韓国文大統領の雇用政策1(革新政党の短絡性)

文大統領の選挙公約・主張を見ると、革新系と言うのは経済原理が分らない・・(凡人に分らない深い戦略がある可能性がるのですが、それは結果を見て分ることです)強制力で何でも出来ると思っている傾向があるような印象を受けます。
我が国でもそう言う体質の集まりが、民主党とか民主主義政党を名乗り、民主主義や人権を守れと政府批判するのですから滑稽です。
特定秘密保護法や共謀罪法などに対する各種反対論は、民主化されていないロシアや中国社会を前提にした議論です。
民進党や日弁連の主張は、非民主社会・・中国で言えば処罰法すらなくとも秘密裏に香港の店主が共産党◯◯に拉致されてしまう社会を前提にしているかのように見えます。
こう言う社会では、処罰法さえ不要ですから、謀議だけで処罰するのは簡単でしょうが・日本の場合法治国家ですから、「テロ行為」の謀議立証が必要です。
疑いだけ・恣意的検挙すら出来ません。
常識のある民主主義社会の場合、先ず法適用を明らかにする必要があるので、証拠もないのに検挙出来ない・・裁判所も令状を出さないし公判になっても安易に証拠認定出来る筈がないと言う意見を書いて来ました・・。
共謀を認定するには周辺間接証拠の積み重ねが必須ですから、酒屋で冗談を言ったくらいで検挙されることはありえないことも数年前に書いたことがあります。
学者文化人メデイアが自己主張の正当性を裏付けるための常套手段である「国際基準」・先進国の意見を開陳するのが好きですが、彼らの意見によれば既に共謀罪関係法による不都合な事件が多数起きている筈なのにこれが一切公表されないのは、世界中に存在する共謀罪関係法による不都合が滅多に起きていないことを裏付けます。
あるいは先進国ではこんな危険な法制度がないと言うならば、そう言う法制度のない国を上げれば良いのですが一切上げません。
特定秘密保護法など世界中でどこにでもある筈の法制度の場合、架空の心配論は意味がない・・日弁連や法学者が反対論を展開する以上はプロらしく先進諸国の運用の実例を紹介すべきと書いて来ましたが、現在に至るまで単に「危険」と言うばかりで未だに実証論文を見たことがありません。
もしかしたら論文があるかも知れませんが、あるならば日弁連会内の委員会ニュースその他の媒体でその紹介を何故しないのか疑問です。
見ているといつ院内集会を開催し何人の議員が参加したとか、盛況であったとか危険性を訴えた・・政権の横暴とか充分な理解を得られていないと言うたぐいのものばかり目立ちます。
国民の充分な理解を得られないのは、反対する具体性がないからです。
主張に具体性がない上に中国等の人権侵害には南濃も示さないのが普通ですので仕方なしに勘ぐるしかないのですが、冗談めかして言えば危険があるとしたら民進党が政権を取り、中国共産党のような恐怖政治を始めて裁判所を恐怖支配しているときだけのことでしょう。
中韓の主張を見ると自分が悪どいことをする習慣を前提で日本がこういうことをした「筈』と歴史をでっち上げることの繰り返しですが、民進党や日弁連は日頃から何かと裁判に訴えることが多いのですが、本音では裁判所など権力さえ取ればどうにでもなると言う意識を持っている人が多いのでしょうか?
日本の民主党政権同様に権力さえ持てば何でも出来ると思って社会原理を無視していると、文政権は直ぐに行き詰まる可能性があります。
社会原理とは、「少なくとも県外へ」の例で言えば、秀才が学んだ民主的・法的手続さえ尽くせば良いのではなく、社会生活上必要な原理=相手のある行為を進めるときに必要な配慮でしょう。
韓国の文大統領は就任後大統領の職責の重み・・社会を相手にしていることを実感してどこまで現実的になれるかですが・・。
文新政権の政策に関する日経新聞ニュースです。http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM12H6P_S7A510C1FF8000/
2017/5/13付
文政権「非正規ゼロに」 まず公共部門、民間波及狙う
企業当惑、人件費増も
「文氏は大統領選の公約順位の最初に「雇用拡大」を掲げて当選した。「民間任せでは雇用は増えない」と公共部門で81万人の雇用を創出すると宣言した。仁川空港公社の訪問は政策実現に向けた第一歩といえる。」
「朴槿恵(パク・クネ)前政権は、解雇条件の緩和や非正規職の雇用期間延長など、労働の柔軟性を高めることで企業が人を採用しやすい環境をつくることに主眼を置いてきた。文政権はこうした民間主導の政策を否定し、政府主導の労働政策を打ち出した。」
「文氏は12日、仁川国際空港公社を訪問し、「任期内に公共部門の非正規職ゼロ時代を開く」と宣言。政府や公共機関に対し、下半期までに非正規職の実態を調査して問題解消のロードマップを作成するよう指示した。
 同公社の職員は1400人だが、第2ターミナルが開業する今秋には協力会社を含め約1万人が非正規職として働く。保安検査なども含め業務の8割以上が外部委託で、文氏はかねて正規職への転換を主張してきた。文氏の発言を受け、同公社の鄭日永(チョン・イルヨン)社長は「間接雇用の非正規職を含め、1万人を正規職に転換する」と応じた。」
民間就職は成功しても直ぐに解雇されるリスクが高く、そんなリスクのない公務員人気が高まって公務員向け就職予備校がにぎわっている・・成功率が30人に一人〜800人に一人と言う受験地獄が報道されていますが、「それなら公務員採用枠を増やして解決してやる」と言う選挙公約でした。
経済原理を無視して公務員だけ81万も増やして(・・イキナリ増やして何をさせるのか?・・財政はどうなるのか?)その先どうするかの展望が見えません。
その上で公社に対する正規化の大号令です。
6月14日に紹介したとおり、大手の非正規は元々中小企業で働く正規職よりも待遇が良いのです。
後進国の方が女性が出世し易いのは厳しい階級社会の場合、男女差よりも階級差の方がはるかに大きいからと言う面があります。
韓国の場合大手か中小かの格差が大幅であって、大手に勤める場合、非正規職でも中小の正規よりも格が上という社会になっているからでしょう。
韓国では今でも武士である限り下っ端でも商人に威張れる社会の延長と思えば良いでしょう。
長かったヤンパン支配に対する憧れ・・学卒=旧ヤンパン・エリートであると言う精神構造が基礎にあって、社会全体の学卒需要無視で)大学進学率が上がってしまった基礎原因です。
学卒者が大手が必要とする量をはるかに越えている結果、当然受皿がない・・それでも現場労働に就くのを潔しとしない精神構造が邪魔をして、行き場のない不満が渦巻いていると言われます。
中国の場合蟻族が有名ですが、そう言うことをするほどのしたたかさがないのでしょう。
中小の経営者や正規職員より、待遇の良い大手に準じる公社の非正規を正規にしても、強い者の待遇がより良くなるだけです。
大手で働く非正規は全非正規労働者の5%しかいないので、大手で働く非正規を全員を正規にした場合でも、大手にとって5%のインパクトでしかありません。

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