政党と弁護士会・学者の違い1

成田空港・高速道路反対運動で飛行機や高速道路を利用しないのに庶民は被害だけ受けるとか、公害反対運動では金持ちは遠くの安全な住宅街で安穏と暮らしているとか・・・・弁護士になったばかりの頃に頻りに参加勧誘を受けて来たことを何回も書いてきました。
ところが、彼らの説明とは違い、モータリゼーションの進化、一般人の飛行機利用が活発化する時代を見越した政府の方が(空港開設や高速道などは数十年前から候補地選定〜用地買収など準備しないと間に合いません)先見の明があったことが分ります。
西洋19世紀型二項対立社会を前提に意識の低い庶民を指導する「前衛」と自称していた人たちの方が、保守党よりも数世紀後れの「後衛」だったことが次々と分って来ました。
西欧近代の革命理念は言うまでもなくアンシャン・レジーム・絶対王政否定の抵抗・・社会を近代化しようとする入り口のスローガンであって、近代社会そのものですらありません。
革命だけ起こせば、社会底辺までの近代意識が完成するものではなく、牢固たる慣習や意識払拭の戦いのためのスローガンが必要です。
リンカーンの奴隷解放宣言だけで直ぐに黒人奴隷が解放されみんな自由平等になったのではないアメリカの現実を見ても分るでしょう。
何十回も書いていますが、日本は国民との血族意識が強固で圧迫隷従の関係がない・社会の基礎が違うのですから、西欧革命前のアンシャン・レジームの存在を前提にこれをぶちこわす意識の高い前衛?であると自分で名乗っても、日本にはそう言う過酷な制度が元々ないのですから・・何を言ってるの!となってしまうわけです。
敗戦後占領軍政の先棒を担ぐ人・・ありもしない架空の搾取構造が日本にもあったかのように捏造する歴史家やカムイ伝のように史実に基づかない酷い搾取支配があったかのような捏造系文化人?が多く出て、この延長で慰安婦捏造物語が出来たと思われます。
ノンフィクション?を書いた吉田氏は文芸作品である以上創作して何が悪いか?と言うような意見だったと言われていますが、・・4〜5年前にアメリカで格差が問題になると直ぐに日本でも格差反対運動が起きるなど・・日本と欧米では元々国情・歴史が違うのを無視して欧米で起きた先端的騒ぎを持ち込む人がいますが、日本人には空疎な響きしかありません・・。
革新系政治運動家と言い、人権活動家・文化人と称する人たちは「後衛」と言うよりは、結果的に何でも反対し社会対立煽りたい人のグル−プじゃないかの評価が定着して来ました。
近代法の原理とはい言うものの上記のとおり破壊すべきアンシャン・レジームの残滓があって、その除去・戦いのための戦闘モード制度設計・・発展途上向けであり、信頼関係の確立した安定社会向けではありません。
命がけの抵抗・大革命の結果、人民のための政府を目的に樹立されたとは言っても、気を抜けば直ぐに先祖帰りする・・政府は信用出来ないから三権分立で相互監視すべきとか政府は信用出来ないから人権保護のための令状主義・・そう言う不信を基礎にしたシステムです。
いわゆる西欧近代法の法理とは、命がけで反抗しなければならなかったほど王権(西欧の多くは異民族支配で支配者と庶民は体格からシテ違います)に苦しめられて来た民族が命がけで抵抗して勝ち取った特殊な歴史を前提にした発展途上の制度です。
命がけで勝ちとった以上は「近代法の法理を守れ」とか「憲法を守れ」と言うのは、せっかく抵抗に成功して王の支配権を奪ったもののなお基盤が危うく(フランス革命は帝政〜王制〜共和制などの揺り戻しの繰り返しでした)・猜疑心ばかりで構築されているのは歴史の当然です。
日本のように古代から温和に上下共に相互信頼関係でやって来た社会で猜疑心を煽り分裂させようとするのは無理があります。
ただ、怠惰な人にとっては西欧の歴史が素晴らしく「相互猜疑心のある社会ほど良いものはない」と学校教育で受けたお題目を唱えていると自分で考える必要がなくて楽だし、素朴に人を信じる人には「お前こんなことも知らないのか!と偉そうに言えるし・・と言うことで何でも新しいことに反対しているのかも知れません。
日本の前衛・進歩的文化人?活動家は、数世紀前に漸く「民を大事にしろ」と革命を起こしたに過ぎない程度の社会を有り難がっているのですが、にっぽんでは古代からそんな過酷支配がなかったのですが、現実を見る目がないのでその違いが分らないのでしょう。
そこで、欧米の革命運動家を気取って自分クニでも政府のすることに何でも反対することが進んだ行動だと誤解しているようですが、猜疑心で凝り固まり抵抗ほど素晴らしいならば、中国〜北朝鮮〜ロシア程度の社会に行って、庶民のために政府権力と戦ってこそ本当の人権活動家と言えるでしょう。
ところで政党の場合、国民に選択権があるので、日本より数千年レベル遅れた社会モデル・搾取構造を基本にして反対ばかりしていても、どこのクニのな話をしているの?となって支持が減る一方です。
ところが大学や弁護士会は、学問の自由や自治が保障されて来た結果、世間から遊離した馬鹿な主張を繰り返していてもどこからも是正されません。
政党支持率の変遷・・学校秀才や学者の言うとおりの主張する政党の支持率低下を見れば、学校教育が数世紀後れの社会を基準にしていて社会実態に合っていないので、普通の判断力のある子供→20〜50年経過した有権者に受入れられていないことが分ります。 
世の中にはメデイアを通じて洗脳される人もいる・・誤解がはびこっているので念のために書きますと、法律家は現憲法を守って行動すべきですが、憲法規定が社会にとって有害・・不都合な事態が起きれば、これを改正する必要があれば提言することが職務違反ではありません。
憲法擁護義務があるから改正反対の運動は、政治活動にあたらないから弁護士会は会員の思想信条に関わらず会費拠出など(強制)出来ると言う詭弁が流布しています。
こう言う詭弁がまかり通っていることを見ると、この程度の詭弁に簡単に騙される人が多いと言うことでしょうか?
あるいは詭弁に気が付いているが、弁護士自治があって外部から文句が言われないから無理を承知で言い張っていると言うことでしょうか?
北朝鮮や中韓が何かあると何でも「日本の責任だ」と強弁するのに辟易している人が多いともいますが、正義・マトモな会話の通じない集団と世間から思れているのでしょうか?
弁護士は法運用の先端にいる以上いろんな不都合に早く気が付くものですから、いろんな法令に不都合があれば率先して改正提言することこそ職務上要請されていますし、公務員も法令遵守義務があっても実務をしているので取引内容の変化に合わせて新たな規制などを研究するのが普通です。
憲法や法令遵守義務と現行法令改廃に反対する義務は=ではありません。
日弁連や単位界が会員から集めた資金を憲法改正反対運動に使って良いかが議論になると、弁護士であれば憲法を守る義務がある→憲法改正反対運動は政治活動でない・憲法遵守義務から憲法改正反対義務が要請されているかのような珍妙な議論がまかり通っています。
あるいは平和憲法を守るのは人権擁護を職責とする弁護士の義務だと言う人もいます。
義務行為であるから政治運動ではないかのような主張です。

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