予防と事後対応制度の限界

訴訟実務家は訴訟で実績を上げて本当に社会的意義があればその結果・・19世紀型理念の破綻をどうすべきかの問題提起・・社会が考えることではないでしょうか?
サイバーテロやサウジへの無人機攻撃による国防のあり方など、攻める方法は日進月歩ですから19世型自衛概念論争・・敵国が巡航ミサイルやロケットを我が国に向けて発車しても領海侵入あるまでは何の自衛もできないのでは意味がなくなっていることは周知の通りです。
個人間の正当防衛で言えば、殺してやるなどと怒声をあげて刀を抜いて駆け寄ってきたら、走り寄ってくる相手を抜き打ちざまに相手の足を払ったら(駆け寄った方からまだ直接斬りかかられていないので)正当防衛にならないのかということでしょう。
よほど実力差のある関係でない限り斬りかかってきてからの応戦ではその間1秒あるかないかですので)先に斬りかかった方が勝つのが普通(このため相撲では同時の立会いが基本ルールです・全てのスポーツはホイッスル等による同時開始を前提にしています)ですから、素手の相撲の場合立ち上がった段階→刀槍による戦いの場合で言えば鞘を払った段階を起点にすべきでしょう。
戦闘機の場合照準を合わせるレーダー照射まで進めば瞬時に発射可能・0、何秒でも先に発車した方が勝つ精巧な戦い・誘導弾で相手機を追尾する機能があるので、射手の腕や戦闘機操縦能力の技術差による違いが大幅に下がっていて、空振り率の高い時代と違ウノで滅多にない時代にはいっていますので、相手が発射するのを待ってられません。
実際に誘導弾を発射するまで待たないで応戦すべきが標準になっていると言われます。
これが韓国機による昨年頃に発生した日本機に対するレーダー照射事件でした。
9月26日日経新聞朝刊1面には、フェイスブックの創業者「ザッカーバーグ氏に聞く」という表題で、今後は「問題が起きてから対処ではもう通じず」という副題があって、問題が起きてからでは一旦失った信頼回復が困難・・損害が巨大になるために事前の対策が必要という意見が出ています。
弁護士業務関連でも弱者救済対応としては被害相談がくるのを待っているのではなく、〇〇110番という電話相談を弁護士会が開設する積極対応が目立ってきました。
9月9日未明の千葉県を中心とする台風被害では広域停電の結果、メールはもとより電話も通じなかったことから現地(市町村自体が被害把握に手間取り)からの被害情報の収集を待っていた県の対応では後手にまわり過ぎた批判や反省の意見が頻りです。
電子機器の発達以来、リアルタイムの対応に慣れてきたこともあって何周亜kんという長期停電には何をしているの?という驚きが非難の原動力でしょうか?
いずれにせよ、「ことが起きるのを待って対処する態度がはおかしい」という風潮が一般化して来たことは確かでしょう。
ここで話題の方向性がズレますが、被害者からの救援依頼を待つのではなくプッシュ型災害対応がこの数年前から言われてはいるものの、今回の東電や政府対応を非難するのはムード的風潮に便乗した行きすぎでしょう。
どこにどういう被害が発生しているか不明の状態でまず食料を送って良いのか?復旧要因も倒壊原因によって職種・準備する機械などが違いますので、どういう援助が必要か不明のまま出動すべきと言われても政府も困るでしょう。
停電と言えば、送電システムのどこかに問題が生じて電力のプロが故障箇所・理由を見つけて応急処置すればいいという従来型回復を想定していたところ、時間経過でわかったことは、房総半島のあちこちで電柱が大量倒壊していて倒壊原因が多様な原因による結果、復旧作業が多様化したために期間がかかった原因であることがわかってきました。
電柱自体が強風で倒れた程度までは、電柱設置取り替え業者の本来業務に近い(住宅で言えば、建築業者と解体撤去業とは違いますが一応近縁業種です)ので想定内作業だったでしょうが、山林の大きな樹木が倒れかかっているので樹木の伐採が必要な場合、東電が日常的発注している業界外の発注作業になります。
電気技師や電柱建て替え業者でなく林業関係者の出番・樹木が太い場合手作業的電動ノコギリではなくチェンソーなど本格的道具が必要ですし、一定の長さに切断した樹木をクレーン等で撤去する作業車も必要です。
その上電柱の倒壊回復には現場へ辿り着くべき山道が土砂崩れなどで不通になっていたなど、東電単体の作業領域を大幅に超えていたことで自衛隊出動の必要性となったのですが、大量の電柱倒壊が多様な原因によるのでどういう原因によるかなどの状況把握なしには、どの専門業者がどこへ出動すべきかも決められません。
こういう場合プッシュ型災害出動という掛け声ばかりで、メデイアが政府=県知事の対応が緩いと政府批判しても始まりません。
今回の台風対策は初めてか2回目か知りませんが、ともかく走れるだけ走って、これ以上は危険となったら「その時点で運行打ち切り」というデタラメ的?パターンが原則でしたが、首都圏の電車等を台風来襲予測時間前から全面運休して翌朝始発から運休し8時頃から再開き予定という画期的対応をしていました。この結果出勤時の大混乱を避けられたし、企業等も午前中の勤務を中止して午後からの勤務に変えていたと思われます。
千葉県弁護士会からは午後一時からの開館とネット通知がありました。
災害は毎回同じ種類によるとは限らないので、どんな災害にも耐え得る基本体力として、まずできることからやるとすれば、各自が一定の基礎的災害耐久力をつけることが先決ではないでしょうか。
数日〜10日分以上の水や食料貯蔵(日々食べるものであれば買いだめして古い順に消費する))は、各自がその気になればだれでもすぐ備蓄可能なことです。
電気備蓄・・各家庭での自家発電装置は高価な上に維持管理に無理があるので当面不可能でしょうが、一般家庭でも車のバッテリーのような蓄電設備を備えるための開発を促進すべきではないでしょうか?
家電製品については製造段階で停電があっても一定時間は運転持続できるような製品を業界で開発していく努力も必要です。
その機能のある家電設備の方が売れ行きが良いでしょうから、業界に過大な負担を強いるものではないでしょう。
当初10分〜20分程度の製品しか開発できなくとも徐々に3時間〜5〜24時間〜2日〜5日間へと伸びていくように思われます。

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