クリスマス・イヴ(日々是好日)

今日は、年末の楽しみの1つになった・・クリスマスイヴです。
子供が育ち上がってからは大分楽しみ方が変わりましたが、この数年では高齢化して来たからか、日々ささやかなことを楽しく、有り難く感じるようになり、私が弁護士になるかならないかの頃に人気を博していた武者小路実篤の絵画+書?「日日是好日」等のイメージが身に付いてきました。
武者小路と言えば青春時期に「友情」などいろんな著書を読んだことをすっかり忘れていました・・もはや青春時代は茫茫たる過去になりました。
70歳を過ぎたころから、腰を屈める作業がきつくなったからか、庭いじりがおっくうになって来たように感じられ休日は周辺散歩・・美術館・博物館へ出掛けたり食事に出る回数が増えました。
その気になれば、東京には各種美術館、博物館があって、あちこちお勉強を兼ねた娯楽に出かける場所は、いくらでもありそうな感じです。
ここ1〜2年は京都などの遠隔地旅行よりも、都内と千葉県内・・近場の日帰り行楽中心になってきました。
昨年あたりまでは、東京地裁の裁判に行ったついでに、その日はその他の仕事は休み?にして、妻とともに国立劇場や歌舞伎座、日生劇場果ては、宝塚歌劇まで見て歩くことが多かったのですが、今年に入ってからは、日程の合う裁判がなかったことから、日弁連等に出掛けるついでに都内に住む娘と待ち合わせて近くのレストランで食事するくらいでした。
この数年体力が衰えたのか、美術鑑賞・・行動よりもレストランで食事を楽しむ時間の方が多くなった感じです。
東京地裁の場合、松本楼3階で食事したり、佐倉市の川村美術館の場合、ここ数年は美術鑑賞は二の次で、食事目的に出掛けてついでにお庭の散策などを楽しむようになっています。
成田山も年に一回行きますが、これも行きつけの店で天然ウナギを食べるのが主目的です。
食事中心・・そのついでに演劇や展覧会を楽しむようになって来ると、国立劇場(の場合には2階廊下にかかっている名画鑑賞する楽しみがありますが・・)や歌舞伎座の食事レベルが低いのが難点です。
元々の歌舞伎座は食堂形式で酷いものでしたので、建て替え後に期待していましたが新館になっても、新建材になった程度の違いしかなく、窓から見える景色はどこかのビルの裏側と言う感じでまるで戴けません。
日生劇場でも国立劇場でもどこでも、多くの人が長椅子でおにぎりをパクついているのを見ていつまでも戦後じゃあるまいし・・といつも思っていましたが、歌舞伎座はバブル経験後に折角建て替えながら戦後の延長の発想しかないのにがっかりしています。
日生劇場が出来たころの報道を記憶していますが、全面石張りの豪華な劇場が出来て日本にも、西洋的本格劇場が出来たと言うニュースでした。
ドチラが早かったかはっきり記憶していませんが、同じ頃に帝国劇場を取り壊していた・・丸い大きな鉄球をドーンドーンとぶっつけるやり方でしたので非常に印象強く残っています。
そのころは箱物を作るのがやっとで、国民も貧しく食事を楽しむことまで想定出来なかったでしょうが、国立劇場が出来たのは昭和40年代に入ってからですので、立派な食事場所が設定されていますが、役所内食堂の印象を拭えないのが難点です。
この点では上野の東京都美術館には最近奥まったところにちゃんとしたレストランが出来ているのが有り難いです。
高齢化すると量を食べられないからか、良い雰囲気で、良いものを食べたくなります。(おにぎりやサンドイッチを食べてくれと言うのでは困ります)
夏ころにブリヂストン美術館が閉館になると言うので家族で出掛けましたが、このときは東京駅を出たところにあるシックなレストランに入って楽しみました。
数週間前に三井本館内美術館の開館何周年?記念展に出掛けたときには、同三井本館と一体化した高層ビルのホテル内レストランの予約が取れなかったので、美術館内のレトロな軽食店で軽く食べて帰って来たので食事内容に物足りない思いをしたものの、レトロな雰囲気自体は気に入りました。
三井本館は立派な木材を使っているので、10年ほど前に奈良ホテルに連泊して食事をしたときの雰囲気を思い出しました。
奈良ホテルは良い木を使っているのが特徴ですし、レストランは庭園に面していて、雰囲気があって楽しいものです。
自宅が千葉駅に近いので、千葉→上野間が京成電車で40分前後、千葉→新日本橋間がJRで30数分で行ける・・新日本橋駅から三井本館・三越本店まで徒歩5〜6分で行けるので、時間的には自宅近くの散歩と大差ないのですが、やはり自宅周辺の散策の方が気楽です。
知らず知らずの間に日々体力の衰えが忍び寄り、これがいつの間にか行動価値観を変えて行くようです。
事務所は自宅から歩いて行ける距離にあるので、天気のよい休みの日には、家族でぶらぶらと歩いて出掛けます。
私の事務所の入っているビルにマニア向けの小さな映画館があって、イタリアやフランス、スペインなどを舞台にした映画が、しょっ中かかっているのでこれを見に行くのを楽しみにしています。
アメリカ映画と違って、ヨーロッパ映画は人間観察が深い・・味のある・コクのある映画が多いので、我が家の人気です。
映画館から数十メートルの場所に千葉市美術館があって、同じビルの11階のレストランがお気に入りで、映画の前後に昼食を取ってひとしきり楽しんでから余った時間で美術展を楽しんで帰るコースです。
千葉市美術館には東京のような国宝級の展示はありませんが、相応のレベルの作品展示があり、企画力があってわたし的に気に入っています。
家族で年会費を払っているので、ぶらっと何回入っても無料ですからその日の時間余裕次第で30分程度でも良いので、気楽です。
帰り道に、妻の気分次第デパートによったりして賑やかな駅前付近を通り抜ける頃には、日が暮れて、東京ほどではないにしても地元の経済力に応じた質素なイルミネーションで十分満足しています。
こんな具合に・・徒歩圏内で休みの一日が終わるのは、高齢化組に入った今の私にとっては、正に「日々是好日」です。
数日前に来春隠退すると言う先輩弁護士と食事をしましたが、海外や遠くには行きたくなくなったと話していました。
若いときには若いときの楽しみがあり、高齢者に高齢者の楽しみがあると言うことで、どちらが良いとも言えません。
春夏秋冬、朝〜昼〜宵〜晩、それぞれの楽しみ方がある・・宵のころ〜夕暮れは(秋に限らず春でも)格別の味わいがあって、日本では古来から歌に詠まれてきました。
23日天皇誕生日の休みを利用してデパ地下のにぎわいの中での買い物を楽しみ、我が家ではクリスマスイヴを済ませてしまう慣例にしています。
天皇誕生日がこの日になってから、既に27回目ですから、こちらも年をとる訳です。
そろそろ目一杯仕事をしなくとも良い年齢でここ数年余裕の人生になっていますが、今年も今日24日夕方4時から役所関係の会議が入ってしまいました。
私の方は、どうせ23日にクリスマスイヴを済ませる予定でしたので、24日は関係ないよと言うつもりで「良いか!」と言うことで受けたものです。
(日程調整した役所の人もそう言う気持ちかも知れません)
日本中でクリスマスイブを23日に行なう習慣が定着してしまうと数百年後には、「日本の天長節を西洋では一日遅れで祝っているのじゃないか?」「日本は一日早く日の出があるじゃないか?」「皇紀2000何百年とか言うから、キリストよりも古いし・・」とこんがらがって来るのでしょうか?
「日日是好日」に戻りますと、老年期を人生の「たそがれ」にするか、「黄金の夕暮れ」にするかは、本人次第です。
ちなみに「たそがれ」とは夕闇迫る頃合い・・薄暮に、視界がはっきりしないので「たそ?(誰か?)「彼は?」と言うだけのことであって、「枯れる」意味ではありませんが、高齢化=枯れるようなイメージを持たれる方が多いので、一般イメージに合わせて書いています。

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