新型コロナウイルス対応の巧拙(現況)

劇的感染拡大が続いている現在、7日も前のデータは古いですが定点データのつもりで日本国内だけの数字を厚労省データで一部見ておきましょう。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10032.html

1.国内の発生状況(3月8日12:00)
408例の患者、46例の無症状病原体保有者が確認されている。
これに加え、空港検疫で1例患者が確認されており、合計すると455例となる。
【内訳】
・患者409例(国内事例397例、チャーター便帰国者事例11例、空港検疫1例)
・無症状病原体保有者46例(国内事例42例、チャーター便帰国者事例4例)
うち日本国籍387名、退院者80名(患者66名、無症状病原体保有者14名)
3.国外の発生状況

国別に感染者と死者数が出ていますの興味深いですが、日々激しく変動してデータが古くなっているので省略します。
現在の状況と3月8日と比較したいときには参照に便利ですのご利用ください。
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/
には毎日更新で世界全体の日々の感染者数や死者数がグラフで出ていますのでこれを参照してください。
一時中国に次ぐ3〜4位だった日本が、今やずっと順位が下がって上位に出なくなりました。
文字情報部分の一部引用しておきます。

新たに確認された死者数は中国で2月中旬にピークを迎えた。2月下旬からは中国本土以外で増え始め、新規の死者数は3月3日以降、中国以外の合計が中国を上回る。累計の死者数はイタリアで1000人を超え、中国以外の合計は計1700人を上回る。

朝日新聞の新型コロナウイルス感染者数の推移には、日々更新の感染者と死者数字とグラフが出ています。
3月13日現在では日本の感染者数(累積かな?治った人の数字不明です)659名で死者19人で日々増えている状態ですが、世界各国の増加率とは顕著な差があります。
韓国の場合・釜山領事館の記事です。
https://www.busan.kr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000772.html

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)韓国国内感染者数(3月8日0時発表基準)につきまし
3月8日0時現在 感染者数7,134名(3月7日0時発表時から367名増加)

上記のように1日で367人も増える状況です
https://www.afpbb.com/articles/-/3273287

新型コロナウイルス、現在の感染者・死者数(14日午前2時時点)
2020年3月14日 4:18 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ]
【3月14日 AFP】各国当局の発表に基づきAFPがまとめた統計によると、日本時間14日午前2時現在での世界の新型コロナウイルス感染者数は124の国・地域で14万720人に達し、うち5347人が死亡した。
13日午前2時以降に確認された新規感染者は9265人で、死者は422人。
昨年12月末に新型ウイルスが最初に発生した中国では、香港とマカオ(Macau)を除く本土で8万813人が感染し、うち3176人が死亡、6万4111人が回復した。13日午前2時以降、新たに20人の感染と7人の死亡が確認された。
中国以外で被害が大きな国は、死者が多い順にイタリア(死亡1266人、感染1万7660人)、イラン(死亡514人、感染1万1364人)、スペイン(死亡120人、感染4209人)、韓国(死亡67人、感染7979人)。
14日午前2時現在の地域別感染者数はアジアが9万1154人(死者3278人)、欧州が3万4708人(死者1491人)、中東が1万2371人(死者525人)、米国・カナダが1839人(死者41人)、中南米・カリブ海(Caribbean Sea)諸国が284人(死者3人)、オセアニアが189人(死者3人)、アフリカが183人(死者6人)となっている。

中東欧米はこれから増える地域とすれば、先行していた日本に比べて被害拡大レベルの高さに驚きます。
韓国で言えば、3月8日7134人から14日午前2時時点までで7979人ですから6日間で日本の総感染数を超える数が増えています。
日経新聞14日朝刊3pによると日本の13日午後9時半現在の数字は感染者数707の他帰国者や検疫官感染32で、死者21となっています。
13日の午前0時で韓国の死者67人対14日午前日本21→約3倍ですが、韓国人口は日本の約半分とすれば人口比約6倍もの死亡率です。
韓国の言い分は日本より検査体制が充実しているから感染者数が外見上増えているだけだと逆に検査能力不足の日本批判している状況ですが、事前検査体制が充実しているかどうかは実際の死者がどれだけ出るのを防いでいるかの結果によるものでしょう。
(重症〜死亡さえ少なければ普通の風邪ひきと同じどころか無症状のまま治る人の方が多いというのですから、世界中で騒ぐ必要がありません)
検査キット自体の正確性が5割あるかないかの現状の上に、感染後4〜5日はウイルスが少なくて検査しても陰性になってしまう結果、ある日検査で陰性となっても翌日に陽性になるかもしれないので安心できないし、(2週間ほど毎日検査しないと安心できません・・だから帰国後2週間の自宅待機が要請されるのです)早期発見しても治療法がまだわかっていないので入院しても安静にしているだけですることがない?重症化して初めて点滴や酸素吸入器などの出番になるようです。
重症化するまで対応する方法がない→結果的に90代とか死亡直前の重病患者がコロナ型ウイルス感染すると、酸素吸入する程度では体力がないので死亡に直結しやすいようです。
一般的に各種重症患者が、最後に肺炎による死亡が多いのと同じパターンです。
この結果中年でも糖尿病その他重い病気を患っている人は抵抗力が弱いのでコロナ型ウイルス感染すると死亡する人も出ます。
このように考えると高齢者・病人等基礎体力弱者への感染をどうやって防止するかにかかってくるようです。

予防と事後対応制度の限界2(家電蓄電方式)

発電所からの送電が止まっても各電柱が一定時間下流への送電可能にすれば家庭での停電開始が遅れ末端消費地の耐久性が増します。
(いきなり全ての電柱は無理としても町内入り口ごとの基幹的電柱を作り、そこに域外からの送電が途絶えても最低数時間〜10時間その先の家庭への送電をできるようにしておけば家電の自給発動開始が遅れるので家電利用時間・消費者の対応チャンスが増えます。
最末端の家庭引き込み口の電柱も1時間程度送電できるようにしておけば、さらに利用時間が伸びます。
現在のシステムでは送電線が切れた場所が家庭から50〜100キロ先であるとしても、その下流全部停電するように思われ(正確に知りません・電流はプラス→マイナスの出口がないと流れないのでA→B→C→D→E~Xの送電設備がある場合、BC間の電線が切れた場合B点以下が停電するイメージで書いています。)ますが、このような簡易基地を数キロごとに設けておいて、上流からの送電が途絶えても各基地で下流に対して5時間分自力送電ができるとした場合、X地域までの間に10基地があれば50時間は停電しない計算です。
こうすれば自宅から10メートルの電柱が倒れたら、即停電→家庭内家電の自給開始ですから地域住民は地域内電柱の保守管理に関心を持つでしょう。
今のように自分らの手の届かない遠距離の電柱管理不十分の影響をストレートに受けるの電線維持に関する関心を持ちにくいですが、地域内自給制度ができれば自治会ごとにあの電線は大丈夫か?などの関心が向くし、地域を大切にする気持ち・共同体意識の育成にもなるでしょう。
鉄道の場合も、相互乗り入れの結果、立川方面で人身事故があっても千葉の電車が止まったり大幅遅延するようなことが日常化しいますが、・相互乗り入れ前に元の終点駅付近にあった折り返し運転用の線路等を撤去し広大な車両基地をマンション用地等に売却してしまったのが直接的原因でないか?思っています。
今回台風後の電車の乱れの例で言えば、京成電車本線が長時間不通やダイヤの乱れが続きましたが、私の自宅と事務所往復に使っている千葉〜津田沼間の枝線の方は、上野行きの直通が少なくほとんどが津田沼との折り返し運転ですので、11時頃に家を出て自宅近くの駅に行くとほぼ通常通り電車がきました。
他の路線で樹木が倒れ込んでも千葉津田沼間で事故がなければ、ほとんど影響がなく運行できていたのは京成津田沼駅に大きな車両基地があるからできたことでしょう。
台風後約10日後に柏市から事務所に来られた人がまだ鉄道が混乱しているというのには驚いたのですが、いくつも乗り換えて来るのには、あちこちダイヤが乱れているので大変だったようです。
遠距離直通運転の場合、経路の一箇所でも倒木等の障害物があると京成全線どころか相互乗り入れしている地下鉄その先の京浜急行などまで影響が拡大します。
電気に戻しますと今回の台風では携帯やスマホ自体が不通になってしまいましたが、各家電が停電後でも1時間前後使えれば、仮に最末端電柱が倒れた場合でも被災直後通報ができるので市町村でも被害状況把握も速やかだったでしょう。
ところで今回あちこちの民家屋上に見かける太陽光発電を設置していたので停電せずに助かったという報道を見かけない(だけですが・・)ところを見ると、自宅で発電した電気を東電の電線網を通じないと自宅に通電しない仕組みになっていたのでしょうか?
せっかく自宅で発電しているのにいざという時に自宅で使えないで、冷蔵庫が止まりスマホの充電もできないのではなんのために「自家発電」を設置していたの?という印象です。
電柱ごとの備蓄は技術的に容易ではないとしても太陽光発電をそのまま自宅で使えるようにするには、電気系統の工夫次第でどうにかなるように思いますので、それをして宣伝材料にすれば、設置家庭が増えるのではないでしょうか?
水道も電気がないとポンプが動かず送水できないとのことでしたが、電気や水が4〜5時間供給できる仕組みの場合、その間にお風呂などに水を満タンにしておけば、飲用外の水だけはかなり長く使えます。
飲用ペットボトルの買いだめ程度の自助努力は大した手間ではないですが、(一回だけ買えばあとは順次古い順位使っていくだけです)困っているのはトイレや風呂食器洗い等に必要な大量の水です。
マンション戸建てを問わずそれぞれ規模に応じた井戸を掘っておけば・・・・飲用にしておくにはしょっちゅう水質検査等が必要ですが、そこまでしなくとも当面トイレ、洗濯、食器洗いや入浴に使えるだけでも大助かりです。
電気がすぐ止まる→モーターが同時に止まってしまう現状を前提に、いざという時のために井戸を掘っておく人がいなくなっています。
モーターが非常時にも最低5時間は動くなどの性能になってれば、井戸の有用性が増すでしょう。
一定規模以上のビルや人の集積場所(鉄道駅)などでは、管理者所有者に最低10日分程度の電気や必要量の水の自給(備蓄)体制を義務付けるなどの法令整備が優先事項でしょうか?
マンションでは、各人個別保有に努力するのは数日分としても一定規模以上マンションでは別に2週間程度の電気や水の備蓄(ないし自家発電装置)すべきでしょう。
焦点が災害対応にズレましたが、現在の法制度があらゆる方面で、問題が起きるのを待ってからの対応を原則としていた点の修正が必要になっている関心に戻ります。
19世紀に確立した司法制度は「事件が起きてないのに権力が介入するのを許さない」犯罪検挙は実行行為があるまで待つのが原則・社会防衛思想禁遏化の基本設計でした。
小泉改革(構造改革・規制緩和)では日本の事前チェック型→許認可制度から米国型の事後処理型→問題が起きたら、訴訟で決着する方向への転換をしきりにメデイアが宣伝していました。
単純思考の私は今後の社会はそうなるのか!くらい・何をするにも許認可基準に合わないとできない・・雁字搦めでは新しい発想で何か始める前に疲れてしまうよな!程度で受けとめていましたが・・。
その時に弁護士大増員の司法改革もセットになっていたのですが、要は、今後事後係争社会になると訴訟が激増するので弁護士大増員必要との説明もされていた記憶です。

予防と事後対応制度の限界

訴訟実務家は訴訟で実績を上げて本当に社会的意義があればその結果・・19世紀型理念の破綻をどうすべきかの問題提起・・社会が考えることではないでしょうか?
サイバーテロやサウジへの無人機攻撃による国防のあり方など、攻める方法は日進月歩ですから19世型自衛概念論争・・敵国が巡航ミサイルやロケットを我が国に向けて発車しても領海侵入あるまでは何の自衛もできないのでは意味がなくなっていることは周知の通りです。
個人間の正当防衛で言えば、殺してやるなどと怒声をあげて刀を抜いて駆け寄ってきたら、走り寄ってくる相手を抜き打ちざまに相手の足を払ったら(駆け寄った方からまだ直接斬りかかられていないので)正当防衛にならないのかということでしょう。
よほど実力差のある関係でない限り斬りかかってきてからの応戦ではその間1秒あるかないかですので)先に斬りかかった方が勝つのが普通(このため相撲では同時の立会いが基本ルールです・全てのスポーツはホイッスル等による同時開始を前提にしています)ですから、素手の相撲の場合立ち上がった段階→刀槍による戦いの場合で言えば鞘を払った段階を起点にすべきでしょう。
戦闘機の場合照準を合わせるレーダー照射まで進めば瞬時に発射可能・0、何秒でも先に発車した方が勝つ精巧な戦い・誘導弾で相手機を追尾する機能があるので、射手の腕や戦闘機操縦能力の技術差による違いが大幅に下がっていて、空振り率の高い時代と違ウノで滅多にない時代にはいっていますので、相手が発射するのを待ってられません。
実際に誘導弾を発射するまで待たないで応戦すべきが標準になっていると言われます。
これが韓国機による昨年頃に発生した日本機に対するレーダー照射事件でした。
9月26日日経新聞朝刊1面には、フェイスブックの創業者「ザッカーバーグ氏に聞く」という表題で、今後は「問題が起きてから対処ではもう通じず」という副題があって、問題が起きてからでは一旦失った信頼回復が困難・・損害が巨大になるために事前の対策が必要という意見が出ています。
弁護士業務関連でも弱者救済対応としては被害相談がくるのを待っているのではなく、〇〇110番という電話相談を弁護士会が開設する積極対応が目立ってきました。
9月9日未明の千葉県を中心とする台風被害では広域停電の結果、メールはもとより電話も通じなかったことから現地(市町村自体が被害把握に手間取り)からの被害情報の収集を待っていた県の対応では後手にまわり過ぎた批判や反省の意見が頻りです。
電子機器の発達以来、リアルタイムの対応に慣れてきたこともあって何周亜kんという長期停電には何をしているの?という驚きが非難の原動力でしょうか?
いずれにせよ、「ことが起きるのを待って対処する態度がはおかしい」という風潮が一般化して来たことは確かでしょう。
ここで話題の方向性がズレますが、被害者からの救援依頼を待つのではなくプッシュ型災害対応がこの数年前から言われてはいるものの、今回の東電や政府対応を非難するのはムード的風潮に便乗した行きすぎでしょう。
どこにどういう被害が発生しているか不明の状態でまず食料を送って良いのか?復旧要因も倒壊原因によって職種・準備する機械などが違いますので、どういう援助が必要か不明のまま出動すべきと言われても政府も困るでしょう。
停電と言えば、送電システムのどこかに問題が生じて電力のプロが故障箇所・理由を見つけて応急処置すればいいという従来型回復を想定していたところ、時間経過でわかったことは、房総半島のあちこちで電柱が大量倒壊していて倒壊原因が多様な原因による結果、復旧作業が多様化したために期間がかかった原因であることがわかってきました。
電柱自体が強風で倒れた程度までは、電柱設置取り替え業者の本来業務に近い(住宅で言えば、建築業者と解体撤去業とは違いますが一応近縁業種です)ので想定内作業だったでしょうが、山林の大きな樹木が倒れかかっているので樹木の伐採が必要な場合、東電が日常的発注している業界外の発注作業になります。
電気技師や電柱建て替え業者でなく林業関係者の出番・樹木が太い場合手作業的電動ノコギリではなくチェンソーなど本格的道具が必要ですし、一定の長さに切断した樹木をクレーン等で撤去する作業車も必要です。
その上電柱の倒壊回復には現場へ辿り着くべき山道が土砂崩れなどで不通になっていたなど、東電単体の作業領域を大幅に超えていたことで自衛隊出動の必要性となったのですが、大量の電柱倒壊が多様な原因によるのでどういう原因によるかなどの状況把握なしには、どの専門業者がどこへ出動すべきかも決められません。
こういう場合プッシュ型災害出動という掛け声ばかりで、メデイアが政府=県知事の対応が緩いと政府批判しても始まりません。
今回の台風対策は初めてか2回目か知りませんが、ともかく走れるだけ走って、これ以上は危険となったら「その時点で運行打ち切り」というデタラメ的?パターンが原則でしたが、首都圏の電車等を台風来襲予測時間前から全面運休して翌朝始発から運休し8時頃から再開き予定という画期的対応をしていました。この結果出勤時の大混乱を避けられたし、企業等も午前中の勤務を中止して午後からの勤務に変えていたと思われます。
千葉県弁護士会からは午後一時からの開館とネット通知がありました。
災害は毎回同じ種類によるとは限らないので、どんな災害にも耐え得る基本体力として、まずできることからやるとすれば、各自が一定の基礎的災害耐久力をつけることが先決ではないでしょうか。
数日〜10日分以上の水や食料貯蔵(日々食べるものであれば買いだめして古い順に消費する))は、各自がその気になればだれでもすぐ備蓄可能なことです。
電気備蓄・・各家庭での自家発電装置は高価な上に維持管理に無理があるので当面不可能でしょうが、一般家庭でも車のバッテリーのような蓄電設備を備えるための開発を促進すべきではないでしょうか?
家電製品については製造段階で停電があっても一定時間は運転持続できるような製品を業界で開発していく努力も必要です。
その機能のある家電設備の方が売れ行きが良いでしょうから、業界に過大な負担を強いるものではないでしょう。
当初10分〜20分程度の製品しか開発できなくとも徐々に3時間〜5〜24時間〜2日〜5日間へと伸びていくように思われます。

高齢者は85歳から4(柔軟対応)

高齢者のさらなる活躍期待から老害・副作用の方に話題がそれてしまいましたが、本来のテーマ・高齢者の自助・活躍期間延長期待に戻ります。
介護者の身体能力の衰えを介護ロボットが代替する時代が来るように、(中長期記憶力はネット検索で間に合うようにかなり解消されましたが)短時間記憶力の衰えなども何かで代替する工夫が生まれて来るのももうすぐでしょう。
高齢者の物忘れの問題点は、短期記憶の定着力喪失がかなりの部分を占めています。
昔「博士の数式」という映画を見た時には「奇妙なことがあるものだ」という気持ちでしたが、自分が高齢化すると、最近のことの方が忘れやすくなっていることに気が付き始めました。
相手からすれば、数日前に約束したり自分が発言したことを覚えていないと驚くでしょうが、こちらは真面目に忘れているのです。
大分前から、審議会等の会議での発言のやりとりについては文字起こしをした逐語議事録を送ってくるまで、まるで何も思い出せないことが多くなったのに驚いていました。
(10年以上関与した千葉市個人情報審議会会長を昨年3月で終わりました)
我が家で言えば何かの料理では必ずタイマーセットして煮込み過ぎないようにしていますが、そうしたきめ細かい工夫器具の発達が老化による作業ミスを防げるようになっています。
今後この種の器具が発達する一方でしょうし、主な鉄道駅ではエスカレーターやエレベーターが設置されていて足の弱った人でもそれほどの不自由なく乗り換え可能になっています。
能力低下の自覚によって自らこうした器具を活用したり仕事分野から手を引いて行くのは良いのですが、外部から個別能力判定で辞職を強制するのは自裁には無理があります。
当面は年齢による一律的(この年齢ではこういうことに気をつけましょう程度・できるだけ緩やかにすべきですが)ゆるい線引きをやめられないとすれば、次善の策として今後「65歳以上を高齢者と言わない・後期高齢者の呼称を75歳から85歳以上に変更すべき」と提言したいとおもいます。
敬老の日のお祝い対象年齢は元は70歳以上だったのが、7〜8年前から75歳以上になっていますが、これもさらに85歳以上に引きあげるべきです。
早くから高齢者扱いしすぎると、これを真に受けて必要以上に老けこむ・できることまでやってはいけないのかな?とやらなくなる弊害が増えて社会的にもマイナスです。
本来高齢化問題は、個々人が自分の体調や能力変化にあった年齢で高齢化を意識し、何ができなくなっているのか個別に能力によって考えるべき・心の持ちようその他の準備をしていけば良いのであって、社会が高齢意識を強調し過ぎるのは行きすぎです。
ただし、自己管理能力がない若者でも医療や衛生状態・外部力の恩恵で長生きできるようになったように、高齢化に伴う能力低下に適正に対応できないけれども外部力(強制的健康診断等)のおかげで長生きしている高齢者が増えてきます。
この結果、自動車運転では高齢者による車の暴走事故が発生するのは目立ちますが、同率で何か目立たない失敗が起きているはずです。
鍋を焦がすようになっても自分が損をするだけですが、周りに迷惑をかけてはいるがニュースになるほどではないことなど・・。
娘さんがいる家庭では日頃からきめ細かく観察して、「おばあちゃんはこれをやれなくなっている」などの判断でおばあちゃんのやれることをきめ細かく縮小して行き、母親もこれを受け入れているのでしょうが、父親・男は柔軟性に欠ける嫌いがあります。
家庭内での存在価値が低すぎる・例えば百工程の多様な作業があれば、90〜80〜70と順次の能力低下が可視化するのですが、定年後テレビを見てるだけでほとんど家庭内での男性の役割がない・車での外出時だけ能力発揮するパターンが多い場合、能力低下自己認識チャンスが少なすぎることも原因のひとつでしょう。
曲がり角でこすったり車庫入れ時にあちこちぶつけるようになったなどの具体的エピソードなく、「75になったから運転をやめたら・・」というような抽象的提案では「俺は大丈夫」などと頑張られると周りはそれ以上言えません。
これに加えて、男は猛獣のような危険な雰囲気があって、普段から家庭内で腫れ物に触るように大事に(警戒)されているような場合、提案して拒否されたらそれ以上言えない雰囲気も女性に比べて強い傾向があり、こうした総合的結果、車の暴走事故が起きるまで放置されることになるのでしょう。
これらは長年の生活習慣の結果・自己責任でもありますが、この辺は今の若者が草食系と言われるよう優しくなってきたのは時代適合していて良い変化です。
現役の場合、例えば世界的に高名な外科医でも高齢化による手ブレなどの限界が起きて次第に現場離脱していくし、看護師、美容師、料理人一級建築士その他資格系の産業がいっぱいありますが、いずれも高齢化を理由に画一的に資格剥奪しなくとも、高齢による適応力低下→市場淘汰が進みますので、それほどの害がありません。
弁護士で言えば、80歳を超えた弁護士は、いわば御隠居仕事であって個別事件から手を引いていくし、そもそも顧客が来なくなります。
車運転免許の場合危険性の高い資格(歩行者はぶつかってくる車を選べない)ですが、(タクシー等の職業運転手は企業責任上困るので淘汰されていきますので、高齢・認知症による暴走事故は皆無でしょう)自家用車の場合市場淘汰がない点で問題が大きくなるのです。
交通事故の例でわかるように能力低下度に応じていろんな分野からリタイヤーすべきかどうかを100%自己管理・業界判断に委ねきれない・・周囲に甚大な被害を及ぼす分野では外部規制が必要でしょうから、今は問題になっていない分野にも自主規制を広げる方向性・議論開始が必要でしょう。

袴田再審事件5(メデイア対応4)

「事実」とは「迷走」という意味不明な主張ではなく、高裁決定過程に現れた訴訟での論争経過を分析紹介した上で、この経過自体についてどう評価するかは、文字通り受け手が判断すべきことです。
なんら経過事実も示さずに市民に代わって「迷走」評価を下すのは僭越すぎます。
迷走の原因が、弁護側提出証拠・本田鑑定の合理的裏付け記録の提出を弁護側が渋り続けたことに原因があるとしたら、本田鑑定の論理が記録裏付けなくとも公知の論理なのかどうかの吟味が必須です。
袴田再審事件は郷原氏の意見をちょっと見た印象から書き始めたのですが、どんどん具体的に書くようになると、誰かが都合よくまとめたかもしれない決定内容をもとにして意見を書いているのでは(私自身)不安になってきましたので、この辺で遅ればせながら「高裁決定要旨」を引用しておきます。
要約では読解力や関心の方向の違いでメデイアによる編集誤差がありうるでしょうが、最近の裁判所はニュース性のある事件では裁判所の作成した要旨を配布していますので、意見としてではなく「決定要旨」と銘打って掲載している以上は自分好みに「 要約」したものではなく高裁配布資料そのままの引用と信じるしかないので、・・客観性がある前提(信用できないと思う方は独自検索お願いします)で以下書いていきます。
一字一句修正のない正確な決定文は、判例時報等に印刷物として出てくるまで部外者は入手できません。
ちなみに、日経朝日毎日等の大手を検索してみると、決定要旨は有料会員しか入れない仕組みですので引用できません。
大手メデイアは自社の意見を報道したいが、自社意見の前提になる事実開示のハードル(これを職業にしている人は別としてネットに出ている要旨の正確性比較のためだけに有料会員になる一般読者は滅多にいない)を高くしているのでしょうか?
不当決定と主張する弁護側の方で、不当という集会を開いて報道機関に公開し、これを報道機関がこぞって大規模報道している以上は、不当とされている決定要旨と決定全文をネットや新聞等で公開すべきではないでしょうか?
弁護側で国民に決定全文を見られるとまずいから公開しない判断とすれば、「不当決定」という主張自体眉唾になります。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018061100992&g=socによる高裁決定要旨です。

確定判決で犯行時の着衣と認められた半袖シャツと袴田さんのDNA型が一致しないとする鑑定で用いられた手法は、基礎となる科学的原理の信頼性が十分ではなく、複数の専門家から科学技術として確立した手法ではなく原理に関しても疑問があるとの意見が出されていた。
それにもかかわらず、地裁決定は十分な検証ができない資料を根拠としてその証拠価値を高く評価しており、慎重さを欠いている。
また、一般的に実用化されている抽出法ではなく研究途上の段階である上、使用された試薬「レクチン」はDNA型鑑定に必要な白血球を選択する作用がなく、DNA分解酵素を含んでいることも明らかになった。
手法の科学的原理や有用性に深刻な疑問が存在しており、鑑定を信用できるとした静岡地裁決定は不合理で是認できない。
地裁決定は、半袖シャツなど確定判決で犯行時の着衣と認定された衣類5点の発見から近い時期に撮影された写真を基に、衣類や血痕の色合いと類似した衣類をみそに漬ける再現実験の結果を比較し、衣類が長期間みその中に入れられていたことをうかがわせるものではないと判断した。
しかし、写真は劣化や撮影の露光の問題、当時の技術水準などにより、衣類5点の色合いが正確に表現されたものではないことは明らかで、大まかな色合いの傾向を把握するにも不適当な資料と言わざるを得ない。衣類5点が見つかったみそタンク内のみそと実験で使われたみその色が異なっていたことからも、地裁の判断は不合理だ。
よって、鑑定結果やみそに漬ける再現実験の報告書の証拠価値は低く、袴田さんに無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとは言えない。
このほか、第2次再審請求審で提出された新証拠には、確定判決で認定された犯人性に合理的な疑いを生じさせるような証拠価値のあるものは存在しない。
地裁が再審開始とともに決定した刑の執行停止を職権で取り消すかどうかは、事案の重大性や有罪を言い渡された人の生活状況、心身の状況などを踏まえた身柄拘束の必要性、上訴の見込みの有無などを考慮に入れた合理的な裁量権に委ねられている。
袴田さんに対し、確定判決で死刑が言い渡されていることを踏まえても、現在の年齢や生活状況、健康状態などに照らせば再審開始決定を取り消したことにより逃走の恐れが高まるなどして、刑の執行が困難になるような危険性は乏しいと判断される。特別抗告における抗告理由の制限などを考慮しても、再審請求棄却の決定が確定する前に刑の執行停止を取り消すのが相当であるとまでは言い難い。
従って、職権を発動して直ちに死刑と拘置の執行停止を取り消すことはしない。(2018/06/11-19:55)
上記だけ読めば(要旨なので詳細は決定書自体を見る必要があります)メデイアが上記決定について合理的な批判能力がなく、(地裁段階で50年以上前の資料ではDNA 鑑定不能として他の鑑定人は鑑定辞退していた状況らしいです)非合理な感情的批判しかできない「窮地にある」ことがわかります。
「味噌漬けにして実験してみたら一目瞭然の色の差が出ているのに高裁は無視している」と感情的意見がネットに出ているので参考のために紹介します。
http://president.jp/articles/-/25430
「袴田事件」再審棄却は明らかに間違いだ
「5点の衣類」を捏造したのは誰か
高裁決定が出る前の応援主張ならば想像力で書くのも自由ですが、高裁決定批判の題名で書く以上は、決定で否定されたことを繰り返しても意味がありません。
そういう主張を十分してきたのに対して高裁で50年前の写真機やフィルムの性能と今の写真技術は違うから今の写真で比較しても無理があると否定されたのですから、「高裁の否定論拠のここがおかしい」と言ってこそ合理的批判になりますが、一切触れないで従来主張の繰り返しのようです。
最後は、
「・・・いずれにせよ、いたずらに延期せず、潔く、一刻も早く再審を認めるべきである。」
というのですが、「いずれにせよ・・・再審を認めるべき」という願望だけの批判論です。
高裁決定要旨を読めば弁護側の主張に対して丁寧に検証されていることがわかりますが、こういう事実関係をメデイアが(有料登録すれば見えるようですが・・こういうのって公開になるのでしょうか)全く伝えていません。
巷の応援団の主張の是非も含めて訴訟ではさらに掘り下げる議論が戦わされてきたことを公開記事にしないのはメデイア界が理解できないかしたくないからです。
(弁護側は一方の立場である以上何か言わねばならないので、合理的反論できない「腹いせ」に「不当決定」と感情表現しかできないのは理解可能ですが、(それでも本来感情表現は紳士のすることではありません)メデイアが一方に肩入れしない中立の立場であれば、批判する内容がなければ高裁決定の通り淡々と報道すれば足りるのであって「窮地に陥る」必要がありません。
高裁決定要旨は上記の通りで全文公開してもわずかな文字数です。
不当決定糾弾集会の模様を延々と動画編集報道する人件費等のコストに比べれば、高裁でもらった決定要旨引用するだけの瞬時の手間暇で足りて、動画作成に比べればコストはホンの0、00何%の以下のコストでしょうが、この程度のコストを惜しんで有料にする意図が不明朗です。

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