人民元相場の重要性1(米中の確執1)

力のある国の場合、限界が来るまで時間経過が長い分、イザ市場の反撃を受けると巨大な落差効果・衝撃になります。
この始まりがサブプライムローンに端を発するリーマンショックでした。
アメリカはリーマンショック以降急激にドル安政策に転じたのですが、これは市場原理にもマッチしていたので、そのまま市場に受入れられてうまく行っています。
バーナンキ議長の手腕というよりは、実体経済に合わすしかない局面で実態に合わしただけのことです。
この辺はアベノミクスという円安政策も実態に合わしているだけで、放っておいても円が安くなる局面であったことは、2013-4-1「アベノミクスと円安効果?2」前後で連載して来たことと同じです。
何の寓話だったか忘れましたが、王様が何故政治がうまく行くかを聞かれて、「国民の期待する方向で命令するから守られている」と説明している場面がありましたが、これと同様に、政治というのは経済実態・国民の期待にちょっとした先取りをすれば成功します。
アメリカがせっかくドルの下落を通じて貿易収支の改善をしようとしても、貿易相手の大半がドルペッグ制やバスケット方式(リンク制を間接化したものです)を取っていると貿易相手の為替も一緒に下がるので、為替変動の政策効果がペッグ方式採用国に対しては空振りに終わってしまいます。
ドルが下がる一方だった数十年間ドルが対日で下がればドルペッグ制の国々はアメリカドルと連動して一緒に下がるので、いつも良い思いをして来たのです。
この逆張りと言うか、アメリカがドル高政策への変更したときにドルに連動していたアジア諸国がドル高について行けなくなって(現在の欧州危機と同じです・・輸出力のある独蘭等北欧諸国を基準にユーロ相場が決まると競争力のない南欧諸国がついて行けません・・)アジア通貨危機になりました。
この通貨危機を利用して、アメリカはアジアのドル・ペッグ地域・国の多くを振り落としてしまいましたので、(南欧諸国はユーロから今のところ離脱しませんが・・・)今ではドル安政策転換の効果がかなり大きくなっています。
アジア通貨危機の後に東南アジア諸国に代わって中国が巨大貿易相手国に浮上してきましたが、中国は未だにドル連動?管理制にしがみついているので、リーマンショックでUSドルを大幅に引き下げても一緒に中国元が下がるのでは、対中国関係の赤字解消にはアメリカのドル安政策の効果が直接的には出ません。
この結果、アメリカの中国に対する人民元安為替管理政策への批判・いらだちが強くなってきます。
アメリカの貿易赤字の主たる要因が対中国赤字にあるとした場合、対中国通貨で為替相場を変更しなければ解決しません。
ちなみに本日現在中国がどのような為替管理制度を採用しているのかネットで検索しても何年か前の意見ばかりでまるで何も出ていません・・多分秘密過ぎて誰も客観的論評出来ないからでしょう。
元々アメリカとしては自国通貨を下げると全世界に対する薄まった効果しかありませんが、そんなことよりも対米黒字の大きい国(中国)が通貨を切り上げてくれた方が効果が直接的です。
身体全体に効果のある薬よりも患部にだけ効く薬の方が効率がいいのと同じです。
まして対米大幅黒字国が(直接連動式は少なくなったとしても、バスケットによる間接的でも)USドル連動式ではUSドル切り下げの意味が薄まるので、アメリカが腹を立ててもおかしくありません。

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