人民元相場の重要性2(米中の確執2)

ここ数年来の欧州危機は、ユーロ相場がドイツ等競争力のある国の輸出に引きずられて南欧諸国の実力以上に高くなってしまいましたが、彼らが自国貨幣を持たないことによって、為替相場変動によって競争力を修正出来ない(ユーロとはマルクベッグ制の一種?)ことから起きていることです。
相手がドルであれ、マルクであれ、ペッグ制採用国はドルやマルクとの関係では為替変動が一致しているので、ドルやマルクが下がり続けるときには旨味があるものの、ドルやマルク・ユーロが上がるときには一緒に上がってしまうので逆に大変なことになります。
アメリカのドル高政策について行けなくなってアジア通貨危機が発生し、この教訓によって危機以降殆どの国がドルペッグ制から離脱し(振り落とされ)ましたが、中国はその後ドルが下がり続けるトレンドになってからの世界貿易参加ですので、ドルにべったり吸い付いていれば損がない関係で来ました。
リーマンショック以降のドル安展開には、中国としてはドルにくっついている方が得・・(対ドルで上がった日本円に対して人民元も下がります)アメリカにとってはいくらドルを切り下げても人民元が背中に張り付いて来て振り落とせない・・対中国赤字解消には効果がない・・いらつく関係が起きています。
アベノミクスで日本円がせっかく下がっても、仮に、韓国ウオンが円に連動して一緒に下がれば日本は(いい加減にしろ!と)怒りたくなるでしょう。
アメリカの場合、南欧諸国と違って自分で自分の為替政策を自由に出来ますが、肝腎の巨大赤字の原因になっているUSドルの切り下げにそのまま反応しない・人民元がその分切り上がらないのが難点です。
バスケット方式の場合緩い関係ですがその構成比率に応じて反応しますが、中国の場合、バスケット内の比率等一切明らかにしないで政府の秘密基準で勝手に為替水準を上げ下げしているので、これではバスケット方式とも言えません。
結果、アメリカの為替相場政策には効果がない・・アメリカはいくらドルを切り下げても対中国ではこれに関係ない為替水準を決定すれば、対中国ではドル下げの効果が出ません。
猛獣に襲われて車のスピードを上げて逃げようとしたら、猛獣が既に車のうしろに飛び乗っているようなものです。
小さな国の場合、アメリカドルに連動してもアメリカに取っては大した問題ではないですが、中国の世界貿易に占める比率が上がって来ると、この巨大貿易プレーヤーがアメリカドル相場に連動して来るのでは、無視出来ません。
中国としてはアメリカをあまり怒らせないようにバスケットの比率によらずに、適当なサジ加減で程々に切り上げている・だからバスケットの比率/中身は秘密と言うのでしょうが、この方式では今時あまりにも不透明過ぎます。
アメリカがドルを実力相応にせっかく低下させても最大貿易赤字国である対中国で効果が大幅に尻抜けになれば、アメリカの中国に対する不満がファンダメンタルズとして高まってしまいます。
昔(1985)のプラザ合意が日本だけをターゲットにした為替水準の変更であったのも、当時日本だけが巨額貿易黒字国であったのですから、この原理から理解可能です。
中国の場合2005年6月までは、1ドル8、25元の固定相場制でしたし、その後一時バスケット方式の変動制をとっていましたが、最近では組み込み通貨の比率を秘密にして適宜為替基準を発表するだけです。
これではバスケット方式というよりは政府が都合よく決めるための参考数値を内部で秘密に収集しているだけになります。
バスケット方式の場合、組み入れ比率を公表しているので予測可能ですが、中国はこの比率を秘密にしているので、為替管理が恣意的に行なえる・・この意味では、中国の為替管理制度はバスケット方式にさえなっていないことになります。
(この意味ではバスケット方式をやめるという4月7日に紹介したウイキペデイアの説明では、完全変動制になるのかと誤解しますが逆に)バスケットまでも行かないように後戻りする意味では正しいことになります)

人民元相場の重要性1(米中の確執1)

力のある国の場合、限界が来るまで時間経過が長い分、イザ市場の反撃を受けると巨大な落差効果・衝撃になります。
この始まりがサブプライムローンに端を発するリーマンショックでした。
アメリカはリーマンショック以降急激にドル安政策に転じたのですが、これは市場原理にもマッチしていたので、そのまま市場に受入れられてうまく行っています。
バーナンキ議長の手腕というよりは、実体経済に合わすしかない局面で実態に合わしただけのことです。
この辺はアベノミクスという円安政策も実態に合わしているだけで、放っておいても円が安くなる局面であったことは、2013-4-1「アベノミクスと円安効果?2」前後で連載して来たことと同じです。
何の寓話だったか忘れましたが、王様が何故政治がうまく行くかを聞かれて、「国民の期待する方向で命令するから守られている」と説明している場面がありましたが、これと同様に、政治というのは経済実態・国民の期待にちょっとした先取りをすれば成功します。
アメリカがせっかくドルの下落を通じて貿易収支の改善をしようとしても、貿易相手の大半がドルペッグ制やバスケット方式(リンク制を間接化したものです)を取っていると貿易相手の為替も一緒に下がるので、為替変動の政策効果がペッグ方式採用国に対しては空振りに終わってしまいます。
ドルが下がる一方だった数十年間ドルが対日で下がればドルペッグ制の国々はアメリカドルと連動して一緒に下がるので、いつも良い思いをして来たのです。
この逆張りと言うか、アメリカがドル高政策への変更したときにドルに連動していたアジア諸国がドル高について行けなくなって(現在の欧州危機と同じです・・輸出力のある独蘭等北欧諸国を基準にユーロ相場が決まると競争力のない南欧諸国がついて行けません・・)アジア通貨危機になりました。
この通貨危機を利用して、アメリカはアジアのドル・ペッグ地域・国の多くを振り落としてしまいましたので、(南欧諸国はユーロから今のところ離脱しませんが・・・)今ではドル安政策転換の効果がかなり大きくなっています。
アジア通貨危機の後に東南アジア諸国に代わって中国が巨大貿易相手国に浮上してきましたが、中国は未だにドル連動?管理制にしがみついているので、リーマンショックでUSドルを大幅に引き下げても一緒に中国元が下がるのでは、対中国関係の赤字解消にはアメリカのドル安政策の効果が直接的には出ません。
この結果、アメリカの中国に対する人民元安為替管理政策への批判・いらだちが強くなってきます。
アメリカの貿易赤字の主たる要因が対中国赤字にあるとした場合、対中国通貨で為替相場を変更しなければ解決しません。
ちなみに本日現在中国がどのような為替管理制度を採用しているのかネットで検索しても何年か前の意見ばかりでまるで何も出ていません・・多分秘密過ぎて誰も客観的論評出来ないからでしょう。
元々アメリカとしては自国通貨を下げると全世界に対する薄まった効果しかありませんが、そんなことよりも対米黒字の大きい国(中国)が通貨を切り上げてくれた方が効果が直接的です。
身体全体に効果のある薬よりも患部にだけ効く薬の方が効率がいいのと同じです。
まして対米大幅黒字国が(直接連動式は少なくなったとしても、バスケットによる間接的でも)USドル連動式ではUSドル切り下げの意味が薄まるので、アメリカが腹を立ててもおかしくありません。

中間層・蓄積の重要性8(同胞意識5)

ちなみに武士の出現以前にも、武士に守ってもらうべき需要・・自作農があちこちに存在していたこと・もっと古くは荘園への名義だけの寄付が流行ったのも自作農地を守るためのものでした。
水田耕作の我が国では、水路の維持管理の必要性からムラ社会は一心同体の紐帯で結ばれて来たことを書いたことがあります。
ムラの代表者は自己保身のためではなく、むしろ自己を犠牲にしてもムラ人が全員一族・同胞のつもりですから、全構成員のために政治をすることに千年単位で親しんできました。
戦国武将が自分が腹を切っても城兵全員の助命を開城の条件にしていたし、農民一揆でも代表者・・庄屋クラスが処刑されること・自己犠牲を前提にしてムラのために頑張って来たことが、その象徴です。
莊屋クラスが自己保身・・私腹を肥やして農民から抗議されるような事件は全く起きていません。
中国だけはなく、朝鮮半島でも初の統一支配政権となった李氏朝鮮の支配下で、両班以外は人間扱いされない(文字も知らない)ままで近代に至り、日本支配になって漸く平等を前提に全員が教育を受けられるようになったに過ぎません。
総督府の時代に一般人対象に教育を始めたのですが、イキナリ漢字を教えるのは無理があったことから、総督府の勧めで現在のハングル文字(表音文字ですので言わば平仮名だけしか理解出来ない状態が、今も続いています)の普及を奨励したのが文字教育の始まりです。
我が国では名目的な律令体制を導入しましたが、班田収授法・・すなわち国有農地方式は根付かなかったことを01/15/06「三世一身法と墾田永年私財法1(法か律か?)」前後で連載しました。
中国や朝鮮の地域では(中国では辛亥革命まで)律令体制をそのまま敷いてきましたので、自作農・・自分の農地と言う観念自体が育たなかったでしょう。
だからこそ食えなくなれば簡単に流民化するし、共産革命・・集団・国営農場化が簡単に出来た面があることを、03/04/06「商から農への転換9・・・中国の場合1」等で書いたことがあります。
中韓両国の地域では異民族支配の繰り返しこれとセットの専制君主制・王朝下で何千年も来たので、日本のような国民(同胞)という概念もなく、単に支配領域内に住んでいる人間と言うだけで言わば支配対象・物みたいな客体でしかありません。
(この点日本人は他所の国の人を「その国民(同胞)」と日本的理解で考えると間違うことをこのあとで書いて行きます)
中国政府にとっては中国国内にいる人間も領域外にいる人間も、全て将棋の駒みたいな政権維持の対象・材料にしか過ぎず、(中国では異民族支配が繰り返された経験があるので、)領域外にいる人間も領域内にいる人間も将棋の駒のように取れば自分で使えるコマ・・工場経営で言えば原材料的対象として考えているので、都合によってどのように切り刻もうと自由自在ではないでしょうか。
領域内の国民も政権に反抗するならば、国境の外にいる外国人よりも政権維持にとって危険ですから、死刑・臓器摘出を含めて徹底的に押さえ込む・・恐怖政治でやって行くのが今でも中国風の政治です。
文化大革命当時に流行った下放政策も根は同じです。
国民の方も都合が悪ければ流民化したり、外国籍をとったりすることに抵抗がありません。
日本人の場合同胞どころか身近な動物まで家族のように可愛がり、大切にする社会です。
勿論庭に植えた草木もこよなく大事にしますし、針供養で知られるように身近な道具類にさえも魂を認めて大事にします。
まして同じ人間同士では、ネットその他では観念的に韓国や中国批判論が盛んですが、実際に身近にいる外国人を差別したり貶めたりする気持ちが(内心でも)基本的にありません。
中韓でいくらいろんなことがあっても、ネット騒いでいても、具体的に身近な中韓の人に対して罵詈雑言を浴びせるような人は(礼儀上黙ってるというだけではなく内心でも目の前にいる人には皆平等に接する気持ちが基本で)皆無と言っていいのではないでしょうか?
内心で異民族を侮蔑し、憎悪しながら理性の力で、博愛・動物愛護などと主張している欧米とは順序が違います。

中間層・蓄積の重要性7

話がそれましたが中国の蓄積の薄さ・・2013/01/19最先端社会に生きる8(中間層の重要性3)の続きに話題を戻します。
中国経済について連載している勝又寿良氏の1月14日の中国経済に関するコラムで中国の報道を引用しての意見によれば、中国では年金の積み立てが11年度GDP比2%しかないと書いてあります。
(日本の積み立て比率は25%、アメリカの場合15%とのことです)
中国の2013年度の積み立て不足額が18兆3000億元であり、11年度のGDP比39、3%にも達していると書いてあります。
中国のGDP統計は水増し報告・発表の繰り返しの累積ですから、実態はその半分〜3分の1以下かもしれないのですが・・・簿価に対する不足分は逆に少なめに報告されている筈です・・仮に統計どおりでもGDPの4割も不足しているとしたら大変な事態です。
※ 他人の文章なので「不足」の意味が良くわからないのでここでは、そのまま書いています。
もしかして帳簿上あるべき資金に何故か穴があいていて実際には存在しないという意味かも知れません。
中国の統計が実態をあらわさない(政治上の思惑・動機としては地方政府幹部は地位保全のために計画以上に達成したと報告したいし・政府としては対外的に虚勢を張りたいことにあるのは当然ですが・・・)技術上これを可能にしている原因は、日本のように実物と照合する・棚卸しチェックをしないで良い・・各地方政府からの書面上の報告で足りる点にあるとも言われています。
このような制度では、(二重帳簿ならば正確な帳簿が別にあるので権力者・経営者には実態が分りますが、・・)、帳簿上の積立金が、そのとおりあるかどうかについて政府首脳自身も誰も正確に知ることが出来ません。
その他のデータ(自分のところのデータだけではなく、当然他所のデータもいい加減を前提に推計して)からそれぞれ部門関係者が推測しながら政治をやっているのですから、国家運営が目をつぶって車を運転しているようなやり方になっています。
個人商店ならば、規模が小さいので帳簿が良い加減でも経営者の現場勘だけで儲かっているか最近客が減っているか程度が分かりますが・・・。
ソ連崩壊直前に最高権力者ゴルバチョフが実態がどうなっているのか調査しようとしても何もかもがいい加減なので、最後まで自分が統治しているソ連自体の各種実態を把握出来なくて困ったとどこかで読んだか聞いたことがあります。
韓国も中間層の発達が遅かったことから、年金制度開始(積立開始)が遅いことと非正規雇用の拡大迅速化で(中間層の積み立て期間が少なかった)年金積み立て不足は(・・個人金融資産が存在するどころかマイナス状態とも報道されています)日本の年金資金不足どころの話でありません。
(年金積立金も個人金融資産の一部ですから、個人金融資産がマイナスということは年金もほぼ存在しないに等しいことになります)
日米や中韓との年金積立て比率差は、まさに中間層の厚さ・中間層社会の持続期間の長短によると言えます。
中間層とは家計の健全な階層・・収入の一定割合を、継続的に貯蓄して行ける階層のことと言っても良いでしょうか?
仮に収入の1割前後の貯蓄振り向けを出来る階層を中間層とした場合、10年間でやっと年収分相当ですから、中間層期間が数年や5〜6年で終わって国民の殆どが非正規雇用に変わってしまうとイザというときのための個人金融資産の蓄積が不足します。
日本を追い上げていると宣伝している中韓両国では、中間層がまともに育つイトマもないまま非正規雇用社会に突入しているので、庶民層が安定した蓄積をする余裕がないまま現在に至ってます。
・・・近代化が始まってから直ぐに非正雇用になったのが韓国であり、近代化が始まったときに既に非正規雇用の時代に入っていたのが中国です
労働者・都市住民の大多数は、非正規雇用でこれと言った蓄えのないその日暮らし状態ですから、この状態で失業が襲ったら大変です。
前近代に食うや食わずの農民が飢饉に見舞われると直ぐに流浪の民になることを繰り返して来たのと同じ状態が、中国では今でもまだ続いているのです。

中間層の重要性6(テロ・暴動の基盤4)

労働力人口減と失業増の関係ですが、その年の新規参入労働力が全国で仮に180万から150万に減ったとしても、受け入れ側が拡大せずに現状維持であれば150万人分就職で来ません。
まして増加どころか、削減すれば大変な就職難が起きます。
中国の労働力人口減の報道に戻りますと、中国では約365万人労働力人口が減ったとしても、もともとその何倍もの新規参入希望が毎年いたのにその新規参入者がその何割か減ったくらいでは、それ以上の職場拡大が続くどころか縮小して行く限り失業者が増えることに大差ありません。
内陸部の人に対して都市に行くのを禁じた見返りに内陸部に企業を誘致したり、インフラ工事をするしかなくて・・土地バブル発生になっていたことを以前紹介しました。
流入禁止すれば先進沿海部で人手不足になり、賃金が上がって労働者が満足するし、高賃金に対応して企業は内陸部に進出するだろうという良いこと尽くめが政府の思惑でした。
企業が高賃金になったので先進沿海地域から企業が逃げ始めても、他方でその分内陸部に進出すると差引同じですが、そうはうまく行きません。
内陸部・・重慶などでは海岸から約千km単位の距離があるそうですから、輸出入物流距離が伸びるので、高コストになります。
人間が沿海部に動くのは一回だけで済みますが、工場が内陸に行くと無数回・半永久的に物流コストがかかりますから、人間が沿海部へ移動する方が合理的です。
結果として内陸部への企業誘致は成功していませんが、沿海部から海外への企業脱出だけが始まってしまいました。
ところで沿海部で100万人失業しても内陸で100万人の雇用が出来たら数字上は同じようですが、実際には大きな違いが生じます。
22日に書いたように、一旦近代生活を味わった人は失業しても元の前近代的生活に戻れない・・暴動予備軍になるのに対して、内陸の農民が工場労働に参入出来なくとも従来どおり(不満だとしても)前近代的生活をしていれば良いだけです。
工業地帯で数十年働いていた人が失業すれば大変なことですし、内陸の人を一旦工場労働者にしてしまった後で失業させると、これも暴動予備軍になってしまいます。
リーマンショック後職場のない内陸部ではインフラ工事や人の住まない鬼城と言われるマンション工事等を大量にしたのですが、これが終われば失業者になるので、半端なインフラ工事の仕事をさせるとその後に却って治安が悪くなります。
長野オリンピックの後で長野経済がメタメタになった例を想起すれば良いでしょう。
彼らを放置しておけなくなって、昨年秋から再び内陸部の工事が再開されている実情を表しているのが、20日に紹介した蘭州市の無茶な・鬼城(ゴーストタウン)工事の様子です。
いつまでも無駄な工事は続かない・・企業が進出しないままですと最後は内陸部の人たちが失業者になるしかないとすれば、これが暴動予備軍として大問題になってきます。
人口減が始まってからでも10〜20年程度汎用品生産を従来どおり続けられていれば、この間に国民も給与が安いとしても少しは蓄積も出来るし、人口が減っている分失業増大圧力が緩和されて少し楽だったことになります。  
成長速度を焦って・・あるいは背伸びし過ぎて、まだまだ近代化の恩恵が国内に行き渡らない・・内陸部ではまだ白物家電でさえ行き渡っていない状態ですから、沿海部の賃金引き揚げを焦る必要がなかったのです。
高賃金政策によって成長が止まり始めた不満解消のために、反日暴動を煽ってみたところ、これを契機にしてさらに経済が縮小する大変な事態を迎えてしまいました。
日本の海外投資は、今回の暴動以降明らかに中国から東南アジアにシフトし始めています。
まだまだ年率8%以上の新規労働者の受入れ拡大の必要なときに、逆に既存労働者が失業する事態が始まってしまったのですから、大変な事態です。
これから大量に出て来る汎用製品向け労働者の失業者の受け皿(1月19日に書いたように中国では親世代が失業者の受け皿になれない・・)が当てにならないとすれば・・食い詰めた都市労働者は根なし草・・砂漠の民同様になります。
その行く先は・・テロ・暴動群発?予備軍ですから、そのエネルギーをどうするのかが、中国新政権の正念場です。
ただし、アラブやアフリカ産油国のようにテロ社会になるよりは、中国の場合集団暴動頻発→次第に大規模化して来るでしょう。
(秦漢の時代から中国歴代王朝の崩壊はいつもこれでしたし、現共産党政権自体この発展形態・匪賊の親玉として天下を握ったものです)
ちなみにアラブやサハラ諸国でテロが多く、アジア諸国・・中国やタイ、インドネシア等で暴動になる違いは、人口の稠密度・・抵抗側の大量動員能力の差に関係します。

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