中国購買力持続性6(外貨準備減少)

中国の外貨準備と言っても日本等からの外資の投資が多いから膨らんでいるのであって、真水の外貨準備金は少ないとMay 5, 2015「中韓の外貨準備1(真水)」その他で繰り返し書いてきました。
孫正義氏が世界的大富豪と言ってもこれに匹敵する巨額負債を抱えてM&Aを繰り返していることも知られています。
日本の財政赤字報道はプラス財産を見ない不思議なものですが、孫氏の富豪度報道になると逆に巨額債務を見ないで買収した相手の株式評価額だけを計算して世界何位と言うのですが、中国関連報道も中国に都合の良い面ばかり報道している傾向があります。
(本当の事実を知らないと中国も方向性を誤るので虚偽報道が中国自身にとって良いかどうかは別問題です・・政権中枢だけが本当のことを知っていても、国民がねつ造の歴史を信じていたり強国になったと誤解して強気になってしまうと、政権がこれまでの教育は全て噓でしたとは言えず引きずられてしまうので、結果的に国民全体が誤解しているかどうかが重要です・・個人で言えば、本当の健康状態を知っている方が良いのと同じです)
中国は見かけだけの外貨準備で威張っていたのですが、外資の引き上げが始まり先行き人民元下落のリスクが高まって来た昨年末に掛けて月に千億ドル規模の外貨準備減少が続いていました。 
以下は、日経新聞ネット配信記事です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H1R_X00C16A2FF8000
北京=大越匡洋】中国の外貨準備高が過去最大規模の減少を続けている。中国人民銀行(中央銀行)は7日、1月末の外貨準備高が3兆2309億ドル(約 378兆円)で、前月に比べ995億ドル減ったと発表した。
減少幅は過去最大だった2015年12月の1079億ドルに次ぐ大きさだ。中国の通貨人民元への下落圧力が強まり、人民銀がドルを売って元を買う為替介入を繰り返していることが大きな要因だ。」
上記は政府発表の外貨準備ですから本当の流出はもっと大きいかも知れませんが、中国政府は人民元防衛に必死で、実際の輸入決済以外には両替を認めないとか個人の年間の外貨持ち出し限度額を規制強化するなどあの手この手の為替規制をしていることが報じられています。
それでも減少を食い止めることが出来ず2月にも300億ドル近い外貨準備減少です。
以下はhttp://jp.reuters.com/article/china-reserve-feb-idJPKCN0W90QH
Business | 2016年 03月 7日 18:48 JSTの引用です。

[北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した2月末時点の外貨準備高は前月比285億7000万ドル減の3兆2000億ドルで、2011年12月以来の低水準だった。
減少幅はロイターがまとめたエコノミスト予想の300億ドルをやや下回った。1月は995億ドル減だった。
12月は1079億ドル減少し、過去最大の減少を記録した。
外貨準備は、2015年通年では5130億ドル減少し、年間の減少としては過去最大となった。」

この間貿易収支が黒字発表(政府発表自体が当てにならないことは周知のとおり)ですが、それでも減少を続けている状態です。
言わば、張り子の虎の「紙」が破れ始めた状態で輸入・自己消費だけ増やすことになる内需拡大が出来るかの疑問です。
充分な年金積み立て金+個人預貯金等蓄積がないのに高齢化が先に進む・・支出だけする人が増えると(未富先老)個人も国家も借金地獄になって大変ですが、これを国際的に拡大して行こうとする・・外貨準備を越えて内需拡大出来るかのテーマです。
国家的モラルハザード期待論・・債務を国外に付け替え(て踏み倒す)運動でないかの危惧で書いています。
健全社会日本では、高度成長期にも爆買いせずに環境保護や子育てを含めて将来のために投資してきましたし、現在金利を下げても更にはマイナス金利にしても合理的な投資予定がないかぎり「タダだから借りよう」と言う人(モラルハザード)がそれほど増えません。
中国の場合金利を下げると人民元がさらに下がるのでこれが出来ませんので、預金準備率を下げて紙幣供給量を増やす政策になったのですが、そうするとゾンビ企業や消費金融利用者の延命を助けるだけ・・負債が増える一方になっていると言われています。
この結果、中国が決めた6、5%成長論を実行するための金融緩和をすれば、過剰投資の整理どころか逆に投資再開されて破綻を先送りし、破綻時の規模を大きくする政策だと言う批判が普通です。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12135478183.html
勝又壽良の経済時評
2016-03-10 04:03:52
中国、「預金準備率引下げ」人民元相場より経済成長を優先
③「長期的には、債務拡大という形での刺激策導入で状況がさらに悪化する恐れもある。ゴールドマン・サックス・グループの投資管理部門は、中国債務の国内総生産(GDP)比の増加が近年で目立つと警告してきた。2月に公表されたブルームバーグ調査のエコノミスト8人の予想中央値によると、今後数年以内に同国債務はGDP比283%でピークとなる見通しだ」。
以下は韓国の場合です
http://biz.searchina.net/id/1598022
まずい!韓国企業の債務比率が主要新興国で最悪の水準に、債務拡大が加速 2015-12-24 13:58
韓国メディアの亜洲経済の中国語電子版は18日、米財務省はこのほど国際通貨基金(IMF)の統計データに基づいた報告書を発表し、2014年第4四半期までの国内総生産(GDP)に対する韓国企業の債務比率は主要新興国のなかで最悪の水準となったことを伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

実際にこの3〜4月頃に1線都市での不動産バブルが再燃し、今春G20で公約していた過剰生産力整理どころか、休止設備再開の動きすら出て来ている様子が報道されています。

中国のバブル崩壊15(他産業への転嫁1)

この後で先送りになっているコラムで貿易黒字と出血輸出の関係(国民を餓死させてまで行なったスターリンの穀物輸出など)を書きますが、採算価格の半値=赤字で売っても、輸入原材料・鉄鉱石価格等をうわ回ってさえいれば貿易収支としては黒字になります。
500億円で輸入した原料に付加価値をつけて1000億円で売った場合500億円の貿易黒字ですが、この付加価値をつけるのに国内で700億円のコストを投入していると200億円分実質赤字です。
この200億円は製造に従事した人件費や納入業者に払えないだけですから、国威発揚には響きません・・倒産・夜逃げされて踏み倒される国民が泣きを見る仕組みです。
表向きGDPを押し上げる・・国威発揚のために需要を無視した行け行けドンドンのやり方は、就職先のない大卒の大量化政策も同根です。
現在年間大卒が700万人位とも言われていて、その35%が就職先がなくて「アリ族」と割れる悲惨な状態になっていることをMay 3, 2014「日中の制裁合戦4(バブル崩壊1)」に書きました。
不動産バブル崩壊を先延ばしするために、次々と新たな業種を選別して?需要無視の大増産を繰り返して来た(これは独裁政権・国有企業中心だからこそ出来ることです)結果が、自動車産業に行き着いたようです。
今朝の日経新聞朝刊第一面には、4月の乗用車を含むクルマ販売が0.何%マイナスになっていて、景気の先行指標である商用車(トラック等は産業界全般的景気・・実需動向に左右されます)は実に17、6%減となっている・・この部分は目立たないように記事の中でこっそりと書いていますが、これが重要です・・と報道されています。
産業界では17.6%の比率で半年〜1年前からマイナス成長になっていることが明らかですが、中国政府発表どおりに日本マスコミは7%弱の経済成長しているとはやし立て続けています。
建設等需要が減って製鉄量が減ると運送需要減→トラック等販売減少となるので、実は商用車需要減は実体経済に1年くらい遅れますが、消費者・従業員は製鉄量等が減っても製鉄会社従業員給与が(非正規は減るでしょうが・・・)正規社員はイキナリ下がらないし、(以下に書く株相場のようにもうすぐアメリカを追い越すなどと言う)政府・マスコミの煽りに乗せられ易い傾向があるので、乗用車販売減少率等消費支出減少になるのはかなり遅れるのが普通です。
上記のようにクルマの増産を煽るのも限界になって来たので、不景気打開のための金融緩和をするしかない→株式相場が上がると人民日報が積極的に奨励し煽っている様子が勝又壽良氏の「経済時評」2015-05-06「中国、人民日報推奨の株式投機「株未亡人登場」する爛熟相場」のテーマで報じられています。
文章の一部を引用します
「中国では明らかに、ちぐはぐなことが起こっている。住宅投機が失敗した後、投機マネーは株式市場へ向かっているからだ。肝心の企業収益は悪化しており、格付けが相次いで引き下げられるほどである。折角の金融緩和でも、金利引き下げの恩典と無縁である。それが、中国企業の実態である。
政府系メディアは、こともあろうに株式投資推奨記事を掲載している。満足に小学校も卒業していない人々が、一攫千金を夢見て株式市場へ群がっているのだ。この情景は、「爛熟相場」と言っておかしくない。中国経済は株式投機に失敗すれば、もはや「その後」がない崖っぷちに立つ。その認識もない政府系メディアは、いったい何を考えているのか。」
「しかも悪いことには、政府系メディアが株式投資を煽っていることだ。「個人投資家の間では、『勝ちたければ人民日報を読め』が合言葉。政府系メディアが論じる通りに株式を売買すれば、外れはないと信じられている。昨年9月、新華社は連日で株高の必要性を訴える記事を掲載。中国本土市場はその約2カ月後に、本格的な上昇相場に入った。『構造改革が進むなか、政府は株式相場による景気の下支え効果を重視している』という見方があるほどだ」(『日本経済新聞』4月22日付け)。」
「住宅バブル崩壊をカムフラージュするべく、中国政府は株価を煽っている。私には、そうとしか読めないのだ。肝心要の企業業績は下降に向かっている。株価上昇の背景には唯一、金融緩和期待しかない。だが、バブル経済崩壊という歴史的な事件のなかで、金融緩和が企業業績の回復に資するのか。そう考えるのは、余りにも無謀である。」

実際5月11日紹介したように産業界の期待・悲鳴に応えて金利引き下げが続いています。
バブル崩壊が近いから、政府が放置出来ずに金融緩和するから、株が上がると言う政府系宣伝もおかしなものですが、(金利引き下げによる外資流出を阻止する目的でしょうが・・)最後の大相場を期待して貧困農民までが殺到していると言うのですから驚きです。

中韓の外貨準備2

中韓共に目先の金儲け主義ですから、リスクが高い分・高金利の新興国債券への投資・保有比率が高いと噂されていました。
ところが、原油安が象徴しているように資源国・新興国経済が悪化しているここ数年の国際経済情勢が、中韓の保有外貨の評価減=モロにマイナスに響いている様子です。
中韓の国内景気減速と資源国経済減速が同時進行している点が、マイナスのダブル・トリプル効果を生んでいる様子です。
日本の上得意は北米ですが、韓国は中国比率が高く、中国は欧州比率が高いのですが、それぞれ経済危機状態ですから大変です。
中国による爆買いを前提に資源国が潤っていたし、オーストラリア等が中国寄り変化が生じていたのですが、中国の経済減速が資源下落の引き金になってきました。
米国向け輸出比重がもの凄く高い富士重工の業績と資源国や中国向け輸出比重の高いコマツの業績変化を比較すれば見れば明らかです。
この経済関連構図から見ても、AIIB設立を巡る日米対中韓+欧州+資源国オーストラリアと言うグループ分けが必然だったのかも知れません。
韓国が日本の円安によって経済苦境に陥っていますし、アジア危機当時と比べて今は外貨準備が3000億ドルもあるので日韓スワップ終了しても大丈夫と主張しているのですが、これが本当ならば、思い切った金利引き下げ→ウオン安にして円安に対抗すれば良い筈ですが、これが出来ずそろりそろりしか金利引き下げしか出来ないのは真水の外貨準備が少ないからと言われていますが、中国も同じ体質・・外貨準備の実質的内容が悪いのではないかと推定されます。
韓国は為替操作国として有名で、製品共通性の多い日本はこの為替操作のために長年苦しめられて来ましたが、中国も為替操作のために人民元を売ってドルを買い集めていたのと同じ構図が推定されます。
ドル買い支え=元やウオンの低め誘導・為替操作による大量のドル取得=同額の人民元やウオン紙幣が国外に流出していますので、これがこれからボデーに効いてきます。
外貨準備の内、ドル買い支え資金分はこれと同額の借金証書=人民元やウオン紙幣を発行してしまっているのですから、同額の実質借金をしているのと同じです。
買い支えで取得したドルをアメリカ国債購入資金にしている場合、人民元やウオンが値下がりする局面が来れば、誰でも損したい人はいないので、国外に流出している=国外で誰かが保有している人民元やウオンを売ってドルを買い求める動きが始まります。
中国では東南アジア諸国への生産基地の移転が始まって、国内生産が縮小過程に入っていて、他方で不動産バブル崩壊が始まっていることは明白です。
これを防ぐために思い切って金利を下げると不良企業の延命リスクがあるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
バブル崩壊・・国内製造業不振による景気悪化防止のために、思い切って金利を下げると不良企業の延命リスク・・バブル退治より更なる拡大策・・になるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
金利を下げる代わりに紙幣発行量を増やすと紙幣価値が下がる→人民元下落圧力が高まる→人民元防衛のために外貨準備の取り崩しが多くなるので、結果的に人民元が下がる点は同じです。
新興国では金利引き下げはすぐに通貨下落に繋がりますが、紙幣大量供給でも効果が出るまでの時間差がある程度でしょう・・先送りでしかありません。
日本財務官僚が頻りに財政赤字→暴落=金利上昇を強調しますが、日本の場合世界最大の純債権国ですから、ゼロ金利にしてもマイナス金利にしても円や国債暴落の心配をする必要が全くありません。
日本の金利が安ければ、信用のある円を日本で借りて金利の高い外国へ持って行って利ざやを稼ぐ円キャリー取引を誘発して円が逆に上がる傾向になります。
世界の金利水準は国力・世界の信用に反比例するのが経済原則です。
アメリカ経済が好調を維持しているので、低金利政策が近い内に修正されそうというのが・・当初は昨年9月の予想でした。
アメリカの金利が少し・・精々0、何%上がると言う噂・・新興国からアメリカへ資金が流出する予想だけで、新興国・見かけの統計・発表は健全でも実質的にはおかしいと市場が見ている国が通貨下落に見舞われるのが普通です。
今朝の日経新聞朝刊5ページにはインドネシアの通貨下落とインフレによってジョコ大統領支持率が急落している状況が紹介されています。
現在の主要国金利と弱小国の代表としてブラジルの金利変化を明日のコラムで比較しておきましょう。

中韓の外貨準備1(真水)

中国の巨額外貨準備と言っても、日本のように長期に及ぶ経常収支黒字の積み上げとは違い、銀行が預かった預金でお金を貸したり他国の国債を買っているような状態で本来の自己資金比率が低い状態と推測されます。
一種の預かり金や借金の運用がアメリカ国債の保有であるとすれば、逆回転・・人民元の買い戻し圧力・・預金取り付け騒ぎが起きるとたちまち行き詰まります。
これが1997年ころに起きたアジア通貨危機のカラクリでした。
ところで、中国のGDP統計発表自体およそ7〜8%水増しを繰り返していたのではないかと言う憶測が普通(少なくとも私はこのコラムでそう憶測して書いてきました)です。
中国では、(実質マイナスになったら大変ですから)7〜8%の経済成長率が生命線と従来強調されていたのと平仄が合います。
(この上乗せ発表を何十年もやって来たので、累積すれば大変な誤差で実質GDPは公表の3分の1くらいしかないとアメリカのどこかのシンクタンクが研究発表しています・そのGDPも無駄なマンション鬼城等を一杯作った不動産投資が中心ですから、将来発展の基礎にも殆どなっていません。)
最近は公式発表でも6〜7%になったようですから、実質マイナス成長に陥っている筈です・・何故か最近業種別統計が出るようになって、いろんな業種でマイナス数%の統計が出始めています。
主要業種・・例えば、鉄道輸送実績では前年比14年で7%減)でマイナス6〜7%(この統計も何%かの誤摩化しがあり得ますのでそのとおりの信用性がありませんが・・)と言うのに、トータルでなお7%弱のプラス成長をしていると言う発表をし続ける神経が不思議です・・以前のGDP数字はいい加減なものだと、徐々に慣れてもらうための訓練かも知れません。 
過去の貿易黒字発表も相手国の輸入数字と大幅に違うことが、以前から指摘されてきました。
国内経済統計自体が水増しですし、外貨準備は国内に保有する金塊等も含まれるのですが、どこの国でも内訳発表しませんし、したとしても言いたい放題でも相手国発表との整合性がないと指摘される心配がありません。
IMFだったかで中国の外貨準備増減を発表していますが、中国のいい加減な発表を基に推計しているのでしょか?
外貨準備発表自体何(金塊その他を金庫に満杯に持っていると言うのか?)をどこに持っているのか、外部からは窺い知れないことから実態は見えませんが、ある国の外貨準備総額の動きはアメリカ国債保有額の増減が大きな目安になるでしょう。
一般的経済原理では、小国の通貨保有していると、変動リスクが大き過ぎるので、その国との貿易決済に必要な程度の一定比率の資金しか保有しないのが普通です・・個人や企業で言えば日常的に不要な大口資金は定期にして、普通預金には日常決済用小口資金しか入れておかないのと同じです。
大口資金は金塊のままでは金利が付かないので、これも一定比率を国内保有するだけで、一応金利の付く・・・信用性のある国際通貨・・・米ドルや円、ユーロなど国際通貨にしておくのが普通です。
(0.0何%でも兆ドル単位の額面になると受け取る金利は半端ではありませんから・・)
中国のGDPや国内暴動数等の発表は、絶対数字では当てになりませんが、一定比率で水増したり減らしたりして発表しているとすれば、経年変化を読むことが推定出来るのと同様で、アメリカ財務省証券は世界で一番信用性が高い・・この保有額が減る場合、同率で国力・経済力低下が進んでいると推定されます。
中国は、従来のドルを買って人民元を安くする政策から人民元の買い支え作戦に変化していることが、昨日紹介したNHKの報道にあるように知られています。
これは反日暴動以来の外資流出(中国へ投資した工場等を売却して得た人民元をドルに替えて出て行く動き)+貿易黒字減少(実際は赤字?)でドル資金不足(流出超)になっていることが、背景にあると見るべきでしょう。
中国が大きなこと(大言壮語)を言っていても対外債務(ドル建て債務)国ですから、一旦人民元が下がり始めると返済額がその比率で膨らみますので大変なことになります。
これが97年ころのアジア通貨危機でした・・・昨日紹介したNHK報道のように人民元下落防止に必死の様子ですから、外貨準備は実際に(借金を引いた真水で)は大したことがなかったのではないでしょうか?

外貨準備の真実1

マスコミとこれに受けの良い文化人(安倍政権もそう主張していますが・・)が何かあると直ぐに失われた20年とか言って、如何に日本経済は駄目かとバカの一つ覚えのように合唱してきました。
これに対する批判を April 21, 2013「紙幣供給量増大と減価3(新興国への影響1)」その他で繰り返し書いてきましたが、ここ20年ばかり有事の日本円買いの動きが世界の主流になっていることだけを見ても、実際には日本がこの間に着々と確固とした地歩を築いていたことが分ります。
工業品に限らずアニメや各種お宅文化、スポーツその他ものすごく幅広い分野で裾野から日本文化・価値観が世界を席巻ししつつあることは周知のとおりです。
グローバル化によって組み立て産業で輸出するのは無理になったので、最終組み立て加工は人件費の安い後進国に委ねて殆ど全ての分野で精密部品・炭素繊維など素材に特化して活路を見出して来た成果が現れて来たのです。
今では最終製品の出荷額で競っても意味がないのに、これにいつまでもこだわっていたパナソニックや家電業界が行き詰まっています。
これからは日本文化の粋である、きめ細やかなシステムマチックな能力・・部品+システム運営能力を含めた総合輸出の時代でしょう。
最終製品出荷ではなくなったので目立ちませんが、じっくり足腰を鍛えた20年の結果、世界のマスコミあるいは中韓政府が如何に日本はもう駄目だと言おうとも、有事の日本円買い=世界一安定した経済力のある国は日本であることは否定出来ない事実・世界の経済界での常識になっているということでしょう。
経済が行き詰まりかけている中国は頼るとすれば、日本しかないのを本心では知っている・・・日本に重しを着けて欲しい状態に追い込まれています。
ところで、困れば困るほど居丈高になる傾向がある点は、韓国政府や北朝鮮と中国政府も同じです。
(中国は国民の層がもう少し厚い・・いろんな民族の集合体である分感情の表出が緩和されるので、朝鮮民族みたいに激しくはないとしても・・大同小異の精神構造です)
「弱いなら卑屈になれ」とは言いませんがどうして謙虚になれないのか不思議ですが,(謙虚さと卑屈の区別がつかないのでしょう)朝鮮と漢民族は異民族なのにこのような共通項が何故あるのか今のところよく分りませんが、劣等意識の強固さの裏返しかも知れません。
ここ数年目立ってきた中国の対外強硬・膨張姿勢は、困窮度進展あるいは北朝鮮同様に弱さ・苦しさの裏返しとして理解すべきではないでしょうか。
 外見上は、国内総生産が世界第2位になったので威張り出したと受け止められていますが、実は逆でしょう・・。
苦しくなったから焦って虚偽データを積み上げて巨額貿易黒字や外貨準備を誇張して、GDPも日本を追い越して世界第2位になったと発表して空威張りする必要に迫られた可能性の方が高いように思われます。
ただし、以上は中国の巨額外貨準備に関するこれまでの発表が、実は張り子のトラだったとした場合の話です。
相手のある貿易収支でさえ10倍単位で数字の合わない対国別黒字を発表して平然としているような国ですから、外貨準備になると言い放題です。
元々どこの国に対していくら持っているとか、金銀の保有比率その他を公表しないのが世界中の外貨準備発表の原則ですし、例えば中国が日本やアメリカに対して1兆ドルの債券や株式を持っていると公表しても、誰もこれを確かめる方法がありません。
例えば日本国債の国内保有比率が95%と言っても、実際には国債を保有している生保や国内金融機関の外国人の実質保有株式までは分りません。
特定産業等に対して(例えば電波法で)外国人保有や一定比率以上の株式保有者の届け出義務を課していても、周知のようにいろんなフアンドや他人名義形式での株式や債券保有が可能ですので、真実保有者がどうなっているか実際には分らないし、小口分散の場合なおさら分りません。
まして民間では一々自社の取引先や債権者の国籍を報告する義務もありません。
たとえば日本やアメリカ政府が同国内にある銀行預金・国債公社債その他全ての合計で国別統計を取って形式名義上の上位10位まで発表してその中に中国があれば、少なくとも形式名義上中国の対アメリカに対する債券が分りますが、そんな複雑な調査はどこの国でもやっていません。
ですから、どこの政府の外貨準備の公表も自分で好きなように言っているだけですから、その政府発表に対する日頃からの信用次第となります。
中国はこれまで欧州危機に際して、IMFやギリシャ等に出資しそうなことを偉そうに言うものの、結局1銭も出さないで終わっていることから見ても、本当に自己資金があるのかな?と言う疑問が現実化してきます。
(「その内日本から援助資金が入ればその一部を流用して回してやるよ!」と言う程度の強がりを言って来たのかも知れません。)

 

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