通常戦力増強2(警察官役1)

武力の強大さに乗じて盗賊・山賊・海賊国家に世界の警察官を自負されても、世界が困るでしょう。
民主国家に限らず統治機構が確立した社会においては、警察官は、国会や(専制君主のように恣意的であろうとも)最高権力者によって決められた法を執行するのみであって、正義の判断基準を示す余地がありません。
国際社会においては正義を決める世界の最上級組織が充分に機能していないために、武力の強弱が世界の正義を決める基準になり勝ちです。
これを法的に承認しているのが、安保常任理事国の拒否権です。
この結果、世界の警察官とは、決まった正義の実行機関ではなく最強武力ないし世界大戦に持ち込める程度の強国=常任理事国の価値判断による、強制力行使を意味することが多くなります。
知財剽窃に始まりその他各種犯罪輸出・各種新型ウイルス病原菌の発生地→輸出国・不衛生の巣窟のように世界中から見られていて、衛生を含めた世界秩序破壊の親玉のような国である中国でも、武力さえ最強になれば世界の警察官・価値を強制出来る国になる資格があるのでしょうか?
今のところ最強ではないので、中国が世界の警察官役をやりたいと言えば世界中から噴飯もの扱いされるので黙っているのでしょうが、最強になれば警察官役ではなく、独裁者として振る舞いたいでしょう。
世界秩序は武力次第とは言え、比較強国程度では、世界の警察官役となるには、いろんな分野で指導的立場にならないと何を守って何を守らないかの基準が出来ません。
専制君主制とは,道徳的価値の優越によるのではなく君主の専制制=恣意制による無原則なものであったことを繰り返し書いてきましたが、中国は未だにこの基準での世界独裁者の地位を目指しているように見えます。
ある国が世界のいろんな分野で秩序形成能力がなく、その裏で秩序に反してウイルスを蔓延さえ、ハッカーしたりして盗み取ることばかりしか出来ない状態で、警察官役をやろうとしても世界中が従わないでしょうから無理です。
シリア問題でアメリカの指導力が劣化したのは、(軍事力の基礎となる経済力の劣化もありますが・・これまで書いているように)マスコミ支配による国内・世界世論誘導が出来なくなったことが直接の原因ですが、このことは武力だけではなく、世論形成が重要であることが分ります。
今回のシリアの化学兵器の管理や検証については、手が汚れている米英仏やロシアではなく、信用力のある日独にお鉢が回ってきそうな雰囲気があるのは、現在でも武力だけではなく世界秩序も一定の信用で成り立っていることが分ります。
中国はまだ山賊・海賊的恫喝で世界的発言力を持っているだけですから、世界の信用を得るのには恫喝/武力頼み・・わが国に対してはレアアース禁輸や反日暴動での脅し、フィリッピンに対する輸入制裁・係争地の武力占領など力づくばかりです。
今のところ世界の参考になるような分野が殆どなくて生活水準が低いのでもっと上昇余力があると言う点で有望・・しかも人口が多いので消費量が多い・・市場価値があることだけを取り柄に、輸入制限で恫喝したりして威張っているだけです。
生活レベルが低い・・低賃金が取り柄ではなく、各産業分野・生活行動分野での指導的地位に就けない限り、世界の指導者になるのは無理でしょう。
秩序破壊者は次の時代の新たな秩序構築者にもなり得るのですが、生活水準の低さを売り物にしている限り・・結果的に不潔過ぎて新型インフルなどの発生地になったりする程度ですから、(この分野で世界先端社会であると言えますが・・)正義の裏づけのない権力では山賊がムラを占拠して恐怖支配しているようなものにしかなりません。
世界の警察官を目指さないならば、今のところ何のために遠征用の大艦隊や空母を必死になって装備し、これを世界に誇示しているのかが問われます。

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