日系企業米国生産と格差緩和1

日本の場合赤字になるまで維持するどころか、赤字でも後何年頑張れるか・・「がんばれるだけ頑張ります」というのが決まり文句ですが・・地域経済への悪影響への心配がこういう精神論表明になるのでしょうか?
11月6日日経新聞朝刊1面トップに富士フィルムが合弁相手の米国ゼロックスから富士ゼロックスの持ち株(25%)全部を2500億円で買取り資本関係解消したと出ていましたが、米国ゼロックス本部はIT化進行により衰退事業分野となっている事務機部門を売り抜けて、富士フィルムから得た2500億円を新規有望部門の投資に回せる思惑が解説されていました。
11月7日夕刊には、米国のゼロックスはこの資金を含めて3兆円規模でコンピュータ企業のHPの買収提案をしたと報じられています。
富士フィルムの立場は合弁契約で富士ゼロックスには販路制約があったのですが、販路制限契約の縛りがなくなるので販路を世界に広げて行くための買い物と位置付けているようです。
この思惑の違いこそが、米国企業の真骨頂であり、落穂拾い的に衰退分野を修復しながらコツコツと維持して行く(法隆寺や、日本画、民俗行事など修復し続けて未来に繋ぐのが日本民族の基本姿勢です)日本企業との違いの象徴的取引というべきでしょう。
収益重視経営を一直線に突き進めると低賃金新興国の追い上げによる国内大量生産部門急速縮小→大量人員整理が急激に起きます。
不採算事業切り離しを一直線に進めると、収益的・株式相場的には高収益企業が増えて万々歳ですが、新興産業の金融やハイテク〜IT産業は雇用吸収力が弱いので製造業から押し出された大量労働者の行き先がない・大量失業→急激なサービス雇用への転換が必要になります。
この辺、明治維新によって武士が失業しても受け皿になる製造業界が多く立ち上がって労働者(士族の転職先でる管理部門事務系需要も急増)を吸収したのとの違いです。
戦後直ぐに日本の挑戦で繊維や家電等の軽工業縮小・米国での雇用喪失の場合には、女性労働者が多かったのでサービス業への転換(今では介護士など)が容易でしたが、重工業や自動車等機械製造系は男性労働者中心ですのでサービス業への転職は1世代程度の時間差がないと気質的に困難です。
我が国でも草食系男子という流行語が20年ほど前に流行った・今やそんな言葉すらないほど男性多数がソフトになってきて男性看護師・介護士等も普通になってきましたが、その間30年ほどの経過があって適応できるのです。
ソフト社会になるのは良いことと思いますが、サービス雇用化は製造業雇用に比べて不規則労働が多いことから非正規化→中間層が痩せて行く一方となります。
事務系でも資本自由化による資本金融取引拡大・IT・知財発展による中間管理職・ホワイトカラー層不要化進展による中間層縮小が加速する一方です。
国際金融取引のプロとして巨額を動かせるエリートはホンの一握りであって、中間管理職不要化の動きはとどまるところがありません。
大学院まで進み研究者の道はというとこれまた多くが同じ思いですから、オーバードクター状態になり、大多数が非正規の臨時講師の仕事しかない状態です。
製造業中心社会からサービス社会化の進行は、一方でグローバル化の波に乗って巨万の富を得る人がごく少数出る一方で中間層から脱落する低賃金層の拡大する社会でもあります。
米国の歴史的行動価値観・・収益率低下見込み〜不採算事業を早めに切り離し売り抜けて収益率の良さそうな企業買収するのが原則的価値観の社会です。
米国独立後北部工業地帯が成長を始めると奴隷による低賃金労働に頼る南部綿花事業切り捨て→南北戦争の主原因でした・・これをドライに割り切って行うのを視覚的に表現したのが、スクラップアンドビルドという表現だったのでしょう。
これの経営への応用が収益重視・・・ROE重視経営です。
戦後復興した日独等の米国追い上げが始まる追い上げられる分野ごとに収益率が下がって行くのがはっきりしているので、米国内生産を早期に切り上げて欧州等需要地での現地生産に切り替えて行ったのは上記経験による選択でした。
資源等ある国や地域にしかない物品は貿易による交換が合理的ですが、工業製品は本来どこでも作れるものですから労働者の能力差とコストしだいで生産適地が決まるものです。
圧倒的コスト差があれば輸送費や関税、人件費の差を負担しても長距離輸出が合理的ですが、技術などの競争力が拮抗してくるとちょっとした輸送費や関税手続きコスト負担も重荷です。
現地相場のコスト・・欧州の場合戦争で疲弊して生産設備が壊滅したのでその隙をついて米国が大量輸出できただだけのことで、労働者の能力としては米国と同様(以上?)でしたので現地生産に切り替える方が合理的でした。
戦争で破壊された欧州製造設備の復興が進むと米国から輸出するよりは、人件費の安い欧州に進出して生産すれば土地代、輸送費、時間、関税等すべて競争条件が同じになるので欧州などでの競争力を保てる→国内製造縮小して行くのが経営学的には正しい選択となります。
米欧の関係はもともと人種的に同根で基本的能力差がないに等しいのですから、相互に現地生産=競争条件が同一化すればどうなるか?
長距離輸送や関税負担するコスト差以上の競争力がないだけでなく、米企業の欧州拠点の場合、米国本社の遠隔指示と現地判断の差が出るので現地生産もうまくいかなるし、米欧相互に輸出コスト負担してまで輸出努力するメリットもなくなります。
これが欧州進出したGMや、フォード、クライスラーなど早くから欧州進出していた企業が軒並みうまくいかなくなっている理由でしょう。
イタリア、ドイツ等の特殊手作り的高級車や食品や衣装系・・仏伊のファッション系その他伝統に根ざしたもの各種製品に限って、米国へ食い込み成功しているのは、文化力格差によるものです。
同じ欧米系人種同士でもいわゆるアメリカの文化レベルはいわゆるヤンキーと表現される・・文化力の総合的表現である女性の理想像で言えば、最盛期のアメリカが初めて獲得した自前の民族理想像がマリリンモンローでした・彼女が米国文化の代表になったことが米国の文化レベルの国際意思表示・自白?と評価すべきでしょう。

GM破産2(遅れた不採算事業切り離し)

会社側の再建案は新会社設立案を基本にしたものでしたが労組優遇で、一般投資家(米国は個人投資家が多い・子供の入学資金用の株式投資など)に対して大きな負担を求めるものでしたので債権者の同意が得られず破産に突入しました。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1176

切り捨てられた「普通の人々」
GM倒産劇の裏側 2009.6.9(火) 小浜 希

GMが発行した無担保社債など約270億ドル分の債券保有者には、新生GMの10%の株式と引き換えに100%の債権放棄を要求。その一方で、GMに約200億ドルの医療費関係債権を抱える労働組合の債権放棄比率は50%とし、新生GMの株式39%を与える内容だった。
米国では労働者個々人も銀行預金より小口投資する投資社会なので、投資家と言っても一般の労働者が多い社会ですから、GM労組優遇の提案で合意できるはずもない・・世論も応援しないので合意不成立で破産に突入します。
日本や韓国では、労組=弱者→優遇という図式化した運動・市民代表を僭称する運動が多いのですが・・アメリカの場合、労働者切り捨て投資家保護反対!という図式的スローガンが成り立たなかったようです。
ウイキペデイアのGM破産解説に戻ります。

2009年6月1日、GMは連邦倒産法第11章(日本の民事再生手続きに相当する制度)の適用を申請した。負債総額は1,728億ドル(約16兆4100億円)。この額は製造業としては史上最大である[9]。同時にアメリカ政府が60%、カナダ政府が12%の株式を保有する、事実上の国有企業として再建を目指す事になった。
・・・しかし、子どもの教育資金や、老後の生活の備えとして、なけ無しの金を注ぎ込んだ個人投資家が、労組偏重の再建計画を甘受できるはずもなかった。

従業員の新時代適応拒否症?が、部分的とは言え企業活性化を妨げる効果を上げ、現在米国の国際的地位低下が目立ってきた基礎構造でしょう。
アメリカの活力は、スクラップアンドビルド・あるいは用済みの都市を捨て去り(ゴーストタウン化して)別の街を作る・効率性重視社会と言われていましたが、一定の歴史を経ると古い産業構造を残しながら前に進めるしかなくなった分、非効率社会になったのでしょう。
破産により不採算部門を切り離し、新会社移行(国有化後国保有株の市場売却で民営に戻っています)により新生を目指すGMですが、破産後10年経過で先祖帰りしたらしく今年に入って以下通りのストらしいです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49865800X10C19A9000000/

GM工場のスト続く、労使合意なお時間 株価は急落
2019/9/17 5:20
ただ、米国内に業界平均より3割多い77日分の完成車在庫があるため「すぐに販売面に影響が出る可能性は低い」という。

業績不振のおかげで在庫が77日分も溜まっているので企業はストが続いても余裕らしいですが、こう言うのってめでたいのかな?
アメリカの製造業は低賃金国への脱出盛んですが、今でも製造業大国らしいです。
製造業草創期から蓄積した技術があって世界に進出した各種工場のマザー工場機能を果たせる仕事があるからのようです。
ただしマザー工場的役割は従来の内需を満たし輸出までしていた工場群の数%(雇用も同率)で足りるものですから、国外脱出の穴埋めには力不足でしょう。
別の側面から見ると、日本の自動車産業が輸出の限界を悟り現地生産を増やして成功していることを見ると、この限度で日系企業が米国内製造業生き残りに貢献していることが分かります。
米国の外資による国内生産受け入れ政策は、後進国が輸入規制によって、自国産業育成のために高関税などの権利を留保できている役割の逆張りです。
米国の日系企業の米国内誘致政策は、先進国製造業が新興国の追い上げを受けて雇用が急速縮小する激痛緩和の役割を果たして来たようです。
後進国のこれから育つ産業育成を待つのは、少年期に成長期待して見守ってやるのに似ていて成長確率が高いですが、新興国に追い上げられる先進国社会保護のために時間猶予を与えるのは高齢者を大事にするようなものでいわゆる延命策です。
ここでいきなり話題がそれますが、いわゆるM&Aに関する関心を書いていきます。
日本企業の株価収益率の低さが長年問題視されて来ましたが、その裏側の米国企業の目線で考えると企業のあり方に関する基礎的考え方の違いがわかります。
時代遅れになる分野→ローエンド〜セコンドエンド生産にこだわり、同業他社との競り合いを続けてさらに20〜30年生き残れるとしても、これをやっているとその間収益率が徐々に低下していきます。
米国的価値観では、自国産業は利益率の高い高度化転身を目指して不採算見込み事業をどんどん切り離し(M&Aでこれを処分し)て行くべきというもののようです。
比喩的事例で言えば、現在15%の高収益事業が5年サイクルで13%〜11〜8〜7〜3%〜0〜マイナスと変化していくパターンの場合、その事業を今売れば1千億円で売れるが11%に下がってからだと5百億円で、3%に下がってからだと30億円でしか売れない見込みの時に、どの時点で処分するのが合理的かの判断が重視される社会です。
処分金で再投資すべき事業の存在との兼ね合いで合理性が決まるのですが、処分金を年利数%で預金する予定の場合と現在5%の収益率があり、3年後に8%、5年後に1%8年後には15%に成長可能な企業があった場合どの段階で自社事業を切り離して売却するかの複合判断です。
ちなみに雇用を守るために簡単にリストラクチャリングできないとも言われますが、倒産と違って企業を買う方は事業に慣れた従業員が継続してくれることこそ購入価値ですので、原則全従業員が引き続き雇用継続される前提・雇用確保の社会的責任への考慮はこの場合不要です。
マイナスになるまでリストラを先送りし、大混乱の倒産を引き起こす方が無責任経営の評価を受けるのではないでしょうか?

共同体意識の萌芽1(アマゾン第二本社誘致拒否)

私のような考え・何のための企業誘致か・現在の住民にとってメリットがあるか?の意見が出てきたのが、アマゾンの第二本社移転誘致反対騒動です。
新住民移入企業誘致に異を唱えた(人が入れ替わるのでは住民にとってなんのメリットもない)のがニューヨークへのアマゾンの第二本社誘致反対運動で、反対運動の盛り上がりによって、アマゾンはニューヨークの第二本社設置計画を撤回しました。
https://wired.jp/2019/02/16/amazon-wont-build-hq2-new-york-city/

アマゾンがニューヨークの第2本社を断念したことで、浮き彫りになった「不都合な真実」

アマゾンがニューヨーク市に設置を決めていた「第2本社」の計画を撤回した。30億ドルにも上る税控除や優遇措置が地元住民の不利益になると主張してきた反対派の動きを受け入れたかたちだが、そこからは企業進出にまつわる「不都合な真実」も浮き彫りになる。

https://wired.jp/2018/02/04/amazon-hq2-newark/
2018.02.04 SUN 08:00

貧困都市ニューアークが、「アマゾン第2本社」の最終候補地に残った理由
・・・失業率の高い貧困都市は、いかにアマゾンの興味を引き、“決勝戦”へと勝ち進んだのか。
・・・人口約28万人のニューアークは失業率7.9パーセントで、ほかの19都市の平均の約2倍にもなる。貧困率も最も高く、全人口の3分の1近くが貧困ライン以下にある。ニューアークを含むエセックス郡は、ニュージャージー州で最もホームレスが多い。つまり、アマゾンが約束している経済発展の恩恵を最も多く得ることができるのは、ニューアークかもしれないということだ。
同時に、アマゾンに差し出そうとしているものも最も多い。最高70億ドル(約7,710億円)に上る州税と地方税の優遇措置だ。20都市が公表している金銭的インセンティヴのなかで最も規模が大きく、アマゾンが投資を約束している50億ドル(約5,510億円)をも上回る。
70億ドルの減税と引き換えに雇用促進を期待
雇用が奪われ、住宅が高騰するリスク
ニューアーク市民、特に低所得者や失業者といった貧困層が、アマゾンから恩恵を得られるのかを疑問視する声もある。
ニュージャージー反貧困ネットワークのエグゼクティヴディレクター、レニー・コウビアディスは「アマゾンがやって来たら住居費が急騰し、低所得者は転居を余儀なくされるでしょう」と指摘する。
テック企業が集まるサンフランシスコなどの都市では、すでに同じことが起きている

大企業本社や億万長者の誘致に成功すれば逆に新住民(本社勤務のエリートサラリーマンが)我が物顔に振る舞い、高家賃でも払えるでしょうが、技能レベルで対応できない旧住民多数が底辺層に没落していく→高騰する家賃を払えずにホームレス化していくのが普通です。
アマゾン第二本社誘致すれば地元に25000人の雇用が生まれるという試算ですが、どの階層の雇用が生まれるかが重要です。
ハイテク関連で地元対応可能人員が仮に50人しかいない場合、残りが他所からやってくれば住宅高騰〜物価は上がりますが他方で地元民が働ける仕事は従来通りの下層労働しかないと悲惨です。
街は繁栄しますが、繁栄を謳歌できる(高額家賃に耐えられ、高級レストランや高額エンターテイメントを楽しめる)のは高額所得の新住民であり宅配配送運転手や皿洗いなどをする旧住民ではなく弱い順にホームレス転落です。
住民のための政治か都市繁栄のための政治か?の選択です。
私はこのコラム開始以来移民受け入れ反対論を書いてきました。
先端技術受け入れのための移民であっても、それは明治維新当時のように短期間で欧州に帰ってもらった御雇外国人制度の知恵に学ぶべきです。
ゴーン氏のように居座って支配者になったような態度を取られる・課長以上全てよそ者社会では、日本人は納得しないでしょう。
香港、シンガポールや米国諸都市は、住民がそっくり入れ変わっても都市が繁栄すれば良いという思想で動いているようですが、こういう政治って国民や住民のための政治と言えるのかの疑問が噴出して、ニューヨークで反発を受けるようになったので大ニュースになったのです。
移民で成り立っている米国でさえニューカマー拒否のエポックになるでしょうか?
豪州では、一定額以上の資産を有する中国人を「いいわいいわ」で受け入れて来た結果家賃が高騰し住みづらくなってその反動が起きているようです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28500370T20C18A3000000/

豪州の投資家向け移民制度は米国に比べ緩い。12年には連邦債などに約5億円を投資すれば永住権の申請資格を与える制度を導入した。取得者の87%が中国人だ。足元で加速するヒトの流入は地域社会にも波紋を呼ぶ。
シドニーの中心部から北へ約10キロメートルのチャッツウッド。中国系住民が34%を占め、中国語の看板を掲げた食品店が並ぶ。中国文化を教える教育機関「孔子学院」があり、中国語のミニコミ誌も5種類を数える。1990年代後半から中国系移民が急増。古くからの住民は「街は急激に変わった。ハリケーン来襲のようだ」と話す。
想定を上回る中国系移民が押し寄せ、古くからの住民との摩擦が強まる豪州。「多文化主義」ゆえのジレンマが強まっている。
(シドニー=高橋香織)

大手新聞ですから、おとなしい書き方ですが・・。
豪州でも新移民(主に中国系)の我が物顔の振る舞いに、不満の動きが始まっています。
トランプ氏や豪州の不満は移民=異民族に向けられていますが、アメリカの場合、国境の壁で解決できない国内移動により新住民に追い出されて次々とホームレスに転落する人の増えるアメリア人の不満はどこに向けていいのか、どの政治家がこれを代弁するのかが見えません。

今治市獣医学誘致と加計学園応募の時系列

今治市の学園都市計画の時系列は以下のようです。
http://tactical-media.net/%E5%8A%A0%E8%A8%88%E5%AD%A6%E5%9C%92%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E9%83%A8%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/加計学園 獣医学部の開設までの時系列
1975年 【今治市】大学誘致を目指す「学園都市構想」を決定
1983年 【今治市】建設予定地を土地造成
1983年〜 【今治市】高等教育施設を誘致する目的で、合併振興基金として40億円を積み立て 2006年頃 【今治市】獣医学部の誘致を始める
2007年度 【今治市/愛媛県】政府に対し、構造改革特区を活用した獣医学部新設を提案(設置予定母体:加計学園)するが、不可となる(自民党政権・福田康夫内閣)
2008年度 【今治市/愛媛県】政府に対し、構造改革特区を活用した獣医学部新設を提案(設置予定母体:加計学園)するが、不可となる(自民党政権・麻生内閣)
2009年度 【今治市/愛媛県】政府に対し、構造改革特区を活用した獣医学部新設を提案(設置予定母体:加計学園)し、「実現に向け検討」となる(民主党政権・鳩山内閣)
2010年1月 【民主党】民主党 加藤敏幸代議士(愛媛)が、獣医師の定員増と獣医師の偏在問題について質問(民主党政権下)
2011年6月 【民主党】民主党 江田五月法相(岡山)など愛媛・岡山選出議員で獣医関係の特区勉強会を開催(民主党政権下)
2016年4月 【民進党】「地方創生に関する特別委員会」で民進党 高井崇志代議士(岡山)が、国家戦略特区による今治市への加計学園獣医学部開設を要望
2017年1月 【今治市】国家戦略特区制度の特区認定を受ける
2017年3月 【今治市議会】用地(16.8ヘクタール)を加計学園に無償譲渡する議案、校舎建設費192億円の半額である96億円の債務負担行為をする議案を賛成多数で可決
2017年3月 【加計学園】「岡山理科大今治キャンパス」として文部科学省に獣医学部の設置を申請
2018年4月 【加計学園】「岡山理科大今治キャンパス」開校予定」
上記によると約40年に及ぶ地域活性化のための大事業計画です。
しかも2007年度 【今治市/愛媛県】政府に対し、構造改革特区を活用した獣医学部新設を提案(設置予定母体:加計学園)で申請しているのですから、現在の安倍政権になってからいきなり浮上したことではありません。
経過を見ると民主党政権時代にも「岩盤を崩す」試みが行われてきたもののうまくいかなかった・・言わば与野党ともに何とかしなくては・・困っていたことが分かります。
安倍政権の突破力で突破したことが面白くないというだけのような流れ・・だから新設反対ではなくお友だちに決まった点だけ取り出して与野党を巻き込んだ政争になっている印象です。
もともと友人であるというだけの疑惑でしかない・・いわゆる「ゲスの勘繰り」の域を出ない以上どこまで行っても何も分からないのは当然のことであって、分からないことを政府の責任にするかのようナムード演出報道はおかしな手法です。
民進党自身が加計学園を応援をしていたというネットニュースが出ていました。
http://diamond.jp/articles/-/129323 2017.5.25
「安倍首相に「仲のいい友達のための特区指定を急がせたんだろ!」と厳しく追及をしていた玉木雄一郎・民進党幹事長代理が、実は父も弟も獣医という一家で、獣医学部新設に強く反対をしている「日本獣医師連盟」から100万円の献金を受けており、昨年の日本獣医師会の集会で「おかしな方向にいったら食い止めます!」と予告をしていたことが明らかになって、「立場が違うだけでやっていることはほぼ同じ感」が出てしまっているのだ。
民進党の高井崇志衆院議員である。
高井氏は昨年4月26日、衆院地方創生に関する特別委員会で、中国、四国地方の獣医師が足りず、地域によって偏っているとして、国家戦略特区を使って「岩盤規制」を突破するよう強く求めていた。さらに、この質問をした3日後の4月29日、高井氏は自身のホームページにうれしそうにこんな風に書き込んでいる。
「愛媛県今治市に50年ぶりの新設をめざす「獣医学部」について。四国4県の大学には獣医学部が一つも無く、獣医師の偏在が問題になっています。地元の岡山理科大学が力を入れており、「これは何としても実現して欲しい」と山口俊一与党筆頭理事(徳島県選出)とともに、石破大臣に強くお願いしました」(高井たかしオフィシャルサイト)
どう議員に関するウイキペデイアで見ると衆議院の議事録を引用しているのを見ると議事録でもそうなっているのでしょう
今治の獣医学部新設問題は地元の重大関心事項であり、これが既得権益を守る獣医師会の反対で岩盤となり長期的に暗礁に乗り上げていて、双方が与野党の政治家を頼る関係・・政治問題になっていて多くの政治家をまきこんで業界で周知のことになっていたことがわかります。
こう着状態を安倍氏の高度な政治力で打開したことが日本のために良いことか悪いことかこそを日本の有権者が決めるべきでしょう。

資金導入と企業誘致1

観光客はせいぜい数泊から1週間しか宿泊しませんし、食事や交通費も団体旅行向けで割安ですが、工場や店舗進出等になるとかなりのチームが長期間滞在してあちこち見て回ったりして(タクシー移動など・食事も高級レストランなど割高消費です)お金を使った挙げ句に何億と言う用地買収資金が入り、その後工事費や雇用が生まれます。
開業してもすぐには利益がでないので、更に数年程度は資金投入が続きます。
観光客がバッグ等お土産を買うのとは桁違いの出費・・外貨の流入です。
内需向け企業進出を認めるとその分既存商店が廃業したり失業が増えることもありますが、ユニチャームなど元々中国に存在しないおむつやクーラーなどの進出を認めてもは地元業者の廃業はありません。
この辺は改革開放時に松下などの家電や電子工業進出も似たようなものでした。
地元業者が真似して似たような商売を始めるチャンスになれば良いと言う思惑でしょう。
仮に廃業淘汰があっても、同じ程度の外資による雇用が増えるのでトータル五分五分ですし、一般的に操業開始後数年程度は採算が取れないので外資注入が増える一方でうまい話です。
数年して外資が定着して儲けられるようになると儲けが国内に滞留しないで本国送金されてしまいますが、そんな先(そのときになれば難癖を付けて金を搾り取れば良いという発想もあるでしょう)のことよりも、今は目先資金が欲しい・・それほど中国政府は困っているのでしょう。
その頃には家電業界のように模倣企業が国内で成長しているので、市場競争で勝てるだろうと言う長期展望があるのかも知れません。
ハイアールがサンヨーを買収したことから分るように当時家電業界が中国現地企業と市場競争で負け始めていたので、松下からコレ以上の投資をして貰う必要がない・・御用済みとして反日暴動の標的としたのです。
用済みの松下(パナソニック)を標的にしたことが、民族一体感が強い日本企業全体の投資縮小に動くとは想定外だったでしょう。
80年代の改革開放時には今よりも困窮していたのですが、国民の消費レベルが低かったので輸出基地としての工場進出以外は認めないと言う強気の姿勢を貫徹できました。
今は国民が豊かになったと言うか経験してしまったので、輸出不振で失業者が増大しているときに政府はやせ我慢できず、なりふり構っていられなくなったのです。
最早輸出基地としての中国に魅力を感じない状況で、輸出条件を出しているとどこも投資しません。
昨日紹介したようにズバリ資本金そのものが欲しいと言う前提で、自由貿易特区・・金融資本進出を認めるしかなくなりました。
(良く言えば中国経済が強くなって外資金融機関が入っても金融支配されない自信がついたと言う表向きの主張でしょう。)
従来は工場投資などの長期資金しか認めなかったのですが、バブル崩壊が迫り資金不足が顕在化して来たので背に腹は代えられなくなった・・早くゲンキンが欲しくなったと言うことでしょう。
今朝の日経朝刊3ページには、自由貿易特区につられたらしく三菱UFJ銀行一社だけでも今年の7月始めで362億円の増資実行したと書いています。
反日暴動時には最早外資などいらないと言う誤ったおごりがあったのでしょうが、実際には何の技術も身に付いていないし、まだ資金も足りない・・導入・技術移転がないと経済が立ち行かないことが分りました。
中国企業自体が海外進出するにしても、もう少し外資(日本)と仲良くして一段の技術の移転がないとどうにもならないことが分った感じです。
韓国の場合、日本との交流が約20年間長いので、中国よりも数段高いレベルの技術移転が進んでいるので、中国ほどすぐにネを上げるような状態ではありませんが、このまま日本との冷却化進み、絶えざる日本からの新規技術移転が途絶えると中国と似たような状態に陥る点は変わりません。
この点はサムスン電子の将来に関連してJuly 9, 2014に少し書きました。
韓国は中国に比べて技術移転レベルが数段高いところまで吸収しているだけであって、自前で何かを工夫して行く社会でない点が変わらないからです。
ところで、輸出不振が一定期間経過すれば内需向け外資導入も失速して行きます。
外資の払った資金や輸出で儲けたお金の両輪で国内消費が盛り上がって来たのですが、輸出不振で人員削減がドンドン始まると内需だって持ちません。 

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