希望の党の公約6(正社員を増やす?2)

従来型の正社員で就労したい人の就労を支援する→大企業のトータル採用を増やすという意味であれば、容量の拡大・経済規模拡大しかないのですから幼稚園児の夢ではなく政党の公約である以上、どのようにして活性化を図るかのビジョンを示す必要があるでしょう。
内部留保課税で活性化するという程度の意見では、重税課になるのみならず、投資済み資金の引き上げを強制することになるので経済縮小路線です。
現預金だけに課税するとすれば、決済用資金すら持ってはいけないとなって取り付け騒ぎが起きて大混乱になるでしょう。
もしも経済活性化と関係なく・すなわちトータル採用数が同じでも支援するというならば、就活支援業者を増やすという程度でしょうか?
今後産業界はロボット化や自動化する一方で単純作業が減っていくだけではなく、一般事務職程度の事務職も減って行きます。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-15/ORKAID6JIJUO010

17年6月15日 17:22 J
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が今後10年程度で過去最大となる1万人規模の人員削減を検討していることが分かった。超低金利の環境下で収益性が低下する中、金融と情報技術(IT)を融合したフィンテックで業務合理化を進め、店舗の閉鎖や軽量化などによって余剰人員削減につなげる方針。MUFGの社員数は世界で約14万7000人おり、約7%の人員カットとなる。
・・・・フィンテックの進展や店舗政策の見直しによる人員削減は三井住友フィナンシャルグループも取り組んでいる。5月に公表した3カ年の新中期経営計画で、店舗のデジタル化や事業の効率化などで人員削減効果を約4000人とし・・・。

IT〜AI化によって一定の頭脳職種(弁護士で言えばある事件についてどの方向(論点)の判例を検索すれば良いかの選択を若手弁護士が担当している場合に、この種作業をAIが代用する時代が来るかも?)でさえ減って行く趨勢は如何ともし難いので、経済活性化による事業規模拡大に成功しても必ずしも正社員増加を図れるわけではありません。
上記新時代に対応できる人材が不足するとせっかく規模拡大した大手企業は、AI操作に優れた外国人に頼らざるを得ないので(優秀な外国人の国内雇用を制限して職場を守ろうとすれば、企業は人材の揃った外国にその部門を移していかないと国際競争に負けるので国内空洞化になり正社員を増やすどころではありません。
過去約20年あまり国際競争に勝ち抜くために人件費の安い中国.新興国等へ工場を移転したように、今後はIT〜AIを駆使できる人材が揃っている割に人件費の安い地域へ事務部門を含めて拠点を移動していく時代がきます。
正社員就労を増やすというより、大幅減にならないようにするには、新時代の雇用が海外に逃げないように国民の絶えざるスキルアップが必須です。
関税で守られていた企業が徐々に国際競争に直接曝されるようになった時代から、企業の保護幕が取り払われて個々人がストレートに国際競争にさらされる時代が始まっています。
今後IT化・技術陳腐化の早い時代に、これまでの正社員・終身雇用中心を前提にした国民教育システムで対応できるのか?むしろ多様な就労形態に軸足を置いて人生の途中で再度新技術を身につける方式にした方が良いのではないか・それにはどうするかのテーマを解決して行く必要があるでしょう。
人材育成は文科省の専門分野か?というとそうではなく、就労形態に関する価値観の柔軟性・インフラ次第で必要とする人材の方向性も変わってくるのを重視すべきです。
公約で「正社員で働くことを支援する」と言うだけでは、仮に政権担当者になればどんな労働観〜人生観を提示しどう言う人間を育てるための政治をしたいのか不明です・・。
日本の将来像をきっちり認識して何を具体的にするのかをはっきりさせないと、政党の公約としては意味不明となります。
希望の党の公約には、一見して「正社員が理想でありその比率をふやして行くべき」という政治姿勢・・社会のあり方として期間や時間の定めのある契約等多様な雇用・働き方をへらしていく、単線・画一的雇用社会になるのを「希望」するというアナウンス効果を狙った公約でしょうか?
ところが一方では、小池氏はダイバーシテイ化を進めるといっていたように思います。
http://www.asahi.com/articles/ASKB632GWKB6UTFK002.html

別宮潤一 2017年10月6日12時48分
「希望の党代表の小池百合子・東京都知事は6日午前、衆院選公約と新党の政策集を発表した。「タブーに挑戦する気持ちで思い切った案を公約に盛り込んだ」と説明。公約に9本の柱を盛り込み、このうち「消費税増税の凍結」「原発ゼロ」「憲法改正論議を進める」ことを主要な「3本柱」とし、政策集では原発ゼロについて「憲法への明記を目指す」とした。
特集:2017衆院選
「3本柱」のほかの柱は「議員定数・議員報酬の削減」「ポスト・アベノミクスの経済政策」「ダイバーシティー(多様性)社会の実現」など。柱のほかに「『希望への道』しるべ 12のゼロ」をスローガンに掲げ、隠蔽(いんぺい)ゼロ、受動喫煙ゼロ、花粉症ゼロ――などを打ち出した。」

法人税軽減の主張をしながら、納税後余っている帳簿上の資産・・内部留保課税→結果的に法人税加重方向を主張する不思議さと同じちぐはぐさがここにも出てきます。
ダイバーシテイ化を目指す政策と「正社員で働くことを支援する」政策とは両立できるのでしょうか?
07/03/03(2003年)「超高齢化社会の生き方5(多様な生き方を保障する社会1)」前後で、高齢化社会向けに書いたことがありますが、要はいろんな(LGBTを含めて)生き方ができる社会にすべきだという意見ですが、この4〜5年では(小池氏がダイバーシテイ化をトレンドとして採用するほど)社会的合意が出来て来たと思われます。
働き方〜生き方が千差万別・多様化していく方が労使双方にとって行きやすい社会であるという意見が、今では日本社会で受け入れられているとすれば、「正社員として働けるように支援する」という公約とどのように整合するのか不明です。
AI~IT化が進展する今後の社会では、終身雇用〜正社員意識・それ以外の働き方を異端(イレギュラー)と決めつける社会が成り立たなくなる・・とりわけIT化に背を向ける姿勢と思われます。
もともと終身雇用を正社員と言い、それ以外を非正規(イレギュラー)と区別する固定意識社会は、上司〜同僚と折り合いが悪いその他嫌なことがあってもやめると生活できないから嫌々ながら従属するしかない窮屈な社会・イジメがあってもやめられない人権侵害の温床になる社会ではないでしょうか?
やめる自由がない・失業→生活展望がない社会では必死になって一旦得た地位にしがみつきますし、学校でいじめられても容易に辞められない意識が子供を自殺にまで追い込むインフラになっています。
いじめ事件が起きると先生ばかり批判していますが、多様な育ち方が認められていない・受け皿不足社会だから繰り返し起きるのです。
被雇用者その他弱者が逃げる選択肢がない状態で意見が合わないという理由で経営者が簡単に解雇したり、校風にあわないと退学処分できると、解雇や放校、離婚された方は死活問題ですから、雇用者や学校あるいは婚家の方でもよほどのことがない限り関係切断できない社会になって行った・主流雇用形態が社会意識の基幹・・多様な影響を及ぼすので、社会のあり方を代表して終身雇用的社会というものです。
ですから雇用のあり方をどうするかは社会意識のあり方を規定する重要な指標です。

希望の党の公約5(正社員で働くことを支援とは?1)

希望の党の公約に戻します。
(2)若者が正社員で働くことを支援し、家計の教育費と住宅費の負担を下げ、医療介護費の不安を解消する」
と言うのですが、正社員で働く(とは終身雇用化のことでしょうか?)を「支援する」と言っても、これは(文字通り専制政治でさえどうこうできない経済のうねりで非正規化が生じているもので)政治が号令かけてできるものではありません。
ベルトコンベアー方式に始まる分業化の進展が仕事を細分化する一方であり、細切れの作業工程の結果、引き継ぎらしい引き継ぎ不要の細切れ交代就業を可能にして来ました。
マクドナルド店員やクリーニング受付で言えば、5時間前に出勤した人も1時間前に出勤した店員も顧客サービスに差がありません。
工場のラインでも同じです。
作業が細分化されて行くにつれて限定された作業能力さえ同じならばその他の総合力の比率がさがる結果、10〜20年の年功者も1〜2年前からの経験者も差異がありません。
タイピストや電話交換手のような特殊分野だけの細切れ作業分野が、家事保育や医療・介護・教育(全人格教育の掛け声があっても実際には塾の盛行に知られるように小学生相手の教育でもさえ専門分化が進んでいます)を含めてほとんどの分野に広がって来たのが現在社会です。この結果午前中だけや午後だけ、夕方から、週に2〜3日だけ働きたい人も働ける社会になっています。
正社員で働けるように支援するという時の「正社員」は何を意味するかを決めないと意味不明になります。
従来型意味では上記のような不規則〜不連続勤務しか出来ない人は臨時雇用原則で、正社員とは言われていませんでした。
社会構造が変わりつつある現在、従来型の正規非正規の区分けを前提に正規(正社員・終身雇用)社員就職支援するとすれば、時代錯誤な印象を受ける人が多いでしょう。
仮に正規(正社員)化に引き戻すのが正しいとしても「言うだけ番長」という単語がありますが、どうやって働き方を正規(終身雇用)化に変えていくかを政治家はいうべきでしょう。
「平和主義」というだけで平和は来ないので、どうやって実現するかこそ政治が語るべきなのと同様に、「正社員(終身雇用)化」普及が正しいとしてもそれをどうやって実現するかを主張してこそ政党の公約になります。
そもそも正規(正社員)と非正規(非正社員)の違いは何でしょう?
左翼生政治家は、平和主義というだけでどうやって平和を守るかの具体論がないのと同じで「正社員就職支援」というスローガンだけでは何もわかりません。
本来「正」に対する反対熟語は「不正」ですが、メデイアはしきりに「非正規」とマイナス的表現するものの、実はモグリでもなければ違法就労ではありません。
「正社員就労を支援する」の「正社員」自体曖昧模糊としていて、鳩山氏の「少なくとも県外へ!」のスローガン同様に国民に対するイメージ強調の印象です。
違法就労ならば権力者が合法化しそれまであった処罰を廃止すれば済むことですが、臨時雇用・短時間不規則勤務は違法でもない多様な雇用形態をいうに過ぎない・社会実態によるものですから、政党が「正社員就労を支援する」と言い、法令改廃だけすれば7〜8時間の連続勤務に変わるものではありません。
革新系には権力信奉者が多いので、政府が正社員を増やせといえば正社員が増えると思い込んでいる人が多いでしょうが、経済の動きはそうはいきません。
1日8時間以下の就労を禁止しても3〜4時間しか働けない人や、週に1〜2日しかバイトできない人が、毎日出勤できるようにはなりません。
あるいは、「日に数時間しか働けない人も今後正社員と呼ぶようにします」という「言葉狩り」ならば、あまり意味のない公約です。
アルバイトやパートも期間工でも皆企業にとっては正式雇用した従業員ですし、パート・バイト等も違法に企業内で働いているものではありません。
正社員とは何でしょうか?
ホンの一時期特定の歴史状況下で大手企業や公務員で主流「的」(終身雇用最盛期の高度成長期にも零細商店や個人的修理屋や中小規模の建設関連業種等々では、臨時雇用不定期就労者が国民の大半であったに思われます)雇用形態について、度重なる労働法判例によって不合理な解雇が認められない・雇用が守られるようになってきたのを、一般に終身雇用「制」といってきたに過ぎません。
労働判例の集積で守られるようになった「終身雇用」方式の被雇用者をいつから「正社員」と言うようになったのか知りませんが、その背後にはこれを正式就労形式と賞賛する意識があり、結果的に多様な労働形式を否定的に見る→画一労働形態社会にしていくべきとする意識の高い?人々が言い出したのでしょうか。
正社員・終身雇用を増やすべきかどうかの前提として、終身雇用「制」とは何か?と考えると「制度」ではなく単なる自然発生的・・多様な雇用形態の中で大きな落ち度さえなければ、希望すれば定年まで原則的に雇用が守られるようになっていた状態をメデイアが理想と考えて?これを「正式社員」それ以外は保障のない労働者=イレギュラーであり、ゆくゆくは淘汰されてくべき・・あるいは一段下に見下すべき階層を作っていく価値観があって「非正規」という言葉を普及させた用語と思われます。
共産主義思想・・労働組合に基礎を置く左翼系政党やメデイアにとっては労働組合によって守られた労働者・・これのみが「正」社員であって、この枠組みから外れたものを江戸時代の部外者「非人」的位置付けに差別化したものと思われます。
欧米の民主主義といっても元は「市民」と「それ以外」という差別思想を基礎にするのと同じ系譜に属します。
左翼系やメデイアの信奉する中国では今でも都市住民と農民戸籍にはっきり分けられて統治されているのと同じです。
韓国では大手(財閥系)企業正社員・労働貴族とそれ以外の格差が半端でない実態・このために大手(サムスン就職塾という個別企業就職塾が幅を利かしています)に就職するための専門塾が発達し就職浪人が普通になっている実態もはよく知られている通りです。
いわば、李氏朝鮮時代のヤンパン支配を就職試験で区別するようになった社会のようです。
このかなり後で書く予定ですが、欧米では何事も支配・被支配その他2項対立区分けが基本ですが、その影響下にあるように見えます。
ところで、わが国では不合理な解雇が認められないのはアルバイトやパート期間工でも同じですから、正規・非正規の問題ではなく多様な契約形態による効果の違いであり、結局は期間の定めのない雇用契約の解約事由と期間の定めのある雇用契約の解雇事由をどう区別すべきかの問題です。
また各種年金や保険加入等のインフラ参入の資格も正規化非正規かによる区別の合理性がない・・多様な就労形態に応じて多様な加入資格/あるいは給付内容を多様化すれば良いことで、非正規=何の社会保証もないという極端な格差を設けることがおかしいのです。
公権力で長期雇用を商店等零細企業(繁閑差の大きい商店やリゾートホテルなど)に強制するのは無理すぎるし、一方で短時間・不規則に働きたい需要を禁止するのも無理過ぎます。

希望の党の公約等4(法人税軽減の逆張り)

希望の党の公約等4(法人税軽減の逆張り)

民間企業は経済変動や社会変化への対応・・構造転換コストなどに備えるための予備資金を持っているのであって、この決断は配当を受けるべき株主の承諾によるものです。
本来株主は(株主総会・株価変動を通じて)税引後利益全部を配当して貰う権利行使を我慢して一定額企業に保留してこの資金で再投資などするのを許容しているのであって、企業が予備資金を持っているからと政府がとりあげられる・どうせ取られるならばと結果的に利益100%社外に流出させるのでは、経済変動に耐える力が削がれてしまいます。
個々人が数万円前後多く配当してもらうよりは、これを企業が安定資金として持っているか、まとめて将来のための研究資金に使うとか、増産投資立ち上げや企業買収資金等に使うかを個々の株主が決めるのが資本主義経済の醍醐味ですから、その選択(配当を多くもらって友人との食事等に使うか、企業に使い道を委ねて大きく使ってもらうかは市場経済・個々の株主の判断に委ねるべきです。
政府が増税の脅迫で個人還元を強制するべきではありません。
ただし、資本家が大金を溜め込んでいるというやっかみ的批判・・感情論による制裁的内部留保吐き出し要求ではなく、株主の多くが本当に将来のために内部留保する意思があるのか?単なる擬制ではないか?という視点からの再チェックは必要です。
このためには・・投資意識確認と税金納付という意味で、税引き後利益は実際に配当しなくともこの時点で配当を 受けたものとみなして源泉徴収してしまう方法も検討の余地がありますし、株主意思の再確認のためには少なくとも税引き後利益のうち50〜80%(2〜30%は予備費)までを実際の配当を義務付け、企業買収や新規投資金が必要ならばその旨明示して市場から再募集する・増資で対応するのが合理的という政策選択肢は将来あり得るでしょう。
韓国文政権も日本の革新系政権も同じですが、口先では人権重視と言いますが個人の決めるべき領域に国家が踏み込みすぎる傾向があります。
内部留保課税は法人税の2重取りですが、小池氏は一方で法人税減税も求めているのですから(法人を痛めつける気持ちはないという意思表示でしょうが・・)おかしな主張です。
19日引用した続きです。
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/171112/ecn17111209150001-n2.html

企業に「ため過ぎ」批判 内部留保課税は有効か 論説委員・井伊重之
2017.11.12 09:15
小池氏は東京をアジアにおける国際金融都市とするため、政府に法人税減税を求めている。法人税を下げる一方で、内部留保に課税するのではアクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ。

内部留保課税は法人税重課政策ですが、法人税軽減化の流れをどう理解するかの問題でしょう。
以下は法人税率をめぐるアメリカの動きと国際比較です。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN28H04_Y7A920C1000000/
米大統領「歴史的な減税」 法人税下げ20%案を発表 2017/9/28 5:48
【ワシントン=河浪武史】「トランプ米大統領は27日、連邦法人税率を35%から20%に下げる税制改革案を正式に発表した。」
これがようやくこの11月に下院通過したという報道です。
https://www.iforex.jpn.com/analysis

税制改革法案が米下院を通過-8537
(2017年1月現在)筆者 鳥羽賢 | 11/17/2017 – 09:40
「アメリカで16日に税制改革法案が下院を通過した。上院は別法案を提出トランプ政権の目玉政策である税制改革法案が、16日に米下院を227対205の賛成多数で可決した。この中には法人税減税の2018年実施が盛り込まれている。しかし上院の方は法人税減税を2019年にする別の法案を提出しており、今後は上院と下院で審議がもめることが予想される。この通過を受け、16日のNY株式市場は大幅高となった。」

アメリカで法人税減税法案が下院を通過しただけで株式相場が大幅アップしたことからみて、・・内部留保課税・実質的法人税アップの脅しがあると、この逆張りの効果・・2回税金を取られるよりは配当を増やそうとするので一時的に配当が増えて株主の懐が潤い、一見消費がふえますが・・企業の景気や社会構造変動に対する耐性が落ちることから株式相場で見れば大幅に下げてしまう方向に働くことが明らかです。
目先消費を増やせそうに見えますが、株式の値上がり益による消費拡大とどちらが健全か明らかでしょう。
小口株式保有の一般市民とって小銭が同じ額入るならば、税に取られる前に急いで分配してくれるよりも大幅減税を市場が好感して株式相場が大幅アップしたことによる方が合理的です。
https://www.nikkei.com/markets/kabu/japanidx/によると11月18日現在の東証時価総額は以下の通りです。

東証1部     東証2部   ジャスダック

時価総額(普通株式ベース)   6,597,983億円   106,804億円   105,901億円

東証だけで約680兆円ですから、もしも1%値上がりで6、8兆円2%で13、6兆円の値上がり益・日銀が13、6兆円を市中に資金供給したのと同じだけのインパクトがあります。
外国人投資家の 保有分もありますので、全部が国内で循環する訳ではないとしても大きな経済効果です。
1日で1%の変動が滅多にないとしても1ヶ月単位だとその何倍もの変化があるとした場合、消費拡大・経済活性化に大きな影響があります。
内部留保課税によって企業を痛めつけるのとどちらの方が税収増加/国民の懐を温める効果プラス株価上昇による心理効果が大きいかが明らかです。
ちなみに我が国の最近株価変動のグラフは以下の通りです。
http://ecodb.net/stock/nikkei.html日経平均株価の推移(月次)

ところで、厳しい国際競争下にある現在、世界の法人税の趨勢を無視できません。
現在世界最高税率のアメリカが法人税大幅減税に成功すると、日本が世界最高税率の国になります。
このまま放置すると軍事力背景にトランプ氏のように吠えて回る方法のない日本から、大手世界企業が徐々に日本から逃げていくのをどうするかの大問題・・・トヨタなどの民族愛だけに頼っていつまで持つのか?の心配があります。
いきなり本社移転しないまでもシンガポールなどにアジア統括本社を設けるなどのかたちで徐々に動き始めている現実を無視できません。
この国際情勢下で日本が内部留保=二重課税・法人税増税にひた走るには、ムードだけではなく、かなりの突っ込んだ根拠が必要です。
希望の党の公約では内部留保課税だけではなく、法人税軽減を主張しているのですが、内部留保課税は結果的に法人に対する重課税路線ですから支離滅裂の印象です。

 

最低賃金制度3と2重基準

韓国で最低賃金が守られない社会の基礎にある就職難・・就職予備校の続きです。
https://courrier.jp/news/archives/64677/からの引用です。
韓国で全寮制のスパルタ式就職予備校が増えるわけ
韓国ではいま若者の失業率が深刻な課題だ。
「2016年1月から、公務員職の求人に対して、史上最多となる22万人以上の応募があった。労働市場における過酷な競争のせいで、多くの若者が無職状態にある」と韓国統計局で雇用状況担当のシン・ウォンボは言う。
こうした現状で、なんとか安定した職に就くため、全寮制の就職予備校に入る若者たちを「朝鮮日報」が追った。
全寮制の予備校はもともと大学浪人生が入るものだったが、最近は、就職に備える人を対象にしたものも増えているというのだ。
通常の4年制大学卒業者を対象にした4年制の専門大学院だが、ロースクールと同じように、大学を卒業して就職に失敗した人や、就職しても転職を考える人が受けることが多い。
またTOEIC対策の全寮制予備校もある。サムスン、ヒュンダイ、LGなどの大手ではTOEICスコアが入社基準の一つとなっているためだ。
京畿道にある全寮制のTOEIC予備校では、朝8時に授業が始まる前に携帯電話を預ける。それから学校側が定めたスケジュールに沿って夜の11時まで勉強する。
規則も厳しい。この予備校では「飲酒禁止」「恋愛禁止」で、発覚すると罰金をはらわされ、退学させられる。
塾生同士が親しくなるのを防ぐために、名前でなく「○○番予備校生」と番号で呼ぶ。
夏の間、この予備校で勉強したカン(25)はこう語る。
薬学大学の受験に備える予備校では「授業中の男女の同席」も禁止されており、破ると罰則点数が科せられる。罰則点がつくと「罰則チョッキ」を着て1週間生活し、保護者に通告される。点数が上限を超えると退学になる。
予備校生のイ(25)は女性と同席したという理由で、1週間「規則をきちんと守ろう」と書かれた罰則チョッキを着て生活した。
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20170219/Recordchina_20170219008.html
韓国に過去最悪の就職氷河期到来、「日本との比較で一層悲惨」と韓国紙
レコードチャイナ 2017年2月19日
朝鮮日報は「今月卒業を控えたソウル市の私大(4年制)史学科の学生40人余りのうち、就職が決まったのはわずか10人足らずだ。大学院進学者を除いても卒業予定者の半分以上が卒業と同時に『ニート』に陥る状況だ」」と紹介。同学科を卒業予定の女子学生の「入学したころから『就職は容易ではない』と聞かされていたが、それでも当時は先輩たちが卒業前に何とか就職に成功していた。卒業したらすぐに失業者になると思うとめまいがする」との声を伝えている。」
「昨年の日本の大学新卒者の就職率は97.3%、高卒者も97.7%に達したことに触れ、「日本もいわゆる『失われた20年』の期間中は若者の就職難に苦しんだが、現在日本では新卒者たちが就職先をえり好みするのが普通」と言及」
上記のように入学時に予定していた大卒としての就職出来なかった数は大変な数ですから、多くの若者が法令違反でも雇ってくれれば働くしかない・厳しい労働環境を表しています。
外資系や大手は法令違反出来ないので、中小商店主(個人商店などは)が最低賃金より安い賃金で雇えると言う事実上の中小優遇策です。
中国でも先進国並みの厳しい環境や保健衛生規制をしていても民族系は守らなくとも大目に見られる・・外資系はドシドシ摘発されるなどの差別政策が行なわれているのと同じです。
18日に紹介した記事では、韓国では、最低賃金未満(法令違反)で働く人が11、5%もいる点が重要・・統計に現れない実態としての下押し圧力が強いと言うことです。
日本では、18日の紹介記事では最低賃金+40円未満が300〜500万人となっていますが、下記のとおり日本では6500万人前後はたらいていますから全労働人口の5〜6%しかいません。
この3〜500万がどの世代に多いかの視点が重要です。
日本の労働人口はhttp://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/統計局速報
労働力調査(基本集計) 平成29年(2017年)4月分 (2017年5月30日公表)
(1) 就業者数,雇用者数
   就業者数は6500万人。前年同月に比べ80万人の増加。52か月連続の増加
   雇用者数は5757万人。前年同月に比べ57万人の増加。52か月連続の増加」
しかも日本では65〜70歳台で老後暇つぶし・・健康管理目的で働く人がかなりいますが、この種の人にとっては収入があっても小遣い程度の感覚ですから、最低賃金+アルファでも働けさえすれば満足です。
(私もまだ弁護士業務をやっていますが、高齢弁護士の場合、若いトキのように家族を支える収入の必要性が皆無です・・自分の手取りはゼロでも良い・・事務所維持出来れば続けるか?と言う人が多いでしょう)
http://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics97.pdf 
総務省平成28年9月18日
統計からみた我が国の高齢者(65以上)
要約
○ 高齢者の就業者数は、12年連続で増加し、730万人と過去最多
○ 就業者総数に占める高齢者の割合は、11.4%と過去最高
○ 日本の高齢者の就業率は、主要国で最高
○ 高齢雇用者の7割超は非正規の職員・従業員
「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多の理由
上記によれば、高齢労働者が730万もいる・・その7割=510万人が非正規です。
これはあたり前の結果ですが・・日本では最低賃金+40円未満の労働者数350〜500万人というのですから、高齢労働者の非正規(・・働きたいときに働く週2〜3日?しか働かない?)だけでほぼカバー出来ていることになります。
日本の場合、最低賃金でも働く傾向の強い高齢者の割合が全労働者の11、4%もあっても、全労働者中最低賃プラスαで働く人が5〜6%しかないと言うのですから、最低賃金近辺で働く若年層の比率は殆ど取るに足りない数字になります。
高齢者でも生活のために収入の必要な人もいるとしても概ね年金や蓄えで間に合う率が高い高齢労働者が暇つぶしに働く人が増える一方の社会では、平均賃金が下がるの当たり前です。
賃金の実態を知るには漠然と平均賃金の公表をするのではなく(高齢者や子育てて中の女性の労働参入が増えると平均賃金が下がる傾向になります)世代別の賃金推移その他きめ細かいデータ開示が必要です。
賃金センサス等で概ね出ていますがそこまで見る人は少ない・・メデイアが報じる場合・・選挙時に「景気が良いと言っても平均賃金が下がっている」というメデイア報道の影響力は甚大ですので、メデイアの報道姿勢をここでは書いています。
ところで、最低賃金制度が何のためにあるか?
韓国のように公式に出ている統計でさえ、11、5%も守られていないのでは、違反者に対する処罰も出来ないし最低賃金を強制する意味がないことがあきらかです。
最低基準や各種業法規制は・・国内のレベルを基準に「不景気とは言ってもこの程度すら守れない事業者には、市場退出を迫ることが出来る水準」で決めないと実効性がありません。
およそ強制力のある「法」と言うものは、大多数が守れる基準・・この基準でさえ守れない人は同一社会の構成員として認められない(刑務所に入ってもらう・・あるいは事業免許取り消し)と言う最低基準であるべきです。
中韓の場合国民が実際に守れない基準を決めて事実上放置し・・コネ次第でお目こぼしになる・政権に不都合な者だけ取り締まる社会・・先進国並みの「法」を制定して、先進国を装っている二重基準傾向がこうした場面に出て来ます。
統計の誤摩化しと根本思想は同じです。

韓国文大統領の雇用政策1(革新政党の短絡性)

文大統領の選挙公約・主張を見ると、革新系と言うのは経済原理が分らない・・(凡人に分らない深い戦略がある可能性がるのですが、それは結果を見て分ることです)強制力で何でも出来ると思っている傾向があるような印象を受けます。
我が国でもそう言う体質の集まりが、民主党とか民主主義政党を名乗り、民主主義や人権を守れと政府批判するのですから滑稽です。
特定秘密保護法や共謀罪法などに対する各種反対論は、民主化されていないロシアや中国社会を前提にした議論です。
民進党や日弁連の主張は、非民主社会・・中国で言えば処罰法すらなくとも秘密裏に香港の店主が共産党◯◯に拉致されてしまう社会を前提にしているかのように見えます。
こう言う社会では、処罰法さえ不要ですから、謀議だけで処罰するのは簡単でしょうが・日本の場合法治国家ですから、「テロ行為」の謀議立証が必要です。
疑いだけ・恣意的検挙すら出来ません。
常識のある民主主義社会の場合、先ず法適用を明らかにする必要があるので、証拠もないのに検挙出来ない・・裁判所も令状を出さないし公判になっても安易に証拠認定出来る筈がないと言う意見を書いて来ました・・。
共謀を認定するには周辺間接証拠の積み重ねが必須ですから、酒屋で冗談を言ったくらいで検挙されることはありえないことも数年前に書いたことがあります。
学者文化人メデイアが自己主張の正当性を裏付けるための常套手段である「国際基準」・先進国の意見を開陳するのが好きですが、彼らの意見によれば既に共謀罪関係法による不都合な事件が多数起きている筈なのにこれが一切公表されないのは、世界中に存在する共謀罪関係法による不都合が滅多に起きていないことを裏付けます。
あるいは先進国ではこんな危険な法制度がないと言うならば、そう言う法制度のない国を上げれば良いのですが一切上げません。
特定秘密保護法など世界中でどこにでもある筈の法制度の場合、架空の心配論は意味がない・・日弁連や法学者が反対論を展開する以上はプロらしく先進諸国の運用の実例を紹介すべきと書いて来ましたが、現在に至るまで単に「危険」と言うばかりで未だに実証論文を見たことがありません。
もしかしたら論文があるかも知れませんが、あるならば日弁連会内の委員会ニュースその他の媒体でその紹介を何故しないのか疑問です。
見ているといつ院内集会を開催し何人の議員が参加したとか、盛況であったとか危険性を訴えた・・政権の横暴とか充分な理解を得られていないと言うたぐいのものばかり目立ちます。
国民の充分な理解を得られないのは、反対する具体性がないからです。
主張に具体性がない上に中国等の人権侵害には南濃も示さないのが普通ですので仕方なしに勘ぐるしかないのですが、冗談めかして言えば危険があるとしたら民進党が政権を取り、中国共産党のような恐怖政治を始めて裁判所を恐怖支配しているときだけのことでしょう。
中韓の主張を見ると自分が悪どいことをする習慣を前提で日本がこういうことをした「筈』と歴史をでっち上げることの繰り返しですが、民進党や日弁連は日頃から何かと裁判に訴えることが多いのですが、本音では裁判所など権力さえ取ればどうにでもなると言う意識を持っている人が多いのでしょうか?
日本の民主党政権同様に権力さえ持てば何でも出来ると思って社会原理を無視していると、文政権は直ぐに行き詰まる可能性があります。
社会原理とは、「少なくとも県外へ」の例で言えば、秀才が学んだ民主的・法的手続さえ尽くせば良いのではなく、社会生活上必要な原理=相手のある行為を進めるときに必要な配慮でしょう。
韓国の文大統領は就任後大統領の職責の重み・・社会を相手にしていることを実感してどこまで現実的になれるかですが・・。
文新政権の政策に関する日経新聞ニュースです。http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM12H6P_S7A510C1FF8000/
2017/5/13付
文政権「非正規ゼロに」 まず公共部門、民間波及狙う
企業当惑、人件費増も
「文氏は大統領選の公約順位の最初に「雇用拡大」を掲げて当選した。「民間任せでは雇用は増えない」と公共部門で81万人の雇用を創出すると宣言した。仁川空港公社の訪問は政策実現に向けた第一歩といえる。」
「朴槿恵(パク・クネ)前政権は、解雇条件の緩和や非正規職の雇用期間延長など、労働の柔軟性を高めることで企業が人を採用しやすい環境をつくることに主眼を置いてきた。文政権はこうした民間主導の政策を否定し、政府主導の労働政策を打ち出した。」
「文氏は12日、仁川国際空港公社を訪問し、「任期内に公共部門の非正規職ゼロ時代を開く」と宣言。政府や公共機関に対し、下半期までに非正規職の実態を調査して問題解消のロードマップを作成するよう指示した。
 同公社の職員は1400人だが、第2ターミナルが開業する今秋には協力会社を含め約1万人が非正規職として働く。保安検査なども含め業務の8割以上が外部委託で、文氏はかねて正規職への転換を主張してきた。文氏の発言を受け、同公社の鄭日永(チョン・イルヨン)社長は「間接雇用の非正規職を含め、1万人を正規職に転換する」と応じた。」
民間就職は成功しても直ぐに解雇されるリスクが高く、そんなリスクのない公務員人気が高まって公務員向け就職予備校がにぎわっている・・成功率が30人に一人〜800人に一人と言う受験地獄が報道されていますが、「それなら公務員採用枠を増やして解決してやる」と言う選挙公約でした。
経済原理を無視して公務員だけ81万も増やして(・・イキナリ増やして何をさせるのか?・・財政はどうなるのか?)その先どうするかの展望が見えません。
その上で公社に対する正規化の大号令です。
6月14日に紹介したとおり、大手の非正規は元々中小企業で働く正規職よりも待遇が良いのです。
後進国の方が女性が出世し易いのは厳しい階級社会の場合、男女差よりも階級差の方がはるかに大きいからと言う面があります。
韓国の場合大手か中小かの格差が大幅であって、大手に勤める場合、非正規職でも中小の正規よりも格が上という社会になっているからでしょう。
韓国では今でも武士である限り下っ端でも商人に威張れる社会の延長と思えば良いでしょう。
長かったヤンパン支配に対する憧れ・・学卒=旧ヤンパン・エリートであると言う精神構造が基礎にあって、社会全体の学卒需要無視で)大学進学率が上がってしまった基礎原因です。
学卒者が大手が必要とする量をはるかに越えている結果、当然受皿がない・・それでも現場労働に就くのを潔しとしない精神構造が邪魔をして、行き場のない不満が渦巻いていると言われます。
中国の場合蟻族が有名ですが、そう言うことをするほどのしたたかさがないのでしょう。
中小の経営者や正規職員より、待遇の良い大手に準じる公社の非正規を正規にしても、強い者の待遇がより良くなるだけです。
大手で働く非正規は全非正規労働者の5%しかいないので、大手で働く非正規を全員を正規にした場合でも、大手にとって5%のインパクトでしかありません。

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