金融政策の限界3

資金あまり・・内部留保が多過ぎると思った企業は株主還元と称して自社株買いをしています・・配当出来るような有望投資先がないと言う意味でしょう。
株式会社は、資金を集めてその資金で何かの事業をした儲けを配当するのが本業ですが、折角手元に集まっている資金を新規事業に使わずに、株主に還元・・返した方が良い・→持っている資金の使い道がない状態です。
国内に有望な投資先がなくともよその国に投資して儲ける可能性があるならば株主還元・自社株買いをしないで海外投資すべきです。
世界中どこにも有望投資先がない・・世界中どこにも投資する勇気がないならば、経営者をやめるべきでしょう。
(日本の場合内部留保があっても投資先がない(・・本当かどうか信用していませんが・・そのとおりとすればの話です)ので投資出来ないのですが)中国の金融緩和はもっと深刻化した状態で、ゾンビ企業の借金支払に利用するための資金需要があるだけで新規投資には向かいません。
こういうやり方では、いつまでたっても供給過剰が解消しないばかりか、不良債権が膨張する一方ですから最後には貸し手(金融機関その他)が参ってしまいます。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20160726.html勝又氏の記事からの引用です。
「債務で支えたGDP
『ブルームバーグ』(7月16日付)は、次のように伝えた。

(1)「中国人民銀行(中央銀行)が発表した、6月の経済全体のファイナンス規模(社会的融資総量)は1兆6300億元(約25兆7866億円)で、ブルームバーグ調査の市場予想(1兆1000億元)を上回った。6月の人民元建て新規融資は1兆3800億元で市場予想は1兆元だった。今回の統計では、政策当局が債務リスク拡大という代償を払っても、従来の成長の原動力を維持する決意を変えていないことが浮き彫りになった。今年1~3月期(第1四半期)の与信の急増後、指導部は金融リスクを阻止するため与信の伸び抑制に動く意向を示唆していた」。
「社会的融資総量とは、マネーサプライよりも幅広い概念である。元建ておよび外貨融資、トラストローン、銀行引受手形、社債、非金融会社の株式発行を含み、さまざまな手段を通じて市中にどの程度の流動性があるか、より良く把握できる。特に流動性供給源としての国有銀行融資の重要性が低下するなか、このデータの重要性が増している。
6月の社会的融資総量は1兆6300億元(約25兆7866億円)で、ブルームバーグ調査の市場予想(1兆1000億元)を上回った。実に、予想を48%も上回る資金が実態経済に流れ込んだ計算である。この増加ぶりは異常な伸び率であり、中国政府が大慌てでGDPの低下を食い止めるべく、緊急事態で「土嚢」(社会的融資総量)を積み上げた感じである」
勝又氏の意見に多いに賛同です。
日本では資金余裕のある企業が多いものの、需要以上の増産投資しないと言う結果で見れば過剰生産能力・過剰供給・在庫の山で苦しんでいる中国と同じです。
赤字になるような立地店舗の場合、家賃タダでも出店しませんし、金利が安いくらいで何故国内投資するの?と投資すれば収益の上がりそうな海外に資金が逃げて行くばかりです。
デイズニーランドの近くに似たような施設を作る計画で言えば、いくら投資資金があっても既存設備との競争で勝ち目もないのが分っていれば、競合するレジャーランドを直ぐ隣接地に作る人・企業はいないでしょう。
採算取れる見込みがあってこそ、事業を買収したり新規投資するのであって、企業内にいくら蓄積があっても将来性のない投資をしません・・まして借りてまで投資する企業はありません。
需要を増やすには、金利上下や紙幣の供給量によるのはなく、面白いモノや持っていない珍しいモノがあってこそ気持ちが動くのです。
江戸時代には、変わった斑入り植物や鯉や金魚・・面白いものがもてはやされ、いろんな文芸が発達しました。
エコノミスト・マスコミは資金余力・・内部留保の大きい企業に吐き出させようと躍起ですし、今朝も日銀の判断動向が大きく報道されています。
時あたかもポケモンCOが大人気ですが、これは金融政策効果、金融緩和によるものではありません。
金融政策よりは需要を増やす・紙幣を配るのではなく、面白いもの珍しいものの文化発進力の向上こそが重要です。
クルマで言えば、これ以上増産投資しても紙幣を配っても国内でこれ以上売れ行きが伸びる訳がない・・となれば国内増産投資を誰もしません。
家電やクーラー、ピアノでも何でもみんな行き渡った社会では、金融政策や一定期間の補助金政策(太陽光発電)は需要の先食いでしかありません。
・・一旦普及すると紙幣を配っても(洗濯機を2個もいりません・・精々需要の先食い・・半年〜1年早めに買うくらいでしょう)買い替え需要以外にありません。

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