日弁連意見と会員(会内民主主義とは?)

私の理解力では「法曹実務にとっての近代的立憲主義」の一連の論文では何を言いたいのか?「平和憲法を守れとか憲法は簡単に変えるべきではないとか?憲法判断のあり方とか」はイメージ的に分かるものの、論理関連が不明でした。
どんどん違憲判決が出るのは反体制派にはキモチ良いイメージ・それが不十分と言いたい気持ちはわかりますが、それが立憲主義とどういう関係があるのか、イマイチよくわかりませんでした。
憲法が最上位法である・違憲審査権活用を言う程度ならば誰でも知っていることであって、だからこそこの主張を前提に実態に合わない憲法を実態にあわせるために憲法改正必要論が一般人の間で増えているのです。
憲法の優位性だけならば、一般人もすでに知っていることですから、今さら「近代立憲主義」と大げさにキャンペインする必要がなさそうです。
立憲主義とはいわば権力抑制のための理念ですが、中国と違って日本ではその程度の事は当たり前です。
文化人の主張は中国や旧ソ連でいえば至極真っ当な意見ですが、とっくの昔に克服している日本に当てはめようとするから、ちぐはぐで国民が賛同しないのです。
なんとなく従来に型にはまった革新勢力の政府批判が、「今のソ連や中国にいうならばピタリだがなあ!と思ってきた人は多いでしょう。
今ではソ連がなくなったので韓国や中国批判をすべきところ路怖くてできないから、日本政府向けにやっているんかな?という印象です。
西欧近代の立憲主義以前から日本は、時の権力者も犯せない不文律のような考えがありました。
正倉院御物には時の権力者と言えども滅多に手をつけてはならないこと・信長が蘭奢待を削ったことがいまだに言われ続けられる国柄です。
今の皇室に関することについては、腫れ物に触るような意識もその一つです。
判例時報の特集は、立憲主義の主張によって、「多数意見でも憲法改正を許さない」という論理を導きたい本音があったのに、その論理感関連が難しいのでせっかく製本して送付してきたのに竜頭蛇尾の印象で終わったのでしょうか?
ただし定期購読中の私のような人は、事実上2000円の本を押売りされたような関係ですから出版社には損はないでしょう。
彼らの前提・・立憲主義とは権力抑制の道具である・政府のすることにはまずは憲法に違反しない化の爪を研ぎ澄ましておいて反抗すべきが、立憲主義の根本だとすれば、最後まで市民活動家であれが終始一貫しますが、権力掌握目的の立憲民主党のになると存在意義不明です。
政党は権力獲得を志向する集団ですが、権力のすることに原則反対・反抗することが目的の政党とすれば選挙民にはわかり良いものの、では自分が権力を握ったら自分で決めた国家権力行使に反対するしかない・.自己矛盾になります。
権力を取ればソ連や中国のように「立憲」どころではない・・「自分・権力がすることは全て正しく何も問題がない」という旧ソ連や中国政府みたいになるつもりでしょうか?
日本の公害や軍備には反対なのに中ソの公害や軍事行動や威嚇には文句を言わないのと同じ二重基準論です。
立憲主義者や平和主義論者は原理論者というよりも空理論者というか、目の前の中国の拡張主義や北朝鮮の脅威にどう対処すべきかついての具体的議論には全く不毛です。
お題目さえ唱えれば平和が来るものでないのですが、(野党を含めた)目の前に迫っている対北朝鮮やちゅごく拡張主義の問題について具体論を聞いたことがありません。
格差反対論に戻りますと、格差縮小をどうして実現するかがテーマなのに、格差反対という抽象論ばかりでは建設的ではありません。
・・・私の意見では正規非正規の待遇格差を合理的な範囲に縮小していくしかないし、政府は現に徐々に取り組んでいますからこの取り組みに対して「この辺をこうしたら良いとか」・・建設的意見を建言することが国民の責務でしょう。
万物に品質差→格差は生じるのは当然ですし、どの程度までの格差を許容すべきかの具体論ではないでしょうか?
オリンピック選手と私のような運動能力の低いもの・アップル創業者と凡人との収入や名誉格差はどの程度が妥当か?の具体論が必要です。
経営者と一般労働者の格差等々・どちらかと言えば日本では諸外国より格差が比較的低いという認識が常識ではないでしょうか?
何が常識かを決めるのは難しいですが、メデイアによるいわゆる世論調査の信用力が近年ガタ落ちです。
イギリスのEU離脱投票とトランプ政権誕生で明白になったように、マスメデイアの党派性が際立ってきたからです。
民主主義社会では民意は選挙結果で見るよりないでしょうが、これに挑戦するために、昨日まで書いてきたように立憲主義が勢いを増してきました。
日弁連は「日本の労働者の現状は,非正規労働やワーキングプア問題の拡大に代表されるように,窮乏を極めており・・」と言うのですが、日本人の何%がこのような主張に納得しているのでしょうか?
日弁連の「偉い人」が宣言すればそれが正しいのではなく、民意を知る方法は選挙ですが、今回の総選挙で自民党圧勝の原因は多くの若者が自民党の経済政策成功の恩恵に浴している満足感(窮乏を極めていない)に基いているという評価が一般的です。
窮乏を極めているか否かの前提論はこの辺で終わりにして、日弁連の労働法制に対する姿勢を見ると予想通りに「解雇に関する現行のルールを堅持すべきこと。」が結論的要望です。
根拠のない前提を(問答無用式に?)掲げた上で結局は、超保守の現状維持・「なんでも反対の旧社会党」が凋落した後を受けて旧社会党に代わって民意の支持を必要としない日弁連が肩代わりして行なっている印象を受ける人が多いのではないでしょうか?
政党である限り選挙民の意向無視では成り立ちませんが、日弁連は直接的には国民の支持など関係がない・・唯我独尊ですから、現実離れした主張の繰り返しが可能になっているのでしょう。
NHKも立場が似ていますが、政治の影響を直接に受けない制度保障が、国民批判を受け付けない「唯我独尊で良い」という意味に転化してくると制度保障自体が民意の支持を失い危うくなります。
昨日か1昨日の報道では、来日中のトランプ政権のバノン前戦略特別補佐官が、HKK名指しでアメリカのCNN同様のフェイクニュース機関」と述べたことが大きく報道されていました。
http://www.sankei.com/world/news/171217/wor1712170029-n1.html

2017.12.17 22:00
フェイクニュース「NHKも」名指し バノン米元首席戦略官、会見で批判「日本のCNNに違いない」
トランプ米大統領の有力側近で首席戦略官兼上級顧問を8月まで務めたスティーブン・バノン氏が17日、東京都内で記者会見し、情報を過去に誤って伝えたフェイク(偽)ニュースの報道機関として、「NHK」の名称をあげた。バノン氏は以前から、トランプ氏をめぐる報道について痛烈に批判しており、日本の報道機関がやり玉に挙がった形だ。
「私も個人的にメディアに反発したいわけではないが、(誤っているのが)真実だから語っている」と話した。」

NHKも批判を真摯に受け止める必要があるでしょう。

日弁連意見書・日本の労働者は窮乏を極めているか?2

若者についても都市住民2〜3世のテーマで書きましたが、バイトで20万円しか稼いでいなくとも、親と同居で全額小遣いに出来る人は、形式上ワーキングプアーですが、実際には普通のサラリーマンよりは豊かな消費を楽しんでいます。
日本の場合、都市住民1世の比率が下がる一方ですから、このような比率の差・親世代の持ち家率なども重要です。
数年前に実質賃金が下がっているという報道が続いた時に書きましたが、好景気でそれまで働いていなかった主婦層が働きに出るようになると10数万〜20万前後の低賃金層が増えるのは当然ですが、それまでゼロ収入だった主婦の収入が20万円前後増えただけのことで彼女たちが貧しくなったのではなく、逆に働けるようになって家計が潤っているのです。
バイト先のなかった息子や娘が一日数時間のバイトできるようになった家庭も同じです。
個々の収入・・例えば、総支払額を就労人口で割る方法ですと、高齢者の職場でなかった分野でも高齢者が週2〜3日働けるようになり、パートや育児期間中の母親や身体障害者等弱者の就労環境がよくなればなるほどそうした就労者が増えるので一人あたり賃金収入が減る方向になります。
仮定の例で言えば、10年前には65〜70歳の9割が年金収入しかなかったのに対して、今ではその5〜6割が月収15〜20万円前後でも仕事があるとした場合、就労人口一人当たりで割ると非正規雇用が増え、一人あたり賃金が下がってジニ係数が悪化したことになるのでしょう。
今の統計方法では就労人口が増えれば増えるほど、国民が貧しくなっている・・格差が広がっているかのような逆転したイメージになります。
変に個人別に切り分けた統計を見て平均賃金が下がっているとか格差拡大していると言ってもほとんどの人は実際の生活実感と違っているので支持しません。
北陸地方の住みやすさ・幸福度指数が最高という報道がしょっちゅう行われていますが、それなのに北陸や東北などの地方から東京など大都会に何故出てくるのか?大都会から北陸地方への移住の方が少ないのかの現実との落差をメデイアは無視したままです。
それは都会に職があり、交通網が整備され学校がありいろんな設備が揃っていて便利だからだというのでしょうが、では何故職や大学や文化施設の有無をすみやすさの基準に取り入れないのか、なぜ評点が低いのか?の答えになっていません。
マスメデイアは、実態無視の基準で勝手に評価しているだけで、国民意見・疑問など無視したままです。
日弁連もメデイア受けに頼る傾向があるので、「窮乏を極めて」いるという唯我独尊的意見発表で満足しているのでしょうか?
メデイアの宣伝と実態の違いを知っている賢明な国民が多い結果、安倍政権になってからの国政選挙で自民党の連続勝利の結果に出ていると思われます。
生活水準・豊かさや窮乏の度合いは、個人単位ではなく世帯単位で見るのが実態に合っているでしょう。
夫の月収4〜50万円の家庭(日本での正規雇用では、500万円年後が最多階層?)でそれまで育児等賃金収入のなかった主婦が働きに出て月収15〜20万円でも増えればその分豊かになった気分でありその女性が窮乏化を極めているとは思っていないでしょう。
賃金労働者一人当たり収入比較・これは景気が良くなるとバイトなど低賃金層から雇用が増えるのが普通ですから、とこの種の人から仕事が増え収入が増えます。
技能関連で言えば、元々腕のいい人は不景気で滅多に職を失わず目一杯仕事をしているのでこの種の人は景気が良くなっても大して(残業手当増える程度・管理職になるとこの変化もありません)収入が上がりません。
技能レベルの低い順に不景気になると失業する代わりに好況になるとすぐに再就職するので好不況の波に影響され安い階層です。
この結果、景気が良くなると低賃金層に仕事が回るようになるので統計上平均賃金が下がり非正規雇用が増え、窮乏化が進んだことになります。
国民の豊かさ、窮乏度合いを見るには、家族全部含めた国民総賃金の推移・・総支払額と対応年度の労働力人口で一人当たり収入増減に引き直して貧しくなったか否かの議論をすれば、結果が違ってきます。
世帯収入の統計をどうするかですが、仮にその把握が難しいとすれば、・・労働力人口(就労人口でなく)が同じとした場合、(日本は少子高齢化で年々減っていますが・・)年間総人件費支払額・これは企業集計でやる気になれば可能でしょう・・が、喩えば200兆円の支払いだったのが5年間で190兆に減っていればその差額分賃金収入世帯全体が貧しくなり、200兆円が220兆に増えていれば、1割豊かになっていることになります。
これを就労人口で割ると高齢者がシルバーセンターなどで、月に数万円程度働くようになると平均賃金が下がり、窮乏化したことになってしまいます。
元々働けなかった人・障害者などが短時間でも働けるようになった分、その世帯収入が増えているのですが、統計では逆になります。
多様な人が生きやすい社会・・子育て中の母親や福祉政策が進むと病弱者や障害を抱えた人あるいは高齢者でも、日に数時間だけでも働く場が用意されるようになるので、低賃金層が増えますが彼らが働けるようになっただけ良くなったのであって働いたことによって貧しくなったのではありません。
お父さん一人しか働く場がなくて月収60万よりは、親子3人自由に働けて各30万の方が家庭は豊かです。
窮乏化が進んでいるかどうかは、個別収入の統計ではなく世帯単位の統計が必要ですが、企業の支給データでは個別支給額しか出ないし、税務や年金保険データでも同じです。
本当の姿を知るためには、日本全体での企業の賃金総支給額が、年度別にどのようなグラフを描いているかでしょう。
労働力人口の減少があるので、このグラフに対する修正要素として、対応時期の15歳以上65歳までの総人口で一人当たりの収入を割ってみれば国民の現金収入変化が出ます。
現金収入に限らず豊かさには、徒歩圏内に医療その他消費財が簡単に入手できる環境にあるかなど日常生活に必要なインフラも需要です。
ウオシュレット普及で代表されるように清潔さその他環境条件も(駅舎も綺麗になり、どこでもベンチがあって気持ちよく過ごせるなど)ダントツの日本のはずですが、日弁連はどこの国とと比べて「窮乏を極めて」いるのでしょうか?
よその国との比較の問題ではなく絶対的な貧困が需要なのだというのでしょうが、「貧困」という言語自体に比較の概念が入っています。
「富士山は日本一の山」という時には、誰でも知っている 公理みたいなもので証明不要ですが、日本の労働者は・・・窮乏を極めているという時には、世界常識と違うので変わったことを言う以上は、変なことを言う方に説明責任があるでしょう。
マス・メデイアが言っているから常識だ・・説明責任がないというのでしょうか?
統計では平均賃金が下がり続けている・.それだけで充分とでもいうのでしょうか?

労働流動性化1(反対論・日弁連1・「窮乏を極めて」る?)

以下は事業転換・人材入れ替えを容易にしようとする動きに対する反対論です。

解雇規制緩和のための「解雇の金銭解決制度」の導入の動きに反対しましよう

2015年9月1日
ニュース・トピックス ブログ
解雇規制緩和のための「解雇の金銭解決制度」の導入の動きに反対しましよう
企業が世界一活動しやすい国を目指す」と、安倍政権による労働者を犠牲にする「労働改革」が進められています。
ところで、政府の労働改革の一つに、無効な解雇でも使用者が金銭を支払えば解雇ができるようにする、金銭解決制度の導入が提言されています。
現在は、正当な理由がない解雇は権利の濫用として無効とされます。
ところが、政府・財界が企図している金銭解決制度が導入されると、労働者が解雇無効の裁判を起こしても、使用者が金銭で解決を図りたいとの申立があると、裁判所は違法な解雇であっても無効とはせずに金銭賠償を命ずることになります。」

ところで日弁連の意見はどうなっているのでしょうか?http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2013/opinion_130718_2.pdf

「日本再興戦略」に基づく労働法制の規制緩和に反対する意見書
2013年(平成25年)7月18日  日本弁護士連合会
・・・・「多様な働き方の実現」のためとして,多様な正社員モデルの普及,労働時間法制の見直し,労働者派遣制度の見直し等が検討対象とされている(日本再興戦略第II一2③)。規制改革実施計画においても,人口減少が進む中での経済再生と成長力強化のため,「人が動く」ように雇用の多様性,柔軟性を高めるものとして,ジョブ型
正社員・限定正社員(ジョブ型正社員と限定正社員はほぼ同じ意味で用いられている。・・・・,現段階では抽象的な記載にとどまるが,それらの議論の経過において解雇の金銭決消制度が具体的に検討されたように,労働者の地位を不安定にしかねない制度となる可能性も残っており,参議院選挙後に予定されている具体的な検討において,経済成長の手段として雇用規制の緩和を利用しようする議論が展開されるおそれがある。しかし,日本の労働者の現状は,非正規労働やワーキングプア問題の拡大に代表されるように,窮乏を極めており,雇用規制の緩和を経済成長の手段とするべきではない。
・・・・・そこで,当連合会は,国に対し,具体的な制度改革の実現に当たって,以下の諸点について十分に留意するよう強く求めるものである。
1 全ての労働者について,同一価値労働同一賃金原則を実現し,解雇に関する現行のルールを堅持すべきこと。
2 労働時間法制に関しては,労働者の生活と健康を維持するため,安易な規制緩和を行わないこと。
3 有料職業紹介所の民間委託制度を設ける場合には,求職者からの職業紹介手数料の徴収,及び,民間職業紹介事業の許可制の廃止をすべきではなく,労働者供給事業類似の制度に陥らないよう,中間搾取の弊害について,十分に検討,配慮すること。
4 労働者派遣法の改正においては,常用代替防止という労働者派遣法の趣旨を堅持し,派遣労働者の労働条件の切下げや地位のさらなる不安定化につながらないよう十分に配慮すること。

上記によれば立論の前提事実として
「日本の労働者の現状は,非正規労働やワーキングプア問題の拡大に代表されるように,窮乏を極めており・・」
というのですが、北朝鮮政府発言のように?決まり文句・・「全ての責任は〇〇にある」式の決まり文句さえ言ってれば良いという姿勢が顕著です。
「日本の労働者の現状は、・・窮乏を極めて」いるとは、どういう根拠に基づいて主張しているのでしょうか?
給与水準で比較しにくければ、簡単な基準である最低賃金水準で比較してもいいでしょうが、日本の最低賃金がどこの国に比べて「窮乏を極めて」いるのでしょうか?
最低賃金水準で見ても諸外国との比較で「窮乏を極めて」いるとは到底思えませんが、賃金水準だけでは窮乏状態をはかれません。
持ち家のある人の月収20万円と家賃を払う必要のある人の20万円では窮乏程度が違います。
高齢化が進むとその収入減少がもろにジニ係数に関係しますが、中韓と違い日本では年金制度が充実しているし、高齢者の金融資産や自宅保有率が高い(ほとんどの人はローンを払い終わっています)などの実情の違いを無視できません。
また高額金融資産のある人が高齢化したために月収がゼロ〜ほとんどなくとも、子供世代に小遣いをやったりして豊かな生活をしている人が一杯います。
これを前提に高齢者からの孫への教育費贈与や、子世代への不動産取得資金贈与についての贈与税減免制度が一般化しているのです。
日本の個人金融資産は近々2000兆円に迫る勢いです。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC17H0N_X10C17A3EAF000/

家計金融資産、最高を更新 16年末1800兆円
2017/3/17 10:41

上記は16年末集計ですから、好景気の続く17年末にはさらに増えているでしょう。
ちなみにちょっとデータが古いですが、世界のデータでは以下の通りです。
http://japanese.joins.com/article/072/221072.html

2016年09月26日14時32分
[ⓒ 中央日報日本語版]
26日、ドイツの保険会社であるアリアンツグループが発表した「アリアンツ・グローバル・ウェルス・リポート」によると、2015年借金を除いた韓国の純金融資産は1人当たり2万7371ユーロ(当時のレートで約360万円)を保有していることが明らかになった。2014年の2万4160ユーロに比べて約3000ユーロ増加した。ランキングも昨年22位から1ランク上昇した21位を記録した。
1人当たりの純金融資産が最も多い国はスイスで17万589ユーロだった。次いで米国(16万949ユーロ)、英国(9万5600ユーロ)、スウェーデン(8万9942ユーロ)、ベルギー(8万5027ユーロ)の順だった。
日本は8万3888ユーロでアジア国家のうち1位で、全体調査対象国家53カ国のうち6位だった。日本人は韓国人に比べて約3.06倍の金融資産を保有しているといえる。

国別金融資産でも世界的に見て遜色がないだけでなく、財閥寡占で知られる韓国など違い日本の場合、そういう格差も低い方ですから尚更です。
蓄積の有無が重要ですのでジニ係数など数字も国の総体力で見るべきなのに、ある国で妥当するかもしれない・一応の指標になるというだけでどこの国にも当てはまらないのかな?数字を持ってきて、日本を不利に評価する材料にしても意味が低いことを書いてきました。
体温計や脈拍数が健康管理の一応の指標としても、それだけで病気かどうか判断できないのと同じです。

憲法違反の疑いと国会議員の職責3(日弁連声明)

選挙民に対して、内容の説明よりは「憲法違反を許すな」「戦争する国にするな!」と言うスローガンばかりが目につきましたので、実際はどうだったのか「野党声明 民主党声明などのキーワードでネット検索してみましたが、ソモソモ民主党などの党声明が出て来ません。
やっていたのは別働隊のマスコミあるいは個人的ブログだったのかも知れません。
そこで代替措置として強力な反対運動をしている日弁連声明を見ておきましょう。

安全保障法制改定法案に反対する会長声明
本日、政府は、自衛隊法、武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動協力法等を改正する平和安全法制整備法案及び新規立法である国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)を閣議決定した。
本法案の問題点は極めて多岐にわたるが、次に指摘する点は特に重大である。

まず、以下中略・・・これは、憲法第9条に違反して、国際法上の集団的自衛権の行使を容認するものである。
次に、・・中略・・憲法第9条が禁止する海外での武力行使に道を開くものである。
さらに、・・中略・・その危険性は、新たに自衛隊の任務として認められた在外邦人救出等の活動についても同様である。
これらに加え、本法案は、・・中略・・これは、現場の判断により戦闘行為に発展しかねない危険性を飛躍的に高めるものである。
以上のとおり、本法案は、徹底した恒久平和主義を定め、平和的生存権を保障した憲法前文及び第9条に違反し、平和国家としての日本の国の在り方を根底から覆すものである。また、これらの憲法の条項を法律で改変するものとして立憲主義の基本理念に真っ向から反する。さらに、憲法改正手続を踏むことなく憲法の実質的改正をしようとするものとして国民主権の基本原理にも反する。
        2015年(平成27年)5月14日
            日本弁護士連合会      
            会長 村 越   進 

日弁連は政党とは違い、基本的人権擁護の立場ですから若干ズレがあるのは当然で、憲法違反論が中心であること自体を異とするにあたりません
ただし日弁連は憲法違反行為があれば追及すべきですが、憲法に改正手続を書いてあるのですから、改正そのものに反対することは、憲法違反行為を自らしていることになり許されませんのでそこまでは踏み込んではいません。
ただ「平和主義に反する」と言う文言は異論があり得るところでしょう。
平和を維持するために友好国との相互協力関係を約束しておくのも平和主義のあり方ですから、どちらの方が平和に資するかは政治で決めて行くべきことであって政治団体ではない日弁連が一方に肩入れするのは、一方の政治勢力加担のそしりを免れないように思います。
以上国会・・法案に対する政党政治家のあり方に付いて、書いて来たのは冷静な人のための意見であって、政治と言うのは、選挙民大衆は冷静客観的に判断する人よりムードに反応する人の方が多いことから、きれいごとを言ってられないので宣伝競争になるのはまだ仕方のないことです。
実際の政治では、マスコミを味方に付けて、大量洪水報道でスローガン・キャッチフレーズを決めた方が勝つ惻面があることは否めません。
結局は国民レベルの問題で、法案内容の議論(利害関係)を隠して、観念的・・「憲法違反を許すな・・」「戦争◯◯反対」と言うアッピールに反応する程度の国民がどの程度いるかで結果・・世論調査の結果などが決まります。
私たちの法律相談でも冷静な事実説明より「相手が酷いとか、みんながこういっている」と言う感情論中心に言い募る人がまだ多いですが、次第に少なくなっています。
日経電子版のニュースを21日に引用しましたが、民主党や野党は実際の利害関係を言うと支持されないのを知っているのでしょうか?
「何故その法案に反対か」の具体的理由を言わずに入り口の憲法違反論に問題をすり替えて「駄目なものは駄目!と言う宣伝戦に持ち込んでいると思われます。

日弁連と政治8(弁護士自治破壊リスク5)

弁護士会執行部の行動があまり行き過ぎると(今行き過ぎていると言う意見を書いているのではなく徐々に行き過ぎるようになると・・と言う仮定の議論です・)・・独占のない健全な市場競争下では、不買・客離れに発展するのと同様に、多数派の横暴に対して脱退気運が盛り上がって来るので、脱退を防ぐために相応の抑制機能が働きますが、(弁護士である限り)脱退が法的に禁止されていると、この最後のブレーキが利きません。
言わば、1党独裁体制下に国民を縛り付けている国家の国民同様になります。
権力規制=裁判では政治活動の是非が不問にされるとしても、政治活動が活発になり過ぎると世間からの批判も起きて来るでしょうし、こういうことが続くと会の公式意見と合わないグループが、会・組織とは別の独自組織・・「◯◯を考える会、◯◯を実現する会」を作る動きが出てくるのが普通です。
この辺が第二組合が出来難い・・いやなら脱退すれば良いし、新規加入が減って行く一般の労働組合や同好会とは違う点でしょう。
少数意見者がグループ結成をするようになると、会の政治運動を牛耳っているグループが強制的に徴収した会費を利用して政治運動しているのに対して、少数意見グループは自費で運動しなければならない・コスト負担の不利益がある上に、自分たちの思想に合わないどころか、自分の意見に対する反対運動のために自分の納付したお金を使われることに納得出来なくなりますので、会費納入に抵抗するようになります。
会費納入に抵抗して会費を払わないと懲戒処分を受けることから、反対運動するしか方法がありません。
強制加入団体とは、会費強制徴収権・・国の場合税金徴収権・・があることと同義であることが分ります。
租税滞納程度では国外追放されませんが・・弁護士の場合、会員資格=弁護士資格がなくなる点で大きな違いがあります。
・・いくら反対運動しても少数派である限り否決されますが、その運動の広がりに反応して多数派が政治活動を自制するようになれば大人の関係です。
「いくら反対しても否決すれば良いのだ」と言う強硬な姿勢を多数派が貫くと、少数派は我慢出来なくなって、外部勢力に頼ることになって来る→外部政治勢力を巻き込んで強制加入方式の否定論=法改正論の盛り上がりへつながり、弁護士自治弱体化に繋がる危険があります。
これが諸外国で国外勢力の応援を得て頻発する反政府運動・内戦やゲリラ・テロ活動の図式です。
政権が強行策をとれば取るほどテロが激化するのはこのためですが、我が国では、古代から敗者の言い分を良く聞く社会ですからこんな大人げないことになったことはありませんし、(明治維新も外国勢力の介入を防いで解決しました)まして弁護士会は大人の集まりの筈です。
ただ、モノゴトには作用反作用の関係があって、世論が特定思考様式を受入れなくなるとこの支持者が世論に歩み寄れば良いのですが、危機感から従来より一層主張が先鋭化し、活発化して行く傾向がありますから要注意です。
(妥協しない人材だけ残って柔軟タイプが脱落して行くのかな?)
政治活動が許されるかの議論の1つとして、政治活動の程度問題があります。
会費を使い、会の名で行動する程度であって、「集会や街頭行動等への参加強制しないのだから・受忍限度じゃないか」と言うのも、程度問題の一種でしょう。
ただ弁護士大量増員によって収入レベルが下がって来て、高齢者会員その他会費負担のウエートが上って来る時代には、参加強制しないで「会費を使うくらい良いじゃないか」とは言えない時代が近いうちに来ると思います。
大きく分類すれば、執行部意見に賛成するグループと反対するグループが両端にあって、意見は是是非で右でも左でも、どちらに使おうとも構わない人から、政治運動するための会費を払うのはイヤだと言うグループ(会費値下げ要求)の4つに分かれるのでしょうか?
この先弁護士の収入減少が続き、世知辛くなる一方とすれば、「会費の使い方などどうでもいいや」と言う中間層が減って行くように思われます。
他方で世論の傾向に反発する最後のよりどころとして政治運動を活発化して行くと中間層の反発も大きくなります。
行き着くところ「強制加入制を撤廃すべきだ」と言う意見、またはどこかの会に加入するべきだと言う強制加入制を残すならば、府県ごとに1つしかないのではなく、「一定数が集まればいくつでも府県内に自由に設立出来るようにしろ」と言う政治家を巻き込んだ運動が出て来るでしょう。
あるいは「関東のどこの会に入っても良いようにしてくれ」と言う案も選択肢になります。
国政選挙では今の県単位選挙区割りが合理性を失っているように、都道府県別に1つの単位会を強制するのは実態に合わなくなって来たように思われます。
私が弁護士になったときに千葉県弁護士会の会員数は90人台から漸く100人突破したものですが、今では750人弱になっています。
もっと地方の県では当時数十人規模が普通でしたし、今でも100人前後から未満の県がいくつもあります。
まして弁護士法が出来た戦後直後には千葉県全部で数十人いたかいないかだった時代でしょうから、こう言う時代には、自治と言っても一定規模がないと自治能力に疑問符が付くし、5〜6人規模の会が乱立すると発言力がなくなる心配があったでしょう。
何人規模以上が必要かの議論よりは、県単位と言う切り方が問題解決に合理的だったと思われます。

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