中国資金枯渇25とAIIB5

中国の資金不足に戻ります。
中国共産党機関紙自体が、正面から庶民を煽ってまで、株投機に参加させて、資金を絞り出させているのは、事態が切迫している・・何とかして産業界の資金繰りを持ちこたえている状態ではないかと解釈されるので、5月ころから根シリーズを書いていました。ます。
日本が戦時中お寺の鐘まで供出させていたような極限状況と言えるでしょう。
政府挙げて煽っている庶民のカブシキ市場流入資金が尽きたらどうなるか?と言う大団円が見物(みもの?)です。
大恐慌・大失業が始まると、ナケナシの貯蓄を株に投じてしまい紙切れに変わってしまった庶民は悲惨な結果になります。
中国では資金繰りに窮して世界から資金を集めるために?AIIB設立を打ち上げたものの、資金出し手の中心になるべき中国自身が資金繰り悪化の断末魔状態・・株購入を政府が煽るなんて常軌を逸していますので、逆に中国が資金繰りに窮していることが、世界中に知られてしまい・・却って外資の逃げ足が強まりました。
3年前に鳴り物入りで設立したブリックス(中、ロ、インドブラジルの4カ国)銀行は未だに、マトモに機能していません。
うまく行かないから別の金融機関・・AIIBを作って更に資金を募ろうとするのは見え透いていて無理があります。
お金を貸して欲しい・利権にあやかりたい国ばかりが、一口乗っておこうかと集まったに過ぎないとすれば、AIIBがうまく動き出せる訳がありません。
このために、日本に資金を出してもらいたくて3月31日の締め切り日を変更してでも、日本参加を裏で必死に拝み倒している状況でした。
中国は反日暴動以来歴史認識に関するはっきりした謝罪がないと首脳会談に応じないと言い張っていたのに、昨年秋に安倍総理がバンドン会議の演説で何も謝罪しなかったのに、今度は何の条件も付けずに習近平氏がバンドン会議で安倍総理と笑顔で面談するしかなくなるところまで追いつめられています。
5月4日の日経新聞朝刊には駐日中国大使によるAIIB参加勧誘意見(これまで駐日大使の意見がそのまま大きく出たのを見たことがありません)が出ています。
日本等の「金がなくて資金をかき集める目的だろう」と言う批判の蔓延を打ち消すかのように5月20日ころから中国がAIIBの規模を拡大して、中国自身出資額を大きくするような構想がマスコミに(根拠ないムード的記事ですから、AIIB応援報道のたぐいです)出て来るようになりました。
如何にも中国自身は資金はあるかのように、日本マスコミがそれとなく中国を応援したい報道が続いていましたが、このような応援報道を吹き飛ばす安倍総理の大ホームランが出ました。
5月23日朝刊によると、安倍氏は、「第21回アジアの未来」の国際会議で、「アジアのインフラ整備に13兆円拠出用意がある」と表明したと言うことです。
続いて23日夕刊には、福島で開催された「島サミット」(アジアでの島嶼国全部)で上記13兆円とは別に?550億円の災害関連資金の拠出を表明しています。
AIIBの予定していた出資総額が(倍増しても)1000億ドルですから、円換算で約12兆でしかありません。
日本1国で「13兆円を出します」と言われるとまさに中国の「顔色をなからしめる」声明です。
日本が直接支援しますと言えば、日本の信用は絶大ですから、(従来の中国の支援先では、露骨な中国支配態度がアフリカやベトナム等で嫌悪されていますので・・)同じ技術支援を受けるならば中国に頼るよりは日本の技術に頼るのが普通の動きになります。
マスコミは焦ったらしく、5月24日日経朝刊21p「今を読み解く」には「日本はインフラ投資は卒業して中国に任せるべき」だと言う大見出し論文が出たことを5月27日ころに紹介しました。
中国は日本からの資金集めに必死で、日本マスコミ対策をしている・・マスコミや文化人籠絡には成功している印象を受けます。
しかし今の日本は、マスコミを握りエコノミストや文化人に中国の将来性を言わせれば、国民がそのとおり動く国ではありません。

中国の資金枯渇24とAII4

輸出基地として投資していた外資にとっては、輸出出来なくなったら資金を寝かせておけませんので、資金流出が激しくなるので資本収支的には二重苦が始まっています。
中国はアジア危機を勉強した結果、いわゆるホットマネー流入を制限しているので資金流出の心配がないと言う立場で反日暴動を仕掛けたのですが、直接投資マネーであっても暴動を仕掛けられるようなところに継続的投資は出来ません。
釣った魚に餌をやる必要がないと言う静的経済を基準に考えていたのが中国ですが、現在は絶えざる投資継続・最新技術による設備更新がないと企業経営が成り立たない時代です。
反日暴動後は後に続くべき(計画中の投資は続けるしかなかったのですが・・)日本の対中投資新規計画はぱたっと止まってしまいました。
反日暴動で酷い目にあったパナソニックは、あれだけ巨額投資した中国から損をしてでも引き上げる決意をしてしまったことが大分前に報道されていました。
日本から中国への投資額が反日暴動以降激減していることをMay 22, 2014「対外紛争の得失2」に、紹介したとおりです。
今朝の日経新聞朝刊7pには、昨年まで激減していた昨年に比べても今年1〜8月の日本の対中投資は前年同月比28、8%減と出ています。
米国からの投資は19、6%減ですが、欧州からは14、4%増となっていて、なお中国への投資を増やして日米の穴埋めに働いている構図ですが、昨日書いたようにドイツ車の売れ行きが急激に落ちて来たので、この先も投資が続くかは危うくなってきました。
ただ、投資額増減の%比較では絶対額が不明ですが、絶対額の大きい日米の穴埋めには、力不足でしょう。
まして、今後中国は、中間層の増加・・消費者向け身近な製品・サービス社会に移行して行くしかないことは否定出来ません。
・・これが訪日客の爆買いの基礎ですが、日常サービスのきめ細かさでは、ドイツ製品はゴツいばかりで、日本の足元にも及ばない状態です。
日本は江戸時代・・その以前から消費者主導社会の蓄積がありますし、今でもドイツでは、消費社会としてみればひどく低調です。
自国のサービス水準の低い国が、消費・・サービスの提供国になれる訳がありません。
今年でも昨年よりも減ったとは言え一定の対中投資が続いている理由・・この点に着目した日本のサービス関連の中国進出が今も続いている理由ですし、消費系に強い伊藤忠の中国進出判断基準であることをどこかに書いたことがあります。
中国は資金不足の実態を知られたくないために、数十年にわたって赫赫たる成長ばかり強調してきましたが、(企業で言えば株価維持のために粉飾決算しているような状態)アメリカ国債保有額減少をアメリカに発表されて馬脚を表した状態です。
日本マスコミは優しいので「最近中国は外貨準備を分散している」と中国に代わって?言い訳していますが・・。
続けてドイツ財務相によって、(6月1〜2日に紹介したように)借入金が27兆ドルも増えていると報道されてしまうなど、目も当てられない状態になってきました。
中国の外貨準備発表は当てにならないので、結局はアメリカ国債の増減率がほぼ正確と思うと以前から書いています。
国威にこだわり且つアメリカ国債を多く持つことがアメリカに対する発言力と考えている中国が外貨準備を取り崩す場合、アメリカ国債を手放すと目立つので出来るだけ最後にする傾向があるからです。
即ちアメリカ国債が2割減っていれば、その他の外貨はもっと減っていると見るべきでしょう。
日本のマスコミは何千万と餓死者が出ていても毛沢東の大躍進政策を大成功していると報道し、文化大革命や毛沢東語録を賞讃し続けて真に受けた若者が毛沢東語録を持ち歩くことが流行になっていましたが、中国を賞讃しないといられない性質・・裏でどう言うつながりがあるのか不明・・があるようです。
今朝の日経新聞29pには、8月11日以降の中国による為替切り下げはIMFの要求に応じた合理的なものである・・株式暴落に狼狽したものではないとする従来チラチラ出ていた中国擁護論を紙面1p殆ど全部使った専門家の論文として掲載しています。
専門家の論文形式をとろうともそんな噓っぽい主張を誰も信じないでしょう・・日本の場合昔から一般国民レベルが高いことを、まだ中国政府関係者は(自国民がそうですから当然ですが・・)もちろんのこと、日本人でも、日本マスコミ・文化人は「庶民はバカだから誘導すれば良い」と言う外国の意見そのまま受入れているので、いつまでたっても、気が付かないのです。

資金枯渇22とAIIB2

もしも中国自身の資金枯渇による危機が迫っていたので、これを隠して新興国のための国際機関だと銘打ってAIIB構想を打ち上げていた・・・日本等の資金豊富な国の資金を取り込んで自国内投資継続のために流用しようと計画していた場合には、言わば、投資勧誘詐欺の国際版っぽくなります。
本部を北京において諸外国の理事は常駐しない・・開発案件の決定は本部の総裁が専決処分または持ち回り決議で行なう?
北京政府の思うままに資金運用する仕組みにこだわったまま発足させました。
4〜5月ころにの多かった日本マスコミの意見は疑念があるならば参加して内部から改革意見を出して行けば良いと言う中国応援の意見でしたが、設立段階で参加をお願いしなければならない弱いときにさえ、相手の意見を1%も聞かない・聞けない(政権が弱いから逆にどんな意見も聞き入れる余裕が無い)中国が、実権を握ってから改革意見を聞くようになることを期待して先ず資金を出すべきだと言うのは矛盾しています。
日本マスコミや文化人は国内では透明性を主張するのに、対中国や韓国になると巨額の資金・税金をつぎ込めと主張する基準が何故こんなに甘いのか二重基準の激しさに驚きます。
AIIBの運営は上記のとおり不透明きわまりないものですが、これら制度設計に対する諸外国の懸念にも全く応えようともしないまま発足させてしまいました。
透明な組織・・合議体運営にするのでは、外国資金を思うままに使いたい中国にとって敢えて新設する意味がなくなるのは当然ですから、国際批判を無視したまま何の修正もしない見切り発車は、中国の露骨な態度表明と理解するしかないでしょう。
「いやなら参加するな、工事発注しないぞ!」「工事発注も(中国式賄賂やコネ次第で)好きなようにする憎まれたら後が怖いぞ!」と言う脅しで乗り切ろうとしているように見えます。
中国政府のご機嫌を損ねないように今から何も言わないで参加するかどうかで「その忠誠度を見るぞ!」と言う専制君主的態度表明です。
そうなると資金力のある国・・日米はそんな機関に金だけ出すようなことはしません。
この脅しにまんまと引っかかったのが事大主義・・中国に隷従して来た歴史の長い韓国政府です。
見切り発車した者の、ホンのちょっとの設立資金を出して工事参加のおこぼれをその何倍も得たい国ばかりが参加して設立して開発機関が動き出しても資金的に成り立ちません。
工事受注の何倍も資金を出せる日米の参加が不可欠なので、日本の参加表明を待つために参加閉め切りを伸ばしたりしてきましたが、日本が求める制度設計修正には頑として応じられません・・民主的運営に修正したら何のために中国主導で国際機関を作るか分らないと言うことでしょう。
そこに中国の設立目的の本音が透けて見えます。
この関心があるので、AIIB参加を熱心に主張する日本マスコミ報道が激しくなったことに関連して4〜5月ころから、中国の資金不足をテーマに書いて来ました。
その間にいろんなことが挟まってしまい、その間に私の心配していたとおり株の暴落になったので中国の資金不足が明らかになって来るとAIIBに参加しないとバスに乗り遅れると、日本人の不安を煽るマスコミ報道も今ではさすがに勢いがなくなりました。
AIIBI参加への煽り宣伝が下火になったとは言え、中国の資金不足→将来性をどう見るかの基礎理解としてその内実を知っておくことは重要ですので、もう少し見て行きます。
粗鉱製品・石化製品など作り過ぎた資材・製品のはけ口の外に鉄道や港湾工事その他のインフラ工事設備も作り過ぎたので・・出血輸出先を次々と探すしかないのが中国の現実です。
・・際限なく拡散して来たものの、国内では限界が来たし、資金的にも限界が来たので、・これを世界大に広げるつもり・・先送りするつもりでしょうが、対象をより大きく広げてもいつかは限界が来る・・世の中に際限のないことはありません。
過大投資の中止を先送りすれば、先送りした分に比例して過大投資した関連業界が増えて行き、破裂した場合の影響が幅広く大きくなって行くしかありません。
出血事業拡大繰り返しの咎めがその内に出そうだ・・出る筈と書いて来たのが5月ころの連載でしたが、国内ではこれ以上転嫁するべき産業がない・・そこで昨年暮れころからは、「庶民の懐まで(庶民に株投機を勧めるようになった人民日報報道を紹介しましたが)当てにし始めたと思われていました。
この動きに「庶民の懐まで当てにし始めたらおしまいだろう」と恐れをなした国際資本が逃げ始めた・・中国としては資金不足が現実化して、なりふり構っていられなくなって来たのが、昨年秋からの中国経済と想定されます。

中国過大投資調整10(資金枯渇9)

中国の影響力拡大に関連した心配・杞憂と新しい社会の始まりの可能性を書いてきましたが、本当に中国の影響力が拡大する一方なのか、この辺で打ち止めになるかの関心・・ここから、中国「過大投資調整のテーマに戻ります。
2015/06/02「中国過大投資の調整9(資金枯渇3)」の続きであり、2015/06/12「資金枯渇8(出血輸出とその原資2)」の続きにもなります。
出血輸出による国際秩序撹乱の大迷惑のテーマから話題がそれていました。
今になると中国は資金不足の穴埋めと技術移転による競争力回復を求めるために反日暴動やその後の日本外しの行為を忘れたフリして?日本企業誘致に必死です。
日本人は我慢強い分、一旦抱いた警戒心は容易に緩みませんので、政治家やマスコミをいくら籠絡しても日本人個々人は簡単に許せません・・。
(5月27日まで書いて来たようにマスコミの中国傾斜・応援ぶりは半端ではありませんでしたが・・一方的中国寄り記事は反感を買う始末でストレートな中国進出誘導はなくなってきました。)
日経新聞による連日の中国進出誘導運動が限界に来たらしく、5月31日朝刊には中国傾斜の著しい伊藤忠商事社長の弁明?記事が掲載されるようになりました。
中国は反日暴動を仕掛けたことによって、日本の主たる投資先から外されてしまって内心焦っているようです。
反日暴動は経済原理から言って無理がありました。
先進国は賃金コストが安いので新興国に進出しているだけですから、世界中いくらでも中国以下の低賃金国・・代替進出先があります。
後進国が先進国をボイコットした場合、代わりに先端技術を提供出来る国はホンの僅かしかありません。
個人で言えば、工場労働者が一人や二人やめても企業はいくらでも代替工員確保出来ます。
日本に逃げられた代わりにドイツがやってくれるとばかりに、今や中国はドイツや西欧諸国抱き込みに必死です。
仮に日本と同等程度の技術提供を受けたとしても、日本から先端技術の導入をした東南アジアで競争相手が増えた分、中国にとっては大損害です。
しかも、西洋諸国は儲かるかも?と思って進出しているだけであって、日本のようにアジア同胞を離陸させたいとする善意がある訳ではありません。
言わば最終消費地として需要がある限度で現地進出しているだけで生産輸出基地としては見ていません。
上記伊藤忠商事社長の弁明?も同社は財閥系と違い重厚長大産業に縁がないので、今後の消費需要を(末端商品仲介ビジネスなど)取り込みたいと言うだけで先進技術移転の予定はあまりありません。
中国のクルマ生産能力が現地需要の二倍にもなって来たことを紹介しましたが、4月だったかのスマホの売りげが減少に転じたと報じられています。
クルマも6月ころに二ヶ月連続売上減と報じられていますが、(6、7月も急減中です・・8月9日に日経朝刊では、日産が7月販売台数が前年同月比13、7%減で1台240万円も値引き販売すると出ています。)需要の2倍の生産能力と言うのですから、この先自動車業界はどうするつもりでしょうか。
この辺まで6月初めころに書いてあった基礎原稿ですが、8月8日日経夕刊1pによれば、中国貿易量(輸出入の合計数値)がここ半年で大幅に落ち込んでいる状態が報じられています。
すなわち7月は前年同月比8、2%マイナスで、1〜7月の合計平均は輸出が前年同期比0、7%減に対して輸入が何と14、6%減となっています。
1見黒字で目出たいようですが、簡単に言うと輸入・企業で言えば、新たな仕入れ・生産が出来ず在庫処理に追われいる・・出血輸出が続いていると言うことでしょう。
こんなに輸入が減って逆に出血輸出で回りに迷惑をかけることが続けば、周辺資源国等に対する経済影響力・・恫喝が効き難くなります。
南沙諸島での軍事威嚇に対してフィリッピンがバナナの輸入禁止が怖くてこれと言った国際批判出来なかったことを想起しても良いでしょう。
貿易黒字を自慢する人が多いでしょうが、政治の現実は逆で、ある国に対する貿易赤字でこそ大きな顔が出来るのです。
日中貿易は日本が大幅赤字ですから、貿易が止まれば困るのは中国の方です・・しかも日本は普及品を中国から買っているだけですから、いつでも(東南アジア諸国など)他の国に切り替え可能です。
中国は日本から、高度部品輸入しないと普及品も作れません。
この辺は個人も同様で、借金であろうとなかろうとしょっ中食事に来て買い物してくれる客は良い客です。
ただ近いうちに借金での買い物が続かないと分れば良い顔をしてくれなくなります。

ヘイトスピーチ禁止論9(道義表現の禁止?1)

話を戻しますと、21世に入ってからの一連の国際潮流をみると、組織的犯行では、共謀関係の立証が難しいことから、1つには「証拠さえなければ良いだろう式」の悪いことやり放題のグループが生まれて来たので、これらを(証拠の有無にかかわらず組織自体を壊滅させる)何とか是正する潮流になっていることが分ります。
ある集団の犯罪率が高ければその集団に不利益を与える仕組みにしないと、犯罪実行の最終利益帰属者と実行行為者の間に何段階もかませると、殆どの主犯クラス・・最終利益帰属者が無罪になってしまい、犯罪行為のやり放題になってしまいます。
現在「振り込め詐欺事件」では分業が徹底しているために最終利益帰属者と見られている暴力団幹部への刑事責任追及が殆ど出来ていない状態が表しています。
いくらキャンペインを張っても被害が減らないのは、(年間4〜500億の被害)折角検挙しても(使い捨て)末端のアルバイト程度しか検挙出来ないところに原因があります。
サイバーテロ対策で、「変なメールには気を付けましょう」振り込め詐欺に「気を付けましょう」と言うだけでは、そのときに被害に遭わないだけであって犯人は標的を変えて行くだけでいつかは誰かが引っかかります。
現在社会問題になっている年金記録漏出も大量に送付されていた中で大多数の職員が「怪しい」として開けなかったのですが、ホンの数人だけが安易に開けてしまったので入り込まれたものです。
住居侵入と違って失敗すればいくらでも相手を変えて行けるし、しかも大量同時送信可能ですからその内の一人でもかかってくれれば成功ですから、攻撃側には手間ひまがかかりません。
防犯カメラ設置のコラムで書いたことがありますが、被害者に「気を付けましょう」と宣伝してもひったくりや強盗や窃盗が減る訳はなく、検挙率向上こそが犯罪率減少に向けた最良の政策です。
交通違反検挙のための「ねずみ取り」や自動計測装置設置などを何かとマスコミが批判しますが、(警察の資金造りだとか、犯人を作り出すのが政府の目的ではないだろうとか・・今では防犯カメラや通信傍受がプライバシー侵害とか・・マスコミは検挙率向上に役立つことは全て反対のように見えます。
繰り返すように通信技術が発達しているので、証拠にこだわりながら、重要証拠である送信記録の採集を許さないのでは時代変化に合いません。
今ではネットの経路捜査協力が出来ていますが、これだって最初の頃には、通信の秘密がどうのと言う議論がありました。
表現の自由には名誉毀損等の限界があるように、通信の秘密も限定的に制限されるのは仕方のないことです。
特定秘密その他「例外をどう定めるかの技術的基準策定に関して「そんな基準は甘過ぎると」反対するのは合理的ですが、アクセス制限を定めること自体憲法違反だと言う論法は幼稚過ぎます。
個人主義をタテに、集団関係を利用して誰が関与したか分らないようにして、規制を免れようとする集団が増えて来ると、実質効果の帰属主体である組織・集団自体に法律上の不利益を及ぼして行くしかないのは当然です。
どの犯罪による不法収益か分らないけれども、合法的事業をしていない暴力団組織が巨額資金を動かせるのは許されないと言う・・基本的道徳観・概括的根拠に基づく規制が銀行取引禁止の精神です。
暴力団トップに対する脱税検挙事例を紹介しましたが、(何をして儲けたかの証拠があろうとなかろうと?)結果的に収益が帰属している以上はその責任を果たすべきです。
個人主義原理の悪用に対する反動があちこちで起きています。
この辺は共謀罪関連シリーズのコラムで、近代法の個人法理は変容を受けていると書いて来たことにも繋がります。
民族集団は暴力団組織とは違うと言えますが、(同じにするなと言われそうですが・・)ここではある組織に属している限り、組織員の非道徳的行為があれば組織構成員が直接事件に関与していなくとも影響を受けるべき事実を書いています。
2015/06/27「民族摩擦とヘイトスピーチ8」以来ヘイトスピーチ論から横に入っていましたが、ここからヘイトスピーチ論に戻ります。
従来書いているようにヘイトスピーチの定義次第ですが、民族や集団批判が勢いを持つようになって来た状況は、個人責任法理の病理・・背後に隠然たる影響力を行使している暴力団親分やテロ組織集団の法的責任を問えない・・。
法的責任がないことを良いことにして道義責任をとらない場合に、放置していられなくなって、結果責任を問い始めたのと同じ基礎意識があります。
ヘイトスピーチ批判論は、(定義次第によりますが・・)道義非難は陰でするものであって、大きな声で言ったり社会に訴えるものではない程度のことでしょうか?
社会で通用している価値観が道義ですから、道義を守った正しい方が陰こそこそと主張せねばらないとすれば不思議な社会です。
道義を正面から主張出来ない社会ならば、圧政の下に暮らしている被支配民族がこそこそ不満を言うしか許されなかったのと同じではないでしょうか?

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