカもニューヨークをシンガポールのような都市国家にして独立した方が有利・・アメリカの格差問題の本質は個々人間の格差に矮小化した砂粒の問題ではなく地域格差・・ニューヨ−クその他の大規模都市国家とその他ローカルの格差でしょう。
これを正面のテーマにすると、もともと民族国家の歴史のないアメリカ合衆国の分裂に結びつくので、メデイアその他文化人が個人問題に誤摩化しているのではないでしょうか?
19世紀から第二次政界大戦までの正義より武力中心の大鑑巨砲主義の時代には、国家組織・GDPは大きいほど有利でしたが、平和=正義が守られる時代になると小回りの利く組織が有利で、今のところシンガポール程度の規模が一番合理的な感じがします。
19世紀型思想に特化したアメリカやロシア中国は、人口を増やし過ぎたので時代遅れの規模の大きさを持て余している・・実は困っているのを格差と称しているように見えます。
この数十年で見てもロシア、中国、アメリカは19世紀型腕力時代の名残にこだわっていて失敗を繰り返しています。
例えばいくらイノベーションを活発化しても・・アップルのように大ホームラン級の新製品開発に成功しても、あるいは金融で大儲けしても、生産の方は賃金の安い中国等の工場でつくるしかないので大量の国民を養うのは無理・利子配当所得しかないから、資本保有しない国民はそのおこぼれに頼るしかない・・寄付や社会保障等の善意に頼る階層が増える一方です・・。
この辺は日本の国際収支の紹介で10年ほど前から書いてきましたが、国際収支の黒字内容が貿易黒字から所得収支に移って来る・・所得収支黒字が基本になると資本蓄積の格差に比例して(利子配当収入のない階層には国際収支黒字は関係がありません)格差が生じて来るのは必然です。
02/11/09 「バブル崩壊後の自己資本比率規制2 05/26/07「キャピタルゲインの時代17(国際収支表2)」前後の連載で、当時の過去10年間の国際収支表を紹介して、この間に貿易黒字の比重が下がり、所得収支黒字が経常収支・約20兆円の黒字の約半分を占めるようになっていること・・海外現地生産拡大で労働による生産収入比率が徐々に下がって行く一方・・利子配当収入比率が上がって来ていると書きました。
当時は約20兆円黒字の半分を所得収支・利子配当送金が占めていることを前提に意見を書いたのですが、18年5月11日(2日前)のコラムに久しぶりに日本の国際収支を紹介しましたが、これを見ると同じく約20兆の総合黒字の内、実に18兆もの、利子配当等の(不労?)所得になっていることが分ります。
こうなると高成長期を経験している間に資本収入層に脱皮出来た階層と資本所得層に参加出来なかった階層との格差が広がるのは当然です。
個人の一生で言えば、バリバリ働ける若い間に資金を蓄えて労働による収入が激減して来る老後には自宅にローンも割り住居費ただで利子配当(民間年金や家賃)収入で悠々自適出来ている人と蓄積して来なかった・アパートの家賃払わねばならない上に預貯金も少ない階層との格差が次世代に及んで来たのです。
この10年ほどでまさに親世代の格差が次世代に及んで来たと言うことでしょう。
この辺は親の家に同居出来る(家賃不要の)恩恵や保有アパートなどを相続出来る都市住民2〜3世と自分で新規取得しなければならない都市住民1世の格差・・その他いろんな角度から喩えば、February 5, 2011,「都市住民内格差7」等で連載して来ました・・。
赤字国債を次世代に負担させるのか?と言うスローガンも「国債保有者から相続する人」と負債を相続するだけの人との格差であって世代間対立の問題ではありません。
各種社会保険赤字問題も同じで、世代間対立の問題ではなく富裕高齢者と貧困高齢者の格差を緩和するためにどれだけ社会的負担するか→結局は富裕層の負担問題です。
これがアメリカでその他先進国で格差問題になっている元凶でしょう。
中国はチャイナプラスワンの挑戦を受けるようになって、民度の引き揚げが急務になって来ました。
ローエンド製品の場合、外資の指示どおり作れば良いだけですが、製品開発となると消費者経験がないと、消費者目線での開発が出来ません。
そこで先ずは内需拡大・・消費経験させるのは正しい選択ですが、それは必然的に貿易黒字の縮小赤字体質に変わって行きます。
国民をレベルアップするには営々と積み立てた外貨準備を取り崩してでも、外貨準備のあるうちに何とかなるのでしょうか?
国民が豊かな生活をしないと質の高い商品を工夫出来ないのですから、先ずは良い生活をさせることから始める・・内需拡大の方向は正しい選択です。
ただ土地成金がイキナリ文化的生活を出来ないように、マネーサプライを増やすとバブル・・不動産転がしに走ってしまうのは順序としては仕方がないのかも知れません。
もしも、外貨準備を食い尽くしてバブルで終わってしまうと何も残らない・・少しは文化受容の方に行く人もいるでしょうが、(そう言う人は文化の成熟した国へ逃げ出し)多くの国民には何も残らない可能性があります。
億単位の人が海外旅行出来ただけでも、何か残ったことになるのかな?
安土桃山文化は世界有数の金産出によるバブル景気によるものだったと言い得るでしょうが、この金の輸出による贅沢が、絢爛豪華な文化を生み出したのです。
この担い手は国民全部ではなくホンの一握りであったとしても、後の時代に大きな影響を与えるのですから、それでも良いのかも知れませんが・・。
中国の場合、一握りの影響を受けた折角の人材が海外に逃げてしまう可能性が高いのでそこが心配です。
当面の国力底上げには結びつかないで終わると、バングラデシュやベトナムミャンマーなどと低賃金競争を繰り広げるしかない・・解放前の14億の貧民が残る・元の木阿弥になる可能性があります。
一方で苦し紛れに国威発揚に励む・・軍事力強化・・周辺威嚇にエネルギーを注いでししまうのは長期的にマイナスにこそなれ何の価値もありません。
ローエンド製品レベル〜セカンドエンド〜ハイエンド製品へと経済底上げの必要なときに権謀術数や軍事力に人材投入が偏ると将来性が限られてしまいます。
兎も角今の外貨準備減少は、将来のために貯金を崩しても息子を大学にやるのと同じで雌伏のときとして頑張るしかないでしょう。
これはこれで正しいのですが、ナケナシの貯金をはたいて都会へ遊学させたのに息子娘らが勉強するか、遊びほうけるかの瀬戸際です。
それを決めるのは数千年単位の基礎レベルの問題です。

中国外貨準備の急減3

March 22, 2017に出血輸出でも(輸入原材料以下で輸出するのではなく労賃の圧縮や赤字補填資金供給)貿易黒字になる仕組みを書きましたが、このやり方では資本・体力が続かなくなるのが普通です。
・・外貨準備を取り崩し・・ゾンビ企業への追い貸し・・出血輸出による中国の黒字もピークを過ぎつつあるのではないでしょうか?
国内完結であれば、国内でマネタリーベース拡大・・じゃぶじゃぶと資金供給すれば際限なく追い貸しが可能ですが・・実際に生産者・卸売り価格の急上昇が取りざたされています。
マンション投機だけではなく・・あるいはマンション相場が天井を打ちそうと思ったからか、幅広い商品取引にも余った金が流れ込んでいるらしいのです。
国内では花見酒経済同様で紙幣を印刷さえすればいくらでも回転出来ますし、国民には危機感が伝わらないでしょうが、対外取引には外貨が必要です。
3月18日の日経新聞朝刊7pには、「海外送金ストップ」の黒抜き見出しで中国による資本流出規制が最終段階に来ている・・日本企業・・あさひホールデイングスが中国子会社を現地民族資本に16年末に売却した代金が、政府の送金規制によって送金されないままになっている事例が紹介されています。
これでは追い出し攻勢に留まらず、嫌がらせで(あさひに対してあったと言う意味ではありません)二足三文で買い叩いた代金さえ払わせないでただ・裸で追い出す事態です。
中国の外貨持ち出し制限が今年に入って厳しくなっていることは報道されていましたが、現地企業売却金・・損切り・撤退金の支払をさせなくなったとなれば部分的デフォルトあり、大ごとです。
17年3月7日には、外貨準備3兆ドル回復の発表が出ています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H9Z_X00C17A3FF2000
中国外貨準備3兆ドル回復 2月末、資本規制強化で2カ月ぶり 2017/3/7 20:16
「金融当局は16年以降、銀行への窓口指導を通じ海外送金に対する規制を繰り返し強化してきた。17年に入ってからは個人の外貨両替に申請書の提出も義務づけた。送金や両替を先送りする企業や個人が増えており、元売りの動きがいったんは収まった。人民銀は元買い・ドル売り介入を抑制でき、外貨準備の増加につながった。」https://zuuonline.com/archives/135606
中国のなりふり構わぬ「資本流出規制」17年震源地の恐れあり
記事内容を省略しますが、上記のとおり年末から厳しい資本流出規制が始まっています。
上記各記事と日経新聞18日掲載の不払い記事を総合して簡単に言い換えれば、「中国に進出した企業が採算割れで撤退するときに当初投資資金の何十分の一で売却し撤退しようとしているときにその売却金さえ払わせない」「中国人の売った代金は回収するが中国企業の買った代金は払わせなかった」結果とすれば、外貨が入るだけで資金が出て行かないのでは外貨準備が増えるのは当たり前でしょう。
自由な取引で外貨がたまっているのか減って行くのか・・これが実力であり、経済活動する人にとっては実際を知りたいのです。
不払い基準は何か?どんどん拡大されるリスクがあるならば、対象になっていない今の内に売り抜けようとする動きが出て来ます。
以下によると米国債を若干買い戻し出来たようです。
 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLFQBN6KLVR5米財務省が15日発表した昨年12月の対米証券投資動向によれば、中国の米国債保有残高は1兆600億ドル(約121兆円)と、前年比で1880億ドルの減少となった。前月比では91億ドル増加し、昨年5月以来のプラス。
日本の米国債保有は5カ月連続で減少し、前月比178億ドル減の1兆900億ドル。前年比で316億ドルの減少だった。」
民間の資本流出を厳しく規制しているものの政府が米国債を買う方向への流出・・外貨準備だけ増えた状況を無理して演出している様子です。
日経新聞3月18日の記事を紹介したように、企業で言えば外注支払を先送りさせて手元預金を増やしたと言うことでしょう。
当初GDPアップ率と電力消費が整合しないことが問題になり、その次はトラック輸送実績とGDPが合わない・・等々次々の関係ですが、これもそういった小手先細工の一環でしょう。
この数ヶ月米国債保有残高減少が焦点になって来たのですが、保有額発表は米国政府ですから電力統計のように発表を操作出来ませんので、資本流出規制の強化・・外資への支払を止めてその分米国債を買い増したと言うことでしょうか?
米国債保有額の数字自体の操作はないとしても、経済の自然の流れを権力で歪めている点は同じですから、今後は米国債保有額の動きを見ても経済活動に応じた自然な資本の動きを計れなくなったと言うことです。
今後は・・外国企業へ不払いの動きがどの程度起きているか等の現場情報で中国の危険度を憶測するしかありません。
権力の脅しで未払いを公表出来ない企業には、支払を先送りするなどのいろんな仕組みがあるのでしょうが、不透明基準で払ってくれたり払ってくれなかったりするのでは進出企業にとってはリスクが高過ぎます。
中国に法の支配がない・・民主国家ではないとしても、国家が約束を守るべきかどうかは民主制と本来関係がありません。
国家の国民に対する約束を法とすれば、法の成立手続きが選挙の洗礼を受けているか否かで民主国家かどうかを区別しているだけで、国家の約束を自ら明らかにして国家が率先して守るべきは民主国家か否かに関係がありません。
諸葛孔明が泣いて馬謖を斬った故事はこの原理を表しています。
約束・契約を守らない個人がいる場合に(代金を払えと言う制度を設けて・・社会あるところ秩序維持に一定の裁定制度があるのはそのためです)これを守らせる(犯罪を取り締る)のが政府の役割・猿社会もボスがこの役割を果たしてこそボスです。
中国政府のやり方は政府自体が約束を守る意識がない・高官が賄賂次第で動く・・賄賂がないと動かないのは有名ですが、政府が民間の約束を守らせるように努力するどころか積極的に介入して約束どおりの支払をさせないとなれば文字どおり世も末・・社会組織崩壊です。
共産党政権は民主的洗礼を受けていないので正当性が弱いと一般的に言われていますが、国家の約束=広義の社会秩序維持義務を果たせているかどうかこそが政権の中核的存立基盤です。
これある限り強権支配かどうかで政権の存立が左右されることはありません。
しかも支払を止める基準がない・・破産等は完全ストップで画一的で公平ですが、政府の決めた相手だけ払わせないとなれば社会秩序が成り立つかの疑問です。
公になれば政府が公式にそんな命令していないからタマタマ何かの間違いだろうと言い張る・・政府はきちんと秩序維持の役目を果たしていると言うのでしょうが、(日経に報道されたあさひホールデングスへの不払い問題は購入企業が「政府の所為にして噓を言ってただけ」と言う決着をするのでしょうか?
結果的にこう言うことがどれだけ増えて行くかでしょう。

中国外貨準備急減2

外貨準備とは国際取引決済に必要な資金準備であり、長期貯蓄目的資金ではありません。
企業で言えば手元資金として一定額保有している流動資金と同じ原理です。
中国の外貨準備発表の内訳不明ですが理論的には米ドルだけではなく、円やユーロなどの外アフリカ諸国の国債に分散保有していること自体は虚偽発表ではないとしても、本来の即時決裁資金目的用途としてはドル・円・ユーロ・ポンド等の国際通貨以外の外貨を保有していても意味のない数字です。
だから昨日紹介した記事では、中国の外貨準備額発表が当てにならないとは公式には言いませんが、「米国債の保有額は中国の為替介入の本当の余力を示す・・」と言うのが大方の見方です。
ちなみに日本円保有・・日本国債金利が世界最底辺ですので、保有するメリットが低いので日本との直接決済用に最低必要な程度の資金にとどめているのは世界中の国の保有態度として共通でしょう。
中国がドル以外ユーロなど一杯保有しているとしても多くは最低限資金保有ですから、人民元買い支え用に使うわけには行きません。
本当にドル以外の外貨を2兆ドル近くも保有しているならば、公表すれば良いでしょうがそれが出来ない様子です。
アメリカ金利上げが日程に上っていることによる損失発生(金利が上がると低金利で買った債券価値が下落します)を緩和するために政策的に米国債を減らしていると言う見方もあります。
ところで、アメリカ国内だけで見れば金利が上がって債権評価が下がるのは損失ですが、金利が上がれば既存債権評価が下がると言うのは金利以外の与件が一定を前提にしている議論とすれば、金利が上がればドルも比例して上がる理屈・・金利の低くなった国の通貨は下落しますから、ドル評価で債権評価1割下がっても自国通貨が1割下がっていれば、自国通貨換算では評価減・損失はありません。
日本等米国債大量保有国にとってはドル下落・・円上昇の方が評価減損失の方が大きい筈です。
中国が日本の金融資産保有額を増やしている様子は以下のとおりです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20161222-00010000-moneypost-bus_all
「中国は外貨準備におけるドルの比率を下げ、通貨の分散化を図ろうとしている。2016年第2四半期における日本の国際収支状況で中国との金融収支を見ると、5兆8989億円の流入で、前年同期と比べると4.1倍に増えている(データは日本財務省)。中国からの資金流出入は2015年第1四半期から流入に転換、金額は四半期ごとに増えている。」
ドル換算では約500億ドル分の日本流入が原因となりますが、昨日紹介したとおり、中国の米国債減少額は通年では3200億ドルの減少ですから、日本円保有増は年間減少額の6分の1強の寄与です。
ユーロへの分散はどうでしょうか?
ネットで見る限り中国は25%をユーロに振り向けていることを前提とする記事はありますが、データとして引用している記事は見当たりません。
ただ中国の貿易収支の黒字は続いているのですから、本来資本収支はその分マイナスにる筈・外貨準備が増える筈です。
これが増えないで外貨準備が底をつく心配が何故あるかの疑問です。
(貿易収支ばかり報道されているものの資本収支その他詳細が出て来ないので本当は不明です)
経験のない成金が高層ビルを買うようなもので対外投資で損ばかりしている場合もあるでしょうし、中国ダメ論の期待先行論・・貿易黒字は噓だと言うのかどちらかでしょう。
http://mainichi.jp/articles/20170114/k00/00m/020/050000c
中国貿易額2年連続前年割れ 対米摩擦でさらに悪化も
【北京・赤間清広】中国税関総署が13日発表した2016年の貿易統計によると、輸出と輸入を合わせた貿易総額は前年比6.8%減の3兆6849億ドル(約423兆円)だった。輸出入がともに落ち込み、2年連続で前年割れした。
輸出は7.7%減の2兆974億ドル。東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが7.8%減と大きく落ち込んだ。日本と欧州連合(EU)はともに4.7%減、米国は5.9%減と先進国向けも低調だった。一方、輸入も中国経済の持ち直しの鈍さを反映し、5.5%減の1兆5874億ドルにとどまった。」
上記のとおり、輸出が減る以上に輸入が減っている・・世界中の国際取引が減少している中で、(中国の爆買い・輸入減少が原油を始めとする資源価格下落の始まりでした)中国の黒字が増えている・・アメリカを初め多くの国が赤字を押し付けられている状況が見えます。
トランプ氏の対中不満は世界の不満の代弁でもあるので支持が高いのでしょう。
https://www.hoxsin.co.jp/hadoutenbou/data/x/jp/tradechi.pdfからの引用です。
対中貿易収支 財務省
単位 億円
 1月    2月    3月   4月     5月    6月     7月    8月   9月   10 11月   12月
2014年 
-10,470  -1,14 -5,545  -4,615  -3,710   -3,721  -3,237  -2,362  -6,729  -5,901 -5,986   -4,460
2015年
-7,381  -7,727  -1,788  -4,779 -3,843  -4,137  -4,747   -4,881  -7,356 -5,414  -5,941 -4,042
2016年
-8,149  -3,833  -3,526  -2,963  -4,017   -3,358   -2,671   -3,445  -5,477 -3,426   -3,852 -1,827
2017年
-9,093
前年比
-944
上記のとおり今年1月までは日本の対中貿易では赤字が続いていましたが、17年2月には黒字転換しました。
http://www.asahi.com/articles/ASK3Q2JM8K3QUTFK001.html
財務省が22日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収支」は8134億円の黒字だった。黒字は2カ月ぶり。中国の大型連休が明け、輸出が大きく伸びたため。対中貿易収支は5年ぶりに黒字に転じた。」 対中貿易収支は1118億円の黒字だった。財務省関税局は「春節の日程は毎年変わる。今回の黒字は一過性のものだろう」としている。一方、対米貿易収支は6113億円の黒字だった。自動車部品の輸出が好調で、2カ月ぶりに黒字に転じた。(鬼原民幸)」
上記の解説によれば対中黒字は一過性のものかも知れませんが、15〜16年の推移を見ると徐々に対中赤字が減って来た(素人判断ですが)趨勢が見えます。
ちょっとした商品をネット注文するとベトナム製が多くなったのに驚きますが、輸入先が変わりつつある・・一過性ではない印象を受けます。

中国外貨準備急減1

昨日まで見て来たように、外資導入に頼って来た中国経済は投資継続が命綱・・これをやめるべきですがやめることが出来ない・・麻薬みたいになっていて縮小を始めると経済がガタガタになり中国政府・国有企業と国民双方が借金返済の苦しみが始まろうとしています。
外資導入は借金ではないと思うでしょうが、実体経済に及ぼす影響で見れば、ほぼ同じです。
債務でないから法的には返済義務がありませんが、土地を外資に100億で売っていた場合、外資が半値の50億で売って撤退すると50億円分の資金流出が起きます。
土地を買い工場設備を投入した外資が、採算割れで二束三文で売って引き上げるとなれば、その土地や工場設備は二束三文・・周辺相場の下落を呼びます。
ミクロ・個別で見れば、10〜20年前に高く売った土地や数百億の設備投資させてから嫌がらせして追い出せば二束三文で安く買えて民族資本が大もうけと言えますが、100の成功のうち1〜2社だけの経営失敗の例外現象であればそのとおりですが、大方の外資が商売にならないと引き上げる事態になれば、地域経済へのマイナス効果の大きさは計り知れません。
外資が次々撤退・・これを見た新規投資が手控えられるとなれば、これを補う民族資本・技術が育っていないと経済が麻痺するので損して引き上げるのだから放っておけば良いとは言い切れません。
中国は日系企業との合弁生産で技術を修得したから最早用がないとばかりに反日追い出し活動に踏み切りましたが、技術は日々進化する特質・・これがないとすぐに陳腐化して行く・進歩の概念がなかったので失敗しました。
レアアースで言えば、既存技術のママならば中国から95%の輸入が必要としても日本はイザとなればレアアース不要化〜比率を減じる技術開発力がある点を見逃していた失敗です。
各種生産工場も日進月歩の開発で成り立っていますから、当時の世界最先端工場を造らせたから反日運動で操業出来なくしてこれを買いたたけば世界支配出来るものではありません。
反日暴動が失敗したことが分ってレアアース禁輸後僅か1年経過で対中投資を求める訪問団が来日したことを3月16日に紹介しましたが、この暴動の結果次世代型工場誘致向けに余程うまい優遇策を提示されても警戒心が先立つので反日暴動前のようにはうまく行かなくなりました。
反日暴動にも拘らず新たに進出を決める企業は親中企業として目立ちますが、マスコミが世論誘導的に取り上げる一部現象ではなく、経済現象はトータル収支で見るべきでしょう。
この総合成績が現れるのが資本市場であり完全自由市場であれば為替相場に出るのですが、この後で紹介するように外貨準備急減に慌てて資本流出を急規制する例からも分るように、中国の場合不完全市場ですから為替相場では実態が分りません。
各種統計・・企業で言えば会計帳簿が実態を示さないのと同じ・・財務諸表が信用出来ない場合、銀行預金残高で本当の資金繰りを見るしかない状態が中国の統計です。
企業の銀行預金残高証明に匹敵するのが、外貨準備残高中の米国財務省証券保有・・米政府による発表数字です。
財務諸表中の債権などは相手企業とのなれ合いでいくらでも粉飾可能で・回収不能債権も紛れ込むので実は当てにならない・・中国外貨準備発表数字中「コア」になるのは米国財務省証券保有額のみと言う状況です。
損切りシテでも出て行く企業が多くなるのを見れば、余程見通しが良くなければ新規投資が減る・・あんちょこなムード便乗的投資激減ですから、差引き資本流出が始まっていれば外貨準備が減る・・その増減で見れば結果が明らかです。
中国自身の海外企業買収による流出・・これを頻りに宣伝していますが、これが含まれるとしても中国国内投資がトータルで減っていることは変わらないでしょう。
この大きな流れを隠し切れなくなった・・表面化して来たのが、ここ数年の資本市場の動き・・中国の誇る?外貨準備急減の基礎です。
中国外為市場が不完全市場とは言え長期的トレンドを防げませんので為替相場のグラフを見るとじり安が続いていますが、中国政府が買い支えているので実態が不透明です。
トレンドにどこまで逆らえるかは人民元の買い支えにつぎ込む外貨準備がどれだけ保つかでしょうが、外貨準備残高は中国政府発表によるので実は検証不能?不透明です。
p.reuters.com/article/china-foreign-reserve-idJPKBN15M0OEによると17年1月末に外貨準備が3兆ドルを割ったことが出ています。
[北京 7日 ロイター] – 1月末の中国外貨準備高は2兆9980億ドルとなり、12月末から123億ドル減少し、2011年2月以降初めて3兆ドルを割り込んだ。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は105億ドルの減少だった。
2016年通年では、外貨準備は3200億ドル近く減少。2015年も5130億ドル減と過去最大の落ち込みを記録しており、資本流出懸念が高まっている。」
国際通貨基金(IMF)の指針では中国に求められる外貨準備高の最低水準は2兆6000億ドルとされ・・」
と紹介し、決済資金準備としてはまだ余裕があると言うのですが・・。
紹介の主眼は中国にはまだ余裕があると言うよりは、2兆6000億ドルが限界・・これを割ったら大変・デフォルトリスク野良員を公式宣言している点にあるでしょう・・。
これが正しいとすれば、もしも中国の外貨準備が(俗にいわれているように)実際以上に蒸かしたものとすれば、既に「限界ラインギリギリかそれ以下になっている」かも?と言う含みのある記事です。
中国政府発表のGDPや貿易黒字など経済統計の信用性が低いので、外貨準備額に関しても確かなところではアメリカ財務省証券保有額を外貨準備の指標としてみるしかありません
米政府発表なので正確な米国財務省証券保有額こそは、中国の正真正銘の外貨準備額・・しかも直ぐ換金出来るコア資金です。
本来外貨準備とは直ぐ使える資金・・米ドル・円・ユーロ・ポンドに限るべきそれ以外を含めること自体ルール違反っぽいのです。
例えば最貧国への援助の見返りにそのクニの国債を持っていてもドル換金出来ず貿易決済資金には使えず直ぐにはドルに換金出来ません。
米穀国財務省証券保有額の推移は以下のとおりです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H6D_W6A211C1FF1000/
2016/12/16 20:54【北京=原田逸策】
中国の米国債保有額(10月末時点)が大幅に減り、国別の順位で日本に抜かれて2位になった。中国が対ドルで人民元の急落を防ぐため、ドル売り・元買いの為替介入を繰り返したのが理由。米国債の保有額は中国の為替介入の本当の余力を示すともいえ、減り続ければ元売り圧力がさらに高まる悪循環になりかねない。」
「米財務省によると10月末の中国の保有額は9月末より413億ドル少ない1兆1157億ドル(約132兆円)。日本も45億ドル減の1兆1319億ドルだったが、中国の減少幅が大きく、逆転した。」
11月末残高は以下のとおりで減少幅が半端でありません。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170120/mcb1701200500026-n1.htm
2017.1.20 05:00
「米財務省が18日発表した11月の対米証券投資動向によれば、中国の米国債保有残高は1兆500億ドル(約120兆5925億円)と、前月から664億ドル減った。減少幅は2011年12月以来で最大。日本は233億ドル減の1兆1100億ドルと4カ月連続で減少した。」

中韓バブルの行方?(外貨準備の急減)1

昨年来アメリカが低金利政策の出口を探る展開になると、経済体力の弱い中韓ともにつられて金利を上げるしかない結果、国内過剰融資のトガメが出て来ます。
1昨年頃にFRBイエレン議長が金利上げ決断を先送りしたときに中国への影響を明言していたのは、中国破綻による世界混乱を心配していたからですが、これが世界の共通認識です。
FRBが今回(3月15日)中国破綻を気にせずに利上げに踏み切ったのは、1昨年の株価暴落時よりも中国の体力がついたとする見方は皆無でしょう。
この後で紹介するように中国の外貨準備がこの数年で激減している状態です。
今回の利上げは、中国破綻を世界が織り込んで来た(この数年リスク承知で中国投資した企業の面倒まで見る必要がない)ので仮に破綻に向かってもそれほどの心配がないと言う意味と、他方で米国の対中姿勢の変化でしょう。
大き過ぎて潰せないと言っていると良い気になって軍事進出など幾らでも威張る・許容範囲を超えたのでこの辺でお灸を据える必要があると言う政治的要素が大きいように見えます。
中央銀行の政治からの独立性と言っても、中国に対する断固たる米国新政権の決断を明らかにしたことになります。
中韓の場合、アメリカが金利を上げ流にの追随上げすると国内バブルの急収縮のリスクがあるので、低金利を放置していると金利差→人民元やウオンの下落は貿易上有利ですがその代わり資本流出加速→デフォルトの危機になります。
自国通貨安が国際貿易競争上有利な筈なのに、中国が(デフォルト危機になるのを恐れて?)必死に買い支えざる得ないのは、構造上の弱点を抱えているからです。
元安になると外貨建て債務の返済額がその分アップし、対外債務の多い企業は参ってしまいますし、傾向的人民元安が見込まれると外資の対中投資意欲が減退するので新規投資・流入資金が細るばかりか、既存投資・・収支見通しの悪い限界進出企業の場合人民元が下がる前に早めに見切りを撤退に入る・ドルなどに換金して回収しておこうとする動きを誘発します。
憶測が憶測を生み一種の取り付け騒ぎ・パニック的外資逃走になるリスクが怖いのです。
中国の外貨準備が巨大と言っても外資導入によるもの・・外国資本を預かっているだけ・ビルオーナーがテナントからの保証金を自分のお金のように使っているのと同じでテナントが出始めると保証金を返す必要がありますが、中国は今この恐怖におののいているのです。
この後で紹介するアサヒホールデングスの現地子会社売却金が日本へ送金出来ていない事例がまさにこれです。
頼みの外資が回収に向かいドルへの換金・引き上げを始めると中国経済はひとたまりもありません。
いくら威張っていても実質負債の大きさまたは外資依存の脆弱さがモロに出て来た・・ここに来て逆回転始めたのです。
ちなみに日本の場合円安になると貿易上有利なばかりか、外貨建て債権・対外投資残が多いので、債権や投資済み資産の評価が上がるメリットがあります。
東日本大震災でイキナリ円が上がったのは、大被害の復興資金がいるので国外から資金回収・国内還流するとの思惑があったことを紹介したことがあります。
日本とは逆に債務国の場合、アジア通貨危機同様に何かあると資金を引き上げられる下落予想になるのが普通です。
韓国の場合、中国と違ってウオン安に向けて何の心配もなく為替介入を続けて来たのは、日本による巨額スワップ協定・・日本の保障によって、いくらウオンが下がっても安心だったからに過ぎません。
コバンザメのように日本企業類似品を造り続ける韓国が、安心して長年ウオン安に向けて介入出来た結果、対日競争上うまい汁を吸い続けて来ました。
韓国は日本の信用保障を利用して日本に恩返しをするどころか逆に日本企業打倒の材料に使って来たのです。
慰安婦騒動・反日態度明白化の結果、日本がスワップ協定継続・保障してやる意味がないどころか日本にとって害がある協定となっていたので、1昨年協定期限後日本が新協定に応じなくなった以降、韓国はウオン安を放置出来なくなった点では中国同様です。
中韓共に反日行動をした結果、ウオンや人民元暴落リスクについて日本の保障がなくなりました・・政治的にも天安門事件で世界から孤立したときに日本の助け舟で中国が世界復帰出来たのですが、今回は日本が中国の政治孤立を助ける立場どころではありません。
反日暴動・慰安婦騒動の結果、日本からの高度部品供給・・企業進出・協力体制が急激に細って困った中国からレアアース禁輸後約1年で投資を求めて大訪日団が来たことを16日に紹介しましたが、そこまでしないと日本からの対中投資が冷え込んでしまった(資金と技術が入らなくなった)実態があります。
中国が人件費上昇によって国際競争力が急激低下し、産業構造をワンランク上に移行する必要が生じた大事なときに反日行動してしまったので、従来のように日本側が喜んで協力する姿勢から仕方なし・・嫌々の姿勢に変わって来たのです。
ドイツに日本の代わりを期待したのでしょうが、ドイツの方が経済規模が小さい上にジーゼル不正でも分るように各種部品等の技術レベルが違います。
そのうえ、西欧系は日本人のようにコマメに教えて相手を育てようとする姿勢よりも、差異化を求める傾向があります。
中国の低賃金大量生産工場が行き詰まって、ベトナム等で作れないような中高度部品製造に構造変化するには、日本の協力が欠かせません。
日本はアメリカと違って、新興国へ製造移転後の今でも輸出しているような高度部品メーカー(・・3月17日紹介したような世界シェアー何位と言う部品メーカーが日本にはゴマンとあります)が各分野ごとに今なお存在しています。
これを誘致しないと中韓はベトナムと等との差異化を図れなくて生き残れないのですが、反日運動の結果これが思うように行かない・・次の産業が育たないままになっています。
この後中韓の造船業の苦境その他惨憺たる状況を紹介しますが、今更困っても日本に正面から応援を頼み難くなくなってしまい、苦境を先送りしてきた限界が近づいて来ました・・。
両国とも自前で産業を興したことがない・・日本企業の指導どおりやった経験しかないので日本企業がいなくなると、この先自発的に何かを起こすにはまだまだ無理がある・・何をして良いか分らない状態に陥っていると見るべきでしょう。
コンピューター利用のIT化に関しての技術開発では、スタートラインが一緒なのでまだ何とかなっていますが、巨大人口を抱えている以上大量雇用してくれる従来型製造業をなくすわけに行きません。
台湾はシャープを買収出来ましたが、これは長年の親日姿勢の結果であり、中国が反日を国是にしている限り名乗りを上げることすら出来ません。
ベトナム等の新興国の挑戦よりも中国の追い上げ・・金城湯池の中国市場でサード配備に体する嫌がらせを防ぐには、より一層高度化するしかない点では、中国よりも韓国の方がもっと切羽詰まっています。
韓国が感情に任せて反日運動を世界で展開している陰で実業界は日本企業誘致しか生き残れないので困っていた・・背に腹を代えられないほど経済的に追いつめられた反映が朴政権の反日運動停止・・今度こそ蒸し返さないと言う大人の交渉では非常識な「不可逆的」と言う明文をつけた日韓合意の理由でした。
ところが日韓合意を実行するには国民理解が必要・国民がソモソモ約束を守るべき近代教育を受けていない・・ダダをこねれば何とかなると言う赤ちゃんレベルです。
・・感情で行動するしか知らないし合意は守るべきと言う意味が理解出来ない・・民度が低過ぎるので行き詰まっている状態です。
日本は慰安婦騒動以来韓国には愛想を尽かしていますので、約束を守らない韓国に協力する気持ちがなくなっていること・これを明らかにするために大使引き揚げまでしているのにまだ気が付かない様子で感情8割で騒いでいます。
内政混乱している間にも経済困難化の進行が待ってくれません・・ついにその結果が出るトキが近づいて来ました・・。
この危機に際してヒステリ−状態になっているのが韓国の現状です。

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