政策決定と司法の拒否権・・仮処分4

仮に安保条約や自衛隊違憲論に固執する人が数%になり、あるいは岩盤とも言うべき1%以下に支持率が下がっても、司法が最終決定権を持つようになると、支持率(民意)には関係がなくなります。
裁判官の中に同率の思想共鳴者がいると大きな影響を及ぼします。
本日現在のウイキペデイアによれば平成25年5月16日現在の定員は、高裁長官8人、判事1,889人、判事補1,000人、簡裁判事806人である(裁判所職員定員法1条)。最高裁判所裁判官15人を含め、3,718人。」
となっています。
その2%でも約70人もいることになります。
司法の場合には地裁も高裁も、最大で3名の裁判官で大きな影響のある原発稼働停止命令や基地関連工事差し止めなどの仮処分決定や判決を民意と無関係に言い渡せる点が恐ろしいところです。
3名平等の表決権と入っても一人は見習い的新人裁判官であり、もう一人は裁判長より約10年あまり後輩なので多くは裁判長の主導で基本方針が決まる仕組みです。
70人を3で割ると、全国で20数名の裁判長クラスの人がいることになります。
偏った考えの人は裁判官としての適格性が低いのであまり出世しない・・年季上中堅・裁判長クラスになっても僻地・裁判官数名の小さな地方裁判所に勤務している率が高くなります。
以上は私の偏見だと言われるかも知れませんが、東京や大阪の地裁所長で定年になった人と、人口100万に満たない県の地裁所長で定年を迎えた人を比較すればどちらが・・相応の人物として評価されているかを見れば明らかでしょう。
企業でもどの程度の地位で終わったかが一般的(例外がありますので特定裁判官の人物評価が低いと言う意味でありません・「一概に言えない」のは当然です)人物評価です。
原発停止仮処分を出した大津地裁の裁判官担当表がネットに出ています・・全裁判名は以下のとおりです。
「合議A係 山本善彦,小川紀代子,平井美衣瑠
毎週火曜,随時の金曜 1 合議B係 山本善彦,溝口理佳,芝田由平,岡田総司
毎週木曜 1 1係 山本善彦  第2,4金曜 1 2係 溝口理佳
毎週火・金曜 2 3係 芝田由平  毎週水・金曜 3 3S係 佐藤克則
随時の火・金曜日 3,4 4係 小川紀代子 毎週木曜 3」
上記によれば山本裁判官がAB両合議体を仕切っていることになるので、同裁判長の出した仮処分が本案訴訟に移ってもほぼ同じメンバーで再審理することになります。
この夏に同裁判長名の保全異議の結果が出ましたが、結論は同じです・・何百年に1回起きるか否かの科学知見が半年やそこらで変わる訳がないので、結論が変わる訳がないでしょう。
東電側としても証拠評価に関して余計な主張をしても、どうせ採用されない・・長引くだけ損なので一刻も早く高裁に移って別の裁判官に審理して欲しいでしょうから、何も主張しないですぐに結審してもらったと見えます。
http://www.asahi.com/articles/ASJ7C4S44J7CPTJB01D.html高浜原発の運転差し止め維持 大津地裁、関電異議認めず2016年7月12日15時58分
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定について、同地裁(山本善彦裁判長)は12日、取り消しを求めた関電の保全異議を退けた。関電側は大阪高裁へ保全抗告する方針だが、差し止めの効力は維持され、2基を動かせない状態が続く。
「異議審は、差し止め決定を出した山本裁判長ら3人の裁判官が担当。山本裁判長は関電側が申し立てた執行停止も6月却下した。」
上記のとおり地方の地裁では裁判長クラスが一人しかいないので(千葉の場合では民事5部まであり、1部内に裁判長クラスが2人いることもあるので5人以上います)・・ひとたび停止決定が出ると高裁判決が出るまで稼働停止になってしまうのですから、全国で2%=70人しかいなくても大変な影響力を持ちます。
これが自衛隊基地が危険だとか騒音が酷過ぎると言う理由で使用停止命令が出るとどうなるかの関心です。
オスプレーの墜落危険性強調による配備反対運動(マスコミも如何にオスプレイが危険かの報道が続いていました)がありましたが、米軍基地関連では、安保条約が国内法より上位規範ですから「砂川基地訴訟」のように安保条約が憲法違反と主張して裁判しない限り仮処分申請をしても法的に無理があります。
駐留軍がどう言う兵器を使うかについては原則として駐留軍の勝手ですから、特別な約束がない限り、(核兵器を持ち込まないと言うのも紳士協定でしかない・・米軍は軍事機密を前もって日本に通告する義務がありませんし日本は検閲する権利もありません)日本政府が口を出せるかは、条約で決まっていることですので、左翼系の得意な裁判闘争が出来ないままウヤムやになっていたと思われます。
ヘリパッド工事禁止仮処分申請が出ていることを11月4日に紹介しましたが、基地内で米軍発注工事をするには沖縄県知事・市長の許可がいらないと思われますので、ヘリパッド移設工事に県知事が許認可しないと言えないので?上記のとおり、工事が近隣住民に危険などの理由で運動体の名で工事禁止仮処分申請をしたのでしょう。
騒音被害や墜落危険被害を理由に差し止めが求められるならば、与那国島にレーダー基地があると「中国の先制攻撃を受けるから危ない」と言う主張も、訴訟論理とすれば似たようなものでしょう。
与那国島の基地使用禁止仮処分申請が出た場合の管轄で言えば、那覇地裁石垣支部(事件の重大性から普通は合議事件にするのですが、(ソモソモ石垣支部には裁判官が一人しかいないので本庁に移送するのかな?)の裁判官になりそうですが、仮に差し止めの仮処分命令が出ると、その異議審では上記のとおり結果が変わらないのが普通です。
高裁に移って初めて別の裁判官による仕切り直しですから、高裁で仮に仮処分が取り消されるにしても結果的に1年くらいはかかってしまいます。
それまでの間基地使用が出来ないと中国のやりたい放題ですから、その間に戦争の勝敗が決まってしまうので、漫画的システムです。
(尖閣諸島で言えばそんなに長い戦闘行為は想定出来ません・・半年も占領されたままにしておけば、既成事実を前提にした和平交渉が始まってしまうのが普通です。)
以上の実際的効果を想定すると、自衛隊基地に対する反対運動は中国が攻めて来たときに当面・・半年程度自衛隊が機能しないようにする目的・・社会党が放棄した筈の非武装論・・国防力無力化の貫徹を目指した運動そのものと評価出来ます。
ウイキペデイアの記事のとおり、60年安保はソ連の資金で動いていたと一般的に思われていますが、沖縄での反対運動では本州から大勢が行き、働かないで毎日座り込みなどをするには相当の資金がいりますから反対運動資金をどこが出しているのでしょうか?
今は、ソ連はなくなっているしロシアにとって沖縄騒動は基本的に遠い場所の話ですから、沖縄の基地機能を低下させ沖縄県民を日本人とは別民族だと言う意識を強化して利益を受ける国はどこかとなれば、尖閣諸島〜沖縄の切り離しを狙う中国ではないかと想像する人が多いのではないでしょうか?
沖縄進出・・長期滞在しているシバキ隊の資金源・・回り回って大元の出し手が分らないようになっていると思われますが、どこが大元の出し手になっているかが問題です。

政党は約束を守らなくて良いか?1

ヘリパッド移設工事妨害の実力部隊を上記シバキ隊幹部が担っており、これを応援している?と噂される福島瑞穂氏の経歴をウイキペデイアで見ると今年夏の参院・16年選挙で当選したのは、福島瑞穂氏一人だけですから、同氏は今も党の顔です。
10年間も党首をやって来て、今も党の顔であり続けている同氏が党首でないから何をしても良いとは言えないでしょう。
企業が社名.商号を変えてもあるいはワンマン社長をクーデター式にクビにしたとしたとしても、(福島氏は土井党首からの禅譲です)その前に約束した契約(例えば従業員を前党首が雇ったと言う理由では解雇出来ませんし、取引先との契約)を引き続き守る義務があるのが当然です。
共産政権(ロシア革命以降)では前政権の約束(債務だけ)を守る義務がないと言う身勝手な主張が普通ですが、革新系は党名さえ変えれば責任がないと言う理解が身に付いているのでしょうか?
在日やヤクザは本名を名乗らないことが多い・・30年ほど前に関与したある組関係事件では、来るたびに名前が違う・・今は◯◯と言います・・と言う説明が普通でした・・15〜20年ほど前からヤクザではないものの周辺系のグループでは借金を踏み倒すために養子縁組や結婚・離婚を繰り返している事件も何件もみました・・このように責任を遮断するために通称名を次々と変えて行く狡い生き方がアウトローを中心に広がっています。
こう言う狡い生き方を許さないためにはマイナンバー法による生涯変わらない識別情報が有効です。
マイナンバー法による識別が始まると通称名で責任逃れをして来た勢力が困るので、プライバシーにかこつけて反対論を展開してるように見えます。
そう言えば福島氏自身「パートナー」として海渡氏の名が上がっています・・事実コンと言う説明も出ていますが、正式な夫であるのかさえも不明ですので、通称名か本名かも分りません。
これだけの有名人であり国政に影響のある人物が、家族関係も何もかも秘密にしている・ウイキペデイアには何も出て来ないこと自体が異常と言うべきでしょう。
プライバシー分野でも文化人がしきりに欧米基準を持ち出しますが、アメリカの有名政治家・・クリントン氏であれ、ケネデイ駐日大使であれ、その家族関係が秘密のママの人がいるでしょうか?
民進党党首の蓮舫氏も・・重要な国籍でさえ誤摩化せていた?あるいは曖昧にして来られた背景です。
ロシア革命の例で言えば、前政権の約束・債務に全く関係がないというならば、例えば前政権(革命前の王朝)が有していた領土その他(債権や利権)のプラス資産もいらない(そうするとソ連政府はどこの国にも成立出来ない・・宇宙空間にでも浮かんだ状態になるのかな?)と言わないと一貫しません。
国家債務承継に関するウイキペデイアの本日現在の記事です。
「19世紀には、政府の形態が変更しても国家が同一のままなら当該国家の他国に対する権利義務は影響を受けることがなく継続するということは学説や国家実行から認められており、これは包括的継承説とされる・・」
「昭和61年10月30日第107回参議院内閣委員会2号において、玉置和郎(総務庁長官:当時)に「共産主義国家は、継承国家論をとらない、私たちはこれはおかしなことだな、と思っておりました。…やっぱり日本国は、勅語によって継承国家論というものをとっておるわけでございまして、当然のように戦前だからそれは政府に責任が無いんだとか、そんなことはいえないわけでありまして、…戦前であろうが戦後であろうが…政府の責任は政府の責任。国民は責任が無いと、私そうは思いません。国民も責任がある。…こう思います…」との答弁がある。
明治政府の徳川政府・・各藩の関連債務引き受け状況に関しては以下のとおりです。
http://s.webry.info/sp/justeye.at.webry.info/201302/article_1.htmlからの引用です。
「明治政府は藩の債務については天保14年 (1843年) に幕府が棄捐令 (きえんれい) という一種の徳政令を公布していたため、これ以前の債務については全額を引き継がないことにした。そして天保14年から明治元年までの債務を旧債務とし、無利息・50年の分割返済とした。次に明治元年から廃藩置県までに生じた債務は新債務となり、こちらは3年間据え置きの上、年4%の25年・分割返済とした。これにより引き継がれた債務は約2800万円となり、約54%が切り捨てとなった。
藩への債権を保有していたのは、江戸や大阪の豪商や各地の富豪たちで、大手債権者の安田商店ではこの決定により、貸付債権を旧債務は16%、新債務を54%に減額評価し、損失処理をしている。仮に全ての債権者にこの比率を適用して計算すると、各藩の債務総額の約85%が切り捨てとなり、ほぼデフォルトに近い状況だったことになる。
また江戸幕府の抱える国内債務約250万円は全額が切捨てとなり、幕府から回収した債権の約900万円は、外国への債務の返済 (こちらはほぼ全額が返済された) や一部の現金償還に廻された。」
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/8184.pdf/国際金融市場における国家債務再編をめぐる課題
調査部 上席主任研究員 河村 小百合氏の論文によると、敗戦のときにも新円切り替えで国内債務を事実上大幅な切り捨てましたが、対外債務はそのま履行したようですからこれまでのデフォルトの歴史・データ分類によると国内デフォルトに分類されています。
明治政府が、「幕府の結んだ諸外国との通商条約は無効」だと言ったのでは列強は承知しないから、日本は幕府の開港約束をそのまま承継し、不平等条約撤廃に何十年も苦労したのです。

政策決定と司法の拒否権・・仮処分3

成田事件では、社会党が活動家を現地に送り込んで一坪地主運動を象徴としてダミーの?活動家が戦う構図が何十年も・・ようやく最高裁判決が出たとのニュースが約1週間前に出たばかりです。
10月28日に紹介した東京で在特会相手に活躍していたシバキ隊の男組隊長が沖縄で逮捕された二ュースの関連記事で前党首の福島瑞穂氏が沖縄訪問して彼と会っている・・彼を応援しているかのようなネット情報が出ていますので、沖縄も似た構図に見えます。
http://www.sankei.com/politics/news/161004/plt1610040038-n1.html2016.10.4 17:41更新
北部訓練場の暴行で逮捕 容疑者は社民・福島瑞穂議員らと接点
「沖縄県警は4日、傷害の疑いで、工事反対派で住所・職業不詳の添田充啓容疑者(43)を逮捕した。添田容疑者は8月ごろから北部訓練場の妨害活動に参加。社民党の福島瑞穂参院議員が現地を訪れた際には行動をともにしていたという。」
産経では「・・と言う」と言う程度ですが、ネット上では一緒にいる写真が出ています。
沖縄県民が他所から来た活動家に引っ張られずに冷静合理的行動をして欲しいものです。
自治を尊重せよと言いながら、よそ者が中心になって活動しているのは矛盾です。
村山元総理の所信表明演説を10月30日に紹介しましたが、社会党が政権に着くために安保反対論・自衛隊違憲論を取り下げた以上は、組織構成員は約束を守るべきです。
日韓慰安婦合意に納得しない韓国民が代わりにいろんなことをやり出したのと同じ・・約束を守らない民族は信用されないのと同じで、約束を守るのが民主主義の基本ですから不満があっても一旦決めた以上は姑息な抵抗をしないで守って行くべきでしょう。
約束と言うものは一方的有利なことはあり得ない・・ギブアンドテイクですから、お互いに一定の不利な部分を譲る妥協で成立していますので、(一定のサービスが欲しいからお金は欲しいが仕方なしに?お金を払う約束をするのと同じで)「本当はお金がなくなるのはイヤだから」と実行段階で何かとケチを付けて代金支払いを渋るのはルール違反です。
契約後細かなケチを付ける(値引き要求する?)人が嫌われるのはこの原理によります。
集団自衛権反対論や米軍基地に対して何かとケチをつける運動は、村山内閣ですでに決着のついた安保条約反対論の蒸し返しです。
社会党と社民党の関係はウイキペデイアによれば以下のとおりです。
「社会民主党への改称
1996年1月の村山内閣総辞職後、同月社会民主党に改称し、3月には新党として第1回大会を開催、日本社会党の名称は消滅した。」
上記によれば社民党は名称を変えただけですから以前にやって来たことや、主張に責任がある筈です。
福島瑞穂氏の経歴をウイキペデイアから抜粋すると以下のとおりです。 
2003年、社民党は第43回衆議院議員総選挙で議席を大幅に減らし、党首の土井たか子が引責辞任。同年11月、後任の党首に就任。
2009年3月26日の参議院予算委員会において、2009年3月よりの北朝鮮のミサイル発射問題に関して弾道ミサイルが日本領内に落下した場合にこれを迎撃する日本政府の方針を批判した。
2009年9月16日に社民党は民主党・国民新党と連立して鳩山由紀夫内閣を発足させ、社民党は11年ぶりに与党に復帰。自身は初入閣し・・・・普天間基地移設問題では一貫して沖縄県外、日本国外への移設を主張。2010年5月28日に辺野古地区への移設で日米が合意したためこれに反発し、閣議了解の書類に署名しないと主張。鳩山の説得にも応じなかったため、同日中に罷免された[7]。日本国憲法下での閣僚罷免は5例目で、政党の党首職にある閣僚の罷免は初めてであった。
2013年7月25日、前年の第46回衆議院議員総選挙および第23回参議院議員通常選挙での敗北の責任を取り、2003年以来10年近く務めていた社民党党首を辞任した
2016年の第24回参議院議員通常選挙に比例区から出馬し4選。」
上記のとおり、普天間基地は市街近接で困ると言うから、市街地から遠い辺野古の海岸ベリに移設する合意が出来ると今度は「少なくとも県外へ・・」と不可能な条件を言い出して駄駄を捏ねる・・上記シバキ隊組長の逮捕事件は、周辺住民の意向にそって基地を半分くらいに縮小する計画実行のために(広大な基地が半分になれば内部施設の移動工事が必要になります)基地内の移設工事を始めることを妨害する運動過程で起きた暴力事件です。
ヘリパッド移設工事に関する産経ニュースによれば以下のとおりです。
http://www.sankei.com/west/news/160722/wst1607220021-n1.html
 「日米両政府は平成8(1996)年、訓練場の総面積約7800ヘクタールのうち約4千ヘクタールの返還で合意。この際、返還区域にあるヘリパッドを米軍側に残す部分に移す条件が付された。」
毎日新聞ニュ−スによれば既に訴訟が始まっています。
http://mainichi.jp/articles/20160921/k00/00e/040/233000c
「米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)の約半分の返還に伴う東村高江周辺へのヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事を巡り、高江地区などの住民33人が21日、国に対し建設差し止めを求めて那覇地裁に提訴した。建設差し止めを求める仮処分も申し立てた。同訓練場のヘリパッド移設工事の差し止めを求める訴訟は初めて。  住民側は、墜落の危険性が指摘される米軍新型輸送機オスプレイがヘリパッドを使って訓練することで、騒音が激化して「普通の生活を営むことができなくなる」などと主張している。」
騒音被害等で困るからと基地を返せと要求するから、約半分を返して貰う日米合意をしてそのための工事をしようとすると、言いがかりをつけて?妨害する・・こんなことばかりで国税を無駄遣いさせられている・・国力疲弊させられていると言っても過言ではありません。

政策決定と司法の拒否権・・仮処分2

成田空港の場合、県が協力的だったので代執行まで出来、その後の長期裁判があっても工事自体は止まりませんでした。
(私が当時刑事弁護事件で関与した限度で知っている範囲で言えば、その執行妨害排除のために機動隊が出たのがいわゆる成田事件ですから、今回の判決が出ても強制執行に素直に応じなければまたもや、機動隊出動と言う繰り返しになります)
有名な東峰十字路事件に関するウイキペデイアの記事です。
「東峰十字路事件(とうほうじゅうじろじけん)とは、1971年(昭和46年)9月16日、新東京国際空港建設予定地であった反対派の土地に対して千葉県による第二次行政代執行が行われた際に、警備に当たっていた機動隊が空港反対派の集団による襲撃を受け、応援派遣されていた神奈川県警察特別機動隊員3名が殉職した傷害致死事件である。2016年現在、事件現場には慰霊碑がある。」
沖縄の基地や原発では自治体を反国策派が押さえることが多くなったので、沖縄県が代執行するなど考えられません・・沖縄で言えばその前の許認可自体が止まったままでその段階・入り口からの裁判闘争になって来ました。
こうなって来ると国家で決めたことを実行するための準備段階で自治体が協力しない(必要な道路付け替えなど)・あるいは同意しないと,基地工事や原発稼働出来ない制度設計自体がおかしくないかの議論が必要になって来ます。
多くの難関をクリアーして折角自治体が同意しても、更に誰かが訴訟提起すると裁判所がチェック出来るのもおかしな制度です。
裁判所が党派性によらずに、厳密に事務的ミスの再チェックだけと言うならば、分りますが、これまで見て来た武蔵野市長がマンション建設妨害のために水道を止めたように、裁判所も裁量判断・・「裁判官の良心」を歪めるようになると問題が大きくなります。
中国が攻めて来て自衛隊が出動しようとすると「生命の危険がある・・取り返しがつかない」ので出動命令の執行停止を求める仮処分を中国に買収された?自衛官が申請して、ある裁判官がこれを認めるとどうなるでしょう?
原発の事故リスクを理由にする福井地裁だったか大津地裁だったかの停止を命じる仮処分決定の論理によれば、この自衛隊基地から出動する戦闘機・・ミサイル基地、あるいはレーダー基地があると中国軍の先制攻撃を受けるリスクが高まる・・この地域が甚大な被害を受けることが予測されると言う理由でその地域の自衛隊基地使用禁止を認める仮処分が出るのでしょうか?
あるいは基地撤去命令が出るのでしょうか?
旧社会党の「非武装平和論」=自衛隊違憲・安保反対論が村山内閣で封印されましたが、これは自社さの連立内閣樹立に応じるために便宜合意したに過ぎません。
社会党の支持者の多くが納得していないので、違憲論を公式に言えなくなった代わりに基地周辺で被害を受けている・・沖縄だけに被害を押し付けていると言うような運動が激しくなり、最近では集団自衛権反対論やオスプレイを危険だと言い出したような印象です。
野党反対の重要法案があると大臣等発言の揚げ足取りをして「失言」と称して(マスコミと一体になって)終始して法案自体の議論に入らせせない戦術と同じです。
国会は法案内容を議論する場であって失言か否かを議論する場ではありません。
成田事件も開港政策の是非ではなく、これに反対出来ないので、農家を無視していると議論のすり替えで反対運動を続けて来ました。
いわゆる一坪地主が居座って発着妨害しているのを国民のどれだけが支持しているのでしょうか?
ところで沖縄人は、本当に被害者なのか、反対運動の主役でしょうか?
「ファクト」と言う動画を見ると反対派が公務員を取り囲んで暴力的に押さえつけて顔を引き上げて、顔写真を正面から撮っている状況が出ています。
反対派が現地警察官や公務員の顔写真を撮って、その身元を調べて家族などへの強迫に利用するようになっていると前からネット報道されていましたが?動画を見ると「写真、写真」と叫びながらみんなで取り囲んで若い公務員の身体を押さえつけて顔だけを無理に上に向かせて写真撮映している実況報道が遂に出て来ました。
以前から流れている噂が現実に証明された?印象です。
これではテロ組織が「警察に協力するとお前の家族がどうなるか分っているだろう」と脅して歩いているのと同じ構図です。
こんな恐ろしいことが白昼公然・・警察隊が廻りを取り囲んでいながらナススベもなく公然と行なわれているのが沖縄の現状のようです・・動画が正しければ・・。
今や沖縄では警察や裁判所職員を脅して逮捕出来ないようにしている・・折角暴力行為者を逮捕しても裁判所が勾留請求を次々と却下するようになっている?・・とすれば,今や沖縄は無法常態化しているのでしょうか? 
地元警察や裁判所の手に負えなくなったので、大阪その他から機動隊を派遣するようになった(土人発言の大もと?)原因らしいですが,ここまで公然とやっているの見ると慄然とする人が多いでしょう。
被害者と名乗れば何をしても良い・・戦後朝鮮人が無力な警察力(警察官が朝鮮人に袋だたきに遭う状態が続いていたと言われます)を前提に無法状態を現出した・・山口組元組長がこれを実力で追い払った武勇伝も紹介しましたが、沖縄でも新撰組のような組織が必要な時代が来るのでしょうか?
今や動画があるので・・これを日本中の人が見ると日本的テロ組織が沖縄では公然状態になっている印象を受けますし、ひいては、沖縄人がテロ類似行為に参加しているのか?参加していない(動画発言を聞いていると関西弁中心のようですが・・)までも、これを支持応援しているのかな?と言う判断に移って行きます。
成田事件では地元農民が外から入り込んだ活動家の運動から離れて行ったのですが・・。
日本人が短気を起こすと沖縄独立を狙って煽っている背後の勢力の思うつぼですから,ここは隠忍自重して粘り強く沖縄人を説得して行くしかないのが大人の智恵でしょうが、沖縄県民が彼ら(もしかして背後の中国人)の煽りに簡単に乗るコト自体が許せない・・その程度の異民族だったのか?本当の日本人ではなかったのか?(沖縄県民から沖縄人へと表現が次第に変わって行く)と思う日本人が多くなるでしょう。
そこまで行ってから両天秤・功利打算で仕方なしに日本に戻って来ても、(慰安婦に関して日韓合意しても韓国人に対する不信感・怒りが1000年消えないと思う日本人が多くなってしまったように)沖縄人は日本人の仲間ではないのではないか?と不信感が植え付けられてしまうリスクがあるのに気づいていないのでしょうか?

政策決定と司法の拒否権・・仮処分1

沖縄の辺野古基地移転反対騒動のテーマになっている公有水面埋め立て・使用の許認可一般論で言えば、個人や民間企業が埋め立てるには、港湾全体計画や地元には漁業者その他多くの利害関係者がある・・調整が必要ですから、企業や民間の一存に委ねず幅広い調整が必要なことによります。
この調整を利害に通じた地元で行なうのが合理的であるから地元自治体の許可があるのですから、地元自治体だけでなく隣近所の自治体に関係があるときには、関係自治体の協議で決めるか、より上位(広域)の機関が主宰して決めるのが合理的です。
このようにテーマの広がりに応じて、順次より広域・上位機関で決めて行くのかどこの業界でも分野でも世界中の共通原理でしょうが、この逆に広域・上位機関で決めたことを下位機関が覆せるのでは、どんな世界でも秩序が保てません。
司法機関で言えば最高裁や高裁判断を地裁が覆せるでのは、システムとして成り立ちません。
大阪湾全体で言えば、政府の港湾整備計画に対して堺市が反対していると大阪湾全体の統一開発・統一管理が出来ないのでは広域組織の体をなしていないことになります。
大阪湾広域計画に抵触する1自治体の埋め立てを上位機関が許可しないのは合理的ですが、大阪湾全体の広域計画を1自治体が拒否出来る制度を作るのでは、制度設計が逆立ちでしょう。
自治体と住民や企業の関係同様に、国と自治体の関係は、多くの自治体に関係することは広域を管轄する国が上位機関として最終決定権があるべきですが、今の制度は、自治体の方が国より上位機関化?していて国を自治体構成員・個々の住民のような立場・・国の行為・開発行為までを自治体が許認可する権限者にしているのですが、これを正すには、国の行為は自治体の許認可を要しないと言う例外措置が必要です。
こういう法制度にすることが憲法の定める地方自治の本旨に反するとは思えません。
ソモソモ下位機関の自治体が上位機関の国の行為を許可・認可する発想自体が逆立ちした発想でおかしいでしょう。
憲法学者や行政法学者によれば「今は自治体と中央政府は対等である(もしかして地方の方が上と思っているのかな?)」と言うのでしょうが、それでは日本国が対等な何百と言う自治体連合体みたいになってしまい統一国家とは言えません。
対等な連合でしかも拒否権があるのでは、「船頭多くして船山にのぼる」状態・・何も決められない政治・・統一組織体とは言えなくなってしまいます。
対等国の連合体であるEUでも、構成国に対して条約で決めた範囲内の決定には拘束力があります。
それがイヤで、イギリスが脱退を決めたのです。
私のように「国が元々持っている権限を下位組織に委ねているに過ぎない」と言う意見を封じるために?15年ほど前目に機関委任事務をなくしてしまったことを1週間ほど前に紹介しました。
法的には決着がついているとした上で私は、この法制度が組織のあり方として間違いであるから元に戻すべきと言う意見を書いていることになります。
自治体の従来業務の多くが機関委任から、法定受託義務に変わったとは言え、内容を見ると「是正の指示、代執行等、国の強い関与が認められている。」と言うのですから一応政府の意思がある程度貫徹する道が一応残されています。
ただ、自治体に許認可権減がある以上は、最後は全て訴訟で決着付けるしかない・・せっかく選挙などを経て長期間政治の世界で揉んで決着が着いた事柄でも、イザ実行過程でその後さらに5年も10年も裁判しないと決められない仕組みでは、成田空港の例(1週間ほど前に漸く判決が出たことを紹介しました)を見ても分るようにスピード感のある国際変化の時代について行けません。
実際に今では、沖縄の基地移転訴訟や原発の例で分るように日本の現在の法制度では、おかしなことに上下の関係を決めていない・・組織の原理から言えば自治体が遠慮べきですが,野党系首長が遠慮しない場合・・結果的に最後は裁判所が決めるしかない仕組みになってしまいました。
自治権強化の結末→中央対地方の対立→司法の出番を見越していたのか?左翼系は、司法機関への浸透に早くから熱心でした。
これに危機感を持った政権側の巻き返しが昭和40年代に大政治問題になった青法協騒動・・裁判官の中立性問題でした。
http://www.seihokyo.jp/html/about-seihoukyou.html
「青年法律家協会は、1954年、憲法を擁護し平和と民主主義および基本的人権を守ることを目的に、若手の法律研究者や弁護士、裁判官などによって設立された団体です。」
http://d.hatena.ne.jp/sankeiaidokusya/20120418/p1による青法協の政治性の記述です。
「警備研究会著『日本共産党101問[補訂]』によると、青法協は「日本共産党の大衆団体」として定義され・・・昭和45年5月7日、札幌地裁民事2部は「青法協は、自衛隊反対運動と基調を同じくすると思われる安保廃棄等の政治的な活動方針を有する広い意味での政治団体である」と判示しています。46年4月13日の衆議院法務委員会で最高裁の矢口洪一人事局長は「少なくとも政治的色彩の非常に濃い団体であるというふうに考えております」と答弁。植木庚子郎法相も「ただいまの政府委員の答弁と同様であります」と言っています。」
自治体が独立性を高めて国家政策と対立するようになった場合に、国家施策に反対の政党が政府策に必須の自治体を押さえると、国家施策を実行するための開発行為などの許認可が得られなくなります。
・・自治権強化の結果国と自治体の上下関係の否定・・対等化が進むと、対等者間の訴訟を利用して決着を付けるしかなくなります。
最終決定権が裁判所に移りつつあるときに、何者にも命令されない独立の権限のある裁判官が、特定政治色に基づいて裁判するようになると結局裁判所独裁になってしまいます。
裁判所が積極的に特定政策を命じることは出来ませんが、自治体の言い分を認めて許認可拒否が正しいと言う判決や取り消しを認めたり稼働している原発その他の停止を命じることが出来ます。
裁判結果を待たないと国家としての迅速な決断→実行が出来ない国家制度では,ハブ空港化に遅れを取った成田空港の例で紹介しましたが、国際政治・国際産業競争に負けてしまいますから、政府決定を何でも拒否出来るようにする自治強化論、重視論は(彼らの主観的意図とは関係なく結果的に)亡国論・どこかのための利敵論になります。
このように国家施策の最終決定権を・・個人対国家権力の関係ではなく自治体と国家の関係で司法権に移行している国があるのでしょうか?
アメリカは連邦制ですから、連邦成立時の規約関する条約の解釈は司法権の分野でしょうが、訴訟社会と言われているのは個人保護の分野であって、国論の割れるような重要国家施策が地裁レベルの訴訟や仮処分で停止するような運用になっていないのではないでしょうか?
ただし、以上は門外漢の私が直感的意見を書いているだけです。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC