疑惑(思わせぶり)報道1

弁護士でしかも大学教員という肩書きでこう言う運動をし、これを日本の弁護士連合会が採用して国連で主張しているとすれば、相応の実態調査に基づいた根拠ある意見だと誤解する人が多いでしょう。
箔付け=信用性が上がる・・後記の通り論理合理性や事実の有無について詮索する人がグッと減るからこそ、個人弁護士肩書きだけでなく、日弁連主張に格上げしてもらうために日弁連に働きかけたのでしょう。
日弁連がどういう会内手続きを踏んで国連活動するようになったのか知りませんが、関連委員会でも、まさか戸塚弁護士独自の思い込み定義とは知らずに「そんなひどいことが事実なら応援しましょう」となったのかも知れません。
とは言えプロ集団が関連委員会で議論の上組織決定するには(関連委員会での質疑もあるし、調査室という専門チェック機関もあるので)これまで見てきたような「私なら・・」という個人主観だけを前提にしたあんちょこな決めつけ程度の根拠・それ以上の事実調査の有無・性奴隷という定義づけの根拠も聞かずに国連に対する日弁連名で国連活動するようになるとは到底思えませんので、論理の整合性や事実チェックをうるさく言わせない・・(まさか日弁連に他国の違法な影響があるとは思えません・どういう立場の思惑か知りませんが・・)政治的思惑が優先して「勢いで決めてしまった」疑いがなかったとは限りません。
ネット上では日本弁護士が・・という書き込みがありましたが、具体的な氏名も知らず、私自身このような重大なことを日弁連が国連相手に主張していたとも知らず、6月2日に念のために「性奴隷」でネット検索→ウイキペデイアで初めて日弁連の名で運動していたと知った程度です。
日弁連会員である弁護士としては「知らなかったでは済まない」と言われればそれまでですが、何しろ決議案や会長声明がしょっ中送られてくるので、自分の関係がない議題では素通り→ゴミ箱き行きしている状態です。
その上この種運動は、一般会員が全く知らないまま進んでいた可能性もあります。
例えば私が長年関与していた司法修習委員会の経験によれば、法科大学院制度開始にあたって修習生の給費支給廃止がセットのテーマになっていて、もしも給費制度がなくなると修習生の活基盤がなくなる→お金持ちの子供しか挑戦できなくならないかが重要テーマでした。
この問題で法曹養成委員会など関連委員会合同のワーキンググループが設置されて、当時日弁連修習委員会副委員長であった私もワーキンググループ員になっていましたが、ことは国家予算の問題であり政治そのものですから、ワーキンググループの若手活動家?は当時の自民党法務文教関係の重鎮であった某代議士主催の朝食会に5〜6分時間をもらってペーパーを配って発言機会をもらうなどの運動に精出していましたが、どういう政治家に接触するか、その時配布するペーパーのレイアウトやプレゼンス骨子など、いつどの会合に行くかはワーキンググループで機動的に決めて行くスタイルで、数か月一回開かれる母体の司法修習委員会には、現在こういう状況と報告するだけでした。
具体的政治活動になると動きが早いので、一般会員には給費制廃止反対で運動しているという程度の広報しか伝わりませんし、論拠としても上記に書いた程度の「貧乏人が受験できないのは困ったものだ」という一般論類似の論拠しか広報されません。
慰安婦に関する国連活動開始の是非を議論する場は、テーマから推測すると、人権擁護委員会の所管事項であったと想定されますが、同委員会は大規模委員会なので多分部会で検討し、それを全体委員会にあげて議決をへて理事会決議等になって、特命プロジェクトチームが現地前線部隊として事実上(実情に詳しい戸塚氏がその前線部隊のチーフとして?)仕切っていたのではないかと思われます。
多分その頃にそういう広報があった可能性があったと思いますが、このような流れを基本とした場合、「国連に代表を送って、こういう主張する」という広報が一般会員宛にあっても「専門の委員会が実態調査した結果なのだろう」ということで「お任せ」ムードで「小耳に挟んだ」くらいの気持ちでその場でゴミ箱行き情報になるのが普通です。
千葉県弁護士会でも人権委員会が千葉刑務所在監中の某からの人権侵害申し立て事件について千葉刑務所に「〇〇の勧告書を送りました」という会務広報が時々流れてきますが、一般会員としては人権委員会で相応の調査をしたのだろうという推測で終わりです。
決議案声明案等が送付された時の判断基準は、専門員会で事実調査をしたのだろうから・・「事実がそうならば`・・」という判断しかしていません。
その調査資料や調査方法に問題がないかなどに関心もないし、関心があってもその委員でない限り原資料に当たるチャンスもありません。
意見発表した戸塚氏は法律家である以上、合理的調査を尽くした上の意見だと関係ない外野の人は思い込みますので、言葉の定義を独自に作った時は、その都度 私の言うAと言う単語は「世間常識のBの意味で使っています」と説明付きで講演し、運動するべきでしょう。
「性奴隷=拉致されて拒否できない状態・売買対象で性行為を強制されていた売春婦」と世間常識で理解されているときに、「性奴隷だった」といえば、日本だけ世界標準の売春婦と違う奴隷的処遇をしていたのか?と誤解します。
その誤解を利用して日本の慰安婦だけが性奴隷だったと説明して「ナチスの蛮行以上」だと運動していると、世界中に誤解を広める目的・・一種の詐欺・フェイク行為だったというべきです。
借金を返済日に払ってくれない相談を受けてこれを前後の事情によっては詐欺の疑いがあるかもしれないと検討する余地があるかもしれませんが、これを強盗罪あるいは殺人罪と決めつけて借りた先に内容証明郵便を送ったり「あいつは強盗だ」公表してよいでしょうか?
名誉毀損や脅迫で問題になった時に「お金を借りて返さないのは殺人や強盗よりひどい」だからこういうのを「殺人や強盗行為と同じと思っている」と言って世の中で通るのでしょうか?
「奴隷みたいだ」というのと「奴隷だ」というのでは大違いです。
自分が主観的に思ってさえいれば、世間で決まっている意味と違う意味にすり替えて、言葉を自由に使っても嘘つきにならないのでしょうか?
彼一人がこのような無茶な定義づけで、国際運動しても世界中の識者が相手にしなかったと思われます。
これが世界で利用されるようになったのは、これを利用して日本の道徳的地位を貶めたい勢力が背後で着々と準備していたことが、実体的背景であったと思われます。
この点はのちに戸塚弁護士は中国のロビイストであったいうウイキペデイア記載のテーマで紹介します。
(ただしウイキペデイアに書いているというだけで事実かどうかは不明という意味ですが・・)
反日勢力にとっては理屈がおかしくてもなんでも良い・・中韓が無茶を言うと相手にされないが、本来反対すべき日本の学者や弁護士が提唱し、日弁連等の権威ある人権組織が慰安婦非難の国連採択を求めているという錦の御旗(我々弁護士でさえ専門委員会で調査したのだから間違いないのだろうと・原資料に当たらずに信用してしまう)で中韓が問答無用的・関係ない国の多くは日本の人権団体の中核的存在の日弁連がそう言うなら信用できると国連で押し切ってしまったのかもしれません。
もちろん吉田調書というフィクションとこれに便乗する朝日新聞(一般的には朝日が報道する以上は合理的裏付けがあるのだろうと信用利用)の大規模報道の応援もありました。

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