社会党の消滅(沖縄基地反対闘争)

現在級革新系野党の系譜を引く野党の多くは原発反対、消費税増税反対、沖縄基地問題にしろ旧社会党のように元民主党の重鎮が直接関与することがなくなった代わりに、外野から見ていると、国政段階で相手にされなかった主張蒸し返しどころか、主張さえしなかった本音を別働隊の利用で鬱憤ばらしをしているような気がします。
正しいことであれば選挙で主張し、国会で堂々と政策主張するのが政党の役割であるのにこれを何故しないのでしょうか?
民主党政権時代の少なくとも県外へ!というスローガンで選挙に勝ったのに政権党になると、県外移設地候補さえ提案できなかったので、今更辺野古移転に反対する名分がなくなってしまったからです。
社会党村山政権当時安保条約の有効性、自衛隊違憲論撤回決定もしていますので、安保条約に反対だから米軍基地の存続自体許さないという論法が成り立ちません。
土井氏の「ダメなものはダメ式」の消費税反対論も、民主党政権主導で消費税増税を与野党で合意している関係で、その時の政権幹部が横滑りしている立憲民主党などは消費税アップに反対できない縛りがあります。
政党間で公式合意したが裏で合意実現妨害するしかなくなったのが、旧社会党の残党で成り立っている元革新系野党の姿です。
こうなってくると、国会論戦することがなくイチャモンづけするしかなくなった・森カケであれ、検事長問題であれ、政党としての論戦=定年延長が必要か否のかのテーマを論じないで、特定検事長個人が有利になると個人問題に矮小化した姑息な論戦?ばかりになっている原因です。
大手メデイアの応援下で盛り上げてもイチャモンだけでは国民は白けてしまい、野党の支持率は逆に下がっていく傾向です。
安保体制を旧社会党が容認して以来、基地の必要性を前提として普天間基地が危険だからと長年移転を求めて運動してきた結果、移転が決まると次は立地論に移りました。
結局民主党は「少なくとも県外へ!」のスローガンで沖縄県内移転論に反対してきましたが、政権党になって沖縄県外の移転候補地の発表さえできない・・スローガンには根拠なかったことがはっきりした後に代わりに辺野古以外にどこが良いという提案なく一方的な移転反対運動(普天間基地を残せというのかな?・表向き反対しているだけ実は基地経済が出来上がっているので周辺住民は出て行かれると困る問題がありそうです。)では論理的ではありません。
そこで社民党を除く革新系野党は表面上反対できなくなってしまいました。
メデイア論調中心は「沖縄の苦しみが分からないのか!という情緒論だけです。
50年ほど前に行っていた成田空港事件での「農地を奪われる農民の苦しみ!と言うのと同じ繰り返しです。
どんな制度も変更によって得する人や企業もあるし、(定年延長でも、病気がちで早く定年退職金を欲しいのに先送りになって困る人もいるでしょう)損する企業もあります。
個別問題は個別対応すべきで、政策論争は、全体として今後の社会のあり方としてプラスマイナスどちらが大きいかの議論が国会論戦であるべきです。
成田事件でいえば、首都圏内で新空港が必要か、あるいは高速道路が必要かの政策必要の政党間議論が終われば、どこに立地するのが日本の産業構造変化として合理的か政党間の論争テーマになります。
千葉での放射能汚染物質貯蔵場所の問題や杉並ゴミ戦争で立地紛争を紹介しましたが、首都圏内新空港の必要性についてはこれと言った反対論争がなかったようです。
そこで、立地問題だけが重要テーマだったようですが、立地論でいえば、どこに立地しても生業に影響を受ける人皆無の場所はありえない(人家のない奥地でも、キノコ採りや薪炭業や植林事業ができなくなる)のですから、政治は、こういう利害調整こそが本領を発揮すべき分野です。
こういう被害を受ける人がいる・・その人の気持ちがわからないのか!という心情論は、どこを選んでも皆無ではないので)そもそも議論の対象でありません。
立地論とすれば、将来の産業構造としてどの産業の多い・・次世代継承が見込まれにくい産業構造中心地域が候補になり(将来性のある産業集積地域を除く・工場地帯や中心市街地丸ごとの用地買収計画が策定されないことがこのような基準が先行していることを証明しています。)、その中で居住人口(産業従事者)の最小地域となっていくのが合理的でしょうか?
高速道路敷設あるいは鉄道敷設でいえば、立退きで損をする人も逆に山間僻地の放置山林が買収対象になって高額買収資金が入って喜ぶ人もいる・・空港用地買収立退く人でもちょうど子供が都会にでてしまい、後継者がなく近い将来農業をやめるしかない時に買収されて喜ぶ人もいれば、40代でこれから約30年農業をやる予定の人もいる・・いろんな人がいるのは当然の前提ですので、個別問題・・引っ越し困難などの個別事情は個別補償実務で解決すべきであって空港や高速道路の立地が適地かに関する賛成反対論のテーマではあり得ません。
この選定基準が誤っているかの論戦をしないで生業を失う人の気持ちがわからないのか!という情緒論で政党が個別問題を争うのは論争のルール違反です。
しかも・・実際の被害者が少ないからか?一坪地主になってよそ者が中心になって工事実現妨害運動をするのは、政党としての存在意義を自分で否定する行為です。
これに対して旧社会党の衣鉢を継いだ社民党は、党の関与を隠さず堂々と沖縄の普天間基地の辺野古移転反対闘争を実行しています。
旧社会党は再軍備自体反対・・非武装平和論でしたから、基地存続自体の反対運動は観念的には一貫していましたが、旧社会党時代の村山内閣でこれを変更した以上はこれを反故にする主張自体論理違反です。

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