上海株暴落〜通貨切り下げ2

昨年来の経済実態悪貨に伴う相場観では、確かに人民元が割高に維持されていると見られていましたが、(だからこそ外資の流出が続いているのでしょう)ここに来て3連日切り下げ決意をするに至った動機が何か?背景事情は何かと言うことでしょう。
基準金利同様に為替相場の方も効果が出るのに半年くらいかかりますから、毎日のように1〜2%切り下げても資金繰りが直ぐにどうなるものではありません。
他方で資金流出加速の方は、日々発生するので大変です。
もはや中国は無茶苦茶・・死に物狂いとしても常規を逸し過ぎたその場しのぎの政策(と言えるかな?)発動です。
「こんなことをしても恥をかくだけでどうなる訳ではない」と言うプロ(人民銀行関係者)の意見が通らないほど、公式統計に現れない経済破綻の緊迫度・内部政局が緊迫していると思われます。
マスコミ・エコノミストは中国、韓国礼賛一方ですから、6月の上海株相場暴落時の売買禁止などを果敢な金融政策と評価していて株式売買規制も大したものだ・・日本の山一証券救済と本質は変わらない何故批判するのだと言う意見が結構出ていました・・私のようにバカにする意見は皆無でしょう。
中国のやり方は対日外交政策であれ、国内政治のやり方に始まって、全て暴力的と言うか、腕力剥き出しの強引過ぎる政策ですが、今回は、国内政策に留まらずに、露骨な輸出拡大政策ですから国際的波紋が大きくなります。
株式の強制売買停止は主に国内投資家が売り損ねて損しているだけですが、(結果的に国内不満は爆発寸前でしょうが・・)これが為替切り下げ競争に波及して来ると貿易競争相手は甚大な影響を受けます。
鉄鋼や石化製品等特定商品の出血輸出・低価格での輸出でさえ、国際相場の撹乱要因で困っていた・・この関連で国際秩序破壊者としての中国の問題点を「資金枯渇7資金枯渇7(出血輸出と借入1)」2015/06/11〜「中国の国際ルール破り4」〜2015/06/16「(人としての価値観未発達3)、2015/08/06「秩序破壊と社会の停滞・退化1」以下で連載してきました。
これが為替切り下げ競争になると、中国製品全般的値引き競争宣言と同じですから大変です。
中国周辺国は、領土問題等で中国の乱暴な行為に対する反発があっても、資源等を大量輸入してくれるので仕方なしに我慢していたことを10日に書きましたが、中国の爆買いが収束してあまり買ってくれなくなった上に通貨切り下競争を挑まれると、競合する東南アジア諸国に大きなマイナス影響が出てきます。
(ここ連日周辺国の為替相場や株価に大影響を与えています・・東証でも東南アジア進出企業関連株の下げが大きいのはこの結果です。)
今後中国の輸入が更に減り、逆に輸出競争を仕掛けて来ると、折角建ち上げたばかりのベトナム等の工場設備の稼働率が下がる・・周辺国の中国への遠慮意識が低下する方向に働き、迷惑行為に対する政治反発がストレートに出易くなります。
為替切り下げによる輸出競争は、ダンピング競争と同じになるので国際社会では禁じ手ですが、中国にとってはこれまでこのコラムで書いている出血輸出→一定期間経過で企業倒産段階が来て・・限界に来たので、為替水準自体を落として、国を挙げての出血輸出延長を狙ったのでしょう。
出血輸出は特定企業の失敗(見込み仕入れや生産の見通しミス)の後始末で、その企業の自己責任ですが、為替切り下げは輸入物価の上昇を通じて国民全部に損失を負担させて行くので、・・生活水準の2%切り下げ強制と同じになります。
(我が国失われた20年間と言われるものの、為替が切り上がって、国民が約2倍の豊かな生活を享受して来たと言う意見を繰り返し書いてきました)
中国は、経済活動の縮小で輸出減以上に輸入減の方が大きくなっていて、黒字が増えているのですから、(この辺は韓国と内情が同じです)ここで輸出拡大を狙う人民元安政策は韓国同様に間違っています。
韓国の場合、ウオン安操作によって、貿易黒字の蓄積が出来ましたが、これに比例して国民の貧困化が進んだ結果、借金まみれの国民・国外脱出願望や売春婦輸出増になっていることは周知のとおりです・・。
人民元安により輸出は拡大しても肝腎の輸入価格値上がりによって・・内需が減ってしまい、ますます大変なことになる筈です。
これに加えて元切り下げが表面化すると、冒頭に書いたように資金流出を招き当面の資金逼迫も生じます。

上海株暴落〜通貨切り下げ1

中韓と仲良くすべきかのテーマに戻ります。
日経新聞朝刊の経済論壇だったか、経済教室だったかには、6月3〜4日ころから「日韓関係は冷静になって仲良くすべきだ」と言う論文が、論者を入れ替えながら(結論が同じで)連載されていました。
その前には、中国主導のAIIB参加の必要性を誘導するかのような論説が続いていたことを批判的に紹介しましたが、それが終わると今度は韓国と仲直りの必要性の連載です。
ホントに日本の国益のための報道をしているのか、中国、韓国系の人材がマスコミに根を張っている結果なのか理解に苦しむ人が多いのではないでしょうか?
真実は誰にも分らないとしても、中韓が困り始めて中韓が何とか日本と修復したい状況になるとイキナリ中韓と仲良くしようと言い出す政治家やマスコミは基本的信用をなくしています。
論説の正しさを理解するには、前提になる中国や韓国の経済状態の客観的把握が重要です。
6月1日と2日に「勝又壽良の経済時評」5月18日付き記事からの引用で、中国が、07年からの短期間に27兆ドル(この数字単位は翻訳間違いである可能性があると書いてきました。。
・・(原稿はその頃に書いておいた先送り分です・・)
かりに3桁違ったとしても2700億ドル・・約30兆円)も対外借金を増やすとは尋常ではない規模ですが、中国は過剰生産力削減命令またはこれ以上の市場淘汰に任せると政権が持たない印象です.
上海株大暴落がその後に起きましたが、政府の強制介入・・売買強制停止や刑事処罰の強迫で小康状態ですが、経済実態の悪化を政府の力で長期的に誤摩化し切れるものでありません。
ここ数日の動きを追います。
8月10日の日経朝刊では、前年同期比1〜6月の業種別指標が掲載されていたので、これを11日のコラムに紹介したばかりですが、翌8月11日には、人民元基準値2%の切り下げ発表です。
7月輸出額が前年比8%減少に危機感(外貨不足の心配?)を感じた結果、発表直後にこの打開をすると表明していた結果が「2%強制切り下げ」と言うことらしいです。
8月12日朝刊3pには中国ではここ半年間で矢継ぎ早と言うか泥縄式の経済底入れ政策が続いていることが表になって出ています。
金融緩和は昨年から始まっていましたが、今年に入ってからは、2月、3月、4月、5月と毎月のように基準金利を下げていてもどうにならなくなって、(基準金利を半年に1回変更しても連続切り下げあるいは切り上げと報道するのが普通・・金融政策は間接効果期待ですから、効果が出るのに半年前後かかります・・これを毎月変更するのって金融政策の態をなしていないのではないかと思うのが普通の解釈ではないでしょうか?
12日夕刊には11日に続いて12日にも人民元基準値1、6%の連続利下げが発表されていました。
8月13日日経朝刊3pによれば、7月の一日あたり平均鋼材生産量が、前年同月比1、9%減、自動車も11、2%減(乗用車に限れば、26、2%減)発電量も2%減、消費小売り総額が、10、5%増と伸び率が前月比0、1ポイント下がったと書いています。
長江沿いに林立する重慶市の高層ビル群の空き室率が50%に迫るとも書いています。
いわば総崩れ状態ですから、これでは7%%成長に届かないではないか?と言うのが新聞の小見出し?ですから、不思議な意見です。
この統計から見れば、7%に届くかどうかよりは、マイナス何%になるかの議論をすべきではないでしょうか?
8月13日に仕事から帰って夕刊を見ると、今日もまた人民元1、1%の切り下げ報道です。
中国政府に言わせれば、相場の実勢に合わせただけ・・自由化を進めているだけと強弁するのでしょうが、それならば政府が強権的に基準値を毎日決めないで為替相場の自由に任せておけば良いことです。

アジア通貨危機(ドルペッグ・バスケット制)

アメリカだって実力以上のドル高政策は投機筋の売り浴びせを受けてもおかしくないのですが、その心配がないのは図体が大き過ぎて売り浴びせをやるほどの資金を投機家が用意出来ないからでしょう。
貿易赤字によって海外流出したドルの多くはアメリカ国債や公社債等購入資金としてアメリカ還流しているのですが、民間部門では海外にそれほど滞留していません。
日本や中国の例で分るように、対アメリカ貿易黒字国では各国の中央銀行や政府がアメリカの対外債務の殆どを保有していて、ジョージ・ソロス氏のような投機家の自由にならないドルが多いことから、投機筋の対象になり難いことによりアメリカ政府の方針変更以外にドルの急激な上下が生じないことになります。
(USドル=国債・公社債大量保有者の日本や中国政府自身が大量放出すると自国保有債権の暴落=大損害を引きおこして自滅行為になるので出来ません。)
この点では我が国の国債が各国の貿易決済に必要な程度の割合での日本円保有を越えて、投機目的の国債保有者が増えるようになると浴びせ売りリスククが生じます。
今円急落に合わせて慌てて外資による国債購入者が増えているようですが、投資家による保有比率の上昇はリスクが生じます。
ただし以前にも書きましたが、日本のばあいも円建て発行ですので日銀が円紙幣を印刷して買い支えれば際限なく出来るので、急落することはあり得ません。
(この点が自国紙幣を持たないユーロ諸国とは違いますし、この論理から言えば、いくら大量発行しても国債暴落の心配がないことも以前書きました。)
アメリカだけが政府方針どおりに(市場原理を無視して)ドル安にしたりドル高にしたり好き勝手に出来る仕組みはこう言うところにあります。
市場原理を強調するアメリカ政府が率先して市場原理を無視して行動している矛盾・パラドックスです。
東南アジア・韓国の場合、アメリカの要求によって資本自由化していた結果、民間短期資金が大量に流入していたので、売り浴びせと相乗効果のある急激な資金引き上げ(急激に下がり始めたら一刻も早く売り逃げしたい投資家心理を非難出来ません)に直面して大暴落・危機になったものです。
市場原理に反するドル高政策によってアメリカ国民が実力以上の豊かな生活を出来ていたのは、対外債務の積み上げを見ないことにして成り立っていたのですから、急激な売り浴びせを受けないとしてもアメリカ経済だって(巨大過ぎて先送り出来るだけですから)いつかは無理が来ます。
借金生活の咎めが出た点はギリシャ・南欧危機も同じです。
アメリカのサブプライムローン問題に端を発した2公社の破綻〜リーマンショック以降、さしものアメリカも対外債務の大きさを無視出来なくなって、ドル高政策をやめてドル安政策(輸入削減・家計出費削減・・一種の耐乏生活への転換です)に転換します。
アメリカの場合、市場の動きに100%委ねる・左右されるのではなく、まだ国力が巨大ですので、ドル売りの圧力によって大幅切り下げさせられるのではなく、自分の主体的判断でドル高政策やドル安政策を選択し、そのとおり市場を誘導操作出来るところがイギリスのポンド防衛との違いです。
しかし経済の世界は学者や政治家の意見で決めてうまく行くものではなく、市場に委ねた方がうまく行くことが多いのです。
なまじアメリカは国力が大きいので外見上市場と関係なく、(乱暴に)ドル高やドル安政策を決められるものの、長期的には市場に逆らえません。
後に市場の反撃を受けるまでに時間がかかります。
反撃を受けてからでは規模が大き過ぎて大変な混乱が生じます。

通貨安政策4(資本逃避)

為替相場が人為的介入によって実勢と相場が長期間乖離し続けると、ジョージソロス氏のような投機筋・仕手筋に狙われてしまう筈ですが、こうしたリスクなしにウオンの下落が長期間続いていて、むしろ売り浴びせを防ぐために必死に買い支えている状態です。
(最近の報道ではウオン買い支えのために外貨準備が急減している・・その結果純債務国に転落したり純債権国に復帰したりの繰り返しのようです)トータルでは赤字なのではないでしょうか?
日本のマスコミは、韓国政府のウオン安政策が成功していると格好を付けて報道しますが、実際には安くなるべき要因が内在してどうにもならない状態の言い訳になります。
いくら儲かっているとか、格付けがどうのと言っても(そう言う宣伝工作にエネルギーを使っても)実際にその国の通貨が上がって行くか下がって行くかこそが誰のコネも効かないのでその国の国力のバロメーターそのものです。
ちなみに「格付け」とは大金を払ってして貰うものなので、依頼者の希望によっていくらでも上下するもので何らの信用性もありません。
貿易黒字だけでは資金繰りの状態が分らないことのたとえとして、日本の例で言えば原発事故以降貿易赤字傾向ですが、外国投資による利益送金収入が大きいのでトータル収支ではなお何兆円という黒字です。
逆に外資導入が多い貿易黒字国では、トータル収支では赤字となっている国もあります。
対外純債務国と似通っていますが、債務支払時期が必ずしも一致しないので(その年度内に全部返す債務は珍しいので)支払う債務と債務額は一致しません。
外資による多額の資本出資を受けている韓国の場合、ドルや円で持ち込んでウオンに両替した投資ですから、ウオンの下落によって投資金が目減りして行くのでウオンが際限なく下落するとなれば、早く売って逃げようとなり兼ねません。
これがアジア通貨危機、欧州通貨危機が来るたびに問題となる韓国通貨危機発生の構図です。
たとえば、トヨタなどがアメリカに1000億円投資した工場を持っていて、年間売上げ50〜100億円だった場合、これがドルの1割下落によって評価が1割下がると100億円の評価損失になります。
ドル下落によって景気が良くなってアメリカ工場の売上が1割=5〜10億円上がって、純利益がその10%として0.5〜1億円増えても、企業評価としては約99億円マイナスになります。
これが分っているのに通貨安が進行する国に対して行った投資資金をそのままにはしておけません。
通貨安競争にはこのマイナス面・副作用があります。
うまい物を食いたければ、その代わり代金としてお金が出て行くような物で何事もいい面ばかりではありません。
通貨安競争が世界の潮流になると、世界的投資資金の引き上げ競争が加速して行くことになります。
行き過ぎたグローバル化の反省と言うか逆グローバル化時代が始まりかけているのです。
世界中から引き上げた資金をどうするかとなると安全資産に逃げる・・通貨安になりそうもない国の紙幣に交換しておけば損がないと言うことから日本の円が急激に上がっているのです。
下がりそうもない国の株式購入でも同じように見えますが、円が上がればほぼ反比例してその国の企業業績が下がる=株価下落しますので差引同じ結果ですが、国債の場合円が上がった分だけ得するので外資は国債に集中します。
現に中国、韓国からの欧米資本引き揚げが加速していて、上海株式相場は大幅に下落し、且つ人民元相場も弱含みで、中国は資金不足で困っている筈です。
中国からは資金引き上げラッシュなのに、今なお中国への新規投資をしようとしているのは、主要国の中では日本だけです。
中国はこのため日本の新規投資を切望している状態なのは韓国同様ですが、必死であればあるほど低姿勢になるのではなく強硬姿勢で来るのが中国、韓国のやり方です。
(中・韓の品性が卑しいのではなく)日本の歴代政権の対応がこうした習慣にしたのでしょうが、今まで味を占めた経験で中国はイキナリ尖閣諸島で、韓国は竹島で挑発するなど言いがかりをつけ始めた構図です。
日本は投資資金の人民元・通貨下落による一般経済的損失だけではなく、今回の尖閣諸島問題を契機とした反日騒乱によって、中国投資の危険性が追加認識されれば、遅ればせながら世界の潮流に日本も加わって行くことになるでしょう。
(必ずしも世界の潮流に乗ってれば良いとは言えませんが・・・中・韓に関してはこの機会を好機として中韓に義理立てする必要がない・・今回の騒動は中韓政府の煽りで行っていることは明白ですから、・・遠慮なく資本を引き上げるべきだと思います)
従来の自民党政権時代のように安易な妥協・・相手が何か言いがかりをつけて来ると黙らせるためにその都度何かお土産をやる方式をしない方が良いでしょう。
我々弁護士業務に置き換えれば、ヤクザ相手でも同じですが、こう言うやり方は相手がエスカレートするばかりでいい結果になったことはありません。
工業投資は相手も撤退されると先端技術導入が出来ずに困るのでなお何とかなるが、サ−ビス業の投資はいつでも邪魔になれば口実を付けて追い出されるので、あまりしない方が良いと以前から書いてきましたが、イオン店舗など襲撃されているニュースを見るとこの危惧が現実化し始めています。
これ以上新規投資で深入りしないで一日も早く中国・韓国から資本を引き上げるべきです。

通貨安政策3

通貨切り下げは、貿易赤字国がデフォルトを避けるために仕方なしに国民に我慢を強いる政策であり、国民の福利増進のために存在する政府である以上は、一般的には経済危機時の緊急避難行為としてしか取れない政策です。
円高で言えばこのコラムで何回も書いて来たように、国民が得して企業が損する関係ですからこの逆として考えれば分りよいでしょう。
貿易黒字国はその儲けを国民に分配して国民生活をその分豊かにすべきですが、韓国は貿易黒字(それほど困っていない)にもかかわらず、何故国民に耐乏生活を強いる通貨安政策を長年継続採用しているのでしょうか?
こうした通貨安政策の結果、現在の韓国国民個々人は、悲惨の極みにあることは世界周知のとおりです。
(韓国国民の海外脱出願望の強さ・・世界に広がる韓国売春婦問題・・売春婦が世界に広がるほど出身国の悲惨さを示す指標はありません)
通貨安・輸入価格上昇の結果、韓国でも時間の経過で国内物価が上がって来るので、人件費も少しは上がってきます。
(つい最近現代自動車でのストが収束しましたが、なかなか人件費を上げない・労働条件改善に努めないから通貨安のメリットが大きいのが韓国です)
しかし、韓国は鉄鉱石や原油等の原材料輸入代金にとどまらず基幹部品輸入が必須の状態ですから、それらの輸入価格上昇を輸出価格に転嫁するしかありません。
直ぐに価格転嫁しないで先送り出来るのは人件費と国内消費の縮小しかない→国民生活水準の低下で対応するしかない・・ウオン安で儲けているのは、この差額だけしかないのが実態でしょう。
国民に窮乏化を強要して得た儲けの大部分が大手企業の大株主である外資への配当として消えて行くのですから国民は悲惨です。
(韓国銀行その他大手企業の外資比率については January 14, 2012「海外投資家比率(国民の利益)2」で紹介しました)
以前どこかで書いたと思いますが、欧米諸国の非公式植民地になっている悲惨さが如実に現れています。
韓国は強がりを言っていますが、結果を見るとデフォルト寸前の国が通貨安に見舞われて苦しんでいるのと状況が同じです。
国民の賃金アップを少しでも遅らせる・タイムラグメリットに頼る場合、直ぐに追いつかれてしまうと通貨安の効果が薄れるので労働条件を劣悪に据え置くか際限のない通貨安政策を連続するしかありません。
この場合、いつまでたっても通貨安による国民不利益・・ウオン安によって国民(労働者)が安く使われる損失解消が追いつかない・・先へ先へと逃げて行くので、国民疲弊・・犠牲による企業利益追求政策とになります。
(その間の儲けは、大手企業の主たる株主である外国資本家への配当になって消えて行きます)
通貨安によってせっかく国民疲弊策・国民の犠牲の上に貿易黒字を積み上げても、(利子その他の支払を総合した)経常収支赤字国の場合トータルとしての支払額の方が大きいのですから、この逆になって(貿易赤字国の通貨切り下げ同様に)却って損してしまいます。
ところでウオン安政策が何故韓国で何年も続けられているかの疑問ですが、トータル黒字で外貨がドンドン入って来ていれば自然にウオンが上がる理屈です。
(短期間ならば為替介入が可能ですが、年単位で際限なく実勢に反した相場維持は無理です)
ちなみに韓国の公定歩合は今年の3月で3、0%です。
日本のように超低金利ならばキャリー取引による資金流出を原因とするウオン安が理解できますが、日本やアメリカに比べて約3%近くも金利が高いのに何故長期的にウオン安になるのかあるいはそれが維持出来るのかということです。
周辺に比べて高金利なのに長期的にウオンが下がり続けているのは、貿易黒字とは言うものの実際にも外貨が足りない状態に陥ってることを表しているのではないでしょうか?
公称されている外貨準備高というのは、ジャンク債のような売れないものが大半とも言われています。
自国基準金利が3%・・すなわち市中金利は5%前後になっているのにアメリカの1%前後の国債等を買っていると逆ざやで参ってしまうので、信用力の低い高金利の債権を買っているからです。
中国、韓国等の自国金利高による逆ザヤ運用については、April 27, 2012「国債運用益2」前後で紹介したことがあります。

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