消費税増税延期と国債信任(マスコミ報道の中立性)2

1昨年日本が衆議院解散によって、税率アップしないことに決まった結果、(格付け会社がすかさず格付けを引き下げたのに対して)国債市場においてこれに反して直ぐに日本国債の価値が上って金利下げに転じているのですから、「消費税増税は日本経済にとってマイナスである」と、市場参加者多数が考えていたことを証明しています。
その後中国発の経済危機が起きてもなお、現在まで日本国債の市場評価が上がり、金利が下がる一方ですから、格付け会社の判断が間違っていたことが短期的にも中期的にも証明されています。
エコノミストや日本のマスコミ・・日本マスコミに頼まれて?これに付き合っている世界のマスコミ界、IMFなど国際金融機関係者も大恥をかいた状態です。
ちなみに国際金融機関の意見と言うと何となく有り難そうですが、日本財務省の窓際族が(国益を守るために?)出向していて、本省の言うとおりに発言・・IMFはこれに基づいて日本関係の発表を行なうことになっているようです。
この辺は,NGOによる「援助交際」問題に関連して国連報告ってどうやって出来上がってて行くのかに関連しての連載中だったのですが、今は先送りになってますが、その内にその続きを書きます。
事件相談者にも・・「みんなが言っていると言う」人が多いです。
マスコミやNGO例えば、慰安婦報道を朝日新聞が拡散しておくと、外国マスコミは実態不明のママ朝日報道を前提に報道する・・それを朝日が世界中でそう言われていると利用すると言う巧妙なトリックです。
増税先送りが決まると直ぐに日本国債相場が上がったのは、市場参加者間では増税すると日本経済が大変なことになる→国債の売り=金利アップを予定しており、増税先送りで破綻リスクがなくなると考えて買い判断に動いたことが明らかになりました。
市場参加者の大多数の腹は、増税は日本経済に中短期的にマイナスと決まっていたことになります。
市場意見の大勢がそうなっていたとすれば、これをエコノミストやマスコミ関係者が一人も知らなかったのはあり得ないことですから、中立を要請されるマスコミとしては、両論を紹介すべきだったことになります。
いつも書いていることですが、マスコミの中立性違反の根深い体質がここにも現れています。
財務官僚はIMFにまで手を回して増税に向けて意見表明させていた・・先送りが決まるとすかさず失望意見を出させていたように記憶していますし、国際格付け会社の引き下げが決まるなど・・財政当局やマスコミの努力には敬服?しますが、「市場のことは市場に聞け」と言う格言どおりに、市場の意見が正しいことを基準にすれば、増税して日本経済を破綻に導く方向だったことになります。
日本経済を破綻方向へ誘導しようとする官僚やマスコミってどこかの国の手先か?・・日本を潰そうとしているのか?と言う議論が起きて来るのは当然です。
世界中のマスコミと談合を繰り返して国際世論を形成しても、市場の実際の評価がこんな噓(裸の王様)を問題にしていないことが、増税先送り後の国債市場での金利動向や円相場・・経済大波乱→「有事の円高ドル安」現象にみてとれます。
慰安婦問題の世界拡散運動やアメリカ主導の日本悪玉論・・これに迎合する日本メデイアによる日本の評価を貶めるための流布活動に関しては、国債のように国際市場による民主的チェックがないので、国際マスコミが談合している限り当面化けの皮がはがれません。
米国をバックに日本マスコミやいわゆる文化人・・中韓などが日本批判を繰り返す・・世界マスコミ支配している勢力が世界中に流布させている噓を覆せないのが苦しいところですが、その代わり長期間でいつかは真実が明らかになると言うのが我が国の信念がいつかは日の目を見るときが来ると祈るしかありません。
何回も書いているように、日本では数百年〜千年単位後の名誉を重んじる国・社会ですから、噓はいつか絶対にバレルと言う信念です。
アメリカが軍事力をバックに強制して来た虚構の歴史が70年の経過で、アメリカの軍事力のかげりに合わせて中東での収拾のつかない混乱→難民急増→EUのきれいごとの破綻、アジアでは日中韓の対立等々で、全ての分野でいよいよメッキが剥げ始め・・アメリカによる虚構の歴史観の終焉が始まりました。
・・新しい秩序=古代から培って来た日本の万物に対する愛に満ちた世界観がアニメその他を通じて世界に広がる始まりを感じている国民が多いのではないでしょうか?
韓国では、自国歴史までファンタジーで塗り固めていることが知られているとおり、虚構の歴史に最も単純に反応して来た優等生?であり、これをしたたかに利用して来たのが中国(利用しているだけなので、ヤバいと思えば、方針変更も気楽)です。
戦後秩序がアメリカ・ユダヤ系マスコミの虚構によって成り立っていることをアメリカやユダヤ系は自覚しているから慎重でしたが、アメリカの支持さえあれば何を言っても良いと単純に信じている韓国が遣り過ぎたことによって、(日本の協力を必要としているアメリカが、さすがに韓国の主張を応援し切れなくなった・・)却ってアメリカが営々と構築してきた戦後秩序の虚構性が暴露される切っ掛けになってきました。
中東ではイラク戦争に始まるアメリカのやり過ぎの限界が出て来て・・中東の混乱を鎮められないアメリカの軍事力低下→難民の急増が西欧でも戦後秩序の混乱が始まっています。
消費税増税に戻しますと、マスコミやエコノミストの言うとおり、増税しないと財政赤字の日本が大変なことになると言う脆弱性があれば「危機時に円高になる」筈がありません。
7年半前のリーマンショックや今年初めからの為替相場の動き・金利動向を見れば、日本が世界一安定した経済状態にあることが証明されています。
論者は中短期の見通しではなく長期的に大変ことになると言うのでしょうが、では格付け会社が40年も50年も先のことで何故即時に格下げしたの?と言う疑問に答えられないでしょう。
格付けは、50年先に買う人のためではなく、今買ったり売ったりする投資家の参考にするために格付け・評価するものです。
人によって100年先〜50年〜1年〜半年先喉の時点・・そのときに今の社長が辞めているとか世界情勢がどうなっているなど全ての要素を織り込んでその内のどれを重視するかはその人の勝手ですが、いろんな要素基準で考える人が多く参加して市場価格が決まって行く・・いずれにしても将来を見越して現在の価値を決めて行くが評価・格付けと言うものです。
すなわち、100年さき、5年先でも人によって何を基準にするかは市場参加者の勝手ですが、市場参加者が無数の可能性を織り込んで、結果的に今・現在の価値を決めて行くのが市場です。
コネや義理に左右されない市場が1昨年から現在までに日本国債評価が下がっていない事実こそが重視されるべきです。

消費税増税延期と国債信任(マスコミ報道の中立性)1

マスコミによる失われた20年論の外に、慰安婦問題で如何に日本評価を貶めるかに腐心していたことが明るみに出ましたが、昨年末から問題になっているNGOによる日本の児童買春が如何に酷いかの世界拡散努力などで、あらゆる分野で日本が如何に道徳的に劣っているかや、もう日本は駄目だと国際的に悪宣伝している様子です。
1連のマスコミ世論によると、イザ国際経済危機が来ると、危機時に世界一脆弱な日本円が暴落しなければ辻褄が合わないのですが、「危機時の円高になる「珍?」現象をマスコミが隠すことも説明することも出来ません。
日本マスコミが世界のマスコミを籠絡して日本駄目論を如何に展開しようとも、(自分の意見を世界に拡散しておいて、これを引用する世界のマスコミや国連報告を再引用して、国連でこう言われていると自分の意見の正統性を確保するやり方)為替市場を見れば、事実に基づかない限り裸の王様のようなものです。
裸の王様がくしゃみをしているのに、なお裸であることを認めない・・イソップ童話の先を行っている状態ですが、市場の判定を無視して・・日本株安=アベノミクスの失政と批判するばかりです。
(経済現象の見方は、多種多様にあるべきなのに、そろって「失われた20年論=日本駄目論」を私はこのコラムで孤立無援?でこれを繰り替えし批判して来ましたが・・日本は大変だ大変だと煽る論調に対する迎合論文ばかりで異論が1つも出ないこと自体が学問の世界として異様で、信用出来ません。
マスコミに採用して欲しいエコノミストは・・中韓で流布している日本沈没論的論調・・に合わせない限りマスコミに採用されないから自己正当化のために自分の内心の考えまでそれに合わせてしまう・・仮面化・迎合するしかない状態に陥っているのでしょうか?
恥ずかしいことです。
日本マスコミを震源とする世界の一致した日本低評価論にまんまと引っかかった中韓が、日本を見くびって反日で中韓急接近したのですが、今回の波乱局面では日本の実力が明らかになって、日韓スワップ協定再開の必要性を実感していますが、今更日本の援助を頼み難くて困っています・・自業自得です。
日本マスコミは、反日だと言う意見が多いですが、外敵に日本を見くびらせて陥れる遠大な策略を弄していた本当の愛国組織だったと言う評価が後世でて来る可能性があります。
人民元下落の危機で世界が大混乱に陥っているのに、信用下落の震源地になっている人民元とのスワップで何を保障してもらおうとしているのか?子供にも分ることですが、韓国はマスコミ報道をそのまま信用したのか?反日に猛進して日本との協定を放置して中韓スワップ協定で安全と妄信してしまったのですから喜劇です。
企業信用で言えば、金持ちとの相互保障ならば、信用力が高まりますが、倒産直前企業同士で相互保障しても意味がないのは当然です。
だからこそ、個人でも金持ちや有力者と親しいのが自慢になるし、貧困者と親しいと自慢する人はいません。
世界中が日本を頼りにしている・・、TPPに限らず、今や日本の信用を抜きにしてアメリカは指導力を発揮出来ない状態が起きています・・この辺は、日本の補完作用として昨年から、連載中でしたが、そのうちそのテーマに戻ります。
こう言う主張は私の個人意見でしかありませんでしたが、今回アメリカの金利上げに伴う動乱に際して日本円だけが上がる実態から日本の実力が(縁故や政治工作によらない)市場で証明されました。
未だにマスコミは世界に流布させて来た日本経済破綻論・・もう日本は駄目だ・・先がないと言う日本の評価を下げる方向で頑張っています・・。
この説明のために株価が下がったじゃないかと言い、格差拡大・・生活保護受給者が増加していることを傍証にしたいのか?・・・・地方や弱者に好景気が波及していないと言うお決まりの批判です。
好景気は時流を先取り出来た(技術革新に成功したり経営手法革新)企業群から始まり、これに適応して製品対応出来る下請け企業関連から始まるのは当然であって、旧態然とした企業の多い地方に即時に波及するのでは、逆に技術革新に遅れたゾンビ企業の温存になって日本の将来にマイナスです。
コンビニのような身近現象を見ても、都会から始まり地方へ順次波及して行くのには何十年もかかっています。
好景気になってから半年〜1年経過で地方に波及していないないと言う批判は、外国に出掛けて1年後に帰ったお父さんが妻に対して「家を出るとき10歳だった子供がまだ20歳の働き手になっていないじゃないか」と批判しているような議論でしかありません。
モノゴトには一定の時間が必要なことを無視した議論です。
好景気と言うが実質賃金が下がっていると言うマスコミ論調が続いたときに、批判意見を書きましたが、多忙になると、正規雇用をすぐに増やさずに非正規から臨時採用が始まるので、労働者全体の平均賃金が逆に下がることを書きました・・最近私の批判が効いたのか?「実質賃金が・・」と言う誤ったマスコミ・エコノミスト主張が急激に減りました。
無職の人が働けるようになった・・既存末端パート・アルバイトの労働時間が増えることから始まると言うことは、弱者から先に恩恵が広がっていることを表しています。
マスコミはこの実態を逆に平均賃金が下がったと繰り返し主張していたのですが、私の批判によれば、最低弱者の収入底上げが進んでいることが裏付けられますが、未だにアメリカに存在する格差問題が日本でも広がっている・・自分で社会実態を見る能力がなく・・欧米の意見をそのまま主張すれば良いと言う戦後思想の姿勢?で格差社会の旗を掲げたままです。
このようにマスコミは特定立場で?いつも日本を悪く書けば良いと言う基礎的姿勢があります。
国際格付け会社が、1昨年の安倍政権の消費税アップ先送り決定時に日本の財務省やこれを応援するエコノミストの意見に副うように、日本国債の格付けをイキナリ引き下げましたが、その直後に増税先送りを好感した債権市場で日本国債の人気が上がり実効金利が下がってしまいました。
この結果、・・・「格付け会社って誰に頼まれてやっているんだ!」と評判になりました。
リーマンショックのときにその原因企業が直前まで高格付けだったことが問題になっていましたが、顧客の注文どおりの意見を書く、格付け会社が何のためにあるのか不明と言う状況になっています。
格付け会社よりは、今ではCDS実効金利(保障金利)相場が実際の市場格付けになっているでしょう。
不動産鑑定が実勢相場を表さないことは常識で、融資や企画立案の実際には行員の市場調査によっているのですが、イザ稟議になると役員の責任回避のために無駄な不動産鑑定を経由するのが普通です・・。
今の格付け会社は財務省やマスコミの・・顧客の意を受けた、不動産鑑定書のような形式的役割でしかないのでしょう。
中国のAIIBが国際格付けを得られないと言われていますが、これは国債金融市場を牛耳っているアメリカの圧力によるところが大きいだけで、中国とアメリカの結託・・裏取引次第でどうにでもなるもので(アメリカは基本的に親中ですからいつでも、今タマタマ喧嘩しているだけで、すぐに裏で手を組みますから)安心は出来ません。
真実の債権価値は、金融市場で決まる時代になっていますが、AIIB発足にあたってはなお形式的格付け必要性が残っているので、(企業で言えば実勢価格と関係がないが鑑定士意見書がないと役員会決裁出来ないような矛盾で)中国が苦しんでいるだけのことですから、国際格付けを得られないことばかり大きく評価し溜飲を下げているのは間違いです。

マインドコントロール4(財政赤字→増税論)

財政赤字の累積による将来の経済破綻を心配するならば、金融負債だけではなくプラス資産とのバランスをみないと分らないし、仮に100歩譲って単年度単位でみても国際収支黒字の範囲内の支出ならば何の危険もありません。
財政赤字はバランスシートの一部分・負債部門に過ぎず、そこだけでは何の経済指標にもならないことを2012/04/19「国債残高の危機水準3(個人金融資産1)」や2012/07/15「マスコミによる「世論誘導の害2(不毛な財政赤字論1)」等で書いてきました。
大手企業の金融負債が50億円どころか100〜1000億円以上あっても、それ以上の資産(定期預金や有価証券・工場施設その他)があれば何の問題もないことは明らかですから、こんな理屈は誰でも分るでしょう。
負債の絶対額だけを取り出して危険だと言い出したら、大手企業は新規工場新設用資金捻出のための社債発行が出来なくなります。
マスコミを覆う財政赤字=金融負債が今にも国家の破綻が来るような論説は、バランスシートの一部だけを取り出して騒ぎ立てているから、議論が間違った方向へ行っているのです。
比喩的に言えば1億円の資産のある人の借金が1000万円から1200万円に増えても、何の問題もありません・・。
勿論年収にも関係がありません。
1億円で売れる商品を8000万円の借金で仕入れる場合、その人の年収がいくらでも関係がないでしょう。
「次世代に借金を残すのか」のマスコミの大合唱も親世代がそれ以上にプラス金融資産その他の資産を持っていることを書きません・・。
マスコミはプラス資産を故意に論じないで不安を煽っていることも2012/07/22/「国際収支と財政赤字1(国債の外国人保有比率2)」以下に書きました。
国債を保有しているのが100%国民であるならば、その債券(プラス部分)も次世代に相続されるから次世代が損することはないので、国民が何%保有しているかが当面重要です。
当面という意味は、仮に現在の国内保有比率95%が低下して行って8〜7割あるいは3割しか保有しない事態が来た場合、2〜3割あるいは7割の負債を次世代に残すことになりますが、その代わり国民が国債以上の資産(外債保有もあるでしょうし国内証券等の保有もあるでしょう)を有していれば問題がないこともそのコラムで書きました。
結局は個人金融資産と国債発行残高との差し引きになりますが、現在の国債発行残高が1000兆円前後になっていて国民個人金融資産が1500兆円と言われていますので、金融資産だけでみてもプラスの相続となり何の問題もありません。
まして国民は金融資産以外に多様な資産を持っています。
(上記のように自宅等の不動産も次世代に残します)
例えば不動産時価x万円でこれに対して対応するローン残があったりなかったりするのですが、(ローン債務だけみれば負債の相続ですが、自宅がそれ以上の価値であればプラスです)この差引プラス財産もあります。
もしもマスコミ(あるいはマスコミの推奨するエコノミスト)が本当に日本経済の将来を憂うるならば、資産全体を情報公開してバランス上大変な事態になっているかどうか論じるべきです。
ところがこうした考慮要素を一切捨象して負債の大きさだけを強調して「大変だ」という議論しているのは、政治を特定・・増税方向へ引っ張りたい不純な動機があるとみるべきでしょう。
バランスシートが公表されてそれを検討した結果、もしもマイナスになって来ると日本経済はギリシャ同様に大変なことになります。
しかし、大震災の影響でここ約1年間貿易赤字になっているのですが、それでも総合収支では黒字を保っている(対外債券が多いので利子配当等の収入が大きい)状態です。
総合収支=経常収支と国全体のバランスシートは同じですから、国際収支が黒字である限り(収入以上の支出をしていないと言うことですから)国のバランスシートが単年度でも赤字になることは論理上あり得ません。
仮に今後10〜20年経過で単年度で総合収支赤字に陥った場合、赤字が5年や10年続いてもこれまでの膨大な蓄積があるので、簡単には国家財政トータルの赤字にはなりません。
(過去約4〜50年間の経常収支黒字合計を使い尽くすまでは、トータル赤字にはならないということです)
膨大な資産家が労働収入がなくて5〜10年以上だけで利子配当で生活しているようなものです。

財政出動5(増税5)

それまでなかった住民サービスを新たに開始するとき・・美術館その他施設(保育所新設も同じです)を造るときには、その分の初期投資額と維持管理費を計算して同額の既存の支出をカット・・何かを廃止するか廃止出来ないならば、増税をセットにして決めるべきです。
可哀想だから生活保護費を上げろ、障害者手当を上げろ、保育所増設せよという議論には、どこかの予算をその分削ることとセットにするか、その分の増税をセットした提案をしないければ論理的ではないし、無責任です。
国保や年金赤字についても以前から書いていますが、一定の収入以下の人には納付義務を免除したり障害者免除など各種例外が設けられていますが、そんなことは税で面倒見るべきことであって、相互扶助・掛け金で成り立っている年金や保険制度に組み込むのは邪道です。
保険制度は相互扶助・・掛け金を納めた人同士で助け合う制度ですから、掛け金を納付しない人にまで保険金を払っていたら赤字になる・・パンクするのは当然です。
生命保険会社や損害保険会社が保険未加入の人にまで保険金を払っていたのでは保険制度自体が成り立たないと言えば直ぐに分ることです。
掛け金も掛けられない人の救済をしたいならば、別途その分これだけ増税する必要があると国民に説明して増税出来たら、増税で来た限度で障害者などは保険の枠外で別途救済すべきです。
生活保護その他福祉予算も税収と切り離して議論するのではなく、「生活保護費に年間これだけかかります、その分の税額はこれだけです」と説明して国民の同意を得た限度で保護して行くしかないでしょう。
放射能測定、一定地域の除染や健康診断は当然個人負担ではなく公的負担でやるべきでしょうが、これら新たに発生する支出に対応する資金はその分増税(または東電に転嫁)しない、と自治体であれ政府であれ赤字になる理屈です。
公的負担と言いさえすれば資金がどこからか降って来るような感覚はおかしいのです。
殆どの市民運動はいろんなことを要求するばかりでその資金手当については何らの言及もしないどころか、セット増税には殆どの場合反対します。
こうした運動方式が蔓延する社会ではどこの自治体でも政府でも財政赤字になるしかありません。
(要するに自分はびた一文負担したくない人が多いのに要求だけはきつい社会です)
今回の震災復興資金でも、全額増税で賄う方式は頭っから問題にされていませんが、おかしな議論風潮です。
可哀想だ・・東北へ援助金をつぎ込むべきだと言いながら、自分の納税額を増やすのを嫌がってるのですから「きれいごと」を言っているだけです。
何事もそんなことに大金をつぎ込むべきではないという意見は、薄情だと批判されるので誰も反対し難い風潮で予算が膨張する一方ですが、他方でそのための資金として増税するべきかという議論になるともっと外に抑制するべき分野がある筈という抽象論で逃げてしまう人が多いのです。
薬害エイズであれ、癩病患者の補償であれ、被害者救済すべきことに私は反対していませんが・・積極的に賛成ですが、それは私を含めた国民全部の責任だから補償すべきと言う考えによるのですが、賛成するからにはその支払分として必要な額を国民みんなが負担すべき=増税すべきだという意見です。
子供の失不祥事に対して親が「私の責任です」と被害者に向かって明言しながらお金を出すのは嫌だと言うのでは、矛盾した発言・・喧嘩になるでしょう。

事業仕分け(増税4)

事業仕分けをしても「これだけは残したい」と言うならば、・・残したい事業コストが仮に100億円あって、税収が90億円しかないとすれば、その差額経費をどうするかの議論です。
たとえば衛星「ハヤブサ、の快挙によって、その事業を残そうとするのは誰も反対出来ないと思いますが、だからと言ってそのお金がどこから出るかの議論は別問題で避けて通ることは出来ません。
ハヤブサの事業を残すなら別の分他の事業を削減するか、ハヤブサに関する費用分だけ増税するかの議論しかない筈です。
差額10億円の増税に国民が応じないならば、結局10億円分支出をカットするしかないのが理の当然です。
国になるとお金がないのにだだっ子のようにあれもしたいこれもしたいと言っては借金でやろうとしているのが、不思議・・無責任過ぎると思います。
11月22日の日経新聞夕刊第1面には、アメリカで赤字削減のための1兆2000億ドル規模の増税に関する与野党の協議が決裂したと報じられています。
アメリカでは、不足分の増税が出来ない場合、不足分に達するまで国防費と裁量的経費について2013年から年に同額ずつの歳出を削減する法律(トリガー条項)があるそうです。
与野党がそろって「あれしろこれしろ」と要求するばかりでその費用負担に反対している場合・・衆愚政治に堕しているときに自動的に歳出が削減されて行く安全弁を備えているのはさすがです。
増税・拠出はイヤだが、事業仕分けしてもあれも必要これも必要というのですが、ここで必要という言葉の意味は「税負担するに足りる必要性」があるかどうかです。
その「コスト負担・・税を払うまでの必要がない」と言うなら、「その事業は存続する必要がない」というのと同じではないでしょうか?
「これ欲しいですか?」という質問の意味は、そこに正札がついていれば、その値段でも欲しいか?という意味ですし、半値なら欲しいがその値段では要らないという人もいるでしょう。
このように物事はコスト次第で欲しい・・必要性が変わるものですから、事業仕分けもそのコストをどうやって誰が負担するかも明らかにしながら議論しないと意味のないものになってしまいます。
時間の配分だって同じで私の事務所には、あちこちからためになる講義や勉強会のお知らせや書籍の宣伝が次々と飛び込んできますが、コチラの時間も有限ですから、ためになるからと言って手当り次第に受講したり本を読む暇はありません。
世の中には必要な知識や物・事業は無限にあるのですが、コストとの兼ね合いでみんな取捨選択しているものですが、国の事業になるとコスト負担をどうするかを考えないでも必要かどうかを立派な人たちが?議論しているのですから摩訶不思議ではないでしょうか。
収入・税収が一定の場合、不断に不要資産の圧縮努力による経費節減と固定経費増の均衡を図るべきですし、これが破れて赤字化している場合、納税額を増やすか享受するサービスの低下を受け入れるかの二者択一しかないのは理の当然であって、借金でこの穴埋めをするのは、増税するまでの一定期間の緊急事態に限るべきで、恒常的に借金に頼る考え方は邪道です。
(アメリカの場合、上記の通り2013年度までの約1年半の猶予があるようですが、この法律・トリガー条項が昔からあれば双子の赤字累積が生じなかった筈ですから、多分最近で来たのでしょう)

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