日弁連意見と会員(会内民主主義とは?)

私の理解力では「法曹実務にとっての近代的立憲主義」の一連の論文では何を言いたいのか?「平和憲法を守れとか憲法は簡単に変えるべきではないとか?憲法判断のあり方とか」はイメージ的に分かるものの、論理関連が不明でした。
どんどん違憲判決が出るのは反体制派にはキモチ良いイメージ・それが不十分と言いたい気持ちはわかりますが、それが立憲主義とどういう関係があるのか、イマイチよくわかりませんでした。
憲法が最上位法である・違憲審査権活用を言う程度ならば誰でも知っていることであって、だからこそこの主張を前提に実態に合わない憲法を実態にあわせるために憲法改正必要論が一般人の間で増えているのです。
憲法の優位性だけならば、一般人もすでに知っていることですから、今さら「近代立憲主義」と大げさにキャンペインする必要がなさそうです。
立憲主義とはいわば権力抑制のための理念ですが、中国と違って日本ではその程度の事は当たり前です。
文化人の主張は中国や旧ソ連でいえば至極真っ当な意見ですが、とっくの昔に克服している日本に当てはめようとするから、ちぐはぐで国民が賛同しないのです。
なんとなく従来に型にはまった革新勢力の政府批判が、「今のソ連や中国にいうならばピタリだがなあ!と思ってきた人は多いでしょう。
今ではソ連がなくなったので韓国や中国批判をすべきところ路怖くてできないから、日本政府向けにやっているんかな?という印象です。
西欧近代の立憲主義以前から日本は、時の権力者も犯せない不文律のような考えがありました。
正倉院御物には時の権力者と言えども滅多に手をつけてはならないこと・信長が蘭奢待を削ったことがいまだに言われ続けられる国柄です。
今の皇室に関することについては、腫れ物に触るような意識もその一つです。
判例時報の特集は、立憲主義の主張によって、「多数意見でも憲法改正を許さない」という論理を導きたい本音があったのに、その論理感関連が難しいのでせっかく製本して送付してきたのに竜頭蛇尾の印象で終わったのでしょうか?
ただし定期購読中の私のような人は、事実上2000円の本を押売りされたような関係ですから出版社には損はないでしょう。
彼らの前提・・立憲主義とは権力抑制の道具である・政府のすることにはまずは憲法に違反しない化の爪を研ぎ澄ましておいて反抗すべきが、立憲主義の根本だとすれば、最後まで市民活動家であれが終始一貫しますが、権力掌握目的の立憲民主党のになると存在意義不明です。
政党は権力獲得を志向する集団ですが、権力のすることに原則反対・反抗することが目的の政党とすれば選挙民にはわかり良いものの、では自分が権力を握ったら自分で決めた国家権力行使に反対するしかない・.自己矛盾になります。
権力を取ればソ連や中国のように「立憲」どころではない・・「自分・権力がすることは全て正しく何も問題がない」という旧ソ連や中国政府みたいになるつもりでしょうか?
日本の公害や軍備には反対なのに中ソの公害や軍事行動や威嚇には文句を言わないのと同じ二重基準論です。
立憲主義者や平和主義論者は原理論者というよりも空理論者というか、目の前の中国の拡張主義や北朝鮮の脅威にどう対処すべきかついての具体的議論には全く不毛です。
お題目さえ唱えれば平和が来るものでないのですが、(野党を含めた)目の前に迫っている対北朝鮮やちゅごく拡張主義の問題について具体論を聞いたことがありません。
格差反対論に戻りますと、格差縮小をどうして実現するかがテーマなのに、格差反対という抽象論ばかりでは建設的ではありません。
・・・私の意見では正規非正規の待遇格差を合理的な範囲に縮小していくしかないし、政府は現に徐々に取り組んでいますからこの取り組みに対して「この辺をこうしたら良いとか」・・建設的意見を建言することが国民の責務でしょう。
万物に品質差→格差は生じるのは当然ですし、どの程度までの格差を許容すべきかの具体論ではないでしょうか?
オリンピック選手と私のような運動能力の低いもの・アップル創業者と凡人との収入や名誉格差はどの程度が妥当か?の具体論が必要です。
経営者と一般労働者の格差等々・どちらかと言えば日本では諸外国より格差が比較的低いという認識が常識ではないでしょうか?
何が常識かを決めるのは難しいですが、メデイアによるいわゆる世論調査の信用力が近年ガタ落ちです。
イギリスのEU離脱投票とトランプ政権誕生で明白になったように、マスメデイアの党派性が際立ってきたからです。
民主主義社会では民意は選挙結果で見るよりないでしょうが、これに挑戦するために、昨日まで書いてきたように立憲主義が勢いを増してきました。
日弁連は「日本の労働者の現状は,非正規労働やワーキングプア問題の拡大に代表されるように,窮乏を極めており・・」と言うのですが、日本人の何%がこのような主張に納得しているのでしょうか?
日弁連の「偉い人」が宣言すればそれが正しいのではなく、民意を知る方法は選挙ですが、今回の総選挙で自民党圧勝の原因は多くの若者が自民党の経済政策成功の恩恵に浴している満足感(窮乏を極めていない)に基いているという評価が一般的です。
窮乏を極めているか否かの前提論はこの辺で終わりにして、日弁連の労働法制に対する姿勢を見ると予想通りに「解雇に関する現行のルールを堅持すべきこと。」が結論的要望です。
根拠のない前提を(問答無用式に?)掲げた上で結局は、超保守の現状維持・「なんでも反対の旧社会党」が凋落した後を受けて旧社会党に代わって民意の支持を必要としない日弁連が肩代わりして行なっている印象を受ける人が多いのではないでしょうか?
政党である限り選挙民の意向無視では成り立ちませんが、日弁連は直接的には国民の支持など関係がない・・唯我独尊ですから、現実離れした主張の繰り返しが可能になっているのでしょう。
NHKも立場が似ていますが、政治の影響を直接に受けない制度保障が、国民批判を受け付けない「唯我独尊で良い」という意味に転化してくると制度保障自体が民意の支持を失い危うくなります。
昨日か1昨日の報道では、来日中のトランプ政権のバノン前戦略特別補佐官が、HKK名指しでアメリカのCNN同様のフェイクニュース機関」と述べたことが大きく報道されていました。
http://www.sankei.com/world/news/171217/wor1712170029-n1.html

2017.12.17 22:00
フェイクニュース「NHKも」名指し バノン米元首席戦略官、会見で批判「日本のCNNに違いない」
トランプ米大統領の有力側近で首席戦略官兼上級顧問を8月まで務めたスティーブン・バノン氏が17日、東京都内で記者会見し、情報を過去に誤って伝えたフェイク(偽)ニュースの報道機関として、「NHK」の名称をあげた。バノン氏は以前から、トランプ氏をめぐる報道について痛烈に批判しており、日本の報道機関がやり玉に挙がった形だ。
「私も個人的にメディアに反発したいわけではないが、(誤っているのが)真実だから語っている」と話した。」

NHKも批判を真摯に受け止める必要があるでしょう。

サイレントマジョリティ11(会内合意のあり方4)

弁護士会が機関決定を得ているから民主的に決めていると形式論を言い張るよりは、大したコストをかけずに出来るアンケート調査くらい速やかにやるべきです。
しょっ中来るアンケーと項目が複雑過ぎて回答率が下がってしまいますが、政治運動可否のアンケーとはテーマが簡単ですから、回答はすぐに集まるでしょう。
しょっ中来るアンケーとは、「過去2年間で◯◯について経験したことがありますかなどの外細かい質問が多くて、記録を見ないと回答出来ない事項なので、記録をひっぱり出すのが大変な手間です・・。
今ならパソコン処理で簡単に検索出来るでしょうが・・・過去の記録をいくつも引っ張り出してそのときの前後の事情を読み込むヒマがないうちに回答期間が過ぎてしまうことがいくらもあります。
今世間を騒がしている政治問題の賛否だけなら資料を探し出す必要がなく、その気になれば即時に回答出来ます。
世論調査などと同じで方式でやれば、即答出来るところが合理的です。
ネットによる賛否のクリックやアンケート等ではもしも数%の不正があるとしても、(会員の少ない弁護士会の場合、後に書くように不正は簡単に露見するので皆無に近いと思われますが・・)議論する余地がないほど圧倒的多数が反対運動を支持しているのか、判断が割れているのかなど、大方の意思・・傾向を知る努力をするのはやらないよりは良いことです。
これをやらないで委員会決議をそのまま会員多数の意見と擬制したり、身近な人からの個人的情報に頼る方が、もっと不正確です。
千葉県弁護士会では、委員会意見をそのまま執行部案にした議案が総会で否決されることが数年続き、今年の2月総会では、逆に委員会提案を執行部が認めないことが総会のテーマになりましたが、このときは執行部の意見が承認されています。
但し、・・念のため・・これらの提案はいわゆる政治的意見の対立案ではなく、実務的提案が中心でした。
委員会案をそのまま出した執行部案が続いて否決され、逆に委員会案を採用しなかった執行部案が支持された現象だけをここでは、書いています。
否決された今年の案は特定グループの会費免除または減免制度創設案でしたが、特定分野だけを考える委員会だけの議論では、トータルビジョンに欠ける意味で参考になる経過でした。
千葉県程度の人数の会では総会出席率が高く会員の意見がそのまま通り易いことによりますが、日弁連は組織が大き過ぎることと、国会同様に?議案が多過ぎることから、総会は形式的進行になり勝ちで事前の委員会の決定がそのままになり易い傾向があります。
千葉権弁護士会程度の少人数の単位会でもワンイシュー・テーマごとに総会を開いていられませんから、ネット・ファックスでの世論調査的意見照会が低コストでしかも短期間で集計出来て合理的です。
弁護士は自分は人権擁護の旗手・・エリートのように偉そうに政府批判していますが、弁護士会組織内の意見集約方式が全く出来ていない・・医者の不養生みたいなところがあって問題である印象を受けます。
ファックスやメールの発達で、会員意向を確認するに足る充分な時間があるのにこれをしないまま、委員会結論の持ち上がりによって、(ところてん方式で)反民主的と言う会長名の声明を出しているとしたら弁護士会の方が会内民主制に反している印象です。
会内民主制に反するだけではなく、会員の思想信条の自由を踏みにじっていないか・・人権侵害団体になっていないかの疑問・・先ず足下会員の人権に対する鋭敏な意識の保持こそが重要です。

サイレントマジョリティ10(会内合意のあり方3)

会全体のイメージ低下を防ぐために悪質弁護士の個人行為に対してさえ、自主的な懲戒制度があります。
まして個人的不祥事ではなく会の名を使っての非常識な主張を繰り返していた場合、会のイメージダウンは、計り知れません。
何が、どこまでやるのが非常識であるかは、会員の一般意思が決めることですが、会内民主主義が機能していると言うのが公式見解ですから、世間では会員みんながこんな意見なのだと誤解してくれと主張しているようなものです。
フォルクスワーゲンのような不正行為があると出来るだけ特定グループの行為に絞りたいのが企業の動きですが、日弁連の場合、民主的に決めた会の総意だと言い張るのですから(今の政治活動が非常識だと思っている会員にとっては)困ったものです。
会の総意といって頑張る以上は、会員の意見調査・・アンケーと調査・・会内世論調査が必須です。
安保法政反対運動するのは行き過ぎと思っている会員が1%や2%ではなく、かなりの比率にのぼると思っていますが、・・・実際には会員の意向調査を会が実施したことがないので、実勢力分布が分りません。
やってみれば、意外に会員の99%が安保法制反対運動することに賛成かも知れませんし・・逆に4割が反対しているかも知れません。
仮に4割の反対があっても会名でやって、反対会員の政治信条に反する行為を強制していいのかという根本的な疑問があります。
日弁連や単位会が会員にたいする簡単なアンケーと等の調査をしないことの意味をどう見るかです・・自信がないからやらないのか、やっても同じこと・・無駄だからやらないのか?
メール投票の場合コストもほぼゼロですし、簡単にやれるのにやらないこと自体も評価の対象です。
中国共産党は充分に民意を汲んでやっているから、選挙制度は不要と主張するのと似ています.
中国での世論調査って聞いたことがありませんが・・・。
弁護士会の場合ややこしいことには、ある法案に反対かどうかの議論よりも、会として反対運動することが許されるかと言う前提的意見調査する必要があることです。
個人がどう言う意見を表明しようが勝手ですが、会は強制加入団体ですから、会員の8割が法案反対であっても残り2割の人に反対運動を強制する権利はありません。
一般組織の場合、強制されるのがイヤな2割の人がやめてしまえばいいことですが、弁護士会の場合やめると弁護士業を出来なくなるので、反対運動するのに反対意見の人でも、賛成意見に飲み込まれてしまわざるを得ないところに、人権侵害性が強まります。
会が会員の総意を知る努力をしないからここでは、「もしかしたら・・」と言うアヤフヤな議論しか出来ないのは残念です。
私が安保法制反対勢力が法案成立条件としてワンイシューでの国民選択を主張するならば、主張勢力の中心になっているように見える?弁護士会こそ会長声明や反対集会や活動を始めるまでに充分な時間があったのだから、ワンイシューで会員意思を問うべきではなかったかと書いた所以です。
死刑廃止運動することの賛否、特定秘密保護法反対運動すべきかか否か、安保法制反対運動すべきか否かその時々、・・リアルタイム的に1〜2週間あれば、簡単にメールまたはファックスで会内「世論調査」できます。
会員意思の趨勢を知られたくない勢力は、匿名性保障に問題があるとか、成り済ましリスクが行けないとかいろいろ言うでしょうが、そんなことを言い出したら世論調査1つ出来ません。
選挙結果を無視して、民意に反していると主張している勢力が自分の組織内の「世論調査」に反対するのでは、おかしな議論になります。
弁護士会の方こそ公約らしきものもなく執行部を形成しているのですから、大きな対外行動をする場合には、テーマごとにアンケーと調査すべきです。
要は、弁護士自治を死守するために、その程度の誤差を前提にしてでも、会員意思がどのあたりにあるか大方の意思に従って行動するための努力をする気持ちがあるかどうかでしょう。

サイレントマジョリティ9(アンケート等の重要性2)

日本政府やマスコミの中韓に対する主張は、名誉毀損被害で言えば、相手に対する要求は、次から発行部数を少し減らすか、掲載方法を目立たなくすれば良い・・広告停止や謝罪広告も、慰藉料支払いも求めないやり方です。
北朝鮮でもイランでも、制裁を受けて妥協するのはせいぜい「今後核開発を停止する」と言うだけですから、これではやれるところまでやると言う意識になるのは当然です。
泥棒その他違法行為が見つかっても弁償しなくて良い・・今後やめるどころか、「今度から回数を減らします」と言えばよいと言う状態です。
中国の南沙諸島での軍事基地敷設問題も、米国は中止を求めているだけですから中国はやりたい放題になります。
ロシアもオバマが絶対に軍事介入しないと読んでいるから、ウクライナやシリアでやりたい放題になるのです。
違法行為を抑止するにはペナルティとセットで主張しないと抑止効果がないのではないでしょうか?
無免許、スピード違反や飲酒運転を見つけても、「今後はやめましょう」と声を掛けるだけはなくなりません。
防犯カメラがあるだけではなく、検挙されるリスクがあるから抑止効果があるのです。
自衛力はいらない、道義に訴えていれば良いと言う場合、国内で言えば警察や刑務所などいらない・学校の先生さえあれば良いと言うのと同じです。
日教組が非武装平和論にこだわる真の理由かも知れません。
話を戻しますと、弁護士会で執行部が「こんな主張をするのはおかしくないか?」と頑張っていても、一般会員が政治問題には関係したくないと言う立場ですと、執行部は孤立してしまうリスクがあります。
政治論にかかわりたくない人が9割の場合、(相手が明白に反対出来ないことを奇貨として?)政治論を吹っかける人が1割いれば、(多くが「事なかれ主義」でうなづいてしまう・・)何でも会全体の意思になってしまうことになります。
我が国では、面と向かって反対や否定するのが苦手な人が多い反面、識字率が高いので、欧米流の演説等はそんなに必要がありません。
むしろ演説で決めるのは害があると思います。
オバマなどアメリカ歴代大統領は演説のみが上手であるものの、本来政治家に必要なその他のネゴシエーション能力に乏しいことが知られています。
政治力が乏しくても今までは圧倒的腕力だけで何とかなっていましたが、相対的強国になって来ると一定の政治力がないとどうにもならなくなって来たのこの5〜6年の世界政治です。
執行部が本気で会員の意思を知りたければ、ネット・アンケート等を実施すれば文字どおりサイレントマジョリティーを知ることが可能です。
日弁連や単位会が簡便なアンケーと調査しないので、事実上委員会を牛耳っている勢力がホンの数%の数で100%の政治力を発揮しているか、会員の99%が政治活動に賛成しているのか不明のママです。
10の権利しかないのにコワモテその他の手段で60〜70の成果を得ている場合・・・ずいぶん得しているように見えますが、長期間の交際を前提にする日本では、長期的には実は嫌われるので損をする関係になります。
お店でイチゴのパックの上に綺麗なものを並べて、下の方にイタンだものを入れて売った場合、苦情をいて来る客が1%しかいなければ店はぼろ儲けです・・文句を言わない客は、その後その店には買い物に行かなくなる率が上がります。
ヤクザが、10の権利の言いがかりで50〜80のものをカツアゲするとその場では大もうけですが、街の嫌われ者になって結局肩身の狭い生活しか出来なくなり、結果的に真面目に働いている人よりは年収が低くなっているのが普通です。
このように本来の権利以上の権利行使?をする狡い人間は長期的に見て損をするのが日本社会のあり方です。
ある勢力の行き過ぎがあっても、本来は放っておいてもやり過ぎればその内是正されるのですが、外部からの批判がある場合そこまで放っておけません。
八百屋の例で言えば特定店員が悪いだけ・・と言って放っておけばその店全体の信用に関わります。
フォルクスワーゲンと旭化成の不正の場合、知っていて放置していた役員もその責任を問われますが、知らなかったその他の部門まで全体として悪評価を受けています。
弁護士会の場合、組織名を使って政治活動をしていることは周知のとおりですから、知らなかったではすみません。
政治活動をすることは犯罪行為や不正とは違いますが、会自体の地盤沈下・イメージ低下・・黙認放置していた一般会員も一蓮托生でそのとばっちり評価を受けてしまいます。

サイレントマジョリティ6(会内合意のあり方2)

一般人・一般弁護士会員は、深刻な人格攻撃に発展し易い政治対立に巻き込まれたくないのが人情です。
一般学生は学生運動に深入りしない・・弁護士の場合東京大阪などを除けば、規模の小さい顔の見える集団が大多数ですので、その後人格的対立関係が残ると窮屈です。
千葉県弁護士会は会員数約750人もいて、大単位会のグループに入りますが、それでも実際の活動区域は松戸支部や佐倉支部等の地域別に分かれているので、(私が松戸支部や八日市場支部あるいは館山支部や一の宮支部等の事件を受任するのは10〜20年に1回あるかないです)日常的に顔を見る相手は千葉市周辺の弁護士に限られています。
建築業者が百件受注しても同業の建築士と相見え・交渉することは1回もないかも知れませんが、弁護士業務は紛争事件が中心ですから、受任するといつも相手があり・・その殆どに弁護士がついています。
経験・・受任した数だけの相手方がある・・。
ですから、(佐倉支部や木更津支部等はそれぞれ10数人〜20人規模かな?)同一地域で4〜50年も弁護士をしていると大方の弁護士が相手方になる経験をする可能性があり、しかも繰り返し出会う可能性がある狭いムラ社会です。
大量に弁護士が供給されるようになったのはここ20年ほど前からのことですが、当時千葉県全体の会員数は250〜300人前後でしたから、この10年あまりで増えた若手を除けば、地域弁護士関係は濃密なムラ社会的人間関係になっています。
今回のTPP交渉を見ても交渉が厳しく長かった分に比例して甘利氏とフロマン氏とは信頼関係が生まれていると言われるように、シビアーな交渉を誠実にやればやるほど相手との信頼関係が重要ですので、密接な人間関係が構築されるし、必要な関係です。
一般の同業者同士・・同業組合の会合で顔を合わせる幹部同士だけではなく、弁護士をやっている限り若手中堅を問わずに日々相手と接触があり、濃密になる必要があるのです。
昔の農民同士・・ムラの中で時々顔を合わせて挨拶する程度の関係よりも、もっと濃密な関係です。
新規参入したばかりで顔と名前が結びつき難い若手は、どこの事務所所属・・あるいは所属していた人と言うことで、(名刺にも◯◯事務所と肩書きを表示する仕組みです)これまたすぐに人間関係が分る関係です。
こう言う狭い社会・集団内では、政治意見を戦わせて対立するのは社会的ロスですから、出来るだけ触れないのが大人の智恵です。
町内会でどこの政党を支持するべきかや、隣人と政治論争をする必要がない・・むしろ害があるのが常識でしょう・・「良いお天気ですね・」「お元気ですか」程度のお付き合いが妥当です・・。
この結果、色分けの決まっている弁護士会の政治的委員会に、少数意見を言って対立するためにワザワザ入らない流れになっているように思われます。
戦後70年近くこれの繰り返しをしてきた結果、学生運動や弁護士会の政治的委員会活動の純化を強める結果にもなって来ているのではないでしょうか?
繰り返すように、この辺は会が何故か全く会内意識調査をしていないので、仮定・・もしかしたら・・の意見です。
意識調査をするのは、思想信条の侵害だと言う意見があるからでしょうか?
マスコミ等の行なう世論調査が憲法違反と言う人がいるのでしょうか?
意識調査してみたら、もしかしてイヤだからはいっていないのではなく、政治的委員会に入りたいが、定員オーバーになったので仕方なしにはいっていないと言う人が圧倒的に多いかも知れません・・・アンケーとその他簡単な意識調査すらしていないので、仮定の議論しか出来ないのが残念です。
もめ事を起こしたくないから反対意見を敢えて言わない・・・一般会員の気持ちがそうであれば、これに支えられる執行部も同様です。
余程の自信がない限り、委員会から上がって来た政治的な会長声明、研修会活動(会場費や講師謝礼等)あるいは反対運動等費用の支出要請・・委員会予算要求に抗えません。
各種委員会はまとまった委員数を擁し、しかも何十年も継続しているその道のベテランである上にしょっ中会合を開くなどの運動していて同志的人間関係も濃密ですから、団結力・政治力・運動力も大きいのに対して、1年ごとに選任され、しかも(千葉の場合)4〜5名しかいない執行部は、政治基盤が弱く、各種委員会の主張に圧され気味になります。
執行部は出身委員会内では強固な支持を得ていると思われますが、他所の委員会提案に対する関係では統一見解を持っていないので、団結力・戦闘力を持っていません。

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