予防と事後対応制度の限界2(家電蓄電方式)

発電所からの送電が止まっても各電柱が一定時間下流への送電可能にすれば家庭での停電開始が遅れ末端消費地の耐久性が増します。
(いきなり全ての電柱は無理としても町内入り口ごとの基幹的電柱を作り、そこに域外からの送電が途絶えても最低数時間〜10時間その先の家庭への送電をできるようにしておけば家電の自給発動開始が遅れるので家電利用時間・消費者の対応チャンスが増えます。
最末端の家庭引き込み口の電柱も1時間程度送電できるようにしておけば、さらに利用時間が伸びます。
現在のシステムでは送電線が切れた場所が家庭から50〜100キロ先であるとしても、その下流全部停電するように思われ(正確に知りません・電流はプラス→マイナスの出口がないと流れないのでA→B→C→D→E~Xの送電設備がある場合、BC間の電線が切れた場合B点以下が停電するイメージで書いています。)ますが、このような簡易基地を数キロごとに設けておいて、上流からの送電が途絶えても各基地で下流に対して5時間分自力送電ができるとした場合、X地域までの間に10基地があれば50時間は停電しない計算です。
こうすれば自宅から10メートルの電柱が倒れたら、即停電→家庭内家電の自給開始ですから地域住民は地域内電柱の保守管理に関心を持つでしょう。
今のように自分らの手の届かない遠距離の電柱管理不十分の影響をストレートに受けるの電線維持に関する関心を持ちにくいですが、地域内自給制度ができれば自治会ごとにあの電線は大丈夫か?などの関心が向くし、地域を大切にする気持ち・共同体意識の育成にもなるでしょう。
鉄道の場合も、相互乗り入れの結果、立川方面で人身事故があっても千葉の電車が止まったり大幅遅延するようなことが日常化しいますが、・相互乗り入れ前に元の終点駅付近にあった折り返し運転用の線路等を撤去し広大な車両基地をマンション用地等に売却してしまったのが直接的原因でないか?思っています。
今回台風後の電車の乱れの例で言えば、京成電車本線が長時間不通やダイヤの乱れが続きましたが、私の自宅と事務所往復に使っている千葉〜津田沼間の枝線の方は、上野行きの直通が少なくほとんどが津田沼との折り返し運転ですので、11時頃に家を出て自宅近くの駅に行くとほぼ通常通り電車がきました。
他の路線で樹木が倒れ込んでも千葉津田沼間で事故がなければ、ほとんど影響がなく運行できていたのは京成津田沼駅に大きな車両基地があるからできたことでしょう。
台風後約10日後に柏市から事務所に来られた人がまだ鉄道が混乱しているというのには驚いたのですが、いくつも乗り換えて来るのには、あちこちダイヤが乱れているので大変だったようです。
遠距離直通運転の場合、経路の一箇所でも倒木等の障害物があると京成全線どころか相互乗り入れしている地下鉄その先の京浜急行などまで影響が拡大します。
電気に戻しますと今回の台風では携帯やスマホ自体が不通になってしまいましたが、各家電が停電後でも1時間前後使えれば、仮に最末端電柱が倒れた場合でも被災直後通報ができるので市町村でも被害状況把握も速やかだったでしょう。
ところで今回あちこちの民家屋上に見かける太陽光発電を設置していたので停電せずに助かったという報道を見かけない(だけですが・・)ところを見ると、自宅で発電した電気を東電の電線網を通じないと自宅に通電しない仕組みになっていたのでしょうか?
せっかく自宅で発電しているのにいざという時に自宅で使えないで、冷蔵庫が止まりスマホの充電もできないのではなんのために「自家発電」を設置していたの?という印象です。
電柱ごとの備蓄は技術的に容易ではないとしても太陽光発電をそのまま自宅で使えるようにするには、電気系統の工夫次第でどうにかなるように思いますので、それをして宣伝材料にすれば、設置家庭が増えるのではないでしょうか?
水道も電気がないとポンプが動かず送水できないとのことでしたが、電気や水が4〜5時間供給できる仕組みの場合、その間にお風呂などに水を満タンにしておけば、飲用外の水だけはかなり長く使えます。
飲用ペットボトルの買いだめ程度の自助努力は大した手間ではないですが、(一回だけ買えばあとは順次古い順位使っていくだけです)困っているのはトイレや風呂食器洗い等に必要な大量の水です。
マンション戸建てを問わずそれぞれ規模に応じた井戸を掘っておけば・・・・飲用にしておくにはしょっちゅう水質検査等が必要ですが、そこまでしなくとも当面トイレ、洗濯、食器洗いや入浴に使えるだけでも大助かりです。
電気がすぐ止まる→モーターが同時に止まってしまう現状を前提に、いざという時のために井戸を掘っておく人がいなくなっています。
モーターが非常時にも最低5時間は動くなどの性能になってれば、井戸の有用性が増すでしょう。
一定規模以上のビルや人の集積場所(鉄道駅)などでは、管理者所有者に最低10日分程度の電気や必要量の水の自給(備蓄)体制を義務付けるなどの法令整備が優先事項でしょうか?
マンションでは、各人個別保有に努力するのは数日分としても一定規模以上マンションでは別に2週間程度の電気や水の備蓄(ないし自家発電装置)すべきでしょう。
焦点が災害対応にズレましたが、現在の法制度があらゆる方面で、問題が起きるのを待ってからの対応を原則としていた点の修正が必要になっている関心に戻ります。
19世紀に確立した司法制度は「事件が起きてないのに権力が介入するのを許さない」犯罪検挙は実行行為があるまで待つのが原則・社会防衛思想禁遏化の基本設計でした。
小泉改革(構造改革・規制緩和)では日本の事前チェック型→許認可制度から米国型の事後処理型→問題が起きたら、訴訟で決着する方向への転換をしきりにメデイアが宣伝していました。
単純思考の私は今後の社会はそうなるのか!くらい・何をするにも許認可基準に合わないとできない・・雁字搦めでは新しい発想で何か始める前に疲れてしまうよな!程度で受けとめていましたが・・。
その時に弁護士大増員の司法改革もセットになっていたのですが、要は、今後事後係争社会になると訴訟が激増するので弁護士大増員必要との説明もされていた記憶です。

予防と事後対応制度の限界

訴訟実務家は訴訟で実績を上げて本当に社会的意義があればその結果・・19世紀型理念の破綻をどうすべきかの問題提起・・社会が考えることではないでしょうか?
サイバーテロやサウジへの無人機攻撃による国防のあり方など、攻める方法は日進月歩ですから19世型自衛概念論争・・敵国が巡航ミサイルやロケットを我が国に向けて発車しても領海侵入あるまでは何の自衛もできないのでは意味がなくなっていることは周知の通りです。
個人間の正当防衛で言えば、殺してやるなどと怒声をあげて刀を抜いて駆け寄ってきたら、走り寄ってくる相手を抜き打ちざまに相手の足を払ったら(駆け寄った方からまだ直接斬りかかられていないので)正当防衛にならないのかということでしょう。
よほど実力差のある関係でない限り斬りかかってきてからの応戦ではその間1秒あるかないかですので)先に斬りかかった方が勝つのが普通(このため相撲では同時の立会いが基本ルールです・全てのスポーツはホイッスル等による同時開始を前提にしています)ですから、素手の相撲の場合立ち上がった段階→刀槍による戦いの場合で言えば鞘を払った段階を起点にすべきでしょう。
戦闘機の場合照準を合わせるレーダー照射まで進めば瞬時に発射可能・0、何秒でも先に発車した方が勝つ精巧な戦い・誘導弾で相手機を追尾する機能があるので、射手の腕や戦闘機操縦能力の技術差による違いが大幅に下がっていて、空振り率の高い時代と違ウノで滅多にない時代にはいっていますので、相手が発射するのを待ってられません。
実際に誘導弾を発射するまで待たないで応戦すべきが標準になっていると言われます。
これが韓国機による昨年頃に発生した日本機に対するレーダー照射事件でした。
9月26日日経新聞朝刊1面には、フェイスブックの創業者「ザッカーバーグ氏に聞く」という表題で、今後は「問題が起きてから対処ではもう通じず」という副題があって、問題が起きてからでは一旦失った信頼回復が困難・・損害が巨大になるために事前の対策が必要という意見が出ています。
弁護士業務関連でも弱者救済対応としては被害相談がくるのを待っているのではなく、〇〇110番という電話相談を弁護士会が開設する積極対応が目立ってきました。
9月9日未明の千葉県を中心とする台風被害では広域停電の結果、メールはもとより電話も通じなかったことから現地(市町村自体が被害把握に手間取り)からの被害情報の収集を待っていた県の対応では後手にまわり過ぎた批判や反省の意見が頻りです。
電子機器の発達以来、リアルタイムの対応に慣れてきたこともあって何周亜kんという長期停電には何をしているの?という驚きが非難の原動力でしょうか?
いずれにせよ、「ことが起きるのを待って対処する態度がはおかしい」という風潮が一般化して来たことは確かでしょう。
ここで話題の方向性がズレますが、被害者からの救援依頼を待つのではなくプッシュ型災害対応がこの数年前から言われてはいるものの、今回の東電や政府対応を非難するのはムード的風潮に便乗した行きすぎでしょう。
どこにどういう被害が発生しているか不明の状態でまず食料を送って良いのか?復旧要因も倒壊原因によって職種・準備する機械などが違いますので、どういう援助が必要か不明のまま出動すべきと言われても政府も困るでしょう。
停電と言えば、送電システムのどこかに問題が生じて電力のプロが故障箇所・理由を見つけて応急処置すればいいという従来型回復を想定していたところ、時間経過でわかったことは、房総半島のあちこちで電柱が大量倒壊していて倒壊原因が多様な原因による結果、復旧作業が多様化したために期間がかかった原因であることがわかってきました。
電柱自体が強風で倒れた程度までは、電柱設置取り替え業者の本来業務に近い(住宅で言えば、建築業者と解体撤去業とは違いますが一応近縁業種です)ので想定内作業だったでしょうが、山林の大きな樹木が倒れかかっているので樹木の伐採が必要な場合、東電が日常的発注している業界外の発注作業になります。
電気技師や電柱建て替え業者でなく林業関係者の出番・樹木が太い場合手作業的電動ノコギリではなくチェンソーなど本格的道具が必要ですし、一定の長さに切断した樹木をクレーン等で撤去する作業車も必要です。
その上電柱の倒壊回復には現場へ辿り着くべき山道が土砂崩れなどで不通になっていたなど、東電単体の作業領域を大幅に超えていたことで自衛隊出動の必要性となったのですが、大量の電柱倒壊が多様な原因によるのでどういう原因によるかなどの状況把握なしには、どの専門業者がどこへ出動すべきかも決められません。
こういう場合プッシュ型災害出動という掛け声ばかりで、メデイアが政府=県知事の対応が緩いと政府批判しても始まりません。
今回の台風対策は初めてか2回目か知りませんが、ともかく走れるだけ走って、これ以上は危険となったら「その時点で運行打ち切り」というデタラメ的?パターンが原則でしたが、首都圏の電車等を台風来襲予測時間前から全面運休して翌朝始発から運休し8時頃から再開き予定という画期的対応をしていました。この結果出勤時の大混乱を避けられたし、企業等も午前中の勤務を中止して午後からの勤務に変えていたと思われます。
千葉県弁護士会からは午後一時からの開館とネット通知がありました。
災害は毎回同じ種類によるとは限らないので、どんな災害にも耐え得る基本体力として、まずできることからやるとすれば、各自が一定の基礎的災害耐久力をつけることが先決ではないでしょうか。
数日〜10日分以上の水や食料貯蔵(日々食べるものであれば買いだめして古い順に消費する))は、各自がその気になればだれでもすぐ備蓄可能なことです。
電気備蓄・・各家庭での自家発電装置は高価な上に維持管理に無理があるので当面不可能でしょうが、一般家庭でも車のバッテリーのような蓄電設備を備えるための開発を促進すべきではないでしょうか?
家電製品については製造段階で停電があっても一定時間は運転持続できるような製品を業界で開発していく努力も必要です。
その機能のある家電設備の方が売れ行きが良いでしょうから、業界に過大な負担を強いるものではないでしょう。
当初10分〜20分程度の製品しか開発できなくとも徐々に3時間〜5〜24時間〜2日〜5日間へと伸びていくように思われます。

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