外需依存度1(韓国16)

韓国経済の外需依存度の高さが、昨日書いた関係・・国民負担で内需拡大してきたことを表しているように思えます。
なぜかデータが古いですが、本日現在の「大韓民国の経済」と題するウイキペデイアの記事からです。

韓国経済は輸出依存度および貿易依存度が非常に高く、その一方で内需に乏しいために世界経済の影響を受けやすい傾向にあり、これが過去のアジア通貨危機における経済危機の主因となった。
貿易依存度は盧武鉉大統領の時代は50〜60%であったが、リーマン・ショック後に更に高まり、2011年には96%となっている。ちなみに日本は27%、アメリカは25%、中国は40%、ドイツは60%である。輸出は相手国との政治的な要因によって上下動する傾向があるため、内需の拡大こそが安定した経済基盤を作るという主張が国内でなされているが実現に至っていない。

貿易依存度の計算式は人によって違う?外需依存度も違うのかな?ウイキペデイアの記事のように90%代の意見は見始めですが、2010年ころのデータで止まっているからでしょうか?
東亜日報2010年の記事によると以下の通りです。
http://japanese.donga.com/3/all/27/311790/1

Posted June. 17, 2010 08:25,
東亜日報
韓国経済の貿易依存度、昨年82%と世界最高
昨年、韓国経済の貿易依存度が過去2番目に高かったことが分かった。これは世界最高レベルで、海外発懸念材料に脆弱な経済構造の原因と指摘されている。
16日、企画財政部(財政部)によると、経済に対外貿易が占める割合を示す経常国民所得対比輸出入比重は、昨年82.4%で、過去最高だった08年の92.3%よりは低下したものの、依然として最高レベルだ。代表的な輸出大国である日本と「世界の工場」である中国の貿易依存度が、それぞれ22.3%と45.0%であることを考慮すると、韓国の貿易依存度は高すぎるという指摘が多い。

以上のデータは古過ぎるのと、最近見聞きしてるイメージと違い過ぎるので、さらに当たってみると以下のグラフと意見が出てきました。
https://ameblo.jp/koshioheikuroh/entry-12432525343.html

2019-01-14 11:00:57

「韓国経済にとって日韓関係は大切」は間違い!小塩丙九郎

上のグラフからも分かるように、韓国の輸出総額(インフレ要素を取り除いた実質ドルで表示された額)は、2011年以降まったく増えていません。ならば韓国のGDPは伸びなくなったかというと、(リーマンショックに端を発する世界的景気後退の影響分を除き)それ以前と同様の高い伸び率を維持しているのです。つまり、韓国経済の輸出依存度は、2011年から2018年のわずか7年間の間に「半分」から「3分の1」に下がったのです(日本の2017年のGDPの輸出依存度は14.3パーセントです)。

上記を見ると輸出総額が11年頃から頭打ち・下落傾向になっているものの、GDPだけ上がっていたので、外需依存度がどんどん下がっているらしいですが、なお日本の倍以上の依存度です。
上記引用記事の論者は、こんなに韓国GDPが上がっているので、『日本など目じゃない』・・だから強気に出ていると言いたいようですが・・。
ネット検索すると上位に出てくるデータ・・ウイキペデイア等がこの7年間の大幅変化に合わせて何故内容更新しないままになっているか不明です。
嫌韓一色→韓国の実力に関する実態報道を怠るべきではなくこう言う事実紹介は重要ですが、これが事実であれば実態を前提に日本人は冷静に判断するしかないでしょう。
東亜日報党と数字が約半分位なっているのは東亜は貿易依存度=輸出入合計であり、輸出依存度は輸出だけで見殿で約約半分になるらでしょう。
このグラフの前提が事実に基づくか否かを知るために世界ネタ帳でGDPを検索して見たら、ネタ帳ではリーマンショック時のマイナス成長が出ていない点がまず大きな相違点ですが、リーマンショックによるGDPマイナスは常識的ですので、逆にネタ帳自体の信頼性に他のデータを見比べるまでもなく・直感的疑問符がつきました。
韓国はリーマンショックによるマイナス影響がなかったと言うのでしょうか?

家計債務膨張3(韓国15)

韓国で不動産バブルが繰り返された実績を5月4日紹介の第一生命https://diamond.jp/articles/-/190478?page=5
のグラフ引用の続きで見ていきます。

ソウルの不動産価格

足下のインフレ率は低水準で推移しており、中銀は今後も緩和的な政策スタンスを維持する方針を掲げる一方で、先行きの政策決定の判断材料に、同国の景気と物価に加えて家計債務の動向、主要国の貿易政策及び金融政策、新興国の金融・経済動向などを挙げるなど、家計債務の動きに敏感になっている。
足下の景気が力強さを欠く展開となっているにも拘らず、利上げに踏み切らざるを得ない状況は、中銀も別の意味で『板ばさみ』状態に見舞われていると言えるだろう。

上記不動産価格のグラフを見ると、アジア通貨危機以降01年から02年にかけて約20%の急騰〜05年にかけて20%急落し、05年から7年にかけて約25%弱の急騰を演じ、07年のピークから09年にかけてまた約25%以上も下がり10年に5%ほど盛り返したもののまた低下に転じ、以後低迷したままでしたが15年から上昇に転じ現在も上がり続けていることがわかります。
これが実態経済に連動していれば健全ですが、実態経済不調を隠すために不景気が来る都度不動産価格の上昇を誘導している・・・庶民から資金吸い上げをしているとすれば庶民は貧しくなるばかりでその咎めが蓄積していきます。
韓国国際収支のデータを見ておきましょう。
世界ネタ帳からです。
https://ecodb.net/exec/trans_image.php?type=WEO&d=BCA&c1=KR

上記によると第一回不動産急騰期の01〜02年は、国際収支黒字がゼロ%近辺に落ち込んだ時期です。次の05年〜07年にかけての不動産急騰期は同時期の国際収支低下始まりと連動しています。
16年からの不動産持ち直し・・・18年からの急騰も、16年からの国際収支低下開始および19年1〜3月期のマイナス成長と連動しています。
マイナス成長になっているのに、19年1月の第一生命論文で「足下のソウルの不動産価格が前年比で二桁%の高い伸びとなる」というのですから異常事態です。
この連動関係を見ると日本のバブルと違い、資金が潤沢すぎてバブルになっているのではなく、苦しいときの逆張り・・庶民の資金吸い上げに頼っている状態が窺えます。
政府はマイナス成長を緩和するために「必死になってエンジンをふかしている」・・・資金不足分を国民から吸い上げるのに躍起と見るべきでしょう。
国民の方は乾いた雑巾を絞るように絞られるだけ絞られて借金を増やしてGDP成長に協力してきたが、それでも実体経済の落ち込みを補えなくなって、ついにマイナス成長に落ち込んだとすればたいへんです。
日本は戦時中、軍事用の鉄不足のためにお寺の鐘まで供出していたことが知られていますが、韓国では国民からの搾り取りが限界に来たと言うことでしょう。

家計債務膨張2(韓国14)

企業の場合には、自己資本率と負債率の違いは金利と配当率の関係による代替性があるので、低金利下では年7〜8%(日本ではもっと低いですが)の利益配当を求められる新株発行よりは、ゼロ金利近辺の社債発行による資金手当の方が合理的ですが、家計は消費単位であって配当圧力がないのでそういう関係がないでしょう。
家計債務で考えられるのは、金利低下による毎月の支払額の減少とインフレによる名目収入増→負債の実質減価・期待でしょうか?
ケインズ理論によって財政資金投入にあるいは、民間需要拡大による需要創出・・不景気脱出を図るるようになると、世界中で財政赤字→家計債務膨張リスクが膨らみます。
アメリカが家計債務を証券化して世界にばらまいたので世界的リスクが現実化したのが、リーマンショックでしょう。
その後、アメリカでもEUでも膨らんだ債務破裂を防ぐために・・低金利政策をゼロ金利近傍・・限界まで進めましたが、低金利になっても元金を繰り上げ償還→債務縮減する方に行きませんでした。
業績低迷企業に対する補助金の多くが、企業活性化に資するよりはゾンビ企業の延命資金になることが多いのと同じでしょう。
比喩的に言えば、従来3000万までしか借りられなかった階層が、3500万まで借りても毎月の支払額が同じで返せるので・・より一層の債務元金膨張が進んだ方が多かったということでしょうか?
銀行にとっては企業向け融資が減った穴埋めに個人向け融資が増えて好都合でしょうが、利幅が減る一方の矛盾で苦しんでいます。
資本市場の発達で金融の社会的使命が終わった以上は、速やかに存在感を減らしていくべきでしょう。
金融緩和策がゼロ金利に張り付いて限界にきたので、今度はインフレ期待→元金の減価を目指す政策・・物価が2倍になれば負担感レベルでは借金が半分になったのと同じ・・一種の徳政令が国際的に採用されましたが、流石にこれは借金せずに真面目に働いている人が損をするので、国民支持が得られずうまくいきません。
黒田日銀だけの失敗ではなく、仮に制御したインフレが可能(制御できるのはインフレと言わないでしょう?)であっても、インフレ拒否感は世界的傾向でしょう。
いわば真面目に資産形成に励む方が良い・・・ベネズエラのように何万倍の物価になれば、金融資産の差(過去努力した人としない人の差)は雲散霧消・・全員が食うや食わずになります・・こういう社会を期待する人・・ヤケになっている人の方が少ないということであって慶賀すべきです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41052900Y9A200C1000000/

ベネズエラ、1月のインフレ率が268万%に
2019/2/8 6:24
【モンテビデオ=外山尚之】南米ベネズエラの国会は7日、1月の物価上昇率が年率268万8670%だったと発表した。与野党が激しく対立する中、政情混乱が経済にも波及し、ハイパーインフレーションが加速する状況となっている。
月間の物価上昇率は191%だった。前月から約50ポイント上昇しており、物価上昇のペースが加速している。国際通貨基金(IMF)は年内にインフレ率が年率1000万%に達すると予測しているが、現状のままではさらに上回る可能性が高い。

だいぶ前から書いていますが、物流の発達した現在、一国だけ商品価格が上がることはありえない・・あるとすれば「世界の物流網から切断された時だけ」・すなわち政府の制御したインフレはありえないのです。
世界経済から切断されるかどうかは、デフォルトするかどうかの経済実態によるのであって、一国政府が自由に決められません。
韓国や中国が、ウオンや人民元の暴落=輸入品決済資金が回らなくなるのを恐れる所以です。
昨日見た第一生命のグラフによれば、韓国の場合GDPに対する家計債務比率が(この間に日本同様に消費者破産があり、そのほかに多数回の徳政令実施があって債務チャラになっているにも拘らず)一直線で増えすぎている点が異常なのか?金融政策とおりに国民が踊る・・がうまくいっているかの評価の違いです。
中国も企業負債率の急上昇が国際関心になっていますが、両国ともに政府の誘導する通りに人民が資金吸い上げに協力している・・借金してでもGDPアップに協力してきた経済です。
昨日見た第一生命のグラフでは韓国の家計債務比率が90%あまりですが、他の報道ではすでに100%を超えているというグラフが出ています。
中国の統計が信用できないと言われますが、韓国の場合数字自体の誤魔化しではなく、統計分類・・チョンセなどの返還債務を家計債務に入れていないとか、個人事業債務が入っていないなどをプラスしていくと現状で約200%以上という意見もあります。
ちなみに日本では、個人事業債務も家計債務(法人化しているかの基準?)になっていますので、家計債務といっても統計方法によって大きな違いが出てきます。
まして韓国では自営業者が人口の25%というのですから、このグループをどのように分類するかによって実体経済の現状把握が大きく違ってきます。
自営業でも他人を一定数以上(たとえば5人以上)常時雇用する自営と家族労働に頼る(時々アルバイト使う程度)自営では負債の経済的意味(事業用の負債は一種の投資ですから巨額です)がまるで違ってきます。
30代でリストラされてすぐに飲食店やチェーン店など開業する一般的な韓国自営業の場合、負債の性質は家計負債に限りなく近いでしょう。
中韓ではどうやって国民から資金吸い上げに成功しているかですが、株式〜不動産バブルその他国主導の一種の仕手相場に国民を巻き込むパターンのようです。
日本人は堅実を重んじる国民性・投機相場に乗りにくいので、平成バブル期も業者間転売→消費者が買い始めた初期段階で大方終わったのですが、末端消費者まで参加させて毎回徳政令や破産で救済→救済しきれない分は自殺増や国外売春輸出で切り捨てられている韓国人民との違いでしょう。
中韓共に国民?人民が弱すぎるのです。

家計債務膨張1(韓国13)

インフラ整備後の消費減退を専門的表現・・例えばみずほの以下の論文です。
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/as180126.pdf

2018年1月26日
1.はじめに 韓国の家計債務は近年急速に拡大している。IMFのレポートによると、家計債務がGDP比で36~70%の水準にある間は、長期的な1人当たりGDP成長率に対してプラスの影響をもたらすが、それ以上高くなるとプラスの影響が弱まり、徐々にマイナスの影響に転じていくとの分析がなされている1。
韓国の家計債務は名目GDP比90%以上に達しており(図表1)、経済にマイナスの影響をもたらしうる水準に近付いているとみられる。
図表省略

1年後の第一生命の論文です。
https://diamond.jp/articles/-/190478?page=5

2019.1.11
韓国経済「板挟み」の窮地、7つの指標で読み解く減速
西濵 徹:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト
長期の金融緩和で家計債務が拡大
一方、長期にわたる金融緩和政策の影響で家計部門の債務は拡大している。この動きに呼応するように首都ソウルを中心に不動産投資ブームが起こった結果、足下のソウルの不動産価格が前年比で二桁%の高い伸びとなるなど、金融市場を巡る新たなリスクとなることが懸念されている。

「二桁%の高い伸び」といえば外貨がたまりすぎて欧米から「内需拡大しろ」とせっつかれて困っていた日本のバブルでも、私の記憶では年率全国平均10数%と報道されていましたから異常です。
18年、米国の金融緩和打ち止めによって、ほんのちょっと金利が上がるだけでデフォルトリスクに怯える韓国が、バブルを煽る資金力があるとは思えません。
日本のバブルは国内に資金がだぶついて起きたバブルであり、外国からの借金によるものではなかったのですが、韓国の場合国内資金不足・・ウオン売り浴びせに怯えながらのバブルですので自然発生的なものではありません。
日本は外貨準備が積み上がりすぎて米欧の批判を浴びて(プラザ合意)苦肉の策・内需拡大を迫られていて無駄遣いせざるを得なかったのですが、中国や韓国の場合低成長→マイナス化をごまかすために国民に金を貸して借金で消費させる・・やせ我慢のバブルですから意味が違います。
日本の場合内需拡大の掛け声に乗った金融機関→業者が都内狭小地を高値で買いあさり、業者間転売でどんどん釣り上げたものの、実際に焦って買った消費者はわずかで多くの消費者が踊らなかったので末端商品化したところで・・金融引き締めがきっかけですが・・本当は高くなりすぎて、転売目的でない本当の消費者が買えない価格になっていたので、バブル崩壊しました。
業者間でバブルを煽りに煽って転売を繰り返してはその都度値上げしていたので、最後のババをつかんだ仕入れた業者がやむなく駐車場幼稚とか空き地のままで塩漬けになっている土地があちこちで見かけました。
日本では大損したのは概ね不動産業者であり、(目先が聞く消費者が参入して損をした人もいたでしょうが稀です)これに貸し込んで損をしたのは国内金融機関でした。
高値で売り抜けて大儲けしたのは近郊農家に限らず都内の狭小地を億単位で売り抜け千葉等で広く安い土地を買い立派な新宅を得て優雅な生活を満喫できたモト都民や農民等の庶民でした。
バブルとその崩壊で庶民の懐が潤おい・落ちついた文化発酵時期になったことを、だいぶ前から書いてきました。
日本の場合、バブル崩壊による大損といっても国内でのお金のやりとり・急激に上がった土地を売って儲けたのはほぼ100%日本人であり、損をしたのは高値で仕入れた不動産業者(主に国内業者と便乗しようと参入した外資)でこれに貸し込んだ日本の金融機関でした。
外国からの借金で業者が仕入れたものではありません。
損をした以上に儲けた国民の方が多かったということを10年以上前に書いてきました。
いわば高度成長によって得た利益が輸出産業や金融機関に偏っていたのを、(都市住民と近郊農家中心ではありましたが)恩恵の少なかった庶民への再分配機能を果たしたことになります。
韓国家計債務に関する第一生命の論文https://diamond.jp/articles/-/190478?page=5
に戻ります。

まず今日は、家計債務の規模拡大とGDP比率アップのグラフを紹介し、明日不動産相場変化グラフを紹介します。

家計債務残高

家計債務の負担感・・月収100万の人にとって月額10万のカードローン支払いは負担でないでしょうが、月収20万の人にとっての月額10万の支払いは負担です。
負債規模は、収入(売り上げ)が大きくなればこれに比例して(仕入れ)が増えるのが普通ですから、国全体のあり方を見るには絶対額の増減だけでなくGDP比の債務伸び率が重要指標ということでしょう。

内需拡大と国民負担(中韓)1

インフラ整備は発展に必要なインフラが足りない場合必須ですし(後進国が後進国のままに留まったのは、起爆剤となるべき資金がなかったので発展できなかったのですが、)中韓では日本との国交回復条件として巨額資金援助・賠償金?を獲得してこの隘路を乗り越えられた結果日本との国交回復後いずれも高度成長の波に乗れたのです。
一定の成長が始まると産業規模拡大に応じたさらなるインフラ整備と国民の所得アップに応じた衣食住・・国民の生活水準底上げが次なる消費文化発展のために必要な政策です。
成長に応じた住宅供給や街路整備は文字通り市場経済の要求によるものですが、市場の需要によるのではなく、景気対策としてのインフラ整備や住宅の実需以上の需要喚起政策は、一時的に景気悪化をごまかせても「ごまかし」である以上は、その分社会に歪みをもたらします。
オリンピックで言えば、日本の高度成長の受け皿としてのインフラ必要期に当たったことが、首都高や新幹線その他スポーツ競技場等の整備がオリンピック後も国民生活レベルアップに役立った・次のステージへの起爆材になりましたが、まだその段階にない・・・例えばギリシャオリンピックでは負の資産が残った結果ギリシャ危機につながったのです。
実需に基づいてのインフラ整備や、住宅供給であれば健全な経済活動ですが、景気対策としてのインフラ投資や、住宅供給拡大策は、無理がある分歪みを生じさせます。
中韓が、実需に基づかない急速な高学歴化やインフラ・住宅供給増加は、一時的な経済カンフル的に有効ですが、完成して利用が始まると需要以上の無理なインフラ等の整備→維持費が負担になってきます。
例えば、中韓の実需に基づかない大卒大量供給が就職難(中国の蟻族の処遇・韓国の国外就職誘導)を生み出し、そのミスマッチ・不満をどうするかに苦心しているのも同根です。
中韓では実需以上の大量の大学を開設して国民に学歴必要性(英検の仮需要も同様)を吹き込んで仮需を発生させて、大学や塾等の教育産業を盛況にしそこまでの大量勧誘には成功しましたが肝心の卒業後の就職口がありません。
このシリーズで紹介してきたように韓国では大卒の1割しか大卒向きの就職口がないのにいわば10倍のミスマッチ・学歴に対する過大期待を煽って客を呼び込んでいたのです。
中国でも、大卒の大部分が就職口がなく年間700万人に上る「蟻族」が発生していると言われています。
14年の記事で古いですが、以下の通りです。
https://matome.naver.jp/odai/2137427535216293801

中国で大卒700万人の現実!中国の若者(蟻族・鼠族)の厳しい現状まとめ
中国では、2013年に日本の10倍以上の700万人が大学を卒業しました。その中で3分の1は就職が決まらず、都市部の郊外などでアルバイトをして過ごしています。
安いタコ部屋の環境は劣悪で、蟻族、鼠族などと呼ばれており、社会問題となっています。この話は、日本人にも無縁ではありません。
更新日: 2014年05月04日
北京の大卒で内定は30%という厳しい現実”
出典中国でも大卒就職浪人が急増中:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
北京市の卒業生就職斡旋工作会の発表によると、2013年に北京地区の大学を卒業した者で、就職に内定した者の割合は28.24%ということが明らかになった。大卒者の就職内定率が3割を切るという極めて低い数字が中国経済の停滞感を物語っている。
“大学院卒業生の就職率は更に悪い”
出典レコードチャイナ:中国の大学生が抱えるワーキングプア「アリ族」への不安—米誌
今年4月の時点で卒業予定の大学生のうち、就職が決まった大学生はわずか35%で、大学院生はさらに悪い26%であった。
大卒の初任給が1000元(1万5000円)を提示される現実”
<出典朝日新聞グローブ (GLOBE)|バーリンホウ(80后) 中国を変える新人類 — ワーキングプア 大学ではコンピューターを専門に学んだが、最初に決まった会社から提示された月給は1000元(約1万2000円)。農村からの出稼ぎ労働者と同じ水準だった。 「買い手市場」の現実に挫折感を味わった。1万2000元(約15万円)を払って4カ月間専門学校に通い、より高度なコンピューターの技術を学んでいる。

中国では約7割の卒業生が就職できない状態をこのコラムでも、May 3, 2014に引用紹介したことがあります。
(地方の貧困層・低賃金農民工からの脱出を夢見て親が食うや食わずで大切な一人っ子を都会の大学へ進学させたのですが結果、7割の大卒に就職口がないのです)
中韓共に国を挙げての学歴万能論の呼び込みは、政府の行う詐欺的商法だったことになります。
中韓政府が住宅産業とマッチを組んだ住宅購入勧誘政策は、その先のローン支払い見込みもないのにローンでの住宅購入を煽り夢の生活を煽る点で学歴・英検万能の呼び込みと方向性が似ています。
我が国で言えば、バブル崩壊後に行われた地方自治体の箱物整備がその後維持費負担に耐え兼ねて最近閉鎖ラッシュに見舞われるのと同じですが、この負担は中央政府の財政赤字・地方公共団体が負うのに対し中韓では国民が吸い取られる自己責任仕組み担っているのが大違いです。
中国でいえば、ガラガラの高速鉄道をどんどん作って(世界最長キロ数と自慢しますが・・)どうするの?誰も住まない巨大ニュータウンをどうするの?となります。
より良い住宅を求める住宅需要は一定のところまであるでしょうが、経済力アップに応じた自宅取得は合理的ですが、背伸びした住宅取得を政策誘導すると、その咎めがのちになって出てきます。
中国の新都市建設がゴーストタウンにならずに、本当に売れたら売れたで、国民が住宅ローン支払いに追われるようになり・・家計債務がGDP比一定率に達すると国内消費がその分減少する限界がきます。
地方自治体が豪華な〇〇会館維持コストに追われて必要な施策に予算をまわせなくなるのと同じです。
昭和40年代に川崎市(いまトレンデイーな武蔵小杉周辺)に住んでいましたが、その頃田園都市園の開発が始まりニュータウンとして一種の憧れの地でしたが、(玉川高島屋オープン直後に妻からおしゃれなセーターを買ってもらったのが青春時代の思いです)千葉に移り住んでから年を経て、昭和女子大病院に行った時に街の貧しさに愕然としたものでした。
活気のある千葉からいくとお昼を食べようとしてもこれと言った飲食店もなく、地元の話では住民の多くはローン支払いに追われる生活で消費が極度に細っているということでした。

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